2008年06月24日

南アフリカ移民襲撃その後 6月15日−3

6b109dbc.JPG全世界でインフレが起きているが、南ア低所得者層も大きなダメージを受けている。写真はプレトリア市の福祉省から発行される低所得者向け食糧配給切符を求めて列をなす人々。(Pretoria News 2008年6月13日)



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南アフリカ移民襲撃その後 6月15日−2

7cb0e5bc.JPG施設の移民女性・子供に乱暴だとクレームをつける移民と警察が衝突した移民施設も。(Pretoria News 2008年6月13日)


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南アフリカ移民襲撃その後 6月15日

36eec28c.JPG最近は移民への暴力事件も聞かなくなってややほっとしているのだが、先日の暴行事件により、住んでいた所から追い出された移民は数万人にのぼり、彼らが住まうための移民施設をめぐって さまざまな議論が出ている。ヨハネスブルクのある地区では、暴行事件が起きた住宅地のすぐ隣に移民施設が建設された。これでは移民が再び暴力の被害者となってしまうということで、人権保護団体が 、施設への移民移送に反対。裁判所も、この地区への移民施設設置は不適切ということで、移送を取りやめにした。いずれにせよ、各地に移民施設が建設されたのだが、生活環境、とくに食事環境や、地元南ア警察による移民の乱暴な取り扱いは耐え難いもののようで、先日も、施設警備にあたる警察や、食事配給に来た赤十字などの援助団体職員を、施設の移民一部が襲った。幸い大事にはならなかったようだが、食事量がかなり少ない(一日にサンドイッチパンを2枚しかもらえなかったというクレームも)、不定期に食糧が配給されるため、避難施設の移民のストレスが高まっているようである。私と夫がギモンに思ったのは、難民への給付金である。ジンバブエにいたアフリカ諸国の難民は、毎月200〜300アメリカドルくらい、国連かどこかの組織と政府を通して外貨で支給されていた。数年前から外貨ブラックマーケットが発生し、外貨価値が著しく上がったジンバブエでは、一部難民は支給された外貨を使って、地元ジンバブエ人よりもいい暮らしをしていた者すらいたものだ。あの支給金は、南アには存在しないのだろうか?下にも書いたが、現在、南ア現地人にとっても食費の高騰により生活は難しくなっている。今回避難した移民の中にはかなり難民もいるだろうし、少しでも外からの援助があれば助かるのである。

また、どこに移民施設を設置するかということで、国民の一般的な意見としては「自分の住宅地の隣には設置して欲しくない」。立ち退きをせまられた移民は、低所得者の中でも更に貧しく、そのため通常の住宅地に住むことができず、インフォーマル住宅地に住んでいた者も 多い。こうした貧者が隣に住むと、犯罪率が高くなるとか、土地価格が下がるとかいった理由で、一般的には、彼らは受け入れがたい存在なのである。政府としては、反対住民がいる郊外には移民施設を設置しないよ うにするようだが、こうした意見に対して、国民の一部、特に低所得者層からの新聞投稿にこんなものがあった。「移民たちは我々の許可なしに勝手に我々の隣に住み始め、犯罪率を上昇させたのである。なぜ我々が移民を嫌うか分るだろう」「移民に対する暴力がひどいことだと、暴力加害者を非難したのは金持ち住民である。ならば金持ち住民は彼らの住宅地への移民施設設置をみとめるべきである」。なるほど、「移民がかわいそうだ、暴力をやめろ」と『言う』のは 、人間として当然のことながら、言うだけなので簡単である。しかし、いざ貧乏移民がドサーッと数百人単位で隣に引っ越してくると思うと、高所得者としてはイヤであろうし、また、『移民は犯罪に手を染めやすい』という思い込みが激しい(統計をとれば、移民犯罪者はそれほどでもないだろうと思う)南アでは、不安になる。『言うは易し、行うは難し』。隣の空き地に住んでいるインフォーマル住宅とその住民を毎日ながめつつ、「彼らがここにいない方がなんだか安心するよね」と思う私も『言うは易し』グループに入っている。

移民施設に関する投稿意見の中には「移民施設は国会施設に設置すればよい。アパルトヘイト時代に移民の国で世話になっていたのは、現在の政治家である」というのもあった。というのは、アパルトヘイト時代には 、当時の黒人政治運動家がおおく国外へ逃れ、近隣のアフリカ諸国で保護を受けて暮らしていたのである。民主化後、彼らは南アに帰国し、現在政治家として活躍する。だから、政府と政治家が移民の世話をするべきだ、 まあしないだろうけど、という皮肉である。アパルトヘイト時代にアフリカ諸国で保護を受け、現在南ア政府で働く南ア人を、夫が数人知っているのだが、多くの者がアフリカ人移民を軽蔑し、嫌っているらしい。このようなアフリカ移民蔑視が政府に 存在するのは、今回の暴行に対する政府の処置の遅さからも伺える。

それにしても、今回の移民に対する暴行は、本当に、移民に対する憎しみのみで起きたのか。以前も書いたように、住民の間の貧困がもっと大きな理由としてあると思う。最近、米国コメディアン・俳優のクリス・ロックが南ア公演に来ていて、 「黒人による黒人に対する暴力ではない。貧乏人による貧乏人に対する暴力だ」と今回の南ア移民暴行事件についてコメントした。今回の事件に対し「黒人同士が殺しあっている」として眉をひそめる投稿がたくさん新聞に載ったが、人種差別の歴史をもつ南アでは、他人種に対する嫌悪は未だに見られ、それだけに、同人種間の争いは、さらに憂慮されるべき状況だと考えられがちだからだと思う。しかし、ジンバブエに長く暮らした私は、民族や国籍、その他諸々の背景が異なれば、黒人同士でもかなり仲が悪くなることを知っていたし、南アの黒人間でも民族主義が結構つよく存在するのを感じたため、今回の事件についても「黒人同士が、、、」という印象は弱かった。そのように見るよりは、貧乏人による貧乏人に対する不満、暴力がどのように爆発したかを知る必要があるとおもう。 現在進行するインフレ、長期化・慢性化した南アの貧困が、今回の移民に対する暴行事件の、より大きな原因ではないか。

写真は施設の移民に物を投げつけられる食糧援助スタッフ。移民はメディアスタッフにも攻撃的。食糧が満足に支給されず、施設住民の間でストレスが高まっている。(Pretoria News 2008年6月13日)




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ジンバブエ大統領選・国会議員(上院・下院)選速報! 6月15日−2

4a03564b.jpg今年5月に発行された『50億ドル』のアグロ・チェック。アグロは農業のAgroで、農民の便宜をはかって発行されたものだが、どのように流通しているのかはよく分からない。印刷の質がかなり落ちるとの事だが、写真でも見ても察しがつく。異常なインフレの加速は住民にとって耐え難いものになっている。(This is Zimbabwe 2008年5月30日)


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ジンバブエ大統領選・国会議員(上院・下院)選速報! 6月15日

3c3d64c0.jpgジンバブエ大統領選・国会議員(上院・下院)選速報!

6月15日

最近のニュースでは、ジンバブエのインフレ率は100万〜200万%と出ていたが、 これは本当にすごいインフレだ。いったい、こんなインフレが可能なのかと思われるかもしれないが、昨年までジンバブエにいた私は、なんとなく、ああなってこうなるからこれくらいのインフレ率が出てもおかしくない、というのが分る(残念ながら、私の能力ではパッと数字やデータで説明しきれないのだが)。ともかく、ジンバブエドルは おそろしく価値が 低くなっているため、Million(百万)とかBillion(10億)単位で色々計算しなくてはいけない。たいへんなのは住民で、ジンバブエドル価値が下がり、物価が上がっても、毎月の給与は一緒に上がらないため、生活は極端に苦しくなる。昨年の時点でも、給与が上がらないため、職場に通う交通費が給与にかなり近くなるか、給与よりも高くなってしまい、「働いても仕方が無い/働きたくても働けない」状況になり、仕事を辞める人々も多くいた。


今月末に行われる大統領再選挙結果が出るまで、また、結果によっては選挙後も、このインフレが続くだろう。経済低迷が続くジンバブエでは、国民の4百万人が食糧援助を必要としている とのことだが、最近イタリアで開催された食糧関係のサミットに、ジンバのムガベ大統領が出席し、自国の食糧状況を改善出来ないジンバブエ大統領に対し多くの国々から非難の声が上がった。選挙に伴うZANU-PF要員による暴力は続いており、最初の大統領選に独立出馬したマコニも、今回の選挙運動が暴力に妨害され、自由選挙が実践されるような状況ではないため、大統領再選挙をやめるようにという発言をした。MDC党首ツァンギライは、再選挙のキャンペーン中に3度ほど警察に拘束されている。MDC支持者とその家族へのZANU-PF要員による暴行はおさまらない。このような状況でも、再選挙は行われるのだろうし、ムガベが勝てば、経済状況はさらに悪化の一途を辿るだろうし、住民の政府に対する不信と恐怖はつのるばかりだろう。

どうして、アフリカには、ムガベのような暴力的な独裁者や与党政府が出るのか、と思われるかもしれないが、平和的で住民のことを 思う政治家もいるのである。ムガベ以前にジンバブエの独立の父として活躍したンコモは、副大統領として活躍し、1999年ごろに亡くなったが、ジンバブエ住民の発展のために意欲的に働き、 遅々として進まない土地改革について独立以後ずっと心配し続けていた。賄賂や横領で肥え太る同僚と違い、死ぬまで慎ましく暮らす人だった。国民の支持を受けながらも彼が大統領になれなかった理由は、彼が少数民族のンデベレであったことは大きな理由だ ろうが、それだけではないだろう。いわゆる『いい人』たちは、暴力的になれないため『悪い人』たちに負け がちである。これは、起こらないようでいて、実際はよく起こることである。暴力に暴力で返すことが出来ない場合、暴力的な派閥に一歩譲って戦争をとめるか、負けるしかない。また、 国民の利益を最優先すれば、その国に関心をもった諸外国の支援を受けられなかったりする。賄賂や汚職が苦手であると、賄賂や汚職が好きなグループと分派しなくてはならなくなったりもする。こうして、よい政治家たちの影が薄くなる、という感じがする。

写真はものすごいインフレのため、飴玉一こ1500万ジンバブエドルで売る通りの菓子うり。黄色の値札にある10M、15MのMはMillion(百万)
(The Huffington Post 2008年5月21日)



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