森繁ファミリー大集合
ロロッロ!の最終回で1番グッと来たのは、イチカが中学生の姿のままでいる事を選んだ(らしい)所でした。ちとせや同じロボットの歩鳥までもが過ごした時間に応じて変わっていく中、自分は最初にちとせと出会った時の姿のままで側にい続けるという静かな決意を感じました。個人的にはイチカといえばこの半袖の制服姿なので、制服を着てもらいました。
ついに予告通りに終わってしまったロロッロ!。終盤の怒濤の展開に、ひょっとしたらという淡い期待を抱かなかったと言えば嘘になりますが、最終回は完璧としか言いようのない見事な最終回となりました。
メインキャラ全員集合のカラーは、凛々しいちとせを中心にこれまで作品を盛り上げて来た面々が円を描きます。本当にいい絵だと思います。この中で心残りがあるとすれば、林田センセーと小堀少年の2人でしょう。きっと描かれなかった展開があったはずなのです。3年目はそこをじっくり読めると楽しみにしていたので、読者としてなんとも残念です。
冒頭はイチカ。ちっとも変わらない姿です。そして看板には「チトセ モリシゲ個展」の文字!個展ですよ個展。と、そこに現れた人影。ちゃんとミシェルの帽子と分かるシルエットになっているのがニクいですよね。そしてページ最後の大ゴマは背も髪も伸びた大人びた雰囲気のちとせが巨大なキャンバスに向かっています。ここだけで今回は後日談なんだと納得させてくるマンガ運び。気合を感じます。
ここのキャプションでちとせが23歳の世界である事が判明します。ver. 0.1で12歳だったので、連載開始から11年後という事になります。ちとせは何と画家になっていました。そして作品が仕上がらずに死ぬしかないという状況に追い込まれております。このネガティブさは変わりません。そこにやって来たのは、それぞれ大人になった腐女子3人組。ミシェルはそのままの名前で漫画家に、砂奈=北川早奈は美術講師、美玲=大川美玲はOLとそれぞれの職業と本名が遂に明らかに。みんなそれぞれの道をちゃんと歩んでいます。ミシェルは自作のエッチな漫画がめでたくアニメ化と順調そのもの。
腐女子組に連れて来られたのはうみちゃん。キャプションは無職ですが、ちゃんと動画配信を続けて納税する必要があるくらいの収入は得ているらしいので、実は上手く行っているのかな?やはり性に合っていたんでしょうね。日頃からちとせ周辺をうろうろしているようで、2人の友情も無事に継続中のようで何よりです。犬ヘアはド派手プリンに変わってしまって、これは少し残念かも。
ウェーイの掛け声でやって来たのはアミラン!アミ助先輩はネイリスト、ラン先輩はアパレル店員と、こちらもちゃんと自分の得意分野を仕事に繋げていて偉いものです。元々私服は大人っぽかったので、今の姿は違和感0です。アミ助とミシェルの友情も続いていたようで、こちらも良かった。
呼ばれもせずにやって来た長身の美女は歩鳥。ボディは変わっても機械音声はそのままにしたようです。そして内面に相応しいタフなおっさんには遂になれず、むしろ男としての自分の好みのタイプの身体を授かってしまったというオチのようです。きっと森繁製作所にいるんでしょうね。
そして衝撃の森繁あやめ7歳。ちとせとは違って、物怖じしなさそうないい子のように見えます。エレナママのバッチコイがちゃんと結実しております。歩鳥の事をホトと呼んで懐いているようですが、歩鳥にとっても小堀少年の次に自分が見守るべき存在なのでしょう。ちゃんと手を握っていてあげたり、愛情がうかがえます。さすがに16歳下の妹を紹介するのは恥ずかしいちとせ。みんなはエレナママと博士のラブいシーンを想像して思わず沈黙してしまったり。最終回だけにはもったいない存在ですね。
フランスからの電話は華ちゃん会長から。パリは朝の8時だそうなので、ちとせたちは今午後3時のようです。傍らにはあおい旧部長がちゃんといて、この2人はフランスに移住して同性婚を挙行したのですね。ネコと一緒にトミー先輩まで執事として一緒に・・・どこまで脳を破壊されているのか。でも幸せそうな富三郎さん。そろそろ解放されて欲しいとも思います。
思いがけない美術部のメンツですが、個展を明日に控えてみんなとの旧交を温めたくても温められないちとせ。しかし、ちとせに内緒でみんなを呼んだのはイチカでした。ちとせの初個展を、美術部みんなの力で成功させて欲しいという願いに応えての美術部大集合はアツい。何と言ってもちとせを友人として助けるために生み出された存在であるイチカ。ロボットだからちとせがおばあちゃんになっても一緒にいられる、というイチカに、人間だったとしても同じだ、と伝えるちとせと胸がいっぱいになるイチカ。しかし、あえて触れられていませんが、博士頼みのイチカのメンテナンスの行末や、ちとせを見送ったイチカなど色々な想像がちらついてしまいます。
夜を徹しての全員の奮闘の末、ようやく出来上がった個展の準備。ちとせが最後まで描いていたのは全員分の全裸顔ハメパネル!隙あらば脱いできたロロッロ!に相応しいコマとしか言いようがない完璧なオチ。そして最後までブレない脱ぎっぷりでした。
全131話、あまりに短く感じた2年半でした。正直これからのロロッロ!の無い日々は想像もつきません。「桜井のりお先生の次回作にご期待ください」というキャプションを信じて、次回作を待ちたいと思います。
本当に楽しい漫画をありがとうございました。