3日午後2時10分ごろ、三重県東員町の猪名部(いなべ)神社で行われた県指定無形民俗文化財「上げ馬神事」で、馬場を走っていた馬が転倒し、死んだ。上げ馬神事を巡っては、疾走前に馬をたたくなどの虐待が指摘されているほか、未成年に飲酒させる習慣が続いていた可能性があるとして県文化財保護審議会が文化財指定の適否を調査しており、事故は視察に訪れた審議会委員の目前で起きた。

 県警いなべ署によると、馬は約80メートルの馬場を走り、高さ約2・5メートルの土壁に達する前で転倒、頭を打って死んだ。騎手の男子高校生(16)にけがはなかった。馬をたたいたり、興奮剤を投与するなどの虐待や、騎手の飲酒は確認できなかったという。同神社の石垣光麿宮司は「氏子が大事に育ててきた馬だけに残念。申し訳ないことをした」と話した。

 この日は動物愛護団体を含め約2万人(同神社発表)の観客が訪れ、事故に一時騒然となったが、神事は約30分間の中断後に再開した。同神社によると、神事は4日も予定通り開催する。愛護団体のNPO法人アニマルライツセンターの岡田千尋代表理事は「動物が死ぬような危険を含む伝統行事は続けるべきではない」と述べた。

 上げ馬神事は南北朝時代に始まったとされ、急斜面を駆け上がった馬の頭数で吉凶を占う。同神社と多度大社(同県桑名市)で有名。猪名部神社の神事は02年に県文化財指定を受けた。【沢木繁夫、福泉亮】

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