2007年10月

後継者問題の戦略的方法

2007年10月27日

「節税」を別の視点から見てみましょう。

今回は「会社のオーナーが直面する後継者問題」を考えてみたいと思います。最近、書店では「事業承継策」たる本を多く見ます。どのように円滑に承継するればよいのでしょうか。方法は沢山あります。なかには相続税をどうにかしたいと叫ぶオーナーもいます。特にオーナーが創業者の場合は特にそうです。

私はまず、子息にやりたい事が何かあれば、例えそれが同じ業界の仕事であっても別の会社を設立することを勧めます。そして、オーナーには子息の会社に資金を貸すようにアドバイスします。

その理由としては、親の会社はしょせん親の会社であること、自分で人を採用して初めて人を雇うことの厳しさを実感するから経営の厳しさを実感させるには全て自分でやらせた方が勉強になるからです。

これは同時に有効な事業承継策となります。子息が成功したら親の会社をM&Aすれば良いのです。もし事業に失敗したら貸付金は損失になってしまいますが、その結果として子息には「失敗した経験」という貴重な財産が残ります。

一般に相続というと、資産をそのまま渡すという形で考えられますが、何故、子供に資産を譲るかと言えば、可愛い子供が将来生活に困ったりしないようにという親心からでしょう。その点をよく考えると、資産を渡すことだけが、子供のためではないことに気付くはずです。親が元気な間であれば助けを求めてきた子供を助けることができます。親が死んでしまった後、子供が困っても親としてはどうしようもないものです。

したがって、親がいる間に子供にチャレンジさせて、失敗も成功も自分自身で経験させることが大事なのです。今、日本経済の危機がささやかれています。少子高齢化を世界のどの国よりも先んじて経験するのは日本です。いろいろな点でこれまで想像もできなかったことが起こるかもしれません。そういう事態になっても経営をできる力を蓄えることが最大の相続税対策、事業承継策ではないでしょうか。そしてそれを教えることは無理です。自分で経験させることが将来の応用に繋がるのです。

戦略的節税を考える

2007年10月25日

節税という言葉に、みなさんどう反応するでしょうか。

できることなら税金は払いたくないと考える人・・・。
国民の義務なのだから仕方がないと考える人。
税金でみんなの役に立つのだから、できるだけ多く納めたいと考える人。

税金は法律によって、詳細に規定されています。これを「税法」といいます。この税法に違反し、脱税と認定されると犯罪となります。脱税とは「国に対する詐欺行為」とも言えるでしょう。だから、これは絶対に許されるものではなく、厳格に処罰されるべきものです。

では、節税とは具体的にどのような行為を言うのでしょうか。一言でいえば・・・「税法に従いながらも、最も税金が安くなる手段をとる行為」とでも呼べるでしょうか。ポイントは税法に違反しないことです!しかし、この税法が難解です。一般の方には税法を理解する自体、無駄です。専門家の税理士の知恵を活用したほうが費用対効果や時間の節約になります。これは、間違いの事実であり、ある程度の成功者は優秀な税理士を雇っています。

税理士を雇う効果は、いろいろあると思いますが、多くの方は節税はどうしたらよいのかに焦点があるはずです。税法という武器を逆に利用して税金を納めるという発想はどうでしょうか。それをできる方と知らない方とでは、残念ながら大差がでてくる可能性があるでしょう。

知っているか・・・知らないか・・・。これは、どんなことでも言えることでしょう。知らないより、知っているほうがいいに決まっています。そのためにどこまで「投資」をするのか。ビジネスでは多く直面する課題ですが、税金という観点からも同じと私は考えます。

次回は、そんな観点から、少し皆さんのヒントになる?具体的内容にふれたいと思います。

行政サービス

2007年10月15日

行政サービスと一口にいっても、多種多様なものがあります。

国民が生活をしていくうえで、一番身近な市役所(役場・区役所)のサービスだけでも、数え切れないほどのサービスがあるでしょう。

でも、ちょっと考えてみてください。サービスという言葉は同じでも、「行政から受けるサービス」と「民間企業から受けるサービス」とでは、全く異なるものに感じませんか。

民間企業からサービスを受ければ、対価としてお金を支払います。では、行政には・・そう、税金を支払います。消費者にとってみれば、一生懸命稼いだお金を支払うのですから、民間企業だろうと行政だろうと、お金を支払う以上、満足いくサービスを提供していただけなくては納得がいきません。

民間企業のサービスで不満があれば、消費者は購入先を自ら変更します。価格であれ、サービス内容であれ、接客であれ、ひとつの不満が生じれば顧客を失うのです。
そのため、民間企業は、顧客対して最大限の努力をします。そうでないと企業の死活問題になってしまいます。

では、行政の場合はどうか?

行政の場合、消費者(国民)に不満が生じた場合、民間企業のように変更ができない。すなわち、一種の独占企業的な性格のサービスであり、そこでしか「お願い」ができないサービスばかりです。

また、行政側も直接、料金をその場でもらうことはないので(一部、手数料はありますが)サービス精神が湧いてこない。いや、あったかもしれませんが持続できないなど多くの問題もあります。

税務署も行政です。多くの行政サービスをしています。

税務相談、各種説明会の開催、租税教室、確定申告相談など、あるいは大きな目的でみると税務調査もサービスの一環ではないでしょうか。しかも、このサービスを受けるのに原則「無料」ですが、しかし、税金という「お金」は支払っています。

どんな行政サービスでも、そういう意味では「みな有料」です。

お金を支払っているのです。そうならば、国・地方公共団体などの機関のサービスは積極的に活用すべきであり、享受するものだと思うのです。

行政にも、探してみると本当に役立つ「行政サービス」が多々あります。意識を向けてみましょう。情報を活用するものが、勝ち組になるなら・・・意識を向けるだけの利点はあります。

zeirishi_takagi at 17:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!税務署の不思議 

この店はいくら儲かっている!(その3)

2007年10月13日

引き続き、同じテーマですが、今回は「人」に焦点を当ててみましょう。

店の中に入り、どんな様子なのかを事前に調べることを「内観調査」と呼びます。これは、特に飲食店などの現金商売を調査するときは、必ず事前に行います。

当然、調査の担当者が行く場合が多いので、お店で社長と事前に顔を合わせる機会が多くなります(当然、社長自身は、その時、税務署が来ているとは思いもしていませんが・・・)。

飲食店の場合、「税務調査に行きますよ」と事前に連絡していくことは少なく、突然「こんにちわ、税務署です」と行くパターンが圧倒的に多いのです。

話を戻しますが、この内観調査で重要なポイントのひとつとして、会社の「人」を観察することがあります。

社長はどの方?・・顔は!話し方は!性格はどんな感じ! 「へい!!いらっしゃい!!」と元気な声で抑揚があり、テキパキと従業員に指示を出し、お客との会話が弾んでいる。

そんな社長をみると、「結構やり手で元気があるな」「俺も当日はパワーで負けないでいこう」とか思ったものです。逆に「店の雰囲気も暗く、閑古鳥が鳴いている」「店の従業員は、呼んでも注文に来ない」「お客への対応が横柄だな」と感じる店は、この店舗・・・経営大丈夫かな?って心配になったりもします。

コンサルタント的感覚で、お店を見てみてください。スーパーでも、小売店は特に「お客様の立場」にたった感覚で店内や従業員の対応をみると、その経営状態が見えてきます。

「お客様の立場」・・・感じているようで、忘れてしまっています。

売上を増やそう、利益を出そう、なんとか売りたいという気持ちが強くなりすぎて、お客がほしい本当のものは何?ではなく、これを買ってくれ状態になってしまうのです。これだと売れませんよね。

サービスの本質を考えている社長は、違います。

お客の利益は何かをまず考えます。そのうえで、それを満たしつつ自らも利益がでる体制(システム)を作り出していきます。

だから、事前にそんな感覚の社長と会えると、こちらもワクワクしたものです。

でも、そういう社長は・・・調査当日、突然お店に調査に行っても・・・第一声は「あんた、いついつの何時ごろ、あそこの席にいたろ」って言われます。

いわゆる「バレてーら!」状態!!

この店はいくら儲かっている!(その2)

2007年10月11日

前回の続きで、今回はお店の中に実際に入ってみましょう。

お店に入ると、まず店の全体像を観察します。

店の座席の配置はどうなっているのか。カウンター席は・・テーブル席は・・座敷は・・など、その座席数などもカウントします。厨房・レジ・棚・通路・トイレすべての状況を確認します。

新しい店舗の内装を開発する場合、設計者は人気店の状況を確認するでしょう。どこがウケテいるのか。店の雰囲気を創り出すのは、それぞれのパーツが組み合わされて店の全体像が決まります。そういう観点から、店の中を雰囲気を感じとるのです。

と同時に来客者をカウントします。何時に何人ぐらいお客がいるのかの(回転しているのか)情報を得るのです。これは、あとで推計する重要な資料となります。

お腹が減ったので注文をしてみましょう。

そこで、じっくりメニューを観察するのです。このメニューは店の商品のカタログです。メニューをみれば、その店の商品一覧表がわかり、価格・材料・お酒の有無などの状況が見えてきます。

不思議ですが、その価格にも店の事情が必ず現れます。ちなみに、あなたが店のオナーだったとしてたら、どういう価格をその商品に付けますか?いい加減に適当につけますか。当然、ライバル店があれば、それを考慮するかもしれません。店独自のオリジナル商品があれば強気の価格設定にするかもしれません。いろいろな事情から、その価格付けをしているのでしょう。

さて、初めてのお店ではどのメニューを注文すればよいのか悩むところです。そこできっと、周りのお客がどんなものを食べ、飲んでいるのか見ませんか?見るでしょう!これもとても大切なことです。

なぜ・・・

店の売上は、商品×単価=売上 の式で計算されます。当たり前です。

この式を変形してみましょう。

店の売上を 客数×客単価=売上 の式で考えてみます。

この式の意味は1人当たりのお客がどの程度の料金を支払って店をでるのかと考えています。

すると、お客がどの商品を好んで注文しているかを見れば、ある程度の店の人気商品が分かります。人気商品が分かれば、その価格表をみれば1人当たりの金額が見えてきます。すなわち、客平均単価です。

どのお店でもそうでしょうが、特にファミリーレストランなどは、この客平均単価を上げる努力をしています。あるいは、店舗名を変えて、客層を誘導して高級店、普通店舗、安さを売りにする店舗など複数の店舗展開を行う会社もあります。

この客平均単価という概念は小売業にとっては、とても重要な指標なのです。

調査官も同じです。この客平均単価と先ほどの客回転率の予測がつけば、この店の売上が分かってきます。当然推計ですので、「ぴたり」とは行かないまでも、そんな計算をツイツイしてしまうのは、一種の職業病かもしれませんね。



この店はいくら儲かっている!

2007年10月07日

税務調査に長年携わっていると、いろいろな視点が身につきます。でも、これは特段、調査に携わったからというのもではなく、一般の方も日頃行っている行動だと思うのです。

例えば、同僚と帰宅途中に「ちょっと一杯」と暖簾をくぐります。もし、行き付け以外のお店ならどんなお店を選ぶでしょうか。当然、美味しいお店に入りたいし、そうかと言ってめちゃくちゃ混んでいる店もいやだなぁ・・・と思うでしょう。

どうすれば、自分に合うお店を探せるか。

それは、たった5分でいいから、目立たない所に立って、その店の様子を伺うのです。外から観察していると、店から出て行くお客の様子や入店していくお客の雰囲気など、そのお店を日頃、ひいきにしている人物像が分かります(これは本当です)。

カップルが多いのか、サラリーマンばかりか、学生が中心か、女性客に人気の店か!

観察していると本当にいろいろな情報が入ります。ワイワイ言いながら飲むのか、落ち着いた雰囲気の中で飲みたいのか・・・それで、わかってしまいます。

たった、5分でいいのです。「初めて入る店は今度から、観察してみる」ことをお薦めします。

このお店の外から観察すること・・・税務調査では「外観調査」と言って用いられている調査手法です。お店の外から何がみえるのか。

すべてが見えます。

飲み屋ならば、何時から仕込みをしに人が店に来るのか。開店前のトラックはどこからの仕入先か。ランチはやっているのか。開店時間は何時からか。お客の回転数はどのくらいか。アルバイトは何人雇っているのか。店長はどんな「顔」か。閉店時間は何時なのか。まだまだ、あります。

観察してみることは大切です。例えば、競合店が近所にできた店のオーナーは、当然、売上が食われますので、その店に足を運ぶでしょう。そして、店の中に入って「愕然」としてしまうのです。「こんな店に勝てない」と・・・

でも、落ち着いて一歩引いて見て下さい。店の外から、一日中、店を眺めてみてください。その店の「強み」と「弱み」が見えてきます。お客が従業員ともめている姿がみえるかもしれません。あるいは、どんな商品をどこから、いつ、仕入れているのか
、搬入口のトラックをみれば分かるかもしれません。若い女性の出入りはあるが、おばさんには人気がないかもしれません。もっと、いろいろ気付くかもしれないのです。

外観と概観を見てみる。大局的視点から何事も見ていくと誤りの少ない決断をくだせるようになるかもしれません。

人を見抜く力

2007年10月03日

経営者ならば、優秀な人材を見抜くことが必要になるでしょう。面接官ならば、限られた時間で採用者の人物像を分析し、その人物が適任者であるかどうかを瞬時に判断しなければなりません。

国税の調査官たちは、どうなのでしょうか。

調査する納税者の方々がどんな人物なのかをいつも考えています。
準備調査の段階で、訪問する会社の概況を確認していくのはもちろんのこと、入手可能な資料は、すべて入手し、過去の経歴や家族の状況までも分析して「経営者自身のこと」「経営者を取り巻く人間たち」を推定して調査に臨むのです。

調査に行く以前から、経営者の状況は把握できるようにしています。

さて、実際に税務調査の初日です。
挨拶を交わし、名刺交換を行います。どの仕事でもある光景ですが、私はその時、注意していたことがあります。

「まず、経営者の目を見る」です。目はその人物のすべてが映し出されます。
「次に、経営者の声を聞く」です。声のトーン、高低、速さなどを聴きます。
「それと身体の状態を見る」です。リラックスしている状態なのか。緊張している状態なのかを判断します。

なぜ、挨拶時にそれらを観察するのか。初対面のときは、みな若干でも緊張はします。経営者の緊張状態がどういう「視線・言葉・身体の使い方」になっているかを観察するのです。

挨拶が終わる頃、会社の全体像を確認するため概況を聴いたり、あるいは経営者自身の人柄を教えてもらうため、雑談などを交えながら・・・徐々に打ち解けていきます。このとき、また経営者の「視線・言葉・身体の使い方」などに注意を向けます。

そうリラックスしてきた状態をみるのです。明らかに緊張した状態とはことなります。その二つのパターンをつかむのです。


税務調査が午後、2日目と進行していきます。調査の過程で分からないところは経営者に質問をして回答を得ます。過去のことですから、当然忘れていることもあります。そのような時は、他の書類をひっくり返しながら、思い出してもらえば良いです。

ただ、ある質問をした時「ん・・・」と感じることがあります。書類はすべて揃っている。見た感じは、すべて正しい・・・。「でも、何かへんだ!」

そんな時、ワザと領収書の枚数を数えてみたり、その請求書を透かしてみたり、ある人物について確認してみたり、今までとは違う行動してみます。

経営者はどんなリアクションをとるでしょうか。もし、後ろめたいことを何もしていないならば(皆さんはそうだと思います)、別に何も気持ちの変化はないし、視線も私の方を向いて、落ち着いた口調で、身体を私に向けて受け答えができるでしょう。

しかし、その指摘されつつある事項が「悪さ」をしたものであった場合、視線を調査官と直視することはできません。自信がないのでから当然です。口調はどうでしょう。人にもよりますが、声が煩ったり、けんか調になったり、逆に弱い声になります。中には泣き出す経営者(女性が多い)もいます。身体はどうでしょうか。正面に向いていられなかったり、貧乏ゆすりをしたり、立ち上げったり、座ったり・・・いろいろな落ち着きのない行動をします。

そうです。先ほどの緊張状態とリラックス状態と見ていれば、明らかに緊張状態に戻っているときがあります。

あとは、その取引を掘り下げて調査していけばよいことになります。