1 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:12:11.336 ID:Wrfanp3O0.net
王「勇者よ、どうか魔王を倒してきてくれ」

勇者「いや、魔王退治なんてできるわけないんで」

王「なにを申す。勇者の血をひくおぬしなら絶対できる!」

勇者「いや、血をひいてるだけで何かを成せるようなら誰も苦労しないんで」

王「とにかく、国からも優秀な者をサポートとしてつける。なんとかやり遂げてくれ」

勇者「いや、やるっていってないんで」

王「いいから行け!」

兵士「こちらへどうぞ」グイッ

勇者「いや、こんなの人権蹂躙だと思うんですが……」ズルズル…
4 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:15:14.150 ID:Wrfanp3O0.net
戦士「俺は戦士だ! よろしくな!」

勇者「いや、俺はよろしくするつもりないんで」

戦士「剣術での試合なら誰にも負けたことないぜ!」

勇者「いや、そういうのって大抵本当に強い奴と戦ってないだけなんで」

戦士「一緒に魔王をブッ倒そうぜ!」

勇者「いや、できればあんただけで倒して欲しいんだけど」

戦士(なんなんだ、こいつは……)
6 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:18:44.869 ID:Wrfanp3O0.net
女魔法使い「私は魔法使いよ! よろしく!」

勇者「いや、俺は魔法より科学が好きなんで」

女魔法使い「女だからってバカにしないでよね!」

勇者「いや、あんたみたいな人に限って女の権利を主張したりするよね」

女魔法使い「魔王なんか私の魔法でぶっ飛ばしてやるわ!」

勇者「いや、魔の王に魔法が通用するとは思えないんだけど」

女魔法使い(こいつ、やる気あるのかしら?)
7 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:19:17.454 ID:cEM9KEDT0.net
やる気はないな最初から
8 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:21:40.002 ID:Wrfanp3O0.net
女僧侶「私は僧侶です。あなたと一緒に旅立たせていただきます」

勇者「いや、僧侶って教会で仕事あるだろうし、旅立ったらまずいんじゃないの?」

女僧侶「大丈夫です、神様に許しは得ましたので!」

勇者「いや、そもそも俺神様を信じてないんだけど」

女僧侶「傷ついたらすぐさま回復するのでご安心を!」

勇者「いや、もし即死したらどうするの? 治せるの?」

女僧侶(やたらと疑り深い人ですね……)
9 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:23:27.204 ID:1RrNVa2tr.net
この勇者うぜえw
10 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:25:01.153 ID:Wrfanp3O0.net
村――

村長「洞窟の魔物が、村の若い娘を差し出せといってきて困っとるんです……」

戦士「許せねえ!」

女魔法使い「絶対やっつけないと!」

女僧侶「村の平和を取り戻しましょう!」

勇者「いや、差し出せばいいんじゃないの?」

女魔法使い「なにいってんのよ!」

戦士「よーし、洞窟に出発だ!」

勇者「いや、勝手に目的地決めるなよ」
12 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:28:15.867 ID:Wrfanp3O0.net
洞窟――

戦士「暗いな……」

勇者「いや、洞窟なんだから当たり前だろ」

女魔法使い「大丈夫、私の魔法で照らすわ」ボワッ

女僧侶「さすが魔法使いさん!」

勇者「いや、こんな明かりじゃ全然大丈夫じゃないだろ」

戦士「さあ、行くぜ!」

勇者「いや、行きたくないんだけど」
13 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:31:16.609 ID:Wrfanp3O0.net
洞窟の主「おのれぇ〜、村の奴らは生贄を差し出さぬつもりか!」

勇者「いや、俺としては出すべきだって主張したんだけど」

洞窟の主「いいだろう、だったらお前らを食ってやる!」

勇者「いや、俺はまずいぞ」

洞窟の主「ゆくぞぉぉぉぉぉ!」

勇者「いや、聞けよ!」
14 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:34:39.067 ID:Wrfanp3O0.net
戦士「なんとか倒せたな……」

女僧侶「大丈夫ですか? すぐ回復します!」パァァァ…

勇者「いや、大丈夫なわけないだろ。めちゃくちゃ痛いよ」

戦士「次はどこへ行く?」

女魔法使い「南の森、通称“迷いの森”は魔物の巣窟だそうよ。そこへ向かいましょ」

戦士「迷わないようにしないといけないな」

女魔法使い「大丈夫よ! 年輪を見れば方角が分かるんだから!」

勇者「いや、それ迷信だから」
15 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:36:00.844 ID:1RrNVa2tr.net
一応闘ってはいるのな
16 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:37:33.745 ID:Wrfanp3O0.net
迷いの森――

人喰い植物「キシャァァァァァッ!!!」ニュルニュルッ

女僧侶「きゃあああああっ!」

女魔法使い「ふん、私の炎で焼いてあげるわ!」ボォッ

勇者「いや、植物は意外と燃えないから」

戦士「俺の剣で切り裂いてやるぜ!」

勇者「いや、根っこ潰さないと意味ないから」

戦士「ケチばかりつけてないで戦えぇ!」
17 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:39:00.884 ID:cEM9KEDT0.net
戦ってなかったw
18 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:40:12.904 ID:Wrfanp3O0.net
山――

戦士「この山の頂上には、魔王の手下が陣取ってるってよ」

女魔法使い「たまには山登りも楽しいわね」

勇者「いや、楽しくないから」

女僧侶「知ってます? 山道では出会った人に挨拶しなきゃいけないんですよ」

女魔法使い「へぇ〜、登山客のマナーってやつね」

勇者「いや、このご時世、登山客なんているわけないから」

登山客「ども!」ペコッ

勇者「いや、いるのかよ……ども」ペコッ
19 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:43:08.683 ID:1RrNVa2tr.net
意外に礼儀正しい
20 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:43:27.022 ID:Wrfanp3O0.net
山頂――

巨人「ガッハッハ、来たな勇者ども!」

巨人「貴様らのような下等生物でも、この山のうま〜い空気は分かるようだな!」

勇者「いや、この山の空気は薄いだけで全然うまくないから」

巨人「なんだとぉ!? 許さ〜ん! 踏み潰してやる!」

戦士「来るぞ!」

女僧侶「はいっ!」

女魔法使い「なに余計な挑発かましてんのよぉ!」

勇者「いや、俺のせいじゃないから」
21 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:44:58.901 ID:US5iTaFg0.net
なんやかんや楽しんでるだろこいつ
22 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:46:12.904 ID:Wrfanp3O0.net
港――

戦士「……ここから船を出して、他の大陸に行くわけか」

勇者「いや、船とか乗りたくないんだけど」

女魔法使い「あら、船酔いするの?」

勇者「いや、酔わないから」

女僧侶「大丈夫ですよ! 船なら魔物も襲いかかってきませんし! 安全です!」

勇者「いや、船ってむしろ逃げ場ないから」
23 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:50:15.349 ID:Wrfanp3O0.net
ザザーン…

勇者「……」オエッ…

戦士「ん?」

ゴボゴボゴボ…

ザバァッ!

巨大イカ「ふしゅるるるるるる……」

女僧侶「イカです! イカの怪物です!」

女魔法使い「ふん、イカ焼きにして食ってやるわ!」

勇者「いや、俺はイカよりタコが好きだから」オエッ…

巨大ダコ「グオオオオオオオオッ!!!」ザバァッ

戦士「タコも来やがったぞ!」

勇者「いやぁぁぁぁぁっ!!!」
24 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:52:07.809 ID:US5iTaFg0.net
好きなんじゃねえのかよ
25 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:53:15.038 ID:Wrfanp3O0.net
天空――

戦士「ついに天空まで来ちまったな……」

女魔法使い「ここに住む雷神に認められて、最高の装備を入手しなきゃ魔王は倒せないわ」

女僧侶「雲の上の世界なんて幻想的ですね……」

勇者「いや、雲の上に乗れるわけないから。物理的にありえないから」

戦士「乗ってるんだからしょうがねえだろ!」

女魔法使い「あ、もしかして怖いの?」

勇者「いや、怖くないから」

女僧侶「えいっ」ドンッ

勇者「いや、押すなバカ!!!」
26 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:54:25.952 ID:US5iTaFg0.net
馴染んでる
27 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:56:42.068 ID:Wrfanp3O0.net
雷神「ワシに勝てれば、空の力が宿る装備を授けよう……」

勇者「いや、別にいらないんだけど」

戦士「今さらそんなこというなよ!」

女魔法使い「来るわよ!」

雷神「轟け、稲妻!!!」

ズガァンッ!!!

勇者「いや、雲の上で雷とかおかしいから……」プスプス…

女僧侶「ああっ、すぐ回復します!」
28 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:57:08.499 ID:H7AVJ9BO0.net
楽しそうでわろた
29 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 00:59:22.054 ID:Wrfanp3O0.net
魔王城――

女魔法使い「あれが魔王城だわ……」

女僧侶「いよいよ決戦ですね」

戦士「乗り込むぜ!」

勇者「いや、乗り込みたくないんだけど」

戦士「とかなんとかいって、なんだかんだここまで来てんじゃねーか! さ、行くぜ!」グイッ

勇者「いや、今度こそ本当に行きたくないっ!」ズルズル…
31 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:02:24.447 ID:Wrfanp3O0.net
女僧侶「敵も強いし、罠だらけだし、さすが魔王城ですね……」

勇者「いや、これはおかしい」

女魔法使い「へ? どうして? だって魔王軍の本拠地なのよ?」

勇者「いや、本拠地をこんなに罠だらけにしたら、かえって不便だろ」

女魔法使い「たしかに……」

戦士「そうかも……」

女僧侶「どういうことでしょう……」

勇者「いや、マジになって考えられても困るから」
32 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:05:18.031 ID:Wrfanp3O0.net
魔王「フハハハ……! とうとうここまで来たか勇者よ……」

勇者「いや、来たくて来たわけじゃないんだけど」

魔王「人間と魔族、どちらが滅ぶか、互いの運命をかけて戦おうではないかァ!」

勇者「いや、そんなもんかけたくないんだけど」

戦士「俺の剣で叩き斬ってやるぜ!」

女魔法使い「年貢の納め時よ!」

女僧侶「回復は任せて下さい!」

勇者「いや、俺はまだ心の準備が……」
34 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:08:53.123 ID:Wrfanp3O0.net
魔王「ザコどもがァァァァァ!!!」ブワッ


ズガガァァァァァンッ!!!


戦士「ぐはぁぁぁ……っ!」

女魔法使い「あぐぅぅぅ……っ!」

女僧侶「きゃあっ……!」

勇者「いやぁ……っ!」
35 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:11:30.031 ID:Wrfanp3O0.net
魔王「フハハハハハハハ……!」

魔王「我は数千年の時を生きている魔族の長、多少強い人間風情が敵うわけなかろうが!」

戦士「あ、甘かった……! 強すぎる……!」

女魔法使い「今まで倒してきた魔物とは、桁違いだわ……」

女僧侶「諦める、しかないんでしょうか……」

魔王「その通りだ! いさぎよく諦めて、仲良く地獄に落ちるがよい!」

勇者「……」

勇者「いや……諦めないよ」
38 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:12:59.763 ID:OljynWuSr.net
!?
37 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:12:32.689 ID:IeQRR9Vy0.net
いいぞ
39 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:14:24.561 ID:Wrfanp3O0.net
魔王「なんだとぉ……!?」

戦士「勇者……!?」

魔王「たかが少しの間旅をしただけで、本気で我に勝てると思ってるのか!?」

勇者「いや、俺たちの旅は少しではあったが、濃厚だった。お前の数千年に決して劣らない密度だ」

魔王「バカなことを!」

勇者「いや、バカじゃない。俺たちなら……お前に勝てる!」
40 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:17:19.298 ID:Wrfanp3O0.net
戦士「へへ……らしくもないことを。いや、いつも通りか……」ムクッ

女魔法使い「なんだか勇気が出てきちゃった」ムクッ

女僧侶「これも勇者さんのおかげですね」ムクッ

魔王「な……!? あれほどの攻撃を受けて!?」

勇者「いや、お前らなら俺がいなくても立ち上がれたと思うよ」

戦士「ありがたいこといってくれるぜ! うおおおおおっ!」

ザシュッ!

女魔法使い「私の魔力を全部叩き込む!」

ドゴォンッ!

魔王「ぐはぁぁぁ……っ!」

女僧侶「勇者さんを回復させます!」パァァ…

勇者「いや、全体回復の方が――」

戦士「いいから! お前一人が全快した方がいい!」
41 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:20:06.681 ID:US5iTaFg0.net
勇者覚醒した
42 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:20:23.140 ID:Wrfanp3O0.net
魔王(ぐうう……油断した! だがこの程度、すぐ再生すれば……!)シュゥゥゥ…

勇者「いや、させないよ。こんなチャンスを逃すわけないだろ」

魔王「――!?」

魔王「ま、待てっ! 待ってくれっ!」

勇者「いや、待たない」


ザンッ……!


魔王「ぐおあぁぁ……っ!!!」
44 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:23:29.686 ID:Wrfanp3O0.net
魔王「ぐはっ……魔族の頂点たる、この我が……」

魔王「こんな矮小な……人間どもに……」

魔王「だが、覚えておけ……。いつの日か、我はまた必ず復活し、人間どもを、根絶やし、に……」

勇者「いや、復活しなくていいから」



ボシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
46 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:26:41.097 ID:Wrfanp3O0.net
戦士「……終わったな」

女魔法使い「終わったわね……」

女僧侶「終わったんですね」

勇者「いや、荒れ果てた町や村の復興とか考えると、大変なのはこれからなんだけど」

戦士「ったく、相変わらずだな!」

女魔法使い「さ、帰るわよ!」

女僧侶「きっと王様も首を長くして朗報を待ってますよ!」

勇者「いや、人間の首は伸びないから」
47 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:30:07.137 ID:Wrfanp3O0.net
城――

王「おお、勇者よ!」

王「正直いって不安だったのだが……よくぞ魔王を倒してくれた!」

勇者「いや、不安だったとか余計な一言いらないんで」

王「ハハハ、すまんすまん」

王「おぬしには本当にすまぬことをした。さぞかし危険と苦難に満ちた旅路であったであろう……」

勇者「いや……」

勇者「結構楽しかったですよ」







―END―
53 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:37:20.971 ID:US5iTaFg0.net
面白かった乙
52 :絶望的な名無し(. . ) 2018/11/06(火) 01:35:36.036 ID:OljynWuSr.net

不覚にも最後でちょっとぐっときた