Made in USSR bis

桜井のりお先生の「みつどもえ」(連載完結)および「ロロッロ!」(連載完結)について1話ごとに感想を述べております。

2020年09月

みつどもえXXX卵性&ロロッロ! ver. XXX みっちゃんとイチカ

200918blog

限界への挑戦

 ちとせならば軽々と抱えて飛べるイチカも、みっちゃんだとギリギリ浮くのが精一杯になってしまうのでは。みっちゃんが穿いているのはパンツではない何かです。



 前回は三女さんとちとせという、のりお先生の依代としての主役キャラを取り上げてみました。今回はもう一方の主役であるみっちゃんとイチカです。


 自称ドSの女王様気取りとちょっとドジな親友キャラ。ぱっと見には共通点が探しづらいのですが、敢えて挙げるならば

 承認欲求に基づく自己顕示

でしょうか。


 みっちゃんは基本的に自分の欲求に正直に振る舞いますが、その行動は自分の存在を認めさせたいという点で一貫しています。残念ながら、その試みはみっちゃんの思い描いた通りに成功する事は絶対にありませんが、その行動が変わる事はありません。後半薄れていった女王様キャラも、自分を常に見ていて欲しいという願いが、相手を支配したいという歪んだ形で現れているように思えます。


 対するイチカはちとせに「ロボとしての自分」を認識させたいがための行動とその失敗がストーリーを形作っていました。そしてそれはちとせが美術部に入り、自分は美ボ会に入会するまで全面に出ていました。結局ちとせには終盤までロボットとは認識されず(ちとせは怪しんでいたようですが)、結局美術部でのドタバタがストーリーの主軸になると、その方向性はフェードアウトして行きました。


 次に挙げるなら「身を挺した汚れ役になりがち」な点ですね。結局みっちゃんもイチカも自分の意思に反しながら、自分を犠牲にしてしまう傾向にありました。基本的に2人とも善人なんですよね。三女さんやちとせのように上手くすり抜けれずに、色々晒してしまうのがお約束です。


 何より2人共にコミュニケーションが得意な陽性キャラです。全く物怖じせずに人と関係が結べます。むしろ図々しいレベルですらあるのは、「かつての自分はこうありたかった」というのりお先生の願望に近いものを感じます。その結果色々良くない事が自分の身の上に起こるのではありますが。


 身体的には2人共ややしっかりした体つきであるのも好ましい共通点と言えるでしょう。イチカはある意味個人的には理想かも。


 そしてライバルキャラの存在も見逃せません。みっちゃんには杉ちゃんが、イチカには歩鳥がいて、色々ちょっかいを出されますが途中でどんどん馴れ合って和解していくのも似ているところです。


 もちろん相違点はたくさんあります。しかし物語を引っ張る陽気で前向きな姿は、作品の陽のサイドを象徴するものだと言えるのではないでしょうか。


みつどもえXXX卵性&ロロッロ!ver. XXX 三女さんとちとせ

image


2人の共通点は…?
 まず思いつくのは家事担当という家庭内のポジションでしょうか。2人とも料理上手だし。ひょっとしてのりお先生も料理がお好きだったりするんでしょうか。


 みつどもえとロロッロ!。二つの作品の共通項は群像劇である事。誰が主役だか分からなくなる位に個性的なキャラが、自由に自己主張をしながら動き回る爽快感。それでいて、それぞれのキャラの動きはちゃんと相互に関わり合う奇跡的にも思えるバランスと配置。作中どこにでも自由に視点を置いて眺めていられる開放感がこの2作の特徴ではないかと思います。


 しかし、数多いるキャラの中でも特にのりお先生の魂を宿すポジションにあると思われるのが三女さんとちとせの2人。メインヒロインはみっちゃんでありイチカでもあるのですが、ぴったり背中合わせにもう一方のヒロインを演じています。陰と陽なら陰側にいるヒロイン。ちとせのデザインはわざと三女さんから遠くなるように設定されているようにも感じますが、発言や行動から受ける印象は近いものがあるこの2人。


共通点は

 1)観察者ポジション
 2)家庭では主婦の役割
 3)料理上手
 4)コミュニケーションは不得手
 5)高い自己評価
 6)他者には辛辣だが周囲から人が絶えない
 7)賢く成績も良さそう
 8)身長は低め&胸は平ら系
 9)終盤まで笑わない


などでしょうか。

 もちろん違う点も色々あります。ちとせの不器用ながらも絶える事の無い向上心は三女さんにははっきりとは見られません。これは時間が進んでいくロロッロ!世界と螺旋をえがいて前には進まないみつどもえ世界の違いを反映しているのかもしれません。もう一つ大きな違いは母親の存在と不在でしょうね。この点ではちとせの方が幸せなのかな。思いっきりエレナママに甘えられるちとせと、母については素振りも見せない三女さん。丸井家の母親の不在の謎はついに明かされませんでした…

 しかし、どちらの作品も最後に三女さんとちとせの笑顔で締めくくりに至った事を考えると、この2人の成長が物語の軸なのだと思います。

記事検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ