kuresho氏(糸の人)。

 そんな長々と書くこともないんだけど、架空・ノベマスに関してはカテゴリがないので単品記事で。

 この動画は55分のラジオ番組という発想で作られたのであって、作ってみたら長くなった、というのではないと思う(あくまで推量です)。詰めようと思えば尺は詰められると思った。このくらいが作者のテンポだと言えばそうなのかも知れないけれど。作中でアイマスの曲が、1コーラス普通に流れるところとか、途中でフェードアウトで十分だと思うし。そういう意味では全開で一見さんお断りだと思うw。

 それだけじゃなくて、この作者の「糸」のシリーズの番外編という位置づけを把握しないとわからないところがある、という点でもいきなり見たらピンと来ないだろうと。全体としては、春香さんがラジオ番組やったらこんな感じだろう、という風に軽く作ってあるけれども、これはこういうシリーズなのではなくて1回きりの実験で、いきなり最終回なんですね。「糸」のシリーズにおける春香のアイドル引退に伴う番組終了ということで。

 シリーズを追っかけて来た人なら、春香の引退に至る経緯、つまりは様々な苦悩を経てそこに至ろうとしていることがわかっている。このラジオ番組のテーマは、その上で、本音を隠して"プロとして"これまで応援してくれたファンに対してどういう挨拶をするか、ということなんです。

 残酷だと思いませんか。

 苦悩を押し隠して、もっと軽い理由で引退するかのように、笑顔を作って綺麗ごとを並べようとする春香さんの言葉を、何もできずに聴いていることしかできないんですよ。そこには、それなりに真実も含まれていて、それゆえに何も知らないファンが聞いても、ああ、そういうことならあるかもなあと思えることを、素直な気持ちで語っている。けれども、それがうまく言えてるなと思うほど、本音がそんなところにないことを知っている側としては、プロというのは狡猾なんだなあと思わざるをえない。それが、アイドルの仕事。そんな、胸糞の悪くなる話。

 よく聞いていれば、明るくいつも通りにやっているんだろうけれども、春香さんは、このラジオを本気で楽しんではいないんじゃないかなあと思えるような言葉もこぼれます。それ以前に、純情なアイドルというよりも、百戦錬磨のタレントみたいな風情がありますしw。

 「糸」のシリーズって、手紙のやり取りだけなんだけど、そこで、いろんな春香さんを見てきた。

1)純情な乙女心が文面からほとばしっているような春香さん。
2)辛いことがあっても明るく振舞っているかのような春香さん。
3)空元気が痛々しいほどで、自暴自棄になっているんじゃないかと思える春香さん。
4)何かと通り越してしまったかのような、落ち着いているけどどこかよそよそしい春香さん。
5)激情と共に本音をぶちまける春香さん。

 このラジオの春香さんは、私には(4)の春香さんに思えます。確信はないけれども。で、55分も費やしてそういう春香さんを見たいかというと、私は見たくない。そういう春香さんは胸の奥にそっとしまっておけば十分だと思っている。

 でも、リアルで普通にタレントや芸能人の発言に接していれば、そういう局面になることは実際にあるわけで。そういうリアルを切り取った作品として、そういう春香さんが"いる"ことを否定はできないでしょう。その春香さんを受け入れることもできるし見ておきたいという人もいるでしょう、そういう人は見ればいいのではないかと思います。

 この作品の位置づけというか意味はそういうことだと思うんですが。それと別に、有名な実際のラジオ番組からBGMとかジングルとか丸パクリしてるのが楽しいです。昔のCMもそのまま流していて、●DKのカセットテープのCMとか吹いたw。MADだなあ。流している曲も、アイマスでなければ危ないでしょうねw。そういうパロディとしての面白さも随所にありますので、そういう意味では気楽に見られると思います。

 とまあ、今やノベマスの55分なんて珍しくないのかも知れないけど、そういうこととはちょっと違うんじゃないかという話を、特に見てない人に伝えられるようにということでまとめておきます。以上。