「上尾物語」小津安二郎 監督作品 ('53)
この二人は「いい天気だな、ふたば」「いい天気だね、しんちゃん」だけを繰り返しながら日長一日過ごせそうな気がする。蛇足ですが元ネタはこちら。父と娘ですが。
みつどもえ179卵性 スピーチスター
ふたばとしんちゃん=ふたしん。両家の親公認の鉄板カップルふたしん。一つ屋根の下で抱き合いながら一夜を過ごしても何の進展もなかったふたしん。味はともかく長靴いっぱい食べたいのがふたしん。
今回は徹頭徹尾ふたしんです。ひとはもみつばも出てきますが、ストーリーの根幹には関わりません。話自体もシンプルで、潔い位のふたしん回です。悟りました。ふたしんは進展しないのではなく、既に完成の域に達していたのだと。
タイトル絵からして、しんちゃんのネクタイを嬉しそうに締めるふたばと、照れ照れのしんちゃんです。落ち着き払ったふたばの態度は二人の間の距離を全く感じさせません。スーツ姿のしんちゃんにも全く違和感なし。行ってきますのチュウをしてスタスタ仕事に出かけそう。やり過ぎじゃないかと思ってしまうくらいの夫婦ぶりです。
そして続く本編。冒頭から完全に二人きりの世界です。丸井家のこたつで団欒ですが、職場の話をする夫とそれを聞く奥さんにしか見えませんよ、’これは・・・。コタツに座る位置からして夫婦。ふたばの仕草もセリフも完全に人妻。「うふふ・・・」や「まぁ!!」という描き文字がますますその印象を強めてくれます。
ぱんつが出てきてようやくいつものみつどもえらしくなってきます。作文コンクール入賞者代表として、全校生徒の前でスピーチするしんちゃんがふたば相手の練習では緊張しない(!)ため、みっちゃんの動物柄ぱんつをならべて生徒に見立てて練習するという作戦。文字で書くと意味不明ですが、しんちゃん+ふたば+ぱんつ=ああ、いつものね、と思ってしまうのは、のりお先生の調教が自分に行き届いてしまった証拠でしょうか。ここでみつばのぱんつが動員されたのは、動物プリントを人に見立てて、と言う理由なのですが、おがちんはネズミ、みつばはブタ、千葉氏はゴリラとその見立てがさすがにストレートなふたばさん。吉岡さん信者としては「あっ、これはゆきちゃんかな」が大変気になる所ですが、タヌキとかかな?宮下さんは間違いなくキリン。そして、ふたばのぱんつはどれかと尋ねられ、少しためらいながらお尻をしんちゃんに向けてスパッツを下ろそうとするふたばさん。距離が無いという前言撤回!!この微妙な羞じらいはいい。ふたばを表す動物は・・・思いつきませんね。この大量のぱんつに埋もれる展開は初期を思い出して懐かしい物があります。
二人だけの時間が終わり、まずはひとは乱入。敷き詰められたぱんつ相手にノリノリでスピーチをするしんちゃん。ぱんつはかけがえの無い宝!ああ、何度貼られても辛い変態のレッテル。ひとはも引きまくり。「引 引」という擬音がおかしすぎる。そして何とみっちゃんの装着済みぱんつの混入が発覚。臭いをかいで区別する、というきわどくも恐ろしいシチュエーション。その上ひとはのプレッシャーのかけ方もひどすぎます。みつばが怒って床が抜けるだの、大地がふるえるだの。ひとはのしんちゃんの苛め方には何となくふたしんへの冷やかしのニュアンスが。
この地獄を抜け出すためにしんちゃんがついたウソがさらにウソを呼んでみっちゃんまで呼んでしまうこの連鎖はのりお神ならでは。ひとは、、みつばの暗転したコマの繰り返しに笑わざるを得ません。みっちゃんにしばかれる時の効果音がズズズズなのがいいですね。ちゃんと大地がふるえています。変態ぱんつ男が自分のぱんつを持ってニオイについて熱弁を振るっていたら、制裁を加えるのは正当だとは思います。みつばの怒りは大地の怒りじゃ・・・。
そして翌朝、教室にて本番直前のしんちゃんとふたば。練習できなかった、と言いながらも怒っているわけではないしんちゃんと、それに対して済まなそうなふたばとがますます夫婦。ふたばの「みんながパンツになればいいのにね」に悟りを開いたかんじで「そうだな」と応じる所がしんちゃんのエライ所。器の大きさもなかなか!そして本番。完璧イケメンのくせにあがり性のしんちゃん。顔を真っ赤にしながら「もう少し、もう少し」と頑張っている所が可愛い。しかし、しょうがない隊(しんちゃん的には変態集団)のマスゲーム!はぱんつ装着のしんちゃん。「ありのままの自分」で頑張れ!ぱんつは友達、怖くない!!
最後のカットに野田校長が久しぶりに小さく再登場していました。矢部っちと生徒たちがトラブルにならなくなったので、随分とお久しぶりですが、忘れられていなかった様で何より。
#100305 1訂