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 前回に引き続き、片山祐輔のPC遠隔事件について、この事件から何を学ぶもとが出来るのか考えていきたいと思います。
 前半では遠隔操作による誤認逮捕とそれに使用されたウイルスの種類について記載しました。
 ここからは、この事件の後半の部分を考えてみたいと思います。



1.事件の経緯(後半)

 前半に引き続きの内容となります。
 PC遠隔事件で誤認逮捕された被害者に、遠隔操作のウイルスが入っていることがわかり、その後再捜査となったわけですが、そんな中、事件は動きだしました。
 この遠隔事件が愛知県と三重県の男性の被害の経緯などが報道等で大きく取り上げらえていた中、10月7日に「自分が真犯人」というメールが弁護士やラジオ局などに送信されました。その中の内容には、今回あまり報道で触れられていなかった他の誤認逮捕された事件の内容の経緯や、報道されている掲示板の犯行予告の文章で、場所や名前など報道で伏せられていた文章が入っており、掲示板の書き込み内容が一字一句まで同じであることからこのメールは本当の犯人のメールであることが断定されました。
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 その後年が明け、2013年1月1日未明に、複数の報道機関や記者宛てに「謹賀新年」のタイトルでメールが送付されました。その内容は、今までの事件の経緯に対しての質問等の回答や、今回使われているウイルス(プログラム)のソースコードや関連ツールなどを先着1名に無償で提供するというものでした。メールアドレスは10月7日のメールアドレスと一致することから新年早々、大きな事件としてニュースで取り上げられました。

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 この4日後の1月5日、再度メールが複数の報道機関等に送付されました。発信元は以前のメールアドレスを僅かに変えた物であるり、その内容によると、1月1日のメールの内容の続きで、「江の島にいるにiesys.exeのソースや犯人の主張を記したテキストファイルを記録した記録媒体を預けた」というメールでした。
 報道機関や警察は犯人を特定するため、江の島に行きましたが、犯人はおらず警察はこの記録媒体を回収しました。
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 この事件で片山祐輔容疑者が犯人だと断定されたのは、この江の島の行動がきっかけでした。この江の島の猫に記録媒体をつけている姿が防犯カメラに写っていたのです。そのことからこの事件は片山祐輔容疑者が犯人だと特定され、2013年2月10日未明に逮捕しました。


2.逮捕後の片山祐輔の行動

 逮捕後片山祐輔容疑者は一貫して無罪を主張していました。警察は一番の目的である「ウイルスの作成容疑」での立件を進めていましたが、遠隔操作のウイルスが使用されていたのにも関わず、この遠隔操作のウイルスが片山祐輔容疑者が作ったものかどうかが立証できませんでした。掲示板からダウンロードしたと言えばそれまで、本当に本人が作った痕跡のある証拠を見つけなければならないのですが、犯人は捕まえたものの、核となる証拠がでてこないという状況でした。

 また、今回の5日のメールの内容から、江の島の防犯カメラにたしかに片山祐輔容疑者が映っていたものの、今回の犯行の発端である掲示板に犯行予告が本当に片山祐輔容疑者本人が書き込みとしたのかどうかという物的証拠が得られませんでした。
 2014年3月5日、東京拘置所に拘留されていた片山祐輔容疑者は1000万円の保釈金を支払い保釈されます。

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 保釈後記者会見を開き、。司法記者クラブで会見を行った片山は「自由とは眩しいものだな」と 発言しました。

3.裁判中に事件は片山祐輔容疑者であるという確信に動いた。

 5月16日、片山祐輔容疑者のの裁判が開かれているまさに、その時間に、自分が真犯人だとする新たなメールが報道機関等に送られてきました。メールは、「自分が片山のパソコンをウイルスに感染させ、片山の犯行に見せかけた」などと書かれていた。 下記がそのメールです。

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 このメールが送信されたとき、片山祐輔容疑者は自分が無罪だと言える思ったのでしょうが、実は警察の捜査員が裁判を行う前に張り込みを行っており、16日よりも前に都内の河川敷で片山容疑者が不審な行動を取っているところを見ていてビデオに収めていました。このメールが送られた後、警察の捜査員はすぐその河川敷に行き、片山祐輔容疑者がいた河川敷のその場所の地面を掘り返すと、スマホが埋められており、そのスマホを確認したところ、送られてきたメールと同じものがありました。その送られてきたメールのアドレスとそのスマホに使われていたメールアドレスと一致したわけです。片山祐輔被告はメール送信のタイマー機能を使って真犯人を装うメールを送っていました。
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 これにより、東京地検は片山の保釈の取り消しを裁判所に請求し、保釈は取り消されました。しかし片山祐輔容疑者は行方をくらましてしまったのです。その後、19日夜に片山祐輔容疑者から弁護団に連絡があり、片山容疑者は「私が真犯人だ」と認め、 5月20日に警察に出頭、逮捕されました。

4.その後の裁判の経緯

 片山祐輔容疑者は、犯行の動機を「権力的なものに対する怒りがあった」とあくまでも義憤に基づくものであったと主張していましたが、2015年2月4日の判決で、東京地方裁判所は爆破予告メールで航空機を引き返させたハイジャック防止法違反も含め、威力業務妨害など10件の犯行を認定し、懲役8年の実刑判決を下した。 その後、片山祐輔被告の弁護団は控訴せず、実刑が確定しております。
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5.片山祐輔容疑者の経歴
 学歴は学習院中等科卒業しその後学習院高等科卒業しております。大学は東京電機大学に入学しましたが、途中中退し、再度IT専門学校に入り卒業しております。
 卒業後は2008年2月からIT関連会社勤務しておりましたが、2012年12月に病気を理由に休職し2013年5月中旬に懲戒解雇されております。

6.後半の事件から学べること

 片山祐輔被告は「自分が絶対捕まらない」といった自身過信があったのではないのでしょうか。「IT」=みんながわからない分野というように決めつけ、ITを使ったいろいろな挑発を行ったと思います。
 しかし、昔とは違いITの分野は幅広い人材がたくさんいます。自分が自身過信になったとしても「見敗れられる」時が必ずくるのです。

 また、ITはデジタルの世界ですが、このデジタルの世界は実は「アナログ」に弱いのです。今回の警察の捜査も、たしかにデジタル分野での操作を行ってきましたが、それよりも捜査員は自分たちで動いて、見て証拠をつかみ、事件を解決する「アナログ」の捜査に徹底したことが今回の逮捕の決め手になった大きな要素だと思います。その結果が裁判中のメールの送信の証拠をつかんだ大きな事実をつかむことが出来たと思います。

 現在デジタル技術はこの「アナログ」に近づけるためにいろいろな研究を行っています。それだけ「デジタル」の力よりも「アナログ」の力というのが大きいと言えます。
 
 セキュリティ面でも、私たちは「デジタル技術」に頼りがちですが、実際のセキュリテイに破られる大きな原因は実は「アナログ」なのです。セキュリティの事件の大半はアナログ、すなわち「人間」が関与していることを忘れないでください。セキュリティを構築する場合、デジタル技術の集合の対策はもちろんですが、その他にも外部に対する「アナログ」の部分をどうやって防ぐかをいうことを考えなければならないということです。
 また、事が起きてしまった場合でも、デジタルの部分に頼るだけでなく、アナログで対応していかなければならないことも十分に理解しなければならないと思います。