イチカ本人にとって、体にまつわる1番のストレスは水没故障の恐怖で間違いなかったと思うのです。そこから解放された喜びをお尻で表現してみました。いいですよねイチカのお尻。重要機能を色々詰め込んでしまった故の大きさでしょうけど、このバランスは森繁テクノロジーの極致と言わざるを得ない。
ロロッロ!は遠くなりにけり…
遠い目をしながらしみじみしてしまう2021年の初秋の今日この頃ですが、ページを開きさえすればもうそこは作品世界。電子版のおかげで、書店の広くない秋田書店スペースから放逐されてそのまま消えてしまう心配をする必要も無くなりました。
久しぶりにロロッロ!を読み返してみて感じたのは初期の絵柄の丸っこさ。みつどもえの延長で読んでいた時にはことさら感じませんでしたが、今改めて見るとこの丸さが実にいい。特にイチカです。そんなイチカのボディがどう進化していったのか振り返ります。
イチカボディ変遷史
1巻 ver. 0.1 おしりからのエネルギー噴射で飛行
1巻 ver. 0.2 おしりの上に冷却ファンの排気口があってスカートがまくれる。プロジェクションマッピング機能で服を着たように見せられる(以後多用される)。
1巻 ver. 0.3 体表面の穴に水が入ると故障すると宣告される→ゴツい完全防水水着で対処。
1巻 ver. 0.4 ネコ型ロボット内に人格をバックアップできることが判明。
1巻 ver. 0.5 味覚センサーにより食事が楽しめることが判明。食べたものは喉の奥のスイッチで口から排出。ボディの改良には1~5年が必要との推定。ちとせといるためにボディの改良は諦める。
1巻 ver. 4.0 小堀少年のピポに森繁博士によって人格が宿る。
1巻 ver. 9.0 開口部にテープ(へそには乳首)を貼って入浴に成功。
1巻 ver. 9.1 乳首を触るとほんのり顔が赤らむように改良
1巻 ver. 10.0 相撲部入部のため男ボディに。ついでに心も男の子に
1巻 ver. 11.0 心だけ女の子に戻される。大相撲編 完
2巻 ver. 27.0 身体測定対策のためバストを外して軽量化。身長164cm、体重56kg(改造前)と判明。
-------------------------------ここから防水ボディ-------------------------------
3巻 ver. 41.0 ビーチで行われる美術部の合宿に参加するために、急造の防水ボディに交換(博士は結局3ヶ月くらいで作ってしまった)。首も取れるように。以後このボディで生活していた模様。
3巻 ver. 47.0 裸を恥じない事を憂慮した博士により羞恥心が強めに調整される。ちとせへの友情が羞恥心に優って元の木阿弥に。
4巻 ver. 58.0 年齢相応の精神の獲得のため中二病を発動する。即日戻される。
4巻 ver. 62.0 ストーブに寄りかかってしまいお尻が溶ける。(プラスチック系の素材?)本人は感覚が欲しかったが熱の可視化能力を与えられる。
5巻 ver. 77.0 ピポが完全な人型ロボット歩鳥として登場。(以後ロボ機能ネタは歩鳥メインに)
5巻 ver. 88.0 防水ボディは熱がこもりやすいため、冷却機構を外部に出す。高温になった冷却水は口(鼻孔)から排出する仕組み
6巻 ver. 107.0 プロジェクションマッピングでちとせになりすます。声も変えて誰も気づかない出来栄え。
7巻 ver.110.0 歩鳥にロボであると認識される。首は取り外し不可な構造になっている。
7巻 ver. 116.0 温泉の電気風呂で電流のため整う。なぜか陰謀論を唱えはじめる。
7巻 ver.122.0 落雷を受け記憶を失う。
7巻 ver. 123.0 ついにちとせにロボとして認識される。
7巻 ver. 最終話 ちとせとずっと寄り添って生きていく事を表明。
こうして列挙してみると、コンスタントにイチカのボディネタがあった事に気付かされます。全体の3分の2は美術部編だった気がしていましたが、真面目なヒューマノイドロボものでもあったんですね。イチカはちとせにロボットだと分かった上で友達でいてほしい。作られた存在であっても、人格を得た瞬間に他人からの承認を求め始めるという。出てくるキャラの多くも承認欲求が一つの軸だった気がします。その中でそのテーマを背負うために、際立った出自が与えられたのがイチカというヒロインだったのでしょう。