松下幸之助研究 第五弾-25 vs ウォレン・ベニス

 第五弾は、現在活躍中の経営に関する巨匠と、幸之助を対比しています。

 ウォレンベニスは、1925(大正14)ニューヨーク生まれの87才(この年の人は昭和の年号と同じ年齢)。MITを卒業し、第二次大戦では、陸軍で、最年少の歩兵将校としてヨーロッパ戦線に参加し、帰国する。

 35才にして、MITの新設する組織研究学部の設立責任者に引っ張られる。1967年42才にしてニューヨーク州立大学学長、46才シンシナティ大学長と歴任する。

 この時代に、ベニスは、
①社会主義の終焉
を予測した。

この二つの学長経験が、本人にとっては、変革をなすリーダーシップを発揮できなかった、という思い、つまり挫折であった。この管理者としての挫折をふまえて、ベニスは
②官僚主義的組織の終焉
を予測した。

 そして、
③アドホクラシー adhocracy 「問題別随時組織」 官僚的指揮系統を断ち切り、機会を問題を機敏に解決するもの、が必要になると、この言葉をアルビントフラーが有名にする前に、提唱した。
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 ここでは、彼が1979年に南カリフォルニア大学にて、学長という管理者ではなく、教授職に復帰して以降、彼の著書 「リーダーシップの王道(Leaders:The strategies for taking charge)」における、実際に経験したリーダーシップの教訓と理論から、幸之助を考えてみたい。
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 ウォレンベニスは、経営者のみならず 指揮者や野球選手、綱渡り芸人まで、90人のアメリカ人リーダーを選出した。6人が黒人、6人が女性だった。

 そこで、4項目のリーダーシップの核=共通項を明かにした。
①ビジョン 使命感
②ビジョンを正確に伝え、駆り立てる
③行動の一貫と継続
④積極的自尊心(自分の長所を大切にし、自分の短所と組織のニーズの差異を認識すること)
 
 この核をなすのに必要な5つの能力を提した。
①相手を受け入れる
②過去にとらわれない
③礼儀配慮
④相手を信頼する(リスクが高くても)
⑤他人の評価にこだわらない

 リーダー達に共通する能力として、失敗に対する対処が共通している事を発見した。
・彼らは失敗を勉強になる体験として捉えていた。
つまり、失敗を出発点と捉え、学びの機会→変革への恵機であった。

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 ビジョンを共有し、やる気にさせ引っ張るには、4つの要素がある。
①組織における自己重要感
②能力の向上
③一体感
④楽しさ

 リーダーは、個人的なものも含む 組織内のざわめきや混乱まで理解し、適切に方向を向け、信頼と統合を確立し、組織を取り巻く環境の中で、最適な場所を確立する事(=方向づけ)をしなければならない。

 そして、組織が学習能力を持つ、
変革的リーダーシップの結果、従業員はやりがいを見いだす。この文化が根付くと、組織は自発的に活性化する。

 そして、以下5つの結論に結実した。
①リーダーシップは希有な能力ではない。
②リーダーは生まれつきではない。
③リーダーはカリスマだけではない。
④リーダーシップは全ての組織レベルに存在しえる。
⑤変革的リーダーは組織のエネルギーを魅力ある目標に向けて結集する。
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ウォレン・ベニスの格言

 破綻をきたす組織は、たいてい管理過剰で、リーダーシップが不足している。

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 ウォレンベニスの生まれた大正14年、幸之助は、昔の松下電器のマーク「ナショナル」を思いついた。新聞を読むと、インターナショナルという言葉があった、国際的 それから、ナショナルは国民の、というような意味であった。 それまでの矢印マークは、松下電工のマークとして残し、松下電器は、「ナショナル」になった。

 この年、砲弾型ランプの大ヒットの後の商品として、角形ランプを考案した。新商品の売り出しについては、問屋を通さず、電器屋へ直接販売に切り替えたかった。この時、発生したのが、大手問屋との確執であった。幸之助は、問屋と仲良く別れる為に、莫大な罰金的支払いを独占契約販売をしていた問屋に支払った。

 また、この角形ランプは年間20万個売れると思った。しかし資金がない。そこで、大手電池会社に1万個タダで提供してくれ、そのかわり、必ず20万個売って見せる、、、、、と大見得を切った。そしたら、47万個も売れた。大手電池会社社長直々に、感謝状を持ってきてくれた。これはうれしかった。と、後日語っている。

 このような、強烈なリーダーシップを発揮する際、幸之助は高野山で運試しなどしている。その運試しでは、大成功と占われたので、すこぶる気分を良くし、20万個成功の予感がした。実際には倍以上売ったのだ。

 これを、希有で 生まれつきで カリスマでないと言う。ウォレンベニスこそ、偉大な学者だ。上杉俊一