セットリスト

 不思議なことに、メンツからしても最終日であることからしても、安全にまとめてくるという事が確信できているはずなのに、同時に、絶対にただでは済まないという確信もまた、ありました、そんな2日目。

 前回のblogで触れたレギュラー陣が、今日どう歌うか、それが楽しみでした。それに今日は間違いなく「アイル」をやらない。なくても大丈夫な内容とは、どういうものか。それだけ考えても、machico氏がどんなパフォーマンスを見せてくるか。

 また、1日目に乙女ストームを全員揃えておきながら、「レジェンドガールズ」「シューティングスターズ」をオリジナルメンバーで固めなかったこと。特に後者、ころあずではなく、天さんをセンターに残して脇に2人加えるというのは意外でした。

 北沢志保の中の人として歌う雨宮天、という枠を超えて、彼女が遊撃隊ではなくて、machico氏と同様にワイルドカードとしての柔軟性を求められ出したこと、すなわち、様々なデュオで「piece of cake」という志保には珍しいタイプの曲を歌いこなしたり、福岡でリーダーを務めるなどの過程を経て、彼女は確実に新たな段階へ進もうとしてるのだと思いました。

 私、天さんは、いつまでもミリマスにはいないだろうと思ってたんですよ。釘宮さんみたくなるだろうと。実際、今年の天さんも忙しそうですし。彼女にとってミリマスがそこまで重要な存在になるとは思ってなかったです。

 この点、1つ取っても、天さんが普通に「ブルーシンフォニー」と「絵本」を歌って脇を固めて終るだろうとは思えなかった。

 ぴょん吉さん、ころあず、machico氏、天さん、これだけのメンツが、一体どういうことになるのかわからない、じゃあ、普通に終わるわけがないじゃないですか。木戸ちゃんだって、さすがにもう「おまじない」はないでしょう、このツアーで初めての「オリジナル声になって」を聞かせてくれるはず、果たして今の彼女はこの曲をどう歌うんでしょう。

 そして、本日いちばん気になっていたのは、諏訪さんです。愛美さんも、りえしょんもいない最終日。強力なメンツで固めた中に、彼女がいるのは抜擢と言ってよいと思います。ゼッキーは1stでガチガチに緊張していたのが、2ndでは立派に成長した姿を見せてくれて、結果、この最終日にもいる。このメンツの中で諏訪さんだけ2ndにいませんでした。彼女はこのツアーでは、凱旋講演である名古屋で「カーニヴァル・ジャパネスク」を披露してくれましたが、この曲がとんでもなく難しいことが見ててよくわかりました。

 というか、そもそも、「徳川まつりとして歌うこと」がハードルとしてまずあるんですよね。ミリオンで安定したパフォーマンスを見せている人は大抵、地声で歌ってます。キャラを作ってなお、全力で歌えるような怪物は唯一、上田麗菜さんのみと言ってよいでしょう。もっとも、キャラになり切っててその技術が伝わってない人も多そうですね。渡部恵子さん、阿部里果さん、普通に歌えているので、特に疑問に思われてないかもです、彼女達は地声ならもっとうまいと思いますよ。ぴょん吉さんも、未来の声で歌ってることは、あまり認識されてない気がする。machico氏が、自分のアルバムだと全然、翼の声じゃないことは知ってる人もいるでしょうけど。

 話を戻しますと、まつりの声で「カーニヴァル・ジャパネスク」、歌える方がおかしいんであって、諏訪さんが下手なわけではないんですよ。彼女は十分実力は持ってる人です。しかし幕張1日目で「フェスタ・イルミネーション」だったので、2日目は逃げられません。繰り返しますが、彼女が最終日に残れたのは凄いことだと思ってます。他のメンツの強力さを考えれば、ここで彼女だけ そこそこの出来 では済まされない。徳川まつりとしての意地を見せないと、ぶっちゃけ、次はないかもしれない。

 そう、まつり姫ならここで意地を見せます。彼女はそれをわかっているはずです。

 この2日目の肝はそこだろうと、私は考えていました。結果はご存知の通り、名古屋とは比較にならない、素晴らしいテンションの「カーニヴァル・ジャパネスク」が会場を盛り上げました。本当に頑張ったと思います。もうこの時点で泣いてました私。

 「Decided」ですが、諏訪さんの本来得意なのはこっちだという気がします。が、そこはまつり姫なので、合っているとも言えるし、いやそうとばかりも言えないという悩みどころではないか。それが、大人同士ということで、このみ姉さんとコンビを組むことでうまく馴染んでますね。他には千鶴さんくらいしか合わないだろうという渋い歌で、意外と貴重かもしれません。トロッコでのパフォーマンスでしたがステージで聞いてみたかったですね。

 先にみっく行きましょう。述べたように今の彼女が「透明なプロローグ」をどう歌ったか。実際問題として、意外にも泣きそうなテンションで不安定だったんですが(それはそれで可愛いという意見も見かけましたが、ええ確かに)。1日目同様に、やはり新たな可能性を感じるパフォーマンスにはなってたと思います。この曲の要求するエネルギーは、もっと大きい。暴れ馬を持ち前の柔軟さで乗りこなすことで、今のこの歌は成立してます。しかし、ここまで来たように、これからの彼女が力をつけるに従って、まだ更にダイナミックな歌に変容していくことでしょう。まあ、今後も歌われていくならですが。あと、何気に「シリウス」にもいました。大抵はmachico氏がいる位置に、みっくがいたわけです。既にミリオンにおける自分の位置を確立しているように思える みっくでも、まだ上に進めるんだなと思いました。彼女のシリウスも良かったですね。

 トライセイル組。もちょとなんすに共通する、どこに入っても、仮にうまく歌えないとしても、何とかなる、何とかする、という安心感。今回もそれが発揮されておりました。「虹色ミラクル」とか誰でも歌えそうですけど、ここに木戸ちゃんはともかく、もちょ天を入れたセンスは変だと思います。でも確信犯でしょう。「カワラナイモノ」にもちょ、それも、ころあずと駒形さんというVoの権化と共に。これも確信犯だと思います。なんというか、あえて異分子として新鮮味を出すために配置されている感がありますね。でも、もちょなので、何とかなってしまうという(^^;)。「スモーキー・スリル」になんす、というのも同様。脇をゆきよさん、山口さんというセクシー担当が固めるという微妙なバランスが可愛いというケミストリーがありました。1日目は山口さんの位置に渡辺恵子さんだったので、うまく噛み合う感じだったですが。

 それにしても、「シューティングスターズ」も「ブルーシンフォニー」も「プリティー・ドリーマー」も「レジェンド・ガールズ」もないのに、不足感なく進んでいったんだから凄い。ユニット曲で定番なのは「センチメンタルヴィーナス」と「瞳の中のシリウス」だけだったんですね。代わりに何があったか。オリジナルメンバーをあえて全員外した「ジレるハートに火をつけて」と「Birth of Color」だったと。

 で、「Birth of Color」にmachico氏と天さんとなんす。あのですね、この曲のメンツと歌詞は緻密に絡み合っていてですね。要するに、矢吹ちゃん、歩、真、あずささん、雪歩というLTH07「Birth」というユニットは、どうしようもなく迷走するダメ人間の集まりで、そういうメンツのための歌だったんですよ、歌詞をよく読むとわかります。道に迷っても心は迷わないぞ、という歌なんです。およそ、正反対のメンツで歌われてるんですね、今回(^^;)。じゃあ、「ジレるハート」の方はというと、ぴょん吉さん、木戸ちゃん、たかみなさん、ゆいとん、という。まあ、ゆいとんは「Super Lover」歌ってるから無茶でもないけど、他は確信犯だろうとw。

 いやあ、machico氏と天さんをこういう使い方するかと。ちょっと呆れたと言うか、安定志向というものとは、明らかに違うなと。その最たるものが、「Smiling Crescent」のもちょ・ゆきよコンビですかね。出オチ言われてましたが。

 それでも、それもありだな、と思わせるほどの充実したパフォーマンスになっていたのが、つまりは、歌の交換が可能なアイマスらしさというものですし。何というか、楽しかったんじゃないでしょうかね、何よりも演者の皆さんが。今回、特にクイズとか漫才とかなかったけれども、こういうのは楽しかったと思うんです。

 実際楽しそうでした、特に天さんが。そのおかげかどうか、「絵本」が最高傑作になりましたね。この歌はシリアスですけど、シリアスで終ってはいけない歌です。笑顔で終る歌だからです。LVではカメラが素晴らしい仕事をして、彼女の笑顔を捉えていました。歌うごとに確実によくなってきたこの歌ですが、すっかり自分のものにしたなあと思います。

 で、「アライブファクター」の、CDだと戦車同士の打ち合いみたいな壮絶な歌ですけど、このステージではmachico氏ところあず、というよりは翼と静香、天才と秀才の戦闘機のドッグファイトの様相でしたが、歌い終わった後の、2人のやり遂げたという晴れ晴れとした顔が素晴らしかったんですよ。歌っている間はあまりの凄まじさに歌の圧力で座席に押し付けられたかのように凍りついてましたが私。

 なんでしょうね、ころあずは「Catch my dream」でも、憑き物が落ちたような愛に満ちた歌い方をしてましたよね、それでいいんです。あの歌は希望の歌なんですから。「プレシャスグレイン」より先に進んだ静香の歌ですから。この曲も、ようやく真の姿が解放されつつあるなと感じました。

 一方で、machico氏の「Believe my change!」が、これはもう凄まじかった。そりゃそうです、「アイル」があって、更に「アライブファクター」があって、その後で歌う自分のソロ曲が、それらに負けるわけにはいかない。その2曲の「凄み」に対して、一歩も退くわけにはいかなかったでしょう。あれの、魂の最後の1滴まで絞り切ったような歌い終わり。そのまま彼女、倒れるんじゃないかと思いました。

 machico氏は、ミリマスのライブにおいて、常に支える役でした。ミンゴスのラジオでゲストだった時にも、「スタッフはmachicoを便利に使い過ぎ」だとミンゴスに言われてました。翼にしたって、春日未来の友達つまり脇役であり、未完成な天才、という立ち位置だったと思う。しかし、名古屋ではリーダーとして、ソロのトリを歌うことになったし、「アイル」を歌うことも決まっていたという時点で、変わらざるを得なかったと思います。

 先頭に立つ必要があったし、何より、「アイル」を歌うということは、翼を主役にするということ。本気の伊吹翼がどういうものか。今回ずっと、このプレッシャーと戦ってきたんだと思います。でもって、既に述べた通り、翼で歌うのって、machico氏にとっては決して楽じゃないと思うんですよね。ただ、翼はなかなか本気を見せない子ですから、必死になるのもどうかというのがある。

 でも、LTHで「Believe my change!」という曲が来てしまった。どう歌うのか、ちと矛盾してるところです。これはいつの翼なのか、というのがある。そんな迷いがあったんじゃないかと思うんですが、「アイル」が来るということは、もう迷う必要がなくなった。ジュリアも静香も一目置く、翼の天性の才能を示さないといけない。

 別にmachico氏がそう言ったわけじゃありませんけれど、名古屋での「Believe my change!」は、そう思わせるに十分な凄まじさでした。そこからずっと、以前より一歩も退かないという状態でmachico氏は歌ってきたように思います。ツアーを通していちばん存在感があったのは、彼女をおいて他にいないでしょう。

 でも、今日は、他にも圧倒的な歌唱力を見せ付けた駒形さん、高橋未奈美さんもいて、それら全員の才気と情熱を全て背負った上で、山崎はるかさんが「未来飛行」を歌った日ですから。

 最終ブロックの、待ち構えたようなツアー全リーダーのソロ・リレー。こんな時でも、もちょだけ平常運転で出発進行だったわけですが(^^;)。いや、どうなんですかね、満面の笑顔でこういう時でも歌える彼女が只者じゃないことをもっと認識すべきでしょうか。ともあれ、このリーダーソロ群の前に「アライブファクター」をやってしまえる進行スタッフの自信の程もわかるし、実際、それにふさわしいものでした。そのラストに本当に、これだけ凄い歌が次々と積み上げられる先に、ぴょん吉さんが堂々と立てるのか? 割と心配した人も多いんじゃないか。私、心配はしてませんでしたが、まあ、だめでもいいやとも思ってました(^^;)。

 というか、どんな「未来飛行」なら、この先にふさわしいと言えるのか。想像がつかなかった。

 カメラが凄かったですね、LVの。ぴょん吉さん、小さく見えた。こんなに小さいんだと思って、そこから、彼女の歌が、広い会場全体の中心で響いているのが、見渡せるように動いていくんですね、カメラ。彼女はその小さな体で何かに向かって全力で抗っているように見えた。笑顔でしたけどね、何というか、彼女が動けば、「未来飛行」が応えて、客席も応えて、物凄く重たい何かが、じわじわと持ち上げられていくような。

 で、やっぱりね、終ると晴れやかで。次の「ハルカナミライ」をころあずと歌う時には、このツアーでずっと見られなかったような晴れやかな顔をしてました、ぴょん吉さん。やっぱ、重たかったんだと思う。

 はっきり言えるのは、同じことをもう一度やれと言われても、同じにはならないだろうってことですね。「アライブファクター」にしろ、「未来飛行」にしろ、今日この日のそれは1度きりの、大切な思い出。LVの片隅にぼけっと座ってただけですけど、それでも体験できてよかったです。