いかなる観点で『資本論』学習会を組織するかの指針

 

《資本主義をトータルに理解するために》『資本論』を学び、『資本論』を超えよう!

 

 

sihonronpanhu この小冊子は今までの、ありきたりの『資本論』学習会の指針とか案内書とかプログラムといったものでは全くなく、むしろ『資本論』の、したがって資本主義の「トータルな」認識を目指し、また獲得するための学習会を組織していくための基本的な指針やプログラムです。

 

 『資本論』学習会は学習会であると共に参加者に資本主義の「トータルな」認識と自覚を得られるようなものにして、『資本論』の全体的な理解を、したがってまた資本主義の「トータルな」――その本質的で、全般的な――理解に関心を向け、資本主義を一掃して、どんな社会を勝ち取っていくのかが自覚できるものにして行くことが重要です。

 

 我々のスローガンは「労働の解放」です。資本主義を打倒した後、労働者・働く者が勝ち取る社会と社会関係の理想を明らかにする我々の目標もしくはスローガンこそ、その意義と内容を『資本論』の学習会の中で、労働者・働く者に明らかにし、我々の戦線に続々結集させる役割を直接に担う学校であることこそ、我々の『資本論』学習会の意義であり、実際の在り方なのです。

 

 『資本論』を学ぶにあたって、賃労働の廃止、つまり〝市場経済〟と資本主義、そして賃労働による分配法則の一掃(そして「労働時間による分配法則」の実現の必要性と必然性の自覚)という段階にまで進んで初めて、我々の資本論を学ぶ本当の意義と意味が明らかになるとさえ言えますが、これはすでに《『資本論』を学びつつ、『資本論』を超えていく》ことです。

 

 我々が『資本論』を越えていくというのは、『資本論』を徹底的に学び、その根本的な概念を理解し、そしてそれを現代の資本主義と闘い、それを克服するための理論として、より深化させ、いまだに明確でない概念――例えば、拡大再生産の概念とか、社会主義における分配法則を明らかにしていく等々――をはっきりさせ、労働者・働く者の共有の財産にし、労働者・働く者の自己解放の運動をより意識的で、自覚的な運動に高め、勝利に導いていくということです。それくらいの壮大な心意気と決意と覚悟で、『資本論』の学習(会)、研究(会)に取り組んでほしいということです。

 

 この『資本論』を読み、学ぶための「指針」も、まさにそうした目的意識で一貫して書かれ、まとめられています。

 

 

    著者 林 紘義

    発行 全国社研社

    定価 200円+