2016年04月25日

【 5/14(土)・春のセミナー】「LGBT」 ってなんだろう?

全国進路指導研究会「春のセミナー」2016
 
「LGBT」ってなんだろう? 
〜互いのちがいを受け入れ、尊重し合う学校・社会をつくるために〜
 
■2016年5月14日(土)
 14:00〜16:30 開場13:30
 
武蔵野市民会館 地下集会室
(JR中央線武蔵境駅北口徒歩5分)

http://www.city.musashino.lg.jp/shisetsu_annai/shisetsu_bunka/000949.html

※武蔵野市民【文化】会館ではありません!
 
■報告:薬師実芳さん
(NPO 法人ReBit代表理事、山形大学非常勤講師)
編著『LGBTってなんだろう?』(合同出版/2014)

文部科学省は、この4月1日「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒の対するきめ細かな対応等の実施について」とする文書を、学校の「教職員向け」に通知しました。昨年4月に「性同一性障害」に係る児童生徒への対応を求めた「通知」を一歩進めたものです。
 
 この一年間だけみても、渋谷区パートナーシップ条例が先駆となり、世田谷区が続き、最近では三重県の伊賀上野市でも、同性婚の権利を認める条例がつくられています。特に、性同一性障害は、1990年代まで、精神疾患・病気と治療の対象と見なされていました。そうした社会環境のなかで、やり場のない苦しみ、怒りや生きづらさに悩んだ方々が多かったことと思われます。
 
 全進研(全国進路指導研究会)は、子ども・若者たちの「進路観の形成」を手助けすることを進路教育/進路学習のテーマと掲げ、「性教育」の重要性を指摘してきました。全進研「春のセミナー」は、その大きな課題について学び合う機会です。ぜひふるってご参加下さい。

 
「…LGBTは『性の話』『恋愛の話』としてくくられ、子どもに関わる話ではないとされてしまうこともあります。実際にこの団体(ReBit)も、発足当初は電話をした100校近くの学校に出張授業を断られていました。しかし、LGBTの話は性や恋愛“だけ”の話ではなく、実際には一人ひとりのアイデンティティに関わる話であり、どう生きるか、誰と生きるかという、その人のライフプラン全てに関わる話です。そのため、LGBTであることを否定的に捉えられてしまうことは、自尊感情の低下につながりやすくなります。たとえば、性同一性障害の方の約7割は自殺を考え、そのピークは第二次性徴期—小学校高学年から高校の間だと言われています。だからこそ、私たちはLGBTと子ども•若者の支援が大切だと考えます。…」薬師実芳「LGBTを含めた全ての子どもたちが生きやすい未来のためにーReBitの挑戦から」『現代思想』2016年4月号


■資料代:1000円 【学生無料】
■主催全国進路指導研究会/武蔵野の教育を語る会
■連絡先090−9145−9892(全進研)
HP:http://zenshinken.jimdo.com/
Mail:zenshinken@hotmail.com
FB:https://www.facebook.com/zenshinken/



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2016年02月16日

【冬のセミナー・2/13・今泉博講演内容】『「中教審」が現場に求める教育と私たちがめざす教育』

《全進研 冬のセミナー》(ほぼ私が話した内容です)
 「中教審」が現場に求める教育と私たちがめざす教育
2016/02/13
全進研世話人 今泉 博
 
■「論点整理」を読んでみて
*これまでにかつてないほど、初等・中等・高等教育を「指導法」まで含めて大きく変えようとしている。
*教育現場の実態や困難、子どもや保護者・教職員の願いなどは議論の対象になっていないし、論点整理にはほとんど反映されていない。
*これまでも一貫してそうであるが、学習指導要領の問題点や反省すべき点などが、ほとんどリアルに検討されていない。
*未来社会に対して展望がまったく持てない不安が表明されている。「将来の変化を予測することが困難」や「将来の予測が困難な複雑で変化の激しい社会」などといった表現がくり返し出てくる。
*これからの社会を「知識基盤社会」という規定の仕方にも疑問を感じる。現実の社会の実態や矛盾を覆い隠すことになるのでは。
*平和や人権、民主主義といった、これからの時代を創っていく上で不可欠な言葉や視点がない。
*財界・安倍政権の政治的な意図が巧みに反映されている。
*現場教職員がこの文書を読んでも、教育実践への希望や活力が生まれてはこないだろう。これからの教育が、ますます心配になる。中教審(「論点整理」)の方向で進められれば、学校現場(子どもや教職員)とのミスマッチが拡大していくばかりである。
●『てん』(ピーター・レイノルズ・著 谷川俊太郎・訳 あすなろ書房)を紹介


■「自ら」を一貫して強調、「自己責任」の押しつけ
*「自らの人生をどのように拓いて・・・」「自らの生涯を生き抜く力」「一人一人が自らの可能性を最大限に発揮し」「よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出して」「よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出して」「貧困などの目の前にある生活上の困難を乗り越え、貧困が貧困を生むというような負の連鎖を断ち切り未来に向けて進む」などと記されている。「論点整理」全般にわたって、自らが強調されている。個人の努力では無理で、本来は国や行政がすべきことまで、「自己責任」にしようという考え方が貫かれている。


■学習指導要領をこれまで以上に現場へ徹底する
*改悪された教育基本法や、学校教育法を根拠に、これまで以上に学習指導要領を現場に徹底することをねらう。
*授業ごとの学習指導案の作成まで要求してきている。
*教育の内容や指導法まで介入することは、教師の専門性に対する重大な侵害である


■アクティブラーニング
*アクティブラーニングという用語について
アクティブラーニングの概念は、米国発祥。「アクティブラーニングの研究や実践は1970代から80年代より徐々に増えはじめ、1990年代以降急増している。」active learningは、日本語に訳すと、能動的学習や積極的学習、あるいは主体的学習ということになる。このような学習は、決して新しいものではない。しかし、「新しさ」を打ち出し、急速に「普及」させるために、日本ではカタカナ語で「アクティブラーニング」としたのだろう。
「米国の高等教育は、第二次大戦後から、とくに1960年から1970年代にかけて、その規模を飛躍的に拡大させ、大量の学生を受け入れるようになった。新しいタイプの学生は、大学教育を受けるのに十分な準備がなされていなかったり、大学で学ぶことの意味、目的意識が希薄であったりして、伝統的な方法で熱心に講義しても、学生たちは十分い理解しなかったり、関心を示さなかったりするのであった。こうして多くの大学で、『どのように教えるか』が喫緊の課題に」なった。
教授学習のパラダイム転換が必要になったのである。
 そんなこともあり、米国で大学の研究者が、初等・中等学校で実際に行われている授業を参観し、そこから大学でも学生が能動的、積極的な授業が必要だと考え、「アクティブラーニング」の実践・研究が始まったのである。
「アクティブラーニングは学習パラダイムを実践的に推進する学習概念であり、概念的な関係で言えば、学習パラダイムはアクティブラーニングを包含する関係」であると捉えられる。
  日本の高等教育でも、高等教育の大衆化によって、似たような状況が生まれる。そんな状況と関わって、アクティブラーニングは能動的学習として、1970〜80年代から少しずつ取り組まれていた。アクティブラーニングの用語は、2000年代以降急速に使用し始める。この用語が中教審の答申に登場して政策用語となるのは、『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて―生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ―(答申)』(2012年8月28日)からである。これをきっかけに、全国の大学へ一般化して一気に広がった。
 『質的転換答申』用語集のP37には、アクティブラーニングは、次のように定義され、説明されている。
 「教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等によっても取り入れられる」
 文科省の「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」が推進されたことも、この流れに拍車をかける結果に。大学教育と産業界とをつなぐ正課教育の方法として、アクティブラーニングが注目された。
 アクティブラーニング『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』(溝上慎一・著 東信堂)を参照

*アクティブラーニングそのものについては、学習を豊かにしていく上では、積極的な意味を持っている。私自身も小学校の現場や大学でも、子どもや学生が進んで意欲的に参加するような授業を意識的に行ってきた。そいう点では、アクティブラーニングを実践してきたひとりと言える。子どもたちの能動性や積極性、主体性を重視して実践して行けば、アクティブラーニングということを特別意識しなくても、その考え方や方法にたどり着く。
ただ今回の論点整理からは、私自身が実践してきたような方向とは、かなりちがったものになるだろうと思われる。
 
 ●理科の授業「バット回し対決」を紹介
*そもそも国が「これからはアクティブラーニングを実践すべきだ」などと指導法まで介入することは、本来許されるものではない。学習の対象や内容によって、指導の方法は当然ちがってくる。基本的には、内容によって指導の方法は規定されざるを得ない。授業で扱う教材や子どもの実態によって、授業の方法もさまざま考えられる。指導法が限定され、教師が自由に創意・工夫することが保障されない状況では、子どもたちが生き生き参加し、深く学べるような授業の創造は困難になる。むしろ授業に対する多様な考え方や指導方法が存在する方が、授業の改善につながる。
 現場での実践の方向が「一定の枠」にがっちり押さえられてしまうような状況では、アクティブラーニングを導入したとしても、「活動」や「形式」に流れる危険が大である。一見、表面的には「活発」に学習しているように見えるが、何を子どもたちが学んだのかわからない。そのような状況では、深い学習は期待できない。学習のねらいや目的と関わって、教材を自由に選択できたり、教材研究に基づいて創意・工夫して授業を構想する自由、教師の専門性が保障されるような状況下であってこそ、指導法の一つであるアクティブラーニングも積極的な役割を担うことができる。
 
*大学でのアクティブラーニングの実践でも、「アクティブラーニングは大学授業改革の万能薬ではない。実際、アクティブラーニングは必ずしも期待されているような効果を上げていないこと、それどころかむしろ期待と相反するような結果を招いている」ということが報告されている。いろいろ活動はあっても、必ずしも深い学びになっていない。その状況を克服するためにディープ・アクティブラーニング(deep active‐learning)という「深い学習」「深い理解」「深い関与」をめざす研究や実践も行われている。
 大学でのアクティブラーニングの研究や実践については『 ディープ・アクティブラーニング』(松下佳代・京都大学高等教育研究開発推進センター[編著])が参考になる。


■《新しい能力》の育成
 最近学校で身につけられる(身につけるべき)能力として、「学力」以外の用語が使用されるようになってきた。「PISAリテラシー」「キー・コンピテンシー」「生きる力」「人間力」という言葉が行政文書や学校現場で使われている。また高等教育・職業教育においては、「コンピテンシー」「学士力」「汎用的技能(generic skiiis)」「就業能力」「社会人基礎力」・・・といった言葉が見られる。
こうした多様な用語で表される諸概念を松下佳代(京大教授)などは、《新しい能力》概念と総称している。《新しい能力》概念の登場は、学校で育成される「力」を従来のように「学力」ということ言葉でひとくくりにするのでは、もはやポスト近代社会、知識基盤社会、生涯学習社会といわれる現代社会に必要な「力」を表現するのは不可能であるという事情によるものである。《新しい能力》概念の氾濫という現象は、日本に限らず先進諸国に見られる傾向であり、労働政策や経済政策や
と密接に関わっていると述べている。

 《新しい能力》概念の背景には、グローバルな知識経済への対応の必要性がある。知識経済とは、知識の生産や管理を行う経済活動や、情報テクノロジーなどを駆使した知識を基盤とする経済活動を指している。
 クリントン政権で労働長官をつとめたロバート・ライシュは、グローバル経済においてはかつての職業区分は不適切だとして、次のような三つの職業区分を新たに提案した。
 
(a)ルーティン生産サービス
 モノ(金属、繊維、データーなど)に対する単純な生産 
 肉体労働者、データー処理作業者など 

(b)対人サービス
   人間に対する感情労働サービス 店員、美容師、介護者、キャビンアテンダントなど

(c)シンボル分析的
   シンボル(データー、言語、音声、映像表現など)に対する問題発見、解決、戦略的などを行  う。
   研究者、法律家、コンサルタント、音楽家、映画監督など。
 ライシュによれば、経済先進国がグローバルな経済知識において競争力を維持するためにとりわけ重要なのは、(c)を担うシンボリック・アナリストの要請である。シンボリック・アナリストにとって重要なのは、知識の習得よりも知識の活用能力だとしている。
 質とレベルを異にしつつ、どの職業でも対人関係能力が必要だということになる。
 初等・中等教育から、高等教育にいたるまで《新しい能力》概念が普及したことの背景に、グローバルな知識経済の下での労働力の要請があることは明らかだ。

 今日の《新しい能力》概念のルーツをたどっていくと、「コンピテンシー・アプローチ」の父と呼ばれることになった、デイビッド・マクレランドが1973年に書いたTestinng for competennce than for “intelligence”という一本の論文に行きあたる。
 *マクレランド 1956年〜87年ハーバード大学に在職した心理学者。動機付け研究、特に達成動機のの研究で知られている。同時に彼は、人材マネージメント(採用、開発、訓練、業績評価など)を業務とするマクバー者の創設者の一人であった。
 マクレランドは、従来のテストやその結果では、職務上の業績や人生における成功は予測し得ない。職務上の業績を予測でききるような変数とテスト手法を見つけようとした。その変数がコンピテンシであり、テスト手法が「職務コンピテンシー評価法」であった。
 マクレランドがコンピテンシのためのテストを開発したのは、アメリカ国務省における外交官の選考方法の見直しを依頼されてのことであった。当時外交官の選考は、外交官に必要とみなされる知識やスキルについての筆記試験によって行われていたのだが、その得点と職務上の成功とは相関が低かったことから、別の選考方法が必要とされたのである。マクレランドとマクバー社が開発した方法は、その後、企業の人材管理に広く普及することになった。
 《新しい能力》概念が、各種の政策や経済団体の政策提言を通じて、日本に移入されてきた。その影響は、初等教育から高等教育さらには職業世界にまで及んでいる。
 
 「中央教育審議会やOECD等の政策文書では、大きく知識基盤社会(経済)とまとめられたり、情報化・グローバル化された社会とまとめられたりすることが多い。しかし、それだけでは、アクティブラーニングがなぜ必要なのか、アクティブラーニングがどのような問題状況に適応していくために技能・態度(能力)を育てていかなければならないのかが十分理解されない。筆者は、アクティブラーニングと技能・態度(能力)  との関係を議論するとき、いつもここが問題だと感じてきた。筆者の考えでは、知識に関わる社会の変化として示されなければならないものだろう。それは、おそらく『検索型の知識基盤社会』の到来として説明されるものである。その上で、アクティブラーニングは、検索型の知識基盤社会を力強く生きるための『情報・知的リテラシー』という技能・態度(能力)を育てる意義を持つ、と説明される。」と溝上氏は述べる。情報リテラシーは、情報を収集・検索・選択・共有・マネジメント・活用・編集・発信する能力のことであり、それらの作業を効果的・能率的に進めるための認知的な処理能力(知覚・記憶・言語・思考[論理的・批判的・創造的思考・推論・判断・意思決定・問題解決])と定義されると述べ、そして情報・知的リテラシーを「情報リテラシーを基礎としつつ、知識を創出・活用・マネジメントする能力のこと」と定義すると記している。


■基礎・基本と活用について
 2008年3月に改訂された『小学校学習始動要領』の「総則」の「第1 教育課程編成の一般方針」のところで、「基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくむとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かす教育の充実に努めなければならない」と書かれている。
 また『小学校学習始動要領解説 総則編』(2008年8月)の「改訂の基本方針」には、「確かな学力を育成するためには、基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させること、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくむことの双方が重要であり、これらのバランスを重視する必要がある」と記されている。
 今回の「論点整理」にも、「教員には、指導方法を工夫して必要な知識・技能を教授しながら、それに加えて、子供たちの思考を深め発言を促したり、気付いていない視点を提示したりするなど、学びに必要な指導の在り方を追究し、必要な学習環境を積極的に設定していくことが求められる。そうした中で、着実な習得の学習が展開されてこそ、主体的・能動的な活用・探究の学習を展開することができると考えられる」
 「教えて考えさせる授業」を主張されている方が『小学校学習始動要領』の作成の協力者になっていたり、「論点整理」にも関わっているから、基礎・基本と応用・活用を分離して捉えるような考え方になっているだろう。この考え方は、かなり現場に浸透しているものと思われる。学力テストとも関わって、基礎的・基本的なことは、とにかく練習・習熟し、身につける対象になっている。このような発想では、豊かな学びは期待できない。日本の子どもたちの特徴として、できるが、学習を楽しいと思っている子が少ないという状況を克服することは難しい。
 基礎的・基本的なことは、実に深い世界であり、人類の文化が「飛躍」を迫られた歴史が刻まれている。それを深く豊かに学ぶには、推理や創造、思考力や判断力などが要求されるものである。したがって学級の中で、対話や討論、ときには対立しながら基礎的・基本的なことを学んでいけば、「思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくむ」ことができるのである。「教えて考えさせる授業」の論者は、基礎・基本的に対する認識が不十分だと言わざるを得ない。子どもたちが生き生き学ぶ授業をつくるためには、活用だけでなく、基礎基本を豊かに学ぶ授業を創っていくことである。
 ●貝という漢字の授業を紹介


■道徳の「教科化」
《教科化の経緯》
 安倍政権は、直接的には滋賀でのいじめ事件(2011年10月)をきっかけにして、教育改革の最重点項目として、道徳の教科化をめざした。道徳の教科化が打ち出されたのは、第二次安倍内閣の下で組織された教育再生実行会議のいじめ問題への対応をまとめた「第1次提言」(2013年2月)であった。その後「道徳教育の充実に関する懇談会」がつくられ、その「報告」(2013年12月26日)で、「道徳教育の教科化」の基本的枠組みが提起された。その報告を基に中教審
で議論し,2014年10月21日の中教審答申「道徳に係る教育課程の改善等について」が出された。文科省はそれを受けて、学校教育法の施行規則の改正という手続きで、道徳の教科化を行った。
 
《ねらい》
〆鯒の国会で「戦争法案」を強行し、日本の自衛隊をアメリカの同盟軍として、世界各地へいつでも派兵できる準備を、いま急ピッチで進められている。さらに憲法9条も変えると安倍内閣は国会で明言している。このことと関わって、報道の自由や言論の自由、国民の知る権利についても、さまざまな形で抑圧する動きが顕著になってきている。2月8日の衆議院予算委員会で、高市総務相は「放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性について言及している。
 
△海譴薜賚△瞭阿と今回の「論点整理」は無縁ではない。学校教育を通して、国民の思想や価値観を管理統制する体制をつくろとしている。道徳の特別教科化はその一貫であり、要に位置づけられている。
 
F仔舛瞭段牟飢焚修虜蚤腓里佑蕕い蓮◆嵎源通り権力が直接教育内容を直接決定するという仕組みが働くからである。そのことは道徳科というものが存在していないということに関係している。」「一般に教科の内容を第一義的に決定するのは、実はその基盤にある科学の到達点なのである。ところが道徳科にはそのような意味で対応する科学は今のところ存在していない。」「その結果、その教科内容をまず第一に科学が決定するという他の教科で働く仕組みが機能していないのである。だから道徳科では、まさに、国家が、ストレートに、第一義的にその内容を決定するという事態が出現するのである」と佐貫氏は指摘している。
 
こ惱指導要領の道徳で扱う「項目」(徳目)には、「国や郷土を愛する態度」や「愛する心をもつ」などが規定されている。「項目」(小学校の場合)には、以下のようなものが取り上げられている。
[善悪の判断、自律、自由と責任][正直、誠実][節度、節制][個性の伸長][希望と勇気、努力と強い意志][真理の探究][親切、思いやり][感謝][礼儀][友情、信頼][相互理解、寛容][規則の尊重][公正、公平、社会正義][勤労、公共の精神][家族愛、家庭生活の充実][よりよい学校生活、集団生活の充実][伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度][国際理解、国際親善][生命の尊さ][自然愛護][感動、畏敬の念][よりよく生きる喜び]   
 平和や人権、国民主権や表現の自由など、民主主義的なさまざまな権利が、「項目」から排除されている。ここからも、道徳教育で何をめざしているかが読み取れる。

《評価》
 「記述式であっても評価がおこなわれることの問題性は大きい」「『徳目』の提示と『評価』とが行動評価として結合されるとき、『建前』を演じることを子どもに求める力学が働き、その評価と管理が徹底うるときには、行動主義的な訓練を通した人格統制が進行する。」「それらの行動管理が、偏狭なナショナリズムと結びつくときには、国民を現実の国家政策へ同調させていく力学が生み出される。」
 『道徳性の教育をどう進めるか』(佐貫浩・著 新日本出版社)  参照・引用
 ●『新しい道徳』(北野武・著 幻冬舎)の紹介


■実践を創っていく上で何が手がかりに?
 これまで見てきたように、「論点整理」はさまざまな問題点を含んでいる。
○「新しい時代を切り拓いていくために必要な資質・能力を育むためには、学校が社会や世界と接点を持ちつつ、多様な人々とつながりを保ちながら学ぶことのできる、開かれた環境となることが不可欠」
●「学校は、今を生きる子供たちにとって、現実の社会との関わりの中で、毎日の生活を築き上げていく場である」
○「学校がその教育基盤を整えるにあたり、教育課程を介して社会や世界との接点を持つこと
が、これからの時代においてより一層重要となる」
●「変化する社会の動きを取り込み、世の中と結び付いた授業等を通じて子供たちにこれからの人生を前向きに考えさせることが、主体的な学びの鍵となる」
○「子供たちが、学びに関して持っている潜在的な力を、教育を通じて洗練させ、教員自らもその力を発揮し、教室や社会で共に生き生きと活躍できるようにするために、学習指導要領等の在り方を検討していかなければならない」
●「学習指導要領等の改訂に関する議論において、こうした指導方法を焦点の一つとすることについては、注意すべき点も指摘されてきた。つまり、育成すべき資質・能力を総合的に育むという意義を踏まえた積極的な取組の重要性が指摘される一方で、指導法を一定の型にはめ、教育の質の改善のための取組が、狭い意味での授業の方法や技術の改善に終始するのではないかといった懸念などである。我が国の教育界は極めて真摯に教育技術の改善を模索する教員の意欲や姿勢に支えられていることは確かであるものの、これらの工夫や改善が、ともすると本来の目的を見失い、特定の学習や指導の「型」に拘泥する事態を招きかねないのではないかとの指摘を踏まえての危惧と考えられる」
○「学習・指導方法について目指すのは、特定の型を普及させることではなく、下記のような視点に立って学び全体を改善し、子供の学びへの積極的関与と深い理解を促すような指導や学習環境を設定することにより、子供たちがこうした学びを経験しながら、自信を育み必要な資質・能力を身に付けていくことができるようにすることである。そうした具体的な学習プロセスは限りなく存在し得るものであり、教員一人一人が、子供たちの発達の段階や発達の特性、子供の学習スタイルの多様性や教育的ニーズと教科等の学習内容、単元の構成や学習の場面等に応じた方法について研究を重ね、ふさわしい方法を選択しながら、工夫して実践できるようにすることが重要
である」
●「子供の学びに向かう力を刺激するためには、実社会や実生活に関わる主題に関する学習を積極的に取り入れていくこと」
○「学習指導要領等の解説や指導事例集も含めた全体の姿の中で、指導の参考となる解説や事例を示すとともに、下記4.に示す方策等を通じて、更なる支援を図っていく必要がある。なお、こうした事例を示す際には、それにより指導が固定化されないような工夫が求められる」


■最後に
/Π会議等で「論点整理」について話し合う機会をつくる。「論点整理」は次期学習指導要領や学校の教育課程作成に直接関わっているだけに、教育委員会も校長もダメだとは言えないはず。
子どもたちによりよい教育ができるように、子どもや学校の実態や指導上の課題や困難を出し合いこの論議をするかどうかで、実践が大きく変わっていく。
 
中教審教育課程企画特別部会から出された「論点整理」は「戦争法制」を強行した安倍政権の流れとは無縁ではない。学校教育が政治的な道具にされてはならない。能力観ひとつにも、財界や現政権の人作り政策等が反映されている。憲法や人権、平和や民主主義等が、この「論点」には、欠落している。それだけに学校教育を通して、自治的な活動を通して、人権や民主主義を学べるようにしていくことが、とりわけ必要になる。
 
子どもの苦悩や悲しみを受けとめ、子どもたちが安心して学び生活できる学級・学校をめざす。
子どもたちの輝きを父母と共有する努力をしていく。
 
ずFさまざまな困難はあるにせよ、父母(保護者)や地域住民との協力関係をつくっていくことは欠かせない。父母(保護者)や地域住民との連携が進むと、教育実践の条件は大きく拡大する。さまざまな困難や矛盾が生まれてきているだけに、子どもたちによりよい教育という点では、急速に協力関係が拡大する可能性が生まれている。
 「論点整理」では、「社会に開かれた教育課程」の必要性を説き、「「新しい教育課程が目指す理念を、学校や教育関係者のみならず、保護者や地域の人々、産業界等を含め広く共有し、子供の成長に社会全体で協働的に関わっていくことが必要である」と記している。それだけに、父母との連携をつくる努力をしないと、一気に「論点整理」の方向で取り組まなければならなくなってしまう危険がある。
 
イ泙瑳分が、自分と同じような問題意識の仲間が2〜3人できれば、職場は学校は大きく変わりうる。ものごとは、わずかひとつの微視的な点から始まる。それを大事にしたい。



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【冬のセミナー・2/13・中教審資料抜粋】『「中教審」が現場に求める教育と私たちがめざす教育』

中教審教育課程企画特別部会「論点整理」からの抜粋
2016/02/13
全進研世話人 今泉 博
 
■「論点整理」の構成

教育課程企画特別部会 論点整理
1.2030年の社会と子供たちの未来 1
(1)新しい時代と社会に開かれた教育課程 ................................... 1
(2)前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題 ................................. 5
2.新しい学習指導要領等が目指す姿 7
(1)新しい学習指導要領等の在り方について ................................. 7
(2)育成すべき資質・能力について ......................................... 9
^蘋すべき資質・能力についての基本的な考え方 ........................... 9
特にこれからの時代に求められる資質・能力 .............................. 11
H達の段階や成長過程のつながり ........................................ 13
(3)育成すべき資質・能力と、学習指導要領等の構造化の方向性について ...... 14
ヽ惱指導要領等の構造化の在り方 ........................................ 14
学習活動の示し方や「アクティブ・ラーニング」の意義等 .................. 16
3.学習評価の在り方について 19
4.学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策 21
(1)「カリキュラム・マネジメント」の重要性 .............................. 21
(2)学習指導要領等の理念の実現に向けて必要な支援方策等 .................. 24
5.各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性 26
(1)各学校段階の教育課程の基本的な枠組みと、学校段階間の接続 ............ 26
〕鳥教育 .............................................................. 26
⊂学校 ................................................................ 27
C羈惺 ................................................................ 30
す眦学校 .............................................................. 30
ネ鎮娜燹⊂学校、中学校、高等学校等における特別支援教育、特別支援学校 .. 32
(2)各教科・科目等の内容の見直し ........................................ 33
〜軋 .................................................................. 33
国語 .................................................................. 34
社会、地理歴史、公民 .................................................. 35
せ賛堯⊃学 ............................................................ 37
ネ科 .................................................................. 38
生活 .................................................................. 39
Р山據芸術(音楽) .................................................... 39
┸涓莵作、美術、芸術(美術、工芸) .................................... 39
芸術(書道) .......................................................... 40
家庭、技術・家庭 ...................................................... 40
体育、保健体育 ........................................................ 41
外国語 ................................................................ 42
情報 .................................................................. 44
主として専門学科において開設される各教科・科目 ........................ 44
道徳教育 .............................................................. 45
案段務萋 .............................................................. 46
荏躪臈な学習の時間 .................................................... 47
6.今後の検討スケジュール等 48


■「論点整理」の目的
「本『論点整理』は、2030年の社会と、そして更にその先の豊かな未来を築くために、教育課程を通じて初等中等教育が果たすべき役割を示すことを意図している」「学校を、変化する社会の中に位置付け、教育課程全体を体系化することによって、学校段階間、教科等間の相互連携を促し、さらに初等中等教育の総体的な姿を描くことを目指すものである」


■子どもたちに求めているもの 
「社会的・職業的に自立した人間として、伝統や文化に立脚し、高い志と意欲を持って、蓄積された知識を礎としながら、膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し、自ら問いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら新たな価値を生み出していくことが求められる。学校の場においては、子供たち一人一人の可能性を伸ばし、新しい時代に求められる資質・能力を確実に育成していくこと」
 
 
 ■「社会に開かれた教育課程」の強調
「学校が社会や地域とのつながりを意識する中で、社会の中の学校であるためには、教育課程もまた社会とのつながりを大切にする必要がある。学校がその教育基盤を整えるにあたり、教育課程を介して社会や世界との接点を持つことが、これからの時代においてより一層重要となる」
「これからの教育課程には、社会の変化に目を向け、教育が普遍的に目指す根幹を堅持しつつ、社会の変化を柔軟に受け止めていく『社会に開かれた教育課程』としての役割が期待されている」

ヽ惺散軌蕕鯆未犬討茲蠅茲ぜ匆颪鯀呂襪箸いμ槁犬鮖ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していく
∋匐,燭舛、社会や世界に向き合い関わり合い、自らの人生を切り拓いていくために求められる資質・能力 とは何かを、教育課程において明確化
C楼茲凌妖・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教 育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現

「このためには、教育課程の基準となる学習指導要領及び幼稚園教育要領(以下『学習
指導要領等』という。)も、各学校が『社会に開かれた教育課程』を実現していくこと
に資するものでなければならない」
「教育課程の理念を具体化するためには、学習・指導方法や評価の在り方と一貫性を持って議論し改善していくことが必要」


■学習指導要領をこれまで以上に現場へ徹底する
「学習指導要領等は、学校教育法に基づき国が定める教育課程の基準であり、教育の目標や指導すべき内容等を体系的に示している。各学校は、学習指導要領等に基づき、その記述の意味や解釈などの詳細について説明した教科等別の解説を踏まえ、教育課程を編成し、年間指導計画等や授業等ごとの学習指導案等を作成し、実施するものと定められている」


■次期学習指導要領改訂に向けての課題としてあげられていることは
○「我が国の子供たちについては、判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べたり、実験結果を分析して解釈・考察し説明したりすることなどについて課題が指摘されることや、自己肯定感や主体的に学習に取り組む態度、社会参画の意識等が国際的に見て相対的に低いことなど、子供が自らの力を育み、自ら能力を引き出し、主体的に判断し行動するまでには必ずしも十分に達しているとは言えない状況にある」
○「それは、社会において自立的に生きるために必要な力として掲げられた「生きる力」を育むという理念について、各学校の教育課程への、さらには、各教科等の授業への浸透や具体化が、必ずしも十分でなかったところに原因の一つがあると考えられる」
「21世紀は、新しい知識・情報・技術が社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」の時代である。こうした社会像についての認識を継承しつつ、さらにこれからは、グローバル化や情報化をはじめとした社会の加速度的な変化にどのように向き合い関わっていくのかが問われなければならない。将来の予測が困難な複雑で変化の激しい社会の中で求められる力の育成を、各学校の教育課程や各教科等の授業まで浸透させ具体化していくことが、これまで以上に強く求められることになる」
○「社会に開かれた教育課程」の視点に立ち、社会の変化に向き合い適切に対応していくため、学校教育を通じて育むべき資質・能力を教育課程全体の構造の中でより明確に示し、それらを子供たちが確実に身に付けることができるよう、教育課程の全体像を念頭に置きながら日々の教育活動を展開していくことが求められている」
○「次期学習指導要領等が役割を担うこととなる2030年頃までの変化を見据えつつ、その先もさらに見通しながら、学習指導要領等の在り方について持続的な見直しを図り、学習指導要領等を構造化していくとともに、その構造を各学校が十分に理解した上で教育課程を編成できるようにすることが、次期改訂に向けた大きな課題である」


■一見「学習プロセス」を重視しているようであるが・・・・
「学びを通じた子供たちの真の理解、深い理解を促すためには、主題に対する興味を喚起して学習への動機付けを行い、目の前の問題に対しては、これまでに獲得した知識や技能だけでは必ずしも十分ではないという問題意識を生じさせ、必要となる知識や技能を獲得し、さらに試行錯誤しながら問題の解決に向けた学習活動を行い、その上で自らの学習活動を振り返って次の学びにつなげるという、深い学習のプロセス16が重要である。また、その過程で、対話を通じて他者の考え方を吟味し取り込み、自分の考え方の適用範囲を広げることを通じて、人間性を豊かなものへと育むことが極めて重要である」
「身に付けるべき知識に関しても、個別の事実に関する知識と、社会の中で汎用的に使うことのできる概念等に関する知識とに構造化される17という視点が重要である」


■キャリア教育については
「子供たちに社会や職業で必要となる資質・能力を育むためには、学校と社会との接続を意識し、一人一人の社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度を育み、キャリア発達を促す『キャリア教育』の視点も重要である。学校教育に『外の風』、すなわち、変化する社会の動きを取り込み、世の中と結び付いた授業等を通じて子供たちにこれからの人生を前向きに考えさせることが、主体的な学びの鍵となる」


■育成すべき「資質・能力」
「学習指導要領等がどのような資質・能力の育成を目指すのかについては、教育法令が定める教育の目的・目標等を踏まえて検討する必要がある。教育基本法に定める教育の目的を踏まえれば、育成すべき資質・能力の上位には、常に個人一人一人の『人格の完成』と、『平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質』を備えた心身ともに健康な国民の育成があるべきである」
「社会的・職業的に自立した人間として、郷土や我が国が育んできた伝統や文化に立脚した広い視野と深い知識を持ち、理想を実現しようとする高い志や意欲を持って、個性や能力を生かしながら、社会の激しい変化の中でも何が重要かを主体的に判断できる人間であること」


■「資質・能力」育成の三つの柱
「三要素を議論の出発点としながら、学習する子供の視点に立ち、育成すべき資質・能力を以下のような三つの柱(以下「三つの柱」という。)で整理することが考えられる。・・・・(中略)・・・各教科等の文脈の中で身に付けていく力と、教科横断的に身に付けていく力とを相互に関連付けながら育成していく必要がある」


《注》(前回改訂までの成果)という所には、(特に学力については、学校教育法第30条第2項に示された「基礎的な知識及び技能」、「これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力」及び「主体的に学習に取り組む態度」の、いわゆる学力の三要素から構成される「確かな学力」をバランス良く育むことを目指し、教育目標や内容が見直されるとともに、習得・活用・探究という学習過程の中で、学級やグループで話し合い発表し合うなどの言語活動や、他者、社会、自然・環境と直接的に関わる体験活動等を重視することとされたところである)と記されている。


)「何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)」
)「知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)」 
)「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間
  性等)」


「資質・能力については、学習指導要領等を踏まえつつ、各学校が編成する教育課程の中で、各学校の教育目標とともに、育成する資質・能力のより具体的な姿を明らかにしていくことが重要である。その際、子供一人一人の個性に応じた資質・能力をどのように高めていくかという視点も重要になる」


■これからの時代に求められる資質・能力
○「複雑で変化の激しい社会の中では、固有の組織のこれまでの在り方を前提としてどのように生きるかだけではなく、様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断しながら、自分を社会の中でどのように位置付け、社会をどう描くかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくための力が必要となる。主権を有し、今後の我が国の在り方に責任を有する国民の一人として、また、多様な個性・能力を生かして活躍する自立した人間として、こうした力を身に付け、適切な判断・意思決定や公正な世論の形成、政治参加や社会参画、一層多様性が高まる社会における自立と共生に向けた行動を取っていくことが求められる」
○「様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断しながら、自分を社会の中でどのように位置付け、社会をどう描くかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくための力が必要となる。主権を有し、今後の我が国の在り方に責任を有する国民の一人として、また、多様な個性・能力を生かして活躍する自立した人間として、こうした力を身に付け、適切な判断・意思決定や公正な世論の形成、政治参加や社会参画、一層多様性が高まる社会における自立と共生に向けた行動」
○「生産や消費などの経済的主体等として求められる力や、安全な生活や社会づくりに必要な資質・能力22を育んでいくことや、急速に情報化が進展する社会の中で、情報や情報手段を主体的に選択し活用していくために必要な情報活用能力23、物事を多角的・多面的に吟味し見定めていく力(いわゆる「クリティカル・シンキング」)、統計的な分析に基づき判断する力、思考するために必要な知識やスキルなどを、各学校段階を通じて体系的に育んでいくことの重要性は高まっている」
○「一人一人が幸福な人生を自ら創り出していくためには、情意面や態度面について、自己の感情や行動を統制する能力や、よりよい生活や人間関係を自主的に形成する態度等を育むことが重要である。こうした力は、将来の社会不適応を予防し保護要因を高め、社会を生き抜く力につながる」
○「グローバル化する中で世界と向き合うことが求められている我が国においては、日本人としての美徳やよさを備えつつグローバルな視野で活躍するために必要な資質・能力の育成が求められる。言語や文化に対する理解を深め、国語で理解したり表現したりすることや、さらには外国語を使って理解したり表現したりできるようにすることが必要である。・・・・(中略)・・・・自国と世界の歴史の展開を広い視野から考える力や、思想や思考の多様性の理解、地球規模の諸課題や地域課題を解決し持続可能な社会づくりにつながる地理的な素養についても身に付けていく必要がある」


■汎用的能力の育成をめざす
○「各教科等で育まれた力を、当該教科における文脈以外の、実社会の様々な場面で活用できる汎用的な能力に更に育てていくためには、総体的観点からの教育課程の構造上の工夫が必要になってくる。まさにその工夫が、各教科等間の内容事項についての相互の関連付けや、教科横断的な学びを行う「総合的な学習の時間」や社会参画につながる取組などを行う「特別活動」、高等学校の専門学科における「課題研究」の設定などに当たる」


■アクティブラーニングを現場に徹底
○「学びを推進するエンジンとなるのは、子供の学びに向かう力であり、これを引き出すためには、実社会や実生活に関連した課題などを通じて動機付けを行い、子供たちの学びへの興味と努力し続ける意志を喚起する必要がある」
○「育成すべき資質・能力を育むためには、学びの量とともに、質や深まりが重要であり、子供たちが「どのように学ぶか」についても光を当てる必要があるとの認識のもと、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(いわゆる『アクティブ・ラーニング』)」について、これまでの議論等も踏まえつつ検討を重ねてきた」
○「学習指導要領等の改訂に関する議論において、こうした指導方法を焦点の一つとすることについては、注意すべき点も指摘されてきた。つまり、育成すべき資質・能力を総合的に育むという意義を踏まえた積極的な取組の重要性が指摘される一方で、指導法を一定の型にはめ、教育の質の改善のための取組が、狭い意味での授業の方法や技術の改善に終始するのではないかといった懸念などである。・・・・(中略)・・・・ともすると本来の目的を見失い、特定の学習や指導の「型」に拘泥する事態を招きかねないのではないかとの指摘」


*このような指摘がありながらも、その後で「全国学力・学習状況調査において、主として「活用」に関する問題(いわゆるB問題)が出題され、関係者の意識改革や授業改善に大きな影響を与えたことなどもあり、多くの関係者による実践が重ねられてきている。「アクティブ・ラーニング」を重視する流れは、こうした優れた実践を踏まえた成果であり、また、今後は特に高等学校において、義務教育までの成果を確実につなぎ、一人一人に育まれた力を更に発展・向上させることが求められる」と述べているように、「アクティブ・ラーニング」を現場に徹底しようとする姿勢は明確である。「最先端の教育実践はアクティブ・ラーニング」というような「指導」が上から行われていくことだろう。


■評価については
○「子供たち自身が自らの学びを振り返って次の学びに向かうことができるようにするためには、この学習評価の在り方が極めて重要であり、教育課程や学習・指導方法の改善と一貫性を持った形で改善を進めることが求められる」
○「評価の観点については、従来の4観点の枠組みを踏まえつつ、学校教育法第30条第2項が定める学校教育において重視すべき三要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」)を踏まえて再整理され、現在、「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」の四つの観点が設定されているところである」
○「)(「学びに向かう力、人間性等」)に示された資質・能力には、感性や思いやりなど幅広いものが含まれるが、これらは観点別学習状況の評価になじむものではないことから、評価の観点としては学校教育法に示された「主体的に学習に取り組む態度」として設定し、感性や思いやり等については観点別学習状況の評価の対象外とすべきである」


■カリキュラム・マネジメント
○「子供たちの姿や地域の実情等を踏まえて、各学校が設定する教育目標を実現するために、学習指導要領等に基づきどのような教育課程を編成し、どのようにそれを実施・評価し改善していくのかという『カリキュラム・マネジメント』の確立が求められる」
「社会に
○「開かれた教育課程」の実現を通じて子供たちに必要な資質・能力を育成するという新し
い学習指導要領等の理念を踏まえ、これからの「カリキュラム・マネジメント」につい
ては、以下の三つの側面から捉えられる。

各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な
視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。
 
教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種デ
ータ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサ
イクルを確立すること。
 《注》PDCAサイクル= P(プラン・計画)D(ドウ・実践)C(チェク・評価)A(アクション・再行動)

教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて
活用しながら効果的に組み合わせること」

○「次期改訂に向けて提起された『アクティブ・ラーニング』と『カリキュラム・マネジメント』は、授業改善や組織運営の改善など、学校の全体的な改善を行うための鍵となる二つの重要な概念として位置付けられるものであり、相互の連動を図り、機能させることが大切である。教育課程を核に、授業改善及び組織運営の改善に一体的・全体的に迫ることのできる組織文化の形成を図り、『アクティブ・ラーニング』と『カリキュラム・マネジメント』を連動させた学校経営の展開が、それぞれの学校や地域の実態を基に展開されることが求められる」
○「教科等を越えた「カリキュラム・マネジメント」のために必要な力や、「アクティブ・ラーニング」の視点から学習・指導方法を改善していくために必要な力、学習評価の改善に必要な力等が求められる。教員一人一人が社会の変化を見据えながら、これからの時代に必要な資質・能力を子供たちに育むことができるよう、教員の養成・採用・研修を通じて改善を図っていくことが必要である」


■教育課程の理念の共有化と「指導体制」の強化
○「教育課程を核に、教育活動や組織運営の不断の見直しを図っていくためには、子供たちの姿や地域の現状等を把握できる調査結果や各種データ等が必要となる。国、教育委員会等及び学校それぞれにおいて、学習指導要領等に基づく教育課程の実施状況を定期的に把握していくことが求められる」
○「国や各教育委員会等においても、教科等別の学習指導に関する改善のみならず、教科等を横断した教育課程全体の改善について助言を行うことができるような体制を整えていくことが必要であり、教育委員会における指導担当部課長や指導主事等の力量の向上が求められる」
○「新しい教育課程が目指す理念を、学校や教育関係者のみならず、保護者や地域の人々、産業界等を含め広く共有し、子供の成長に社会全体で協働的に関わっていくことが必要である」


■「道徳」の特別教科化
○「既に学習指導要領が一部改訂され、小学校では平成30年度、中学校では平成31年度から、『特別の教科 道徳』(道徳科)が実施されることとなっている。本『論点整理』が目指す『これからの時代に求められる資質・能力の育成』や、『アクティブ・ラーニング』の視点からの学習・指導方法の改善を先取りし、『考え、議論する』道徳科への転換により児童生徒の道徳性を育むものであり、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方や他者との関わりについても考えを深める学習を通して、道徳的判断力、道徳的心情や道徳的実践意欲と態度を育てるものである」
○「道徳の特別教科化は、これまで軽視されがちだったと指摘される従来の道徳の時間を検定教科書の導入等により着実に行われるように実質化するとともに、その質的転換を図ることを目的としている」
○「『考え、議論する』道徳科への質的転換については、子供たちに道徳的な実践への安易な決意表明を迫るような指導を避ける余り道徳の時間を内面的資質の育成に完結させ、その結果、実際の教室における指導が読み物教材の登場人物の心情理解のみに偏り、『あなたならどのように考え、行動・実践するか』を子供たちに真正面から問うことを避けてきた嫌いがあることを背景としている。このような言わば『読み物道徳』から脱却し、問題解決型の学習や体験的な学習などを通じて、自分ならどのように行動・実践するかを考えさせ、自分とは異なる意見と向かい合い議論する中で、道徳的価値について多面的・多角的に学び、実践へと結び付け、更に習慣化していく指導へと転換することこそ道徳の特別教科化の大きな目的である」
○「道徳の特別教科化の目的である道徳教育の質的転換が全国の一つ一つの教室において確実に行われることが必要であり、そのためには、答えが一つではない、多様な見方や考え方の中で子供たちに考えさせる素材を盛り込んだ教材の充実や指導方法の改善等が不可欠である」
○「道徳の特別教科化を着実に実施するため、文部科学省には万遺漏なきよう諸施策に取り組むことを求めるものである」





zenshinken1963 at 18:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote お知らせ | 拡大学習会