
アメとムチ
二人の「娘」に叱咤激励されながらひわい小説の執筆に励むじゅんじぃ先生。吉岡家の女に流れるひわいな血は一人の純粋な絵本作家の作家としての人生をいとも容易く変質させてしまうのでした。ふたばの蔑みに満ちた表情いいですね。
毎度の事ですが、全編吉岡さんに満ちた345卵性の感想をまずもって述べたいと思います。遂に長年の鬱屈が解消したかと思った直後に斜めの方向に進んでしまった家族のお話。眉を太くしたふたば≒吉岡さんに従えば全ページまゆげなこの1本。必見です。
お土産を抱えて修学旅行から帰宅した吉岡さんを迎える紗江子ママ。2泊3日の間夫婦水入らずで過ごした結果、紗江子ママはツヤテカに充実し、純次パパはダシがらのようにしおしおになっていました。まあ・・・夫婦だから仕方ありませんね。そんな様子を取り繕おうとするように「日光の3ナマコちゃん」を取り出して恒例のナマコちゃん教育を行う紗江子ママ。そう。吉岡家ではまだ数年越しの「娘にナマコちゃんを面白いと言わせてパパがカミングアウトするキャンペーン」が続いていたのでした。しかし、取り出されたソレを見て顔を曇らせる娘・ゆき。その様子に娘が自分のキャラクターを投げ捨てる場面を幻視してしまい、いたたまれなくなってその場を逃走する純次パパ。作家の魂はかくのごとく純粋かつ面倒なのでした。
同じく修学旅行から戻るところのみっちゃんとふたば。みっちゃんが自分で食べる可能性もありますが一応おみやげ袋を抱えているのに対し、観光地によくある木刀を満足そうに振り回すふたばの対比です。そんな二人が行き合わせたのは、公園のバネ遊具で一人孤独な魂を紛らわせるじゅんじぃ先生。ナマコちゃんはその誕生から三女さんや杉ちゃんなどから大いに力を得ているので、先生も勢い相談モードに入ってしまうようです。みっちゃんの「誰が嫌おうがどーでもよくない?」はある意味みんなの正直な感想を代表しています。そしてふたばの「創作者」としての自覚が興味深い。「繊細でナイーブで清い心」はもしかしたらのりお先生の心の声なのかも。汚れた手で顔を拭い、眉が太くなった姿を見てみっちゃんに閃きが訪れます。
眉を太くすればふたば≒吉岡さんなふたばの特性を生かしたこのカミングアウトの訓練。ふたばのなりきり能力の高さを加えるとほぼ完璧なシミュレーションが可能です。ひたすら面倒な作家じゅんじぃの要求すら軽々とこなしてしまいます。しかし、パパは娘に対しても肩に手を回して愛をささやくジゴロ的な仕草なのですね。これでは紗江子ママが躍起になって(若い)女性排除に奔走するのもしかたが無いと言えましょう。みっちゃんもやるとなればトコトンやるタイプです。今度はナマコちゃん全否定バージョンで最悪の事態にも心を折られない訓練。しかし、罵倒モードのふたばの破壊力は草次郎パパに続き純次パパの心を完全に折る事に。公園の砂に頭を埋めて苦悶する背中に投げかけられる鋭いdis・・・ふたばのシミュレーション能力の高さにはいつも驚かせられます。何も考えていないようでこういう時にはピンポイントに本質をえぐってくるふたばの残酷さです。
作家としてのプライドを完全に粉砕されたじゅんじぃ先生は、言われるがままにひわいな小説を地面に書き始めます。効き過ぎた訓練に慌てるみっちゃんとふたば。必死にナマコちゃんを持ち上げるふたばですが・・・いつの間にか心配して探しに来た本物の吉岡さんに入れ替わりです。「私だよっ」のコマは永久保存したい素晴らしい吉岡さんです。そう。曇った吉岡さんの表情は、せっかく買ったおみやげが被ってしまった事からだったのです。実は前からじゅんじぃ先生=純次パパである事もバレ済みだったという。そして純次パパがずっと聞きたかった「素直な感想」も実に高評価で、積年のじゅんじぃ先生の鬱屈が晴れ渡った瞬間です。こうなるとコロッとやる気になるのが作家の純粋さなのでしょうか。
しかし、吉岡さんは見つけてしまいました。地面に棒で書かれたパパのひわい小説。年頃の娘に「ひわい小説を・・・書いていたんだ」と言えるパパ素敵。小説の内容が判読できないのが残念です。ナマコちゃんどころではない食いつきの娘は、ナマコちゃんをやめてひわい小説を書けと叫びます。「可愛くてほんのり泣ける」はずではなかったのか!?長年のパートナー 兼マネージャーの紗江子ママも同意見。吉岡家の女に流れるいんらんの血の濃さよ・・・しかもふたば画伯までが挿絵を描くと宣言。せっかくの娘への認知が果たされたのも束の間、じゅんじぃ先生は絵本からエロ小説へ転向する事に。数ヶ月後ひわい作家としてデビューも果たしたとの事ですが・・・吉岡家としてはナマコちゃんで大いに潤ったはずなので、今後色々経済的に苦しくなる予感がしてなりません。でもパパの文才といんらんな妻娘のサポート、ふたば画伯の画力が合わされば結構行けるのかも。作家じゅんじぃの行く末は次回の吉岡家回で明らかになる事でしょう。現実的には二足のわらじでしょうが、ピュアな純次パパには難しそう。楽しみです。
