司法書士大原秀のblog

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カテゴリ:法律解釈 > 改正民法

1.意思能力の明文化(第3条の2)
高齢社会の到来で認知症患者が不利益を被る事態が増加しているため。

2.錯誤の見直し(第95条)
無効から取り消しへの変更、動機の錯誤の明文化。

3.代理人の行為能力の見直し(第102条)
制限行為能力者が他の制限行為能力者の代理としてした行為は取り消すことができる。

4.時効制度の見直し(第7章)
時効中断を時効更新、時効停止を時効完成猶予と呼称変更。
従来の時効中断事由を整理して、ほとんどを時効完成猶予事由とし、時効更新事由を承認などに限定。
消滅時効については。主観的起算点から5年間、客観的起算点から10年間で一本化。

5.法定利率の見直し(第404条)
年3%で変動利率制を導入。

6.原始的不能の場合の損害賠償請求権明文化(第412条の2第2項)
従来は契約不成立と考えていたが、契約成立を認めて損害賠償請求を可能に。

7.債務不履行責任の明確化(第415条)
履行不能のみならず遅行遅滞・不完全履行にも債務者の帰責事由が必要。
帰責事由の有無は取引上の社会通念で判定される。

8.責任財産保全制度(第423条、第424条)
債権者代位権については判例法理の明文化、債務者自身の権利行使を許容。
詐害行為取消権については、相対効の考え方を修正。債務者及び全ての債権者に対して効果が及ぶ旨を明文化。転得者が取り消しを受けた場合の救済措置も規定。

9、連帯債務の見直し(第4款)
絶対効の範囲を混同、更改、債務消滅行為に限定。請求、免除、時効を相対効とした。

10.保証債務の見直し(第5款)
貸金等以外であっても根保証契約には極度額の定めが必要。
事業用融資の第三者保証制限。
主債務履行状況等の情報提供義務の明確化。

11.債権譲渡の効力見直し(第4節)
債権譲渡制限特約付きの債権でも、預貯金債権を除いて譲渡は有効。

12.債務引受の明文化(第5節)
併存的債務引受と免責的債務引受について明文化。

13.第三者弁済の見直し(第474条)
債権者の意思に反する第三者弁済ができない旨を明文化。


14.相殺禁止の見直し(第509条)
不法行為債務を自働債権とする相殺も条件付きで認めた。悪意に基づかず、生命身体への侵害でなければ相殺可能。

15.契約成立要件の明文化(第1款)
契約の自由、相手方選択の自由、契約内容決定の自由、口頭契約の自由など。

16.契約成立要件の見直し(第1款)
承諾の発信主義を撤廃、すべて到達主義とした。

17.危険負担の見直し(第2款)
特定物債権の目的物が滅失した場合の債権者主義を撤廃。買主保護を図った。
なお、引き渡し後の不可抗力による滅失は、引き続き買主負担。

18.契約解除要件の見直し(第4款)
債務者に帰責事由がない場合でも契約解除を認めた。代替取引を進めやすくする措置。
無催告解除要件の明文化。

19.定型約款条項の新設(第5款)
広く利用されている定型約款取引について規律を明文化。

20.売主の担保責任の見直し(第2款)
特定物ドグマを廃し、契約不適合責任として一般化。買主に履行追完・代金減額・損害賠償・契約解除の請求権を認めた。他の有償契約(請負など)も同様。

21.消費貸借の見直し(第5節)
書面による諾成的消費貸借を認めた。

22.賃貸借の見直し(第7節)
敷金の定義を明文化、原状回復義務に通常損耗や経年劣化が含まれない旨を明文化、目的不動産譲渡時の賃貸人たる地位の承継を明文化、期間を50年まで延長、

23.請負の見直し(第9節)
履行不能や解除の場合の報酬請求権を明確化、担保責任の一般化(契約不適合責任)
土地の工作物に関しても契約解除を認めた。

24.寄託の見直し(第11節)
諾成契約を認めた。混合寄託の明文化。消費寄託の消費貸借準用を廃して寄託の規定を準用。

以上が大きな改正点です。
旧法時代にドグマと呼ばれた、原始的不能、債権者主義、売主担保責任や、詐害行為取消権の相対主義など、わかりにくかった条文が改正されているのが目立ちます。

第12節 組合
第667条の2第1項
第533条及び第536条の規定は、組合契約については、適用しない。
(新設)

組合契約の特殊性から、同時履行の抗弁権及び危険負担の条文について適用排除を明文化しました。

第667条の2第2項
組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができない。
(新設)

判例法理の明文化がされました。

第667条の3
組合員の一人について意思表示の無効または取消の原因があっても、他の組合員の間においては、組合契約は、その効力を妨げられない。
(新設)

第三者と組合との取引開始の前後を問わず、組合員の一人に関しての意思表示の瑕疵は組合契約に影響を与えないこととされました。

第670条第1項
組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。
(変更)

執行規定が追加されました。

第670条第2項
組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。
(変更)

第三者も含めて業務決定や執行を委任できることが明文化されました。

第670条第3項
前項の委任を受けた者(以下「業務執行者」という。)は、組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。
(新設)

2項の場合の一般的な理解が明文化されました。

第670条第4項
前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない。
(新設)

業務執行者は代理なので、本人である各組合員がその権利を行使することが可能である旨が明文化されました。

第670条の2第1項
各組合員は、組合の業務を執行する場合において、組合員の過半数の同意を得たときは、他の組合員を代理する。
(新設)

判例法理が明文化されました。

第670条の2第2項
前項の規定にかかわらず、業務執行者があるときは、業務執行者のみが組合員を代理することができる。この場合において、業務執行者が数人あるときは、各業務執行者は、業務執行者の過半数の同意を得たときに限り、組合員を代理することができる。
(新設)

通説が明文化されました。

第670条の2第3項
前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者は、組合の常務を行うときは、単独で組合員を代理することができる。
(新設)

通説が明文化されました。

第675条第1項
組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。
(新設)

組合財産が合有であることが明文化されました。

第676条第2項
組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することがっできない。
(新設)

一般的な見解が明文化されました。

旧法第677条・・・削除
676条2項で組合員による組合債権の持分単独公使が禁止されたので、相殺禁止規定も不要となりました。

第677条
組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。
(新設)

一般的理解が明文化されました。

第677条の2第1項
組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。
(新設)

判例通説が明文化されました。

第677条の2第2項
前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。
(新設)

一般的理解が明文化されました。

第680条の2第1項
脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。この場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、脱退した組合員は、組合に担保を供させ、又は組合に対して自己に免責を得させることを請求することができる。
(新設)

一般的理解が明文化されました。
後段は、脱退した組合員の利益を保護するために、委託を受けた保証人の規定を準用する考え方が示されています。

第680条の2第2項
脱退した組合員は、前項に規定する組合の債務を弁済したときは、組合に対して求償権を取得する。
(新設)

他人の債務を弁済したことになるため、求償権を取得します。

第682条
組合は、次に掲げる事由によって解散する。
第1号 組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
第2号 組合契約で定めた存続期間の満了
第3号 組合契約で定めた事由の発生
第4号 総組合員の同意
(変更)

一般的理解を踏まえて2号から4号が追加されました。

第5章 不法行為
第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
第1号 被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき。
第2号 不法行為の時から20年間行使しないとき。
(変更)

旧法の判例では2号は除斥期間と理解されていましたが、消滅時効であることが明文化されました。

第724条の2
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第1号の規定の適用については、同号中「3年間」とあるのは、「5年間」とする。
(新設)

人の生命・身体を害した場合の消滅時効について、債務不履行・不法行為を問わず、主観的起算点から5年間、客観的起算点から20年間で統一されています。

第5編 相続
第7章 遺言
第4節 遺言の執行
旧法1016条・・・削除
遺言執行者が第三者に任務を行わせる場合、旧法では105条を準用して選任監督責任を負わせていましたが、改正で105条が削除されたことに伴い、債務不履行又は不法行為の一般原則に従うことになります。

以上が、組合などの規定です。
判例法理や一般的理解の明文化が中心で、大きな改正はありません。

これで各規定の改正点を終わります。
次は最後のまとめ、改正点の振り返りです。

第10節 委任
第644条の2第1項
受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
(新設)

復代理の規定が準用されてきましたが、明文化されました。

第644条の2第2項
代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。
(新設)

復代理の規定が準用されてきましたが、明文化されました。

第648条第3項
受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
第1号 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
第2号 委任が履行の途中で終了したとき。
(変更)

旧法では、受任者に帰責事由がない場合に限定していましたが、雇用や請負に合わせて同様の規定となっています。

第648条の2第1項
委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
(新設)

同時履行関係に立つことが明文化されました。

第648条の2第2項
第634条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。
(新設)

成果完成型の委任について、中途の履行不能や解除があった場合の規律として、請負との類似点から規定を準用しています。

第651条第2項
前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
第1号 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
第2号 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
(変更)

2号において、判例法理を明文化しました。

第11節 寄託
第657条
寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
(改正)

従来、寄託も要物契約とされてきましたが、諾成契約とされました。

第657条の2第1項
寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
(新設)

寄託を諾成契約としたため、受け取り前の解除を規定することが必要になりました。

第657条の2第2項
無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。
(新設)

口頭かつ無償の寄託については、受寄者の方からも契約解除ができます。
書面による場合は、贈与と同様、解除はできません。

第657条の2第3項
受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引き渡しがないときは、契約の解除をすることができる。
(新設)

2項解除の対象とならない受寄者が、いつまでも契約に拘束されることのないよう、催告による解除が認められました。

第660条第1項
寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え又は仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
(変更)

ただし書きが追加されました。

第660条第2項
第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対してその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書きの規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない。
(新設)

受託者の指図がない限り、受寄者の返還義務に変わりはないこと、確定判決で第三者への引き渡し命令があった場合は例外となることが明文化されました。

第660条第3項
受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。
(新設)

寄託者からの指図がない限り受寄者は寄託者への返還義務を負い、その義務を履行して第三者に損害が生じたとしても賠償責任は負いません。寄託者と第三者の間の問題として処理されます。

第662条第2項
前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
(新設)

寄託者は、弁済期の定めがあったとしてもいつでも返還請求できますが、仮に弁済期前に返還請求されたことによって受寄者が損害を受けた場合は、賠償請求できます0。

第664条の2第1項
寄託物の一部が滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
(新設)

寄託物に関する損害賠償請求権、費用償還請求権について除斥期間が導入されました。

第664条の2第2項
前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
(新設)

賃貸借の場合と同様の規定ですが、寄託者が返還を受けた時点では寄託物に損傷が発生してから時効期間が完成していてもはや請求できない、という不都合を回避するために、時効の完成が猶予されます。

第665条の2第1項
複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる。
(新設)

混合寄託が明文化されました。

第665条の2第2項
前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量の物の返還を請求することができる。
(新設)

混合寄託の場合の返還請求権を規定しています。

第665条の2第3項
前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したときは、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
(新設)

混合寄託なので、一部滅失があると返還請求権は割合によることになります。

第666条第1項
受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。
(実質維持)

旧法は消費貸借の条文を準用していましたが、具体的に返還義務を定めました。
消費寄託は寄託者の利益のための契約なので、消費貸借の全面準用は望ましくないとの配慮です。

第666条第2項
第590条及び第592条の規定は、前項に規定する場合について準用する。
(新設)

従来通り消費貸借の規定を準用する場合を限定しています。

第666条第3項
第591条第2項及び第3項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。
(新設)

預貯金契約についての特例として、受寄者がいつでも返還できること、寄託者が期前返還によって損害を受けた場合の損害賠償請求権について準用しています。

ここまでが委任と寄託の規定です。
判例法理の明文化と、寄託が諾成契約となったことが大きな改正点です。

次は第12節 組合に入ります。

第8節 雇用
第624条の2
労働者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
第1号 使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができなくなったとき。
第2号 雇用が履行の途中で終了したとき。
(新設)

通説が明文化されました。

第626条第1項
雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約を解除することができる。
(変更)

旧法では、終身の間継続する契約や、商工業見習い者について10年のただし書きがありましたが、現状大社会になじまないので削除されました。

第626条第2項
前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは3箇月前、労働者であるときは2週間前に、その予告をしなければならない。
(変更)

旧法は双方とも3カ月前の予告でしたが、労働者の辞職の自由を確保するため、労働者については2週間前に短縮されました。

第627条第2項
期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申し入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申し入れは、当期の後半にしなければならない。
(変更)

旧法は双方とも解約申し入れに制限がありましたが、労働者の辞職の自由を確保するため、使用者のみの制限となりました。

第9節 請負
旧法第634条、635条 削除
瑕疵担保責任は契約不適合責任として一般化されたので、削除されました。

第634条
次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
第1号 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事をかんせいすることができなくなったとき。
第2号 請負が仕事の完成前に解除されたとき。
(新設)

判例法理が明文化されました。

旧法635条・・・削除
契約不適合責任の一般化に伴い、請負独自の担保責任規定が削除されました。結果として、土地の工作物の請負契約の解除禁止規定も削除されています。

第636条
請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを酔いしない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
(実質維持)

契約不適合責任の規定を取り入れつつ、注文者に帰責事由がある場合に責任の免除とその例外を規定しています。

第637条第1項
前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
(変更)

旧法では権利行使期間でしたが、1年以内に不適合である旨を通知すれば、権利行使はその後でも可能となっています。売主の責任と同様です。

第637条第2項
前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。
(変更)

請負人が悪意又は重過失の場合には、期間制限が適用されません。売主の責任と同趣旨です。

旧法638条~第640条・・・削除
担保責任を不適合責任として一般的に規律したため、請負独自の担保責任条項が削除されました。

第642条第1項
注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人または破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
(変更)

ただし書きが追加されました。

以上が、雇用と請負の変更点です。
雇用については労働者の自由辞職の確保の観点から、労働者の規制だけが緩和されています。
請負については、契約不適合の一般化にともない、請負独自の担保責任規定が削除されました。
土地上の工作物に関する請負契約が解除できなかった旧法の規定が削除されています。ここは大きな改正点です。

次は、第10節 委任に入ります。

第7節 賃貸借
第1款 総則
第601条
賃貸借は、当事者がある物の使用貸借を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを及び引き渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
(変更)

目的物返還義務が明文化されました。

第602条
処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、当該各号に定める期間とする。
(変更)

旧法では制限行為能力者についても単独で短期賃貸借が可能なようにも読める条文でしたが、これを改め、制限行為能力者に係る文言が削除されました。

第604条第1項
賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。
(大改正)

借地借家法適用の場合は存続期間の上限がありませんが、それを一般化すると所有者の負担が過大になるとの配慮から、永小作権との均衡をとって50年とされました。

第604条第2項
賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。
(変更)

1項が改正されたのに伴う必然的な変更です。

第2款 賃貸借の効力
第605条
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
(変更)

第三者対抗要件であることが明文化されました。

第605条の2第1項
前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
(新設)

判例法理が明文化されました。

第605条の2第2項
前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
(新設)

現実に存在する賃貸人の地位の留保について明文化されました。

第605条の2第3項
第1項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物たる不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗できない。
(新設)

判例法理が明文化されました。

第605条の2第4項
第1項又は第2項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第608条の規定による費用の償還に係る債務及び第622条の2第1項の規定による敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。
(新設)

賃貸人たる地位の移転とともに、費用償還・敷金返還債務も承継されることが明文化されました。

第605条の3
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第3項及び第4項の規定を準用する。
(新設)

判例法理が明文化されました。

第605条の4
不動産の賃借人は、第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
第1号 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき
その第三者に対する妨害の停止の請求
第2号 その不動産を第三者が占有しているとき
その第三者に対する返還の請求
(新設)

判例法理が明文化されました。

第606条第1項
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
(変更)

ただし書きが追加されました。

第607条の2
賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げる場合には、賃借人は、その修繕をすることができる。
第1号 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
第2号 急迫の事情があるとき。
(新設)

賃借人の修繕権限について、賃貸人の所有権とのバランスを取って明文化しました。

第609条
耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。
(変更)

旧法は土地賃借人全部が対象に入るように読める条文であるため、耕作又は牧畜の範囲に限定されました。

第611条第1項
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
(変更)

旧法では賃借人に請求権を与えているだけでしたが、当然に減額されることが明文化されました。

第611条第2項
賃借物の一部が滅失そのたの事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
(変更)

旧法では、賃借人に帰責事由がない場合のみ契約解除権を認めることとなっていましたが、帰責事由があっても契約目的が達成できないのであれば契約解除権が与えられました。

第613条第1項
賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合において、賃料の前払いをもって賃貸人に対抗することができない。
(変更)

転借人の直接履行義務の範囲が原賃貸借の賃借人の債務の範囲を限度とすることが明文化されました。

第613条第3項
賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
(新設)

判例法理が明文化されました。

第3款 賃貸借の終了
第616条の2
賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合は、賃貸借は、これにより終了する。
(新設)

判例法理が明文化されました。

第620条
賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
(変更)

旧法は一方当事者の過失を損害賠償の要件としていましたが、損害賠償の要件は一般要件であるため、削除されました。

第621条
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
(新設)

判例法理が明文化され、通常損耗・経年劣化は原状回復義務に含まれない旨が明文化されました。

第4款 敷金
第622条の2第1条
賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃借権に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
第1号 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還をうけたとき。
第2号 賃借人が適法に賃借物を譲り渡したとき。
(新設)

敷金の定義が明文化され、判例法理が明文化されました。

第622条の2第2項
賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。
(新設)

賃貸人には敷金を債務弁済に充当する権利がありますが、賃借人にはそうするように賃貸人に請求することはできません。敷金返還請求権がまだ発生していないからです。

ここまでが賃貸借ですが、ほとんどが判例法理の明文化です。
大きな改正点としては、賃貸借が成立している状態での目的物の譲渡の際に、賃貸人たる地位を譲渡人にとどめ、転貸借として構成することが合意できるようになった点と、敷金の定義です。

次は第8節 雇用に入ります。

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