マックでバイトしてる時、ある社員さんが「俺はラッピングのスピード(サンドイッチを包装する速度ね)だけは誰にも負けねえ」と実に自信を持った様子で発言した事があった。

最初に言っておくけれども、一つの会社内という閉鎖空間にて何らかの孤高のスキルを身につけ、それを誇るという事は別に悪いことではないと思う。
人に誇るなら同じベクトルの人に誇ればいいんじゃないかとは思うが。(俺がそう思われたのかもしれないが)

その時僕が「それがどうした」的な感想をもったのは確かに事実であるけれども、いややっぱりそう思うんだが、上記の理由も理解していたのでそれは口には出さなかったし、出すべきではないだろう。カドが立つしな。

だがしかしある一瞬でもこの社員さんを心の中とは言え、僕が小ばかにしてしまったのは確かなわけで、そんな良くない心の闇みたいなのってなんだろうと考えながら、この文章をどう締めくくろうか悩ませる次第であります。

例えば僕の本業は不動産営業マンなわけですが、不動産営業マンとしての誰にも真似できないような孤高のスキルってなんだろうって所から掘っていけば、不動産の専門知識やお客に対して失礼ではない敬語での対話交渉。これは基本中の基本なので、出来て当たり前と して。

その先、場の空気を真に正しく読める力、その時その時に適切な言葉を用いて最高に良い状態へ持って行き、いかに成約に繋げられるかという人の数程あるような伸びしろの幅といった辺りになるかと、15年間程度ですが営業メインでやってきた僕としてはそういう感じなのです。

そりゃこういう対人交渉の世界なので、そもそも気が合う合わないってのもあるし、互いの体調や気分にも左右されたりもあります。
つまり行き着く場所は、努力してどうにかなる部分以上のその先の、ほとんどオカルトやシックスセンス、時の運みたいな先が見えないような部分をいかに伸ばしていこうかと、中堅からベテランまで思い悩むんじゃないかと思うわけです。
営業の楽しさってのもその辺にあったりするのかもしれません。

とりわけ営業マンは聞き上手でなければいけないとかよく言われますが、僕の場合はどれだけ真に近い形で相手の気持ちを理解できるかだと思います。
それがあって初めて、相手の挙動、表情がこうなったからああだとか、この人はこういう場合はこういう動きをするのかとか、それによって判断材料というか交渉武器が増えていくもんだと。
一方的にしゃべくり倒した勢いで不動産なんか買ってくれませんので、聞き上手もまた当たり前なわけです。

なので僕が尊敬したり目標とする営業マンってのも特に居ません。
自分の役に立ちそうな交渉術を取り入れてみるぐらいはしますが、たとえ世の中で一番売れる営業マンが居たとしても、その人が契約できなかったお客さんを僕が契約に持っていける事だってあると思っているからです。
だから自分がその月一番の数字を出したとしても、オマケみたいなもんだと思いますし、それで驕るような事も無いと思います。勿論手を抜かなかった事を前提として。

むしろ仕事の時でも自分の周辺の人々、それ以外でも日々の出来事や事件、それに対する人々の感想感情、それと自分の気持ち的に抱きながらも行動できていないような事ができる人格者というか大人に興味を持ち、学ぶ事のほうが多いように思えます。

なので今回のマックの社員さんの「俺はラッピングのスピードだけは誰にも負けねえ」という問いに対する僕の答えですが。

色々考えたけど本気で興味ないです。

おそらく腕立て伏せでもやってれば誰でもスピードぐらい速くなるでしょう。
第一僕がファーストフード業界でラッピング速度ナンバーワンになったとしても満足できないかと思います。

このように人の考えなんかその人の状況によって違うわけですので、もしかしたらそれを逆に思う人も居るかもしれないし、そもそも僕の不動産営業に関してもどうでも良いと思う人が多数でしょう。
お前ちょっとひねくれてるんじゃねえの?とか明後日の方向から攻めてみたくなる人も居るかもわかりません。

ただ上記の通り真に人の気持ちを理解するに辺り、また向上心を失わず更なる精進と追求を行っていくには、普段気にも留めないような事を理解していく努力は必要と思いますので、冗談ではなくマックでのこういった出会いにただただ感謝する次第なわけです。