麻婆豆腐食べ歩き「全マ連」

~全日本麻婆豆腐愛好連盟~

中華旬菜 sawada (大阪・心斎橋)

大阪・心斎橋の繁華街にある、ちょっとおしゃれな中華料理屋さん、中華旬菜 sawada。

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入り口は地下にあるため、外にはこのような立て看板のみがある。

そこには…

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四川式 麻婆豆腐 土鍋仕立て sawada式…!

期待に胸を膨らませ、地下への階段を降りると…

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まるでイタリアンのビストロか、という雰囲気のような、なんとも綺麗でおしゃれな空間が広がっていた!

店内に入り、予約なしだったが運良く席に着くことが出来た。

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あらかじめ置かれたレンゲ、箸、フォークとナイフ…! 

中華を洋食のように食べるというような、いや、それらの垣根を取っ払う創造性の高い中華のような、そのような期待をさせてくれる。

雰囲気がモダンで、言われなければ中華料理屋だと分からないほどであり、そのせいか女性客で大変な盛況だ。

メニューもそそる物ばかり…

しかし全マ連としては一目散に麻婆豆腐をオーダー。

麻婆豆腐に始まり、麻婆豆腐に終わるつもりだ。

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四川式麻婆豆腐 土鍋仕立て お好みで自家製麻辣油を とある。

自家製麻辣油…! 気になるアイテムである。

しかし、だ。
女性客で盛況なこの空間だから、女性に優しい~~ような味の麻婆豆腐が出てくるのではないか?
そう思っていた。

待つこと数分… 大きめの土鍋が運ばれてきた。そこには…!?

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グツグツと煮えたぎる真っ赤な辣の池地獄
そして鼻にツンと来るホアジャン!
そしてアクセントとなっているニラ!

美しい…
これぞ絵に描いたような、グッド・ルッキング・マーボー(GLM)である。

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オイルとろみの比率(OT比率)は、9:1でオイル優勢であるが、そもそもオイルの量が少ない。

カレーで言うところのキーマカレーのような、ドライ麻婆という感じだろうか。

見た目、「すげー量の油!」というのは、ヘルシー志向の女性を遠ざける要因になるかも知れないが、この麻婆豆腐ならばそれは無さそうだ。女性に大人気なのも頷ける。

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食べてみると、その食感はあくまでもハードでソリッドなものであった。

まず、豆腐が木綿越しであることで、噛むときの存在感がある。
あと、挽肉の存在感。京都の「駱駝」にも似たような、ゴロゴロとした挽肉を噛む感じ。この感じと、堅めの豆腐の相性が抜群である。

辛さについては、ホアジャンはしっかり存在感あるし、辣もピリピリと来る。これ以上何も足す必要は無い。

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が…! テーブルに置かれた自家製麻辣油、これを試さずに帰るのは愚者であり、麻婆検定失格、全マ連の資格剥奪の憂き目に遭うことは間違い無い。

ホアジャンに辣油をミックスした、ドロッドロのこの物体を少し麻婆豆腐本体にミックスしてみる。

すると…

ブーストスイッチが押されたかのごとく、ハードコア・麻婆と化す。これぞレイヴオンである。もとい、マーボ・オンだ!

「駱駝」を思い起こすけど、やはり違った。食感は似ているが、少なめのオイル、そして全体的にどこか上品さがある。

1000円オーバーの麻婆豆腐にあるのは、アイデンティティの表現に対する素材的な余裕である。
この麻婆豆腐はまさに「sawada式」を全身で表現したような、素晴らしい逸品であった。

ロッキー (大阪・枚方)

「ひらかたパーク」近くの、国道1号線沿いにあるこのお店、「ロッキー」。

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「シビカラ屋 ロッキー」とある黒い看板が気になっていた人もいるのではないだろうか。

そして「四川麻婆」の大きな文字。これは期待出来る!

入り口にも

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奇跡の味 四川麻婆」の立て看板が!

なかなかハードル上げてくる。

これで麻婆豆腐食わなかったら勿体ないではないか!

ということで入店。

メニューには

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四川麻婆 700円

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陳麻婆 850円

と2種類がある。

陳麻婆とは、陳麻婆豆腐のレシピに近いものなのだろう。写真からしてホアジャン(山椒・花椒)がどっさり盛られていて、デンジャラスな雰囲気を漂わせている。

もちろん両方ともオーダー。

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まずは「四川麻婆」の方から。

グツグツでアツアツの土鍋が運ばれてくる。ふたを開けると物凄い湯気がドバーっと!
すげえ!

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そしてワイルドなオイル感!

オイル:とろみの比率(OT比率)は、8:2といった所で、オイルの下にはとろみもある。

豆腐は大きく、かつ、柔らかい。
辛さはそれほど無く、辛さを支える挽肉といった感じでも無いが、じんわりと来るスロースターターな辛さがあり、味の奥行きを感じさせる。

そして
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こちらが「陳麻婆」。

もう見た目が違うのですぐに分かると思うが、主な違いはホアジャンの量だ。

ワイルドかつ、グッド・ルッキング・マーボー(GLM)である。

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黒いのが、ドバーっと惜しみなく。

この違いは大きくて、「四川麻婆」と「陳麻婆」とでは、もはや全く別の次元の食べ物となっている。

陳麻婆の方は、食べれば食べるほど舌がビリビリとする、あの味をモロに味わえる。
そして噛むとゴリゴリする食感もある。

まさにシビカラである。

ロッキー山脈に挑んだ山男達は、全員が登頂できたとは限らない。これまで何人も遭難しただろう。
この店に入店したら、是非、陳麻婆を食べてみて欲しい。そして無事、登頂していただきたいものである。


餃子の王将 宝ヶ池店 (京都・宝ヶ池)

餃子の王将は店によって味が違う、なんていうのはもはや常識。
では、一番美味い王将はどこだ?と聞かれたら、私はここを推す。

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餃子の王将 宝ヶ池店。

地下鉄烏丸線の国際会館駅から徒歩3分の所にある、餃子の王将の中では大型店舗の部類に入るであろう存在感の店だ。

ここがなぜ、キング・オブ・王将(王将はそもそもキングだろ)なのかと言うと、まず一つ目はこれ。

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当店が王将でメニューが一番多いお店です!

誇らしげに掲げられたこの看板。「一番」と言うからには、他の王将の追随は許さないわけだ。

「店によって味が違う」どころではない。「店によってメニューが違う」のだが、そのメニューすら「当店が一番多い」ということだから、まさに王将界のキングオブキングスといったところである。

例えば…

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宝ヶ池店 特選メニュー。これらは全て宝ヶ池店だけのオリジナルメニューなのだが、オリジナルメニューは次々と生み出され、期間限定で提供されており、その中でも「当たり」メニューがこの「特選」枠の中に入ることが許されているのだろう。

餃子ですら「みぞれ餃子」「炙りチーズ餃子」「辛味噌餃子」と3種類もラインナップされているる。こんな王将見た事無い。

メニューも凄いが、何より、

筆者、これでも日本各地の餃子の王将で食べたつもりだが、宝ヶ池店の味が一番王将らしいし、美味い、とはっきり言える。

美味い、というのはちょっと形容詞として難しいのだけど、正確には「王将らしさの中では最高に美味い」というものだ。

餃子の王将には餃子の王将の確固たる文法があり、その文法に最も忠実に沿っている、と言えよう。
それは中華料理としてどうの、ということではなく、あくまで餃子の王将の料理してどうか、ということである。

では、ここの麻婆豆腐はどうだろうか。

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折しも「麻婆豆腐フェア」期間中である。これはテンションが上がるというものだ。

450円が430円になっただけとか、そういう事では無い。「このフェアにより、厨房の意識、客の意識、それぞれが麻婆豆腐に向くようになっている」ということが肝心なのだ。

厨房「ようし、フェアだから麻婆豆腐は気合い入れて作るぞ」
客「ようし、フェアだから麻婆豆腐でも食ってやるか」

このスパイラルが、ポジティブ麻婆を生み出すことは間違い無い。

早速オーダー。

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麻婆豆腐、430円(フェア中価格)。

見紛うこと無く、餃子の王将の麻婆豆腐である。どこからどう見ても、餃子の王将の麻婆豆腐だ。

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四川風とは全く逆の所にある麻婆豆腐のひとつである。

オイル:とろみの比率(OT比率)は、0:10といった所で、完全にとろみが勝っている。

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そして食べてみよう。

「フェア」のポスターには「ピリッと山椒がきいて」と書かれていたが、山椒の味はほとんどしない。唐辛子の味もほとんどしない。

マイルドで、醤油の味がメインで、日本人がホッとするような出汁のが効いているような、そんな味。まさに、いつもの餃子の王将の麻婆豆腐そのものである。

しかしながら、餃子の王将の麻婆豆腐としてはパーフェクトに近い。これはどれだけでも食べられそうだ。

日本人が生み出した日本人のための麻婆豆腐、その完成形は餃子の王将 宝ヶ池店にあった。

一創 (大阪・正雀)

阪急京都線の正雀駅から徒歩3分の所に、四川料理を謳う中華料理店があった。

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その店の名前は「一創」という。

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外に出されていたメニユーから「四川の麻婆豆腐」。1100円とある。
当店一番のおすすめ。基本が激辛となっております、とある。

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店内に入ると、蛍光の黄緑一色に塗られた壁がまず目に入る。なかなか異色なカラーリングだ。四川料理では珍しいのではないだろうか。

四川にかぎらず豊富なメニューを誇るが、やはりここは麻婆豆腐をオーダーする。

夜は麻婆豆腐セットという、1200円でライス・スープが付くセットメニューも用意されているが、あえて単品でオーダーしてみた。2人前くらいありますよ、とのことだったが、2人前くらい大丈夫、と高を括っていた。ところが…

出てきた麻婆豆腐

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写真では分かりにくいが、この器、深さがあり、ちょっとしたボールのような形状をしている。
余裕で4人前くらいありそうだ。ガーン… セットメニューにしておけば良かったか…

しかしここは猪木イズム。誰の挑戦でも受ける、どんな麻婆でも食べる。自分と麻婆豆腐との1対1の戦いである。完食すれば自分の勝ち、残せば負け、だ。

そして取り皿を使わず、直接レンゲですくうストレート麻婆スタイル。愛は麻婆を救う。この量なら24時間ずっと麻婆を食べてられそうである。いや、それは死ぬ。

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四川とあるが、オイル:とろみの比率(OT比率)は、2:8といった所で、とろみが勝っている。

辛さについては激辛というほど辛くはないが、食べてすぐに辛さを感じるスピード感がある。
唐辛子、花椒ともに、口に入れた瞬間ピリっ、と来る。が、それ以上は来ないし、後にもひかない。
つまり、結構さわやかな辛さだ。

そしてひき肉の多さが特徴的だと言える。ひき肉への味付けはそれほど濃いものでは無いが、辛さもさわやかなので、バランスが良い感じだ。

ネギの食感と、ひき肉の食感が、この麻婆豆腐を支配している。豆腐の形は不揃いで、やたら柔らかいものとなっており、ネギ・ひき肉の食感の中に豆腐が入ると、少し休ませてくれるような印象がある。

しかし… 一人での単品麻婆オーダーはこれまでもやってきたが、最高クラスに量が多かった。無限麻婆豆腐の海にダイブしたければ是非単品でオーダーして欲しい!

美齢 (京都・堀川今出川)

堀川今出川の交差点から少し西に入った所にある、隠れ家的中華料理店、美齢。

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飛び込みはおろか、予約すらなかなか取れない京都の人気店である。

中は広くないが、飾り物なのがどこか京都らしく上品な雰囲気がある。

「石焼麻婆豆腐」をオーダー! 900円。

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しばらくして運ばれてきた蓋付きの土鍋!
土鍋スタイルの麻婆豆腐は数あれど、蓋が付いてくるのは初めての経験かも知れない。

そして蓋を開けると…

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グツグツグツグツグツグツ・・・!!!

麻婆池地獄でした! 想像以上にアツアツの様子。

もちろん取り皿も別に用意されているが、土鍋ストロングスタイルを標榜するドーファーたるや、取り皿に頼ってはならない。レンゲを使って直で行くのだ! 猫舌だけど。

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とはいえ、しばらく待たないと熱すぎて食べられないほどだ。

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レンゲで掬ってみるとこんな感じ。

オイル:とろみの比率(OT比率)は、6:4といった所で、ややオイルが勝っている。。四川風のように完全にオイルということも無い。そしてそれほど赤くなく、明るめの色をしている。

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土鍋と一緒に運ばれてくる花椒。

まずこの花椒を振らず、そのまま食べてみると、なんともマイルドな味。
柔らかい豆腐と共に甘みがあり、とにかく食べやすい。
唐辛子のスパイシーさも少し感じるものの、それほどでも無く、ひき肉の味もやや甘口だ。

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ここに花椒を加えると、味が一変する。
味とともに食感にザクザクとした感じが加わる所が大きい。
甘い感じだった麻婆豆腐がビシっとした四川風に変わる。

それでもひたすら食べやすい。どれだけでもバクバクと食べられそうである。
が、気がつけば汗だくになっている…! どうも、実はしっかりとした辛さがある麻婆豆腐だったようだ。

一見甘口で食べやすいがしっかりとパンチがある、そんな不思議な麻婆豆腐であった。

中華料理 大鵬  (京都・二条)

京都・二条城の近く、二条駅の裏口すぐにある中華料理店、大鵬。

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平日の20時に店に行ったにも関わらず、4組が待っているほどの人気店である。

30分ほど待って入店すると、中国語の飾り物が多くある店内に、期待が膨らむ。
そう、ここは京都では珍しい四川料理中心の店なのだ。

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メニューにある麻婆豆腐はこれ。

正宗陳麻婆豆腐、とある。正宗とは中国語で「創始者から伝えられた」「正統の」という意味であり、正統的な陳麻婆豆腐である、ということだ。

3人で行き、当然「大」をオーダー。

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鍋の形が面白い。3人の陳婆さんが囲んでいるのだ。その中にたっぷりとある真っ赤な麻婆豆腐。

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たっぷりのオイル、そしてひき肉。どこにも片栗粉のトロみなど無い。

食べてみると、見た目ほど辛いわけではない。辛さとしては山椒や花椒のビリビリ感は控えめで、唐辛子の辣味がメインとなっているが、その辛さをたっぷりのオイルがマイルドに和らげてくれる感じである。オイル:とろみの比率(OT比率)は、8:2といった所だ。
そこにしっかりと味付けされた粗挽きのひき肉がアクセントを与える。
豆腐はひたすら柔らかい。

ご飯に載せたりせず、麻婆豆腐だけをストレートに味わいたくなる。そんな純粋な、奇をてらってない麻婆豆腐が食べられる店が、二条駅の近くにあった。


中国四川料理 梅香 (東京・牛込神楽坂)

神楽坂。そのイメージ通りおしゃれな街で、おしゃれなお店が多い。
この四川料理のお店も、「チャイニーズダイニング」と言えるような綺麗さがあった。

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牛込神楽坂駅から徒歩すぐにある「中国四川料理 梅香」(メイシャン)である。

本格四川料理の店にありがちな、独特の怖さ(辛さビビらせ的な)が、微塵もない。ここはネイルサロンか?と思えるほど、女性的な雰囲気である。

本格四川料理の怖さとは、入り口に唐辛子をぶらぶらとぶら下げてみたり、やたら「福」の逆さ向きのシールを貼りまくってみたり…といったもので、いかにもマニア御用達四川料理虎の穴!という雰囲気の店の怖さだ。


麻婆豆腐は、普通の「麻婆豆腐」と、「陳麻婆豆腐」とにメニューが分かれているので、それぞれオーダーした。

まずは普通の麻婆豆腐から。

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綺麗な赤が出てるけど、花椒も目立たなく、マイルドそうに見えるシンプルな見た目だ。
ネギや挽肉も見あたらず、数個のトウチが浮いているのがアクセントとなっている。

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味はおだやかで、辛さはほとんど感じない。
独特のこくがあり、食べた後も口の中で楽しめる感じである。

豆腐は絹ごしで、大きめ。豆腐をゆっくりと舌の上で転がす楽しみがある。

そして陳麻婆豆腐の方は…

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ああもう、明らかに見た目が変わってる。陳麻婆豆腐を考案した陳さんのように、アバタっぽくなってる。

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花椒が目立って浮いているのが見えるが、それでもシンプルな見た目である。
女性的な雰囲気の店だと書いたが、この麻婆豆腐すら、どこか女性的。ギトギトとしたハードコアな見た目とは無縁なのである。

食べてみても、こちらもマイルド。うむ、これならどれだけでもパクパクと行ける。

…と思ってたら、後からピリピリが始まった。スピード感の無い辛さのある麻婆豆腐である。

そしてこの独特のコクがクセになってしまう。初動の刺激は少ないが、時間が経ってからどんどん刺激が積み重なる。胃の中でも刺激が積み重なっているのが分かるほどだ。

しっかりハードコアである。いや、マーボコアだ。

オシャレだけど、オシャレなだけではない神楽坂の、奥の深さを見た。



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四川料理 川菜館 (東京・新御茶ノ水)

四川省生まれの陳麻婆豆腐という食べ物は、長い年月と長い距離をかけて、日本に伝わってきた。

日本人は、とにかく自分たちに都合のよいようにアレンジしたり、創作を加えたりするのが得意だ。
様々な文化がそうなったように、料理も例外ではない。

こと麻婆豆腐については、日本で食べることのできる麻婆豆腐の8割は「広東風」だろう。

広東風とは、広東省、香港の中華料理スタイルである。数ある中華料理の中で最も日本人の口に合うものだろう。
全体的にほんのり甘みがあり、あんかけが好まれるような感じだ。

麻婆豆腐にしても、いわゆる「とろっとしたあんかけ」で「ピリ辛」なのは、まさに広東風であると言える。さらに日本人はそこに、出汁の味を強くしてみたり、醤油の味にしてみたりと、独自にアレンジを加えたりする。

それでも美味しいものはあるが、全マ連では便宜上、そのような麻婆豆腐を「J麻婆」とカテゴライズすることにした。

Jではない麻婆豆腐、つまり四川オリジナルのスタイルのまま調理すると、ほとんどの日本人が拒絶反応を起こす。
辛すぎる、のだ。辛すぎて、食べられないのである。

ほとんどの日本人にとって、麻婆豆腐はJ麻婆で十分なのだ。

だが、四川オリジナルスタイルにこだわる、ごく限られた日本人に向けて、味を追求し続けるお店もある。そんなお店の一つが、新御茶ノ水にある川菜館だ。


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このあたりは駿台予備校があるようなオフィス街で、ちょっとハイソな雰囲気。

オシャレなカフェなどもある中で、突如現れる本格四川料理の店。

メニューには、驚くべきスタイルで掲載されている。

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なんと!

固形燃料付き、そしてこの波打つ皿は一体?

土鍋のままグツグツと煮込まれて運ばれてくる麻婆豆腐は多いが、固形燃料は初遭遇である。

そしてオーダーし、待つこと15分程度。


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波打つ皿は、硬い紙であった。その上に盛りつけられた麻婆豆腐。

木綿豆腐とラー油、ネギのバランスが見事であり、明るめの色を持つ、まさにGLM(グッド・ルッキング・マーボー)である。

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どこまでも深い色をした、深紅の麻婆豆腐だ。

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木綿豆腐なので、豆腐の食べ応えがあるが、全く不快な所が無い。挽肉はほとんど入って無くて、ほぼ豆板醤と花椒で作られた、これぞ四川のオリジナルスタイルだ。

麻婆豆腐に挽肉を入れるのは、陳建民が日本で考案したアレンジだが、明らかに挽肉がある方が「美味い」と感じることの多い麻婆豆腐で、挽肉無しスタイルでここまでコクを出しているのは賞賛ものである。

辛さには抜群のスピード感があり、一口目からバシっとキまる。それでいて、食べ終わった後には、後味はかなりさっぱりしている。口の中に何も残らないのだ。

こんなにもキレのある麻婆豆腐があったとは。

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固形燃料で燃え続けているので、最後の最後までアツアツだが、おさらく冷めても美味いはずである。



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中華そば そのだ (大阪・玉造)

大阪環状線の玉造駅降りてすぐの所にある「中華そば そのだ」。

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本ブログ初の大阪M(麻婆)物件。とはいえここは、尾道ラーメンのお店。まさかこんな所に、ドープなドーフがあるとは誰が想像しますか?

それが、あるんです。

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メニューを見ても、特に麻婆豆腐を強く推すような事はせず、「辛さ選べます」と小さく書いてあるだけだ。

しかし、「辛さ選べます」とわざわざ書くお店は、なかなか無い。
主張しないけど、さり気ないこだわりを感じる部分である。

麻婆豆腐をオーダーして、店主の調理が始まった。
暫くすると、カウンター席しかない店内に、鼻にツンと来るような花椒の香りが充満した。

「これはただモノじゃないぞ」

来店者に緊張が走る瞬間である。


そして運ばれてきたのは…

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まず、不均等な豆腐が目に入る。たっぷりのラー油と、何かしらの肉。

この肉は見たことがないスタイルであった。

拡大してみよう。

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エッジまでたっぷり注がれたラー油地獄の中に、不揃いの豆腐、そして挽肉。

さきほどの「何かしらの肉」とは別。

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その「何かしらの肉」というのが、この手前にある物体。

つまり、ホルモン

そう、ここは大阪! 大阪らしさがホルモンとしてMIXされているのである。

まさにルックスはカオス。新世界の下町を思い出させるような風情すらある。

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不揃いの豆腐とホルモンのおかげで、食感が面白い。
食感で飽きない。

そして味は、割とスピード感のある辛さが来る。食べてすぐに感じる辛さだ。
それをホルモンをよく噛むことで、相殺していく。

豆腐の中にもしっかりと味が染みており、かつ、塩辛くない。
変化のある食感と、ホルモンのうまみ、そしてガッチリと固められたトウチ、花椒、豆板醤。
一度この店を経験した麻婆好きであれば、玉造駅を通りかかると、必ずこの店に行きたくなること必至だ。



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酒肴屋 じじばば (京都・七条烏丸)

京都駅から至近距離の所、とはいえ、注意深く歩かないとその入り口は分かりにくいが、リド飲食街という、昭和のテイストという言葉がぴったり当てはまるような、狭小店舗が連なる小径がある。
そう、言うなれば、京都版のしょんべん横丁だ。

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こんな感じで、左右にカウンターだけの狭い店舗がズラズラと並んでいる。

ぱっと見ただけで、「うわぁ、ディープ」とか、「おっさんがくだまいてそう」などとイメージしてしまうだろう。
まあ、実際その通りなのであるが、一軒、ちょっと変わり種の店がある。

その店の名は「じじばば」。

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何系の店なのか? つかみ所が無い。生ハムもあれば麻婆豆腐もある、まさにジャンルレス。
オーナーの好き勝手とこだわりの店だ。

このお店について深く語ることはここではせず、人気メニューの一つである麻婆豆腐について。

「自家製ラー油使用 麻婆豆腐」だ。700円。

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オーダーしてから10分ほどたてば出してもらえるが、小さな土鍋ごと運ばれてくる。
ぐつぐつと煮えたぎっており、少し冷まさないと食べられない。

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分量はそれほど多くないが、パンチのある味付けである。辛さはスピード感がある上にサスティン感もあるため、麻婆豆腐を食べている!という実感を強く得ることが出来る。
豆腐は絹ごしでとにかく柔らかい。
そして何より、挽肉にしっかり味があることが印象深い。挽肉を噛めば噛むほど甘い味が染み出してくるほど、下ごしらえがしっかりなされている。
そのため、辛くても噛めば中和されていくのだ。

小さな土鍋なのに、これほど食後インパクトを残す麻婆豆腐もそうそう無い。しかも中華料理屋ではなく、リド飲食街というディープ京都な居酒屋でだ。

京都の麻婆豆腐好きは一度は食べておくべき重要麻婆豆腐だと断言できる。


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