広島県呉市の無人島「三ツ子島」を対象に中国財務局が行った一般競争入札には、「自分の島を持てたら」という希望者が集まった。

 結果は、隣の島で事業を営む会社が1億1万円で落札したが、参加者たちはつかの間の夢を膨らませた。

 呉市沖約1キロの瀬戸内海に浮かぶ「三ツ子島」は南北に並ぶ大小二つの島からなる。南の島には、主に工業塩の輸入を手がけ、今回落札した港湾運送会社がある。

 売りに出された北側の島は約7600平方メートル。平地は少ないうえに水道や電気などのインフラは皆無。さらに、島にあった旧海軍施設による土壌汚染の可能性もあったが、県外を含む18の個人、団体が入札した。

 海外の無人島売買やレンタルに取り組む大阪府和泉市の「アクアスタイルズ」代表の佐藤政信さん(42)は「日本では無人島はめったに売りに出ない」と、人気の理由を分析する。

 入札に参加した人たちには、無人島にかける夢や思いがあった。東京都目黒区の会社員男性(40)は「世知辛いご時世なので、夢を持ちたかった。海水浴や釣りなど、好きなことが思いっきりしたかった」と話した。広島市の元高校教諭(60)は「戦争の記憶が風化するなか、旧海軍施設があった島を研究して、子どもの平和学習の拠点にと考えたが……」とちょっぴり残念そう。

 「無人島の売却は、国の初めての試みと聞いて参加した。老後に別荘でも建てたいと考えた」と静岡市の広告会社社長の男性(47)は話す。ほかにも「瀬戸内の美しい風景に囲まれた島に墓を」「島の命名権を貸すビジネスに使おうと思った」という人もいた。

 国土交通省によると、国内には約6850の島があり、うち無人島は約6400に上る。ただ、佐藤さんは、無人島の大半は権利が複雑で、売買をまとめるのは極めて難しい、という。

 財務省は財政難を背景に国有地の売却を進め、売却額は2008年度までの10年間で約2兆4360億円に上るが、宅地など「売れそうな」物件から優先的に払い下げている。

 今回、呉市のある不動産業者は「落札額は高くても2000万円前後とみていた」と話す。参加者の多くが500万~1000万円前後で入札するなか、「島が無関係の人に渡り、操業に影響しては」と心配した会社が確実に落札できる金額を付け、大方の予想をはるかに超える額になった。

 財務省国有財産企画課は「今回は、無人島を丸ごと売るという珍しさがあった」と振り返る。さらに、どうしても落札したいという企業の事情が重なり高額になったが、結果に一番驚き、満足したのは国だったのではないだろうか。(呉支局 滝利明)

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