Augenblicke

主にニコニコ動画のアイドルマスターMADについてのよしなしごと。

2012年09月

感傷

 一一Pが活動止めて、9月で全動画消すとの事。さっき知りました。私がニコマス見るの止めるとしたら、最後まで気にかかるのは、一一Pだなあと思ってました。細かい話するなら、私がいなくなったら、誰が一一Pの動画にコメントつけるのかとか(笑)、しかしまあ、Pがその気になれば、私の知らないところに上げることだってできるわけで、既にwyrdPとか他人に見られない動画の上げ方を追求してたりして、同じ事をやられたら、コメントどころじゃないなあと、まあそんなこんなで最終的にはどうしようもないなあと思っていたのですが。

 これまでは一一Pの動画はきちんとマイリストにまとめられていて、その足取りを辿るのは難しくなかった。2009年の9月16日にデビュー。いきなり同じバンド、Cureの曲で11連作。そのことから一一Pと命名される。2010年10月31日の動画「Conditions with THE iDOLM@STER ...Made Ghosts」(sm12606411)にて、

思うところありまして、旧作(mylist/14749464 mylist/14914456)のタグをロックしてあるものを除きすべて削除いたしました。

 と、投稿者コメントで説明される。ニコマスというか、アイマス激動の時期だ。2011年2月27日の動画「Train with THE iDOLM@STER This ain't Goodbye」(sm13727118)からは、

もしよろしければ、アイドルマスター関連のタグはつけないでいただけると助かります。

 の1文が動画説明文に添えられ、以後、アイマスタグのみならず、アイドル名も洋楽m@sterなどのジャンルタグも消され、一一PというP名タグのみが許可されるという状態になる。このP名タグも視聴者がつけてきたものでロックはされていない。以後、隠遁状態ではあるが、ニコレポのウォッチ等は、むしろ使ってください等のコメントもあり、積極的に動画を見たい視聴者にとっては不都合なく動画も見れるしコメントもつけられ、動画の説明文も依然として丁寧で。

 ただ、こんな状態がいつまで続くんだろうか? と思うわけで。それは結局、2012年6月〜8月の休止も挟みつつ2012年9月18日。1年7ヶ月もの間続いたのである。動画数にして全158の内、上記の隠遁状態後に89作。ざっと週一ペースで動画を上げてきた勘定になる。実際問題としては、12年8月の復帰以後は、今回のラスト11連作を除けば3作しか上げていないので、復帰したものの、やはり継続は難しいという判断になったのではないだろうか。

 それにしても最後に再びCureで11連作。アイドルが11人1作ずつ、つまり、ずっと無印で作り続けてアイマス2素材を使っていないため、09年と同じ11人なのである。響、貴音はいない。デビューの11連作のマイリスには「つか、こんなアホなことはもうやらね。 」とコメントされている(笑)。それをもう1度やったのだ。それも2週間で消してしまうにも関わらず。

 さあ、私に何が言えるだろう。私にとって一一Pは、そういう無茶をやる人であり、一切の色調や画面エフェクトを使わず、一方で緩急スローを自在に使いこなすダンスシンクロPVの達人であり、かつては洋楽m@sterの雄であり、そして、ニコマスPでもっとも複雑にリズムを使いこなしてダンスを織り上げる唯一無二の人である。選曲的にもフリージャズ、ポストロックなどのダンスを踊らせることなどできそうにない曲できっちりシンクロさせ、アコースティックギターやピアノソロの組曲など、やはり到底ダンスPVと無縁な音楽で綿密にダンスを織り上げてきた。こんなニコマスPはいなかったし、二度と現れない事は断言していいw。

 そして今回の11連作でもわかるように、アイドル1人ひとりに、意味を持たせた選曲をする人であった。真が典型的で、一一Pの真はパワー担当(笑)で、同じバンドで優しい曲と力強い曲があるならば、真は必ず後者を踊っているんじゃないかと思う。そして、あずささんは重い愛の唄をしっかりと受け止める役だし、美希は情熱な恋のためにまっすぐ突き進んでいく曲を担当するし、律子や春香はそれぞれに苦悩を表現してきた。それら分かりやすい役柄に対して、伊織や雪歩はもう少し自由で、どんな曲を踊ってくれるのか楽しみであり、千早は逆に自由ゆえの不安と孤独を抱え、やよいは時に可愛く、時には母のような慈愛に満ちた曲を全身で表した。個人的に興味深いのは亜美と真美で。亜美は明るさの中にトリッキーな毒を持ち、一方で真美は、亜美が分かりやすくいたずらっ子を表現してくれる分、より内面に鋭く降りた本質的な歌を表現する役だったと思う。


 今回最初が真美だったことが頭に入ってきたのはもっと後で、この動画を見ていたときは、まだ事の次第に呆然としていて、亜美だったか真美だったか覚えてないくらいだった(^^;)。あとから亜美を見て、ああこっちが真美だったかと見直して、そして感動した(笑)。

「誰も話さない 誰もいない
 車もない 誰もいない
 食べ物もない 誰もいない
 音をたてて止まっちゃった」


 全てが突然止まってしまって、何も楽しくない、ここには私もいない。この1曲目を明るい曲調で踊っているのが真美であり、結論として

「ゆっくりいこうよ 誰もいないんだし」と。

この1曲だけ見るとシュールだけど、この連作のほとんどが「終わり」「別れ」の曲であることの、これは序章であり、結論でもある。ここにあるのは、終わりに向う覚悟だ。そんな重要な役を担っているのが真美なのである。


 千早。Cureは大雑把にしか知らないので、このタイトルの意味をよくわかってなくて、千早なので、思わず72番目ですかと思ったけど17秒という意味ですね、はい。ゆったり踊る静かな曲だけど、1曲目に続いて世界の無常さを表現した暗いイメージの歌だと思う。ただ、単調なミドルテンポのリズムギターが時計の音のようで、淡々と踊る千早が似合う。


 雪歩。ゴシック雪歩は独特の雰囲気が素敵だが、今回衣装は全員パンゴシで統一。ともあれ、この衣装で蒼い鳥のダンスを優雅に踊る雪歩は美しい。中盤で少し歌が入るが、5分半のほとんどがインストの曲で、バレエのようである。歌の内容は石の棺の中で何もできないという救いのないものなのに、曲調と雪歩のダンスが異彩を放ち美へと昇華されている。ラストのスーパーロングが秀逸。


 伊織。派手な印象のある3rdアルバムよりジャングル的なビートのワイルドな曲。それを伊織がくるくると端正に踊ることで、これまた独特のケミストリーが生まれている。ラストのスローにもハッとさせられる。


 あずさ。5番目のここがネガティブの底。大柄なあずささんが優美に踊ることから生まれる有無を言わさぬ迫力と、重いビートに重い内容の歌。雪歩、伊織から続いて、崩壊した文明と原始への回帰、みたいな文脈を感じるけど実際のところはわからない。ともあれ、あずささんは暗闇の中で傷つきながらも歩みを止めない、そういう主人公の位置にいる。これまたラストの余韻がいい。


 美希。雪歩から続く、滅びの美学、みたいな流れを彼女が継承するわけもなく。ゆったりだが明るく力強いビートと共に。暗い別れと、それを認めずに立ち向かおうとする意志の歌。ここではまだ明確なメッセージにはなっていないけど、その不完全さを支える愛の歌でもある。


 真。前半の重いワイルドなビートが、やがては闇を吹き飛ばす力を求める叫びに変わっていく。地味に4分超える曲がほとんどなわけで、前半の暗さ、無力感を表現するのも真なら、そこから攻めに転じるのもまた、彼女にしかできないこと。それだけの内面的な変化をもつデリケートな曲を、派手な演出なしにダンスだけで表現してしまうのがこのPであって、真はパワー担当と書きましたけど、彼女が担っているものはそれだけ重いのです。


 春香。素朴さと逡巡と。一一Pにおいては、愛を力にして前進していくのが美希なら、愛を信じるゆえにそこから動けないのが春香さんなのです。割とそこいらの役割は決まっているのですが、なんか、アニマスの美希と春香もそんな感じなのが面白いな。そんな希望のない歌なのに優しい顔で、たおやかに踊る春香さんが美しい。


 ここで亜美、やっと亜美です。見事なまでに、真美と表裏一体のような選曲で、もう手遅れ、何もできない、という曲。真美が「ゆっくりいこう」なのに対し、亜美はこうなる。

「鏡も壁も階段も床も みんな打ち壊して
 君の歌で 家も街もみんな焼き払って 叩き壊しちゃえ
 こんな日は 後ろに倒れこんで
 すべてにお別れのキスを」

 真美があっけらかんとした歌なのに対して、こちらはドラマチックな曲で「楽しくやろうよ」で、こうなる。ぶっちゃけ、この動画が連作のクライマックスでしょう。真美が珍しくあんまりポジティブじゃないなと思ったら、亜美がこんなにもかっこいいw。やられたわ。この表裏一体が一一Pなんだなと思う。しかもこれ、同じバンドの曲なわけで。


 一一Pの場合、やよいも、真に次いでトリッキーなダンスをすることの多い子なんですが、この曲は3拍子。小さなζ*'ヮ')ζが、ちょこまかくるくると踊ってるのであまり気になりませんが、かなり大胆なリズムの取り方をしてます。ちょっとした魔法ですねこれ。なんかおかしいんだけど、どこがおかしいのかと思うと大体あってるので、どこがどうと言えないシンクロをしてますw。歌の内容は、やよいらしいというか、どうにもならないと閉じこもっていたら、世界は逃げてしまうから、前に進もうという歌。


 律子。荘厳な曲調に乗って、前半で確信的で肯定的な歌詞が歌われ、この花は枯れることはないんだと貴方は言っていた、という風に続いていくのですが、後半で「私」はその全てを否定します。雄大なハッピーエンドの曲と思われた内容は一転、そんなものはないんだという曲に。実に律っちゃんです。そして、要点は、どっちが正しいかではなくて、だからこそ、2人は惹かれあったのかも知れないし、ゆえにこそ、2人は1つにはなれないのだということ。絶望も希望も、個々のアイドルの苦悩と、乗り越えようとする意志も、全ては並列して、まとまることはない。救いはないように思えるけれど、だからこそ、11人が1曲ずつ踊ることに意味があるということ。これは永遠に完成しないからこそ、飽きずに遊べるパズルなのではないか。


 アンコールのオールスター動画で、厳密にシンクロを突き詰めたというものではなくて、個々の持ち歌ダンスで繋いだカーテンコール的なものだと思われます。とはいえ、使い勝手のよさで知られるダンスは流石にピタリとはまっていて、思わず「ポジティブ!!」すげー、とか思ったりするw。歌の内容は、再会を願う、というもの。なのですが、後半になると、ほんとは別れたくないよ、なんでこんなダメなことになっちゃったんだろう、でももう手遅れだ、という愚痴大会になっていくという(笑)。


 まあ、ニコマスに関することだけでも、自分の中にはたくさんの「手遅れ」があります。あまりにたくさんの手遅れを抱えると、一歩も動けなくなるので、最初から無理だったんだと思うことにしています。何かをするためには、何かをしようと思わない方が得てして手が動きます。だから、blogの更新なんてのは目標があって達成するために作業するなんてことはしません。こんなのは業(ごう)だと、そんなもので。そうでないと、何かをしようとしたけどできなかったことに対する言い訳だけ考えて生きていかないといけなくなってきて、何がしたかったのかわからなくなるので。

 だから多くは語りません。語りませんが、そうやって表に出ない事を選んだ動画作家のことを誰も語らなくなるなら、それもまた手遅れな気がするので、何かはします。

 これまでお疲れ様でした。たくさんの驚きと感動をありがとう。いつかまたどこかで。

透過光とか好きで

 みにこんP。これを見たら、下のを貼りたくなったというだけの記事。

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 まあ、EDFと言えば、最終最後PのダンスPVなわけで、↓この動画はそういう文脈上にはないんですけどね。ただ、撃ちまくるニコマスっていいなという文脈。

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 以前、こういう類の動画を特集した記事を書いたが、もう消えてる。ぷにえPからスイハンジャーまで各種並べたもので。

 ぷにえPってのはこれね。

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 合わせて見たいTiltPの東方m@ster。

 ニコマスにおける最も美しい破壊の絵。
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 オチはないです。