「頭の中がお花畑」は考えの浅い脳天気な人たちに貼り付けるレッテルの一つである。その主張は不合格のハンコを押された商品のようなもので、そのまま社会に出して「どうぞ使ってください」とは言えないシロモノなのだ。それなのにその商品を「買え」と押し付けてくる。彼らには商品の欠陥が見えていないのである。

IMG_4051
ランタナまたはシチヘンゲ(七変化)/クマツヅラ科/ランタナ(シチヘンゲ)属
南アメリカ原産の常緑低木 草丈は〜2m前後 花期は5〜10月

IMG_4050
アメリカオニアザミ(亜米利加鬼薊)/キク科/アザミ属
ヨーロッパ原産の帰化植物 1〜2年草 花期は6〜9月 草丈は60〜200㎝

「頭の中がお花畑」は抽象的な表現であって、お花畑のことを考えながら話をしている者などいない。ところが頭の中に本当のお花畑が浮かんでいる者たちがいるのである。

「ランタナ」、「アメリカオニアザミ」でそれぞれ検索してみてほしい。「ランタナ」は褒め言葉や栽培法がトップに並ぶだろう。NHKや自治体の組織(私が見たのは埼玉県だった)までがこの花を育てて楽しもうと積極的である。一方の「アメリカオニアザミ」は「ご注意ください」や「駆除しました」、「迷惑」「危険」の文字が並ぶ。官民一体で除け者扱いである。

国の外来種に関する法律、いわゆる「外来生物法」によると、危険度の頂点に「特定外来種」があり、その後に「緊急対策外来種」、「重点対策外来種」、「その他の総合対策外来種」と続く(この3つは「生態系被害防止外来種」という括りに入る。この他にもいくつかあるが長くなるので略)。それによると「ランタナ」は「重点対策外来種」、「アメリカオニアザミ」は「その他の総合対策外来種」に入っている。つまり「ランタナ」の方が危険度は高いと言える。それに「ランタナ」は「世界の侵略的外来種ワースト100」にも植物の一員として堂々とランクインしているのだ。

「ランタナ」はすでに帰化している。それなのにさらなる勢力の拡大に手を貸すのはいかがなものかと思う。しかも、その動機は「キレイだから楽しみたい」という個人の欲望でしかないのである。これは「ランタナ」に限ったことではないが、外来種が勢力をのばすとやがて日本にしか生息していない貴重な植物までも駆逐してしまう恐れがある。もしそうなったらどうするのか。「オレのところから種が飛んだという証拠を見せろ」とでも居直るのだろうか。尾瀬の水芭蕉が外来種に置き換わってもキレイだったら構わないと考える人には「馬の耳に念仏」であるが。

IMG_4048
最近できた空き地に生えるランタナ。

いやはや面白い時代になった。「ランタナ」を賛美するたくさんのサイトにはそれを運営する人達がいる。つまり多くの人々が「ランタナ」に魅了されているのだ。花に関心のある者はそうでない者よりは環境に対する意識は高いはずである。けれども「ランタナ」1点に集中するあまり、全体に目が向いていない。そして彼らの頭の中には素晴らしい「ランタナのお花畑」が浮かんでいるのである。これほど「頭の中がお花畑」にふさわしい例があるだろうか(いや、ない)。

写真:zassouneko