透析ナースから
先日、透析や在宅透析について、現役で透析病棟で働くナースにインタビューしてきました。

まず、人工透析とは腎臓の機能が低下してしまった患者さんに対し、腎臓の機能の代わりとして血液を透析器に通し老廃物を除去したり、水分量の調節をしたりして体内に戻すことをいいます。
人工透析は普通病院等の医療機関が行っていて、患者さんは週に3回ほど通院し血液の濾過を行うのですが、在宅透析はその人工透析を在宅で行ってしまうということです。

今回は人工透析を行う医療機関に現役でお勤めのナースさんに人工透析と在宅透析の違いや在宅透析のメリットデメリットそして管理人が疑問に思ったことや聞きたかった事などの質問をしてみました。

まず、在宅透析のメリットやデメリットですが、

メリットとして...

1.生活の中に取り入れることができる

人工透析は病院に行かなくてはなりません。それも曜日や時間が決められています。患者さんは腎臓の機能が働いていないため、この日に行かないと血液の老廃物や水分量等の調節がずっとできません。なので確実に行かなくてはならないのです。
しかし在宅透析の場合は自宅で好きな時にできるので、生活の中に無理なく取り入れられます。病院に行く必要がないため時間に余裕ができますし、予定があるときは少し時間をずらして対応することもできます。

2.患者さんの負担が少なくなる
人工透析は1日2日ためこんだ老廃物や水分をたった4時間で抜かなくてはいけません。
透析時の患者さんの体の負担というのはとても大きいとのことでした。
それをたくさんためこむ前に行う事で患者さんの体の負担を軽減することができるとのことでした。
また、自宅にいるとのことで、透析中もリラックスできますし、家族が近くにいるとのことで心理的な負担も軽減できます。


3.生命予後が良くなる
透析を受ける患者さんは腎不全で腎臓が全く働きません。人工透析は腎臓の代わりということですが、健康な方の場合腎臓は常に働いています。そのため透析患者さんはできる限り透析を長く行いたいのです。
病院での透析の場合、一回で4時間、週に3回行っています。それに対し在宅の場合は、毎日でも行うことができますし、6~8時間といった長時間でも行うことができます。すると体の状態を健康な方に近い状態で生活することができます。健康に近い状態で過ごす事ができるため、生命予後もよくなるといわれています。

4.社会復帰がしやすい
決まった時間、曜日にやらなくてはいけない病院での人工透析と違い、在宅透析の場合には自分で時間管理や体調管理がしやすいので、社会復帰がしやすい環境にできるとのことでした。

デメリットとしては...

1.透析患者さん全員ができるわけではない
まず、患者さん自身が強い希望がある人、そして理解力があること、管理能力がある人でなければ行うことはできません。在宅透析の導入にあたって教育訓練があります。教育訓練の内容が理解でき、その後の自己管理ができるかどうかも判断されます。しかし自動車の運転免許が取得できる程度の理解力があれば可能とのことです。

そして患者さんの症状が安定している方でないといけないとのことです。在宅透析を選択された場合でも教育訓練では施設透析での安定が確認されてから行うとのことです。シャントの状態も安定していなければいけません。
また、支障となる合併症がないことも重要です。


2.医療者が近くにいない
医療者が近くにいないため、不測の事態が起こった場合に対応ができるくらいの管理能力や対処能力が求められます。上にも書きましたが教育訓練での理解力や管理能力が求められ、また不測の事態が起こらないような安定した患者さんが適応になります。
また、あわせて重要なのが介助者がいてその他の家族も協力的であることです。在宅透析では患者さんができないところは介助者に補助してもらわなくてはいけません。また緊急時にも対応してくれる方がいなくてはいけません。介助者は患者とともに教育訓練を受ける必要もあります。


...とメリットデメリットはこんな感じでした。
また話の中でいくつか管理人がした質問をまとめて質問コーナーにしてみました。


質問コーナー

Q.在宅透析について一般的なナースさんはどれくらい知っているのか

A.ほとんど知らないんじゃないか
ナースさんも科が違うと他の科のことは詳しく知らないとのことでした。 


Q.人工透析の方を見ていてどう思うか

A.普通
特に普通の方と変わらず明るく対応しているとのことでした(笑)


Q.週3回の人工透析の通院は病院側からみるともっと本当は回数を増やしたほうがいいのか?

A.一人ひとりのQOLを考えると増やしたほうがいいが、患者数が多いのでそれくらいが限度

やはり透析は実際は回数を増やした方がいいとのことでした

Q.人工透析をしている方へ伝えたい注意点

A.もっと患者さんもただ受けるだけじゃなくていろいろ知った方がいいと思う

確かにこれはその通りでした。

Q.透析の患者さんはこんな悩みがある

A.食事飲水制限、旅行に行けない、針が痛い

旅行先でも透析を受けるようにすることもできるのですが、やはりなかなか簡単に旅行に行きづらくなってしまうとのことでした。

Q.ほんとはもっとこうしたらいいのに、こんなことしてあげたい

A.もっと透析時間長くすればいいいのに

Q.シャントってなんですか? 

A.血流を良くするために動脈と静脈をつなげている部分のこと
透析は動脈と静脈を吻合し(つなぐ)血流を良くして、血流を良くした静脈から血液を取り、ダイアライザーという人工腎臓を通しきれいにして静脈に戻すらしいです。


Q.不測の事態で考えられることってなんですか? 

A.血圧低下→透析患者はおしっこがでない飲んだ分、水分が汗で出る以外全部体にためこまれる。

一日2日でため込んだ水分をたった4時間で抜こうとするから身体、心臓への負担が大きい。

足がつる→直前に書いた理由で下肢硬直がおこる。

頭がいたくなる→血圧が下がるから。
感染→針を使うため起こりやすい


インタビューをまとめるとこんな感じでした!!

まだまだいろいろ協力してくれそうなので質問があったらどんどんください\(^o^)/