資料的なメモを気が向いたら推敲する感じで、随時この記事にためていこうと思う。
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 坂田明という面妖なジャズミュージシャン(サックス奏者)がいる。彼はライブの時に言った。嫌なこと、苦しいことはたくさんある、じゃあどうしたらいいのかと。それはつまり、当たり前のことではなく、変わったことをやることだと。そう言って、こういう歌を歌った。

んぐりころころど
んぐりこお
いけにはまってさ
あたいへんど
じょうもでてきてこ
んにちはぼ
っちゃんいっしょにあ
そびましょうど

 実際に誰でもできる、さあ歌ってみよう。ちょっと面白い。

 シンクロはMADのための用語で、MADのこころとはこういうものだと思う。
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 弱起の曲(アウフタクト)というものがあります。シンクロのタメを考える上で重要な要素の1つで。

しあわせならてをたたこう
しあわせならてをたたこう
しあわせならたいどでしめそうよ
ほらみんなでてをたたこう

 これを4拍子で取ると(Xは休符)、

|しあ・わせ・なら・てを|たた・こう・X・X|

 となるように思えますが、実際はこうなのです。

しあ|わせ・なら・てを・たた|こう・X・X・しあ|

 歌うときは、1、2、3、ハイ「しあわせなら・・・」ではなくて、
 1、2、3、しあ「わせなら手を・・・」になるということです。

 なぜそうするのかというのは、「しあ・わせ・なら・てを」で4拍よりも、「わせ・なら・てを・たた」の4拍の方がまとまりがいい、という判断としか言えません。これがわかるかどうかはセンスの問題になります。

 MAD的に言うなら、先述のどんぐりの歌と同じで「しあ・わせ・なら・てを」でダンスを組んでもいいじゃないか、ということにもなります。もっというなら、この歌で3拍子に組んだっていいというのがMADです。

|しあ・わせ・なら|てを・たた・こう|
|しあ・わせ・なら|てを・たた・こう|
|しあ・わせ・なら|たい・どで・しめ|
|そう・よx・ほら|みん・なで・てを|
|たた・こう・X|

  音楽の世界では、4拍子の曲を3拍子にアレンジしたりその逆などは普通ですし。ただ、3拍子でもやはり、

しあ|
|わせ・なら・てを|たた・こう・しあ|
|わせ・ならてを|たた・こう・しあ|
|わせ・なら・たい|どで・しめ・そう|
|みん・なで・てを|たた・こう・X|

 こう組んだ方がまとまりはいいと思います。

 さて、この弱起の曲は、歌い出しが次の小節の頭へのタメになっています。本来なら息を「スッ」と吸って溜めるところで歌に入ってるという事。それだけに、本来は「休符のタメ」という目に見え難い部分が、目に見える形で現れるのがこの弱起の曲。これはリレーションズのマスターヴァージョンのあのギターのイントロが始まる時の一瞬の「シューッパーン!」に当たりますし、

 「恋愛サーキュレーション」の「でも」に当ります。


|X・X・せーのっ・デモ|そんなんじゃだーめっ・モウ|そんなんじゃほーらッ・ココ|ローは(略

 どちらもほんの一瞬なのでダンスを当てるのは無理っぽいですが、こういう弱起の成分があると、小節の頭がくっきりと感じられるんじゃないかという話です。

 そして、弱起の延長として、2拍前から歌うというタメもあります。というか、↑を「せーのっ」から考えると2拍前から始まってますね。

 何が言いたいかというと、タメというのはこの延長で、1小節あるいは4小節使ったタメも、同じ理屈だということです。ちなみに「ざわおん」の5人ジャンプは「せーかいー」の「い」で飛ぶ2拍溜めなんですが。

 おっぺけPの↓の動画では、1度目のジャンプ(0:55)は1小節(4拍)溜め、2度目のジャンプ(1:05)では前の小節まで遡って2小節(8拍)溜めのジャンプとして使っています。元PVで前の小節を含むとすると、6拍とか10拍で8拍にはなりません。途中でカットを割ることでキリのよい2小節分のタメを作り出しているのです。それによって、元PVの2拍溜めよりも強いアクセントを作り出しているということです。
 

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「ポジティブ!」はブギー。

*東京ブギウギ〜ヘイヘイブギ


 ブギー(ブギウギ)はロック側で重く解釈されて、こういう感じにもなる。
*The Rolling Stones - Tumbling Dice

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 ブギーのリズムはブルース発祥で、つまり「ズンズタッタ・ズンズタッタ」が基本だが、よりアクセントが強くなると「ズンズンタッ・ズッタッッタ」みたいに詰まって跳ねて、という風になって特徴的になってくる。要点は4拍の裏にアクセントが来ること。普通の8ビートなら

「ズズタ・ズズタ」だが、ブギーだと
「ズズタタ・ズズタ
になる、ということ。

 小節のラストにアクセントが来るので4拍目に「ハイハイ!」とか合いの手を入れるとはまったりするし、「本当は空元気なんじゃないの?」の次の「ど・う・な・の!」みたく最後の1音に向けてタメてキメる流れができるとかっこいい。実はこの「の!」は2拍目裏で、後半の2拍の休符が次の小節へのタメになってる。それに対し、ラストの「行けば分かるのさ!」は実際に4拍の裏。つまり「どうなの!」は中ボス。「行けば分かるのさ!」がラスボスということ。
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 何故だか分からないが、ポジティブのダンスの左腕は働き者。

 
 「ポジティブ!」はどうしてこんなにダンスが跳ね続けるのか。

 どうも、「リズムのアクセントが強力な楽曲につけられたダンスは使いやすい」という仮説を立ててよいように思った。

 「ポジティブ!」は4拍裏で跳ねるリズムが特徴であるとして、結局、そこだけ跳ねるダンスなどというものは構成できなくて、すべての拍で跳ねるダンスを持って対応しているようだ。これが2小節くらい使って最後に跳ねるのなら、そういう(2小節の最後だけアクセントをもった)ダンスを組めると思うが、1小節で跳ねる分には無理なのだろう。ということは、逆に言えば、1小節でアクセントの来るこのダンスでは物語や象徴を表す個性的なモーションは入れにくいので結果少ない、とも言えそうだ。

 そんなこんなで打点(アクセント)の多いダンスになり、4分音符、8分音符は当たり前で早回せば16分音符にさえ対応可能なダンスになっている。

 打点が多いということは、音符1個ずれても、そこに打点があれば、「遅れではなく、1つずらして合わせたんだ」という文脈に持ち込むことができる。複雑なアレンジの曲でリズムが変則的であっても、実はあちこち遅れたり詰まったりしてるんだけど、その都度合う打点があるので、違和感が出難い、ということになるのである。

 そういうことを考えていて、難しいリズムに合わせたモーションというのは、難しいリズムに合わせる工夫の上に成立しているのであって、ゆえにこそ汎用性があるのだと、そういう気がしてきた。主題歌、「relations」などはオーソドックスな8ビートなので、普通に合わせやすいのだけど、リズムの主張があまりない「GoMyWay!!」や「私はアイドル」は合わせにくい。一方で、「思い出をありがとう」、「まっすぐ」、「蒼い鳥」などはメロディーとリズムが一体化していて、打点がどこにあるのかわかりにくいけれど、リズムが弱いかというと、タメが大きくてキメも大きい、というもので、そういう曲であるがゆえにダンスには汎用性が生まれるんじゃないかと思う。いや仮説だけど。

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「ごまえー」はスイングジャズ。

*Colette jazz singer / Route 66


*COUNT BASIE Swingin' the Blues, 1941 HOT big band swing jazz

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 ごまえーのリズムはよく言えば安定、悪く言えば平坦。なのでダンスの自由度は高い。譜面とダンスをじっくり見て気付いたのだけど。

 この曲の序盤は弱起の曲なのに、メロディーにダンスを合わせるメロディーシンクロをしている。つまり、元からダンスと拍子がずれてるんである。「がんばってゆきましょっ!」のモーションはピタリと合っているが、そのキメの「しょっ」は2拍目の裏という半端なところである。
 冒頭の「ごまえー」は8分音符3つ前から。
gmy1

 「いちばん大好きな」の「い」が8分音符1つ前。
gmy2

 それが「わ・た・し・に・な」で落ち着いて「りーたーい」になると、ダンスと拍の頭とが合うという構造になっている。
gmy3

ゴマエ|ーーXゴマエ|ーーXガンバ|ーってゆ|キましょウXイ|
|ちばんダイ|スきナーわ|たしにな|りーたー|いーーー|

 その後はメロディーは半拍遅れているのに対してダンスは拍に合っている、つまり歌だけ遅れてついていってる状態。これもまた4小節で追いつく、つまり解決する。Cメロでは歌は1拍遅れになり、4小節目のあの「見てれぅー」で解決。そしてCメロ後半〜サビで締め。そんな風な微妙なズレと解決が、この曲の「スイング感」の元なんだろう。

〔Bメロ〕(xは8分休符)
|xノンストップデ|xイッテミーマショ|xテオモッタラ|マタアカシンゴウ|
 という風に、頭に8部休符がずっと入って、4小節目で綺麗に埋まる形。

〔Cメロ〕(Xは4分休符)
|Xミーライハダ|ーレニーモーミー|エーーーナーイモ|ーノーXX|
|Xダーカーラダ|-レモーガーユー|メーーーヲミテル|ーーーーXX|
 という風に、頭1拍休んで、あとずっと、単語が小節に収まることなくずれていって4小節目で帳尻を合わせる形。Bメロの方は均等にずれているので、言葉が小節に綺麗に収まってますが、こちらは歌メロを聞いている分には、どこが小節の頭だかわかりません。


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ちなみに「START!!」はスカコア。

*【PV】RUDE BONES Jump Out Side【HD】


 これらはビートだけ見るとそんなに違わないが、ノリに変換すると、決して同じではない。

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 My Best Friend、通称MBFのルーツはこんな感じだと思うんですが。

・Singing In The Rain (Gene Kelly)


 じゃあこれは音楽ジャンル的になんなのかというと、なかなか難しいわけで。まあタップダンスを基盤に発展してきたスタイルということで、ダンスとコントを混ぜた芸でヴォードヴィルと呼ばれるものが根本らしい。

・Vaudeville Act: Lowe, Hite and Stanley


 これは大体マーチで。で、マーチはJAZZのベースでもあるので、黒人音楽的な発展をしたのかなあと思いつつ、ここで踊っているのは白人ですし、ミンストレル・ショー(Minstrel Show)という白人が黒人のメイクをして芸をするというのもあって、仮に黒人文化から生まれたとしても、白人に乗っ取られたのかなあと思うとちょっと複雑なものが。また、タップダンスについてしらべると、↓の記事ではアイリッシュダンスのルーツ説も取り上げられている。

タップダンスの歴史

 実際、↓の動画などは同じ芸だと思うけれど音楽的にはアイリッシュの影響を感じます。
Gene Kelly & Donald O'Connor Fit As A Fiddle
 と言っても、人によっては別段似ていないと思うかもですが。アメリカの文化はアイルランド移民の文化でもあるので、アメリカの庶民のダンスを遡っていくと、どんどんアイリッシュダンスに近づいていくというのがあるんです。

・River Dance

 アイリッシュの、いわゆるリバー・ダンスもタップダンスが基本だし、皆で腕を組んで輪になって踊る姿は、世間一般で言うところのフォークダンスの原型なんですね。

 そんなわけで上の記事のようにヴォードヴィルには二つの流れがあるんだけど、どちらも自分の方こそ真のルーツだと譲らない、という話はわかる気がするなあと。

 ただまあ、MBFの強烈に跳ねるビートには、私は黒人音楽の血を感じますので、アイリッシュ側は棚に上げておいて、マーチが黒人文化の中で変形されてこういうスタイルを生んだということでいいんじゃないかと考えます。