ウオール街
2007年08月15日
最近、こんな本を読みました。
原題は"Wall Street Meat"
直訳すると「ウォール街の肉片」
なんかこのブログみたいなタイトル。
話は著者が潜り抜けてきた80年代から始まるテクノロジーバブルから最近のネットバブルの崩壊までという、アメリカの株式市場と、IT業界の波乱な体験を、ユーモラスに小説仕立てに描いたもの。
IT業界にいる自分としてはインテル、DEC、HP,モトローラ、アップル、AMD、Microsoft、IBM,Netscape、任天堂などなど、おなじみの企業がどしどし出てきて非常に楽しめる内容。
あと、IT業界の泡のような株価と利益の対比のとして、乳業メーカのFremostの話がたびたび出てくるのが印象的。
IT業界で注目される新興企業の現状の売上なんて、よくて老舗の乳業メーカとたいして変わらない。
そんな企業に、老舗の乳業メーカの何十、何百倍もの株価をつけるような、価値はあるものなのかと、筆者はバブルの様相を語っている。
実際、今も日本でmixiやら、なんとかエージェントやら、ネット企業が話題を振りまいてますが、それら企業の売上なんて、老舗でレガシーな商売をやっている名も知れぬ中堅企業の売上程度かそれ以下しかなかったりするものだ。
アナリストとか、コンサルとか、横文字の職業は何かと高給取りっぽくて、人によっては憧れの職業なわけですが、話の中にはアナリストの仕事の給料は仕事のわりに貰い過ぎなくらい高給、みたいな事が出てくる。
そうは言っても、実際、この本で登場する筆者や周囲のアナリスト達の活動っぷりをみると、そのストレスやらハードなスケジュールやら、並みの体力の人ではとうてい勤まりそうににない職業がと思ってしまう。
その過酷な生活を乗り切りつつ、筆者のようにモルガン・スタンレーに入社して早々、「君、何年?」(ハーバード大学の何年の卒業生?という意味)と聞かれてしまうような、想像もつかないウォール街のエリートな人々のノリや雰囲気を知るには良い本なのかも知れないと思いました。