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オオジシバリ(大地縛り)/キク科/ノニガナ属
在来種 多年草 中国名:剪刀股 学名:Ixeris japonica (Burm.f.) Nakai. Ixeris debilis A. Gray.

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葉が斜め上(冒頭の写真参照)を向いているのは、この花の下に芝生が密生しているからである。芝生の厚さが10センチほどあるので、その隙間から生えている葉は芝生に支えられて上向きになってしまう。芝生が無ければタンポポのように地面と水平に広がるだろう。そうしないと葉全体に日があたらないので光合成の効率が悪くなる。

「大地縛り(オオジシバリ)」は「大地」を「縛る」のではなく「大きな『地縛り』」なのである。では「大きくない地縛り」がいるのかといえば、いるのである。それが「イワニガナ(岩苦菜)」だ。この「イワニガナ」の別名が「ジシバリ(地縛り)」なのである。ついでに「『岩』がつかない『苦菜』もいる」という話もあるが関係ないので割愛。で、この「ジシバリ」よりも花も草丈も大きいので「オオジシバリ」となった。なんで「オオイワニガナ」にならなかったのかは不明である。

「地を縛る」という奇妙な名前の由来はこの花の生態にある。「オオジシバリ」は本体から茎を横に伸ばし、そこから新しく根や葉を出して花を咲かせる。そして、それを繰り返し横に広がる。1本の花でさえこうなるのだから、それが何本も生えていると、それこそ「網の目のように」縦横に茎が入り乱れることになる。しかもこの網は根によって大地に固定されているのだ。この有様が「地面を縛りつけているようだ」と表現されたのである。

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セイヨウタンポポと比べてみる

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裏側

「地縛り」という言葉自体、他では聞いたことがないが、それも当然でこの花の名前でしか使われない。なので検索すると、この花しか出てこない。それにしても壮大なスケールを持った名前である。まあ、それも人が勝手に名付けたわけであって、彼らからしたら「地面なんか縛れないよ!」と言うだろう。

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若い葉の根の部分。ロゼット状になっている。写真中央下、左にのびているのが茎かな。

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成長した葉。下部が長いのは芝生を避けるために伸びたのだろう。

中国語だと「剪刀股」と書くが、この「剪刀(せんとう)」とは「鋏(はさみ)」のことである。そして「股」は「足」ではなく「1つのものが2つに分かれる」という意味だろう。葉の形を鋏の指を入れる部分に見立てたのだろう。強引な意見ではあるが見ようによっては見えなくもないのである。「股」とあるから葉が2枚1組(英語も「scissors(シザーズ)」と複数形のsがつく)になっているのかと思ったがそうではなかった。タンポポの葉のような放射状に広がるロゼットだったのだ。まあ、同じキク科だからね。

学名は「Ixeris japonica (Burm.f.) Nakai.」なんだが、最初の「Ixeris」は語源が不明でよく分からない言葉らしい。キク科のノニガナ属に使うようである。次の「japonica 」は日本、「(Burm.f.) Nakai.」は人名だろう。もう一つの「Ixeris debilis A. Gray.」の「debilis」は「弱小な、軟弱な」という意味で、その後ろは人名。両者ともこれで「オオジシバリ」を表している。なんか、あっさりしているなあ。なお、学名が2つあるのは「シノニム(別名、異名)」である。

「地縛り」の表記が「ヂ」でなく「ジ」なのは日本語の規則がそうなっているからだ。「大地が震える」のは「地震」で、それを「ジシン」と書くのは、「地」と「震」を組み合わせて「地震」という新しい言葉が作られたからである。「稲」と「妻」で「稲妻(イナズマ)=カミナリ」も「ヅ」でなく「ズ」なのである。

写真:zassouneko