放射能 水道水 子供 関東 原発事故5月20日の「東京-仙台間の移動は被曝リスクを伴うものに…放射線量考察」の中で、栃木県那須塩原市の空中線量が高い事に着目したが、5月13日に栃木県宇都宮市で下水汚泥の焼却灰から高濃度の放射性セシウムが検出されたと言うニュースがあった。この点は、水道水の放射能汚染を考えるときに非常に重要な要素になるのではないかと思う。

これは、一連の水道水の放射能汚染は利根川水系以北が一つの境になっている点を考慮した場合、利根川水系の北部に位置する栃木県の汚染状況を考える事によって、関東地方の水道水に与える影響を垣間見れるのではないかと言えよう。

栃木県の汚染状況から垣間見れるもの


「東京-仙台間の移動は被曝リスクを伴うものに…放射線量考察」の中で、『特に空間線量の面に関しては(南関東地域から見た場合)那須・太田原盆地-矢板間にある山岳地帯が、結果的には放射線量の進攻を阻んでいる防波堤の役割を担っているのではないかといえるのではないだろうか??』と、言う考察を出したが、5月13日に宇都宮市の下水汚泥から高濃度のセシウムが検出された件は、この考察を裏付けているように思える。

先ず、栃木県HPに拠れば処理施設で検出されたセシウムの量は以下の通り。


      水汚泥等の放射性物質の調査結果2011年5月10日

 下水道施設名   試料採取日 試料名 放射性セシウム(Bq/kg)
下水道資源化工場
(宇都宮市 茂原)    5月2日  焼却灰  32,000
鬼怒川上流浄化センター
(日光市 町谷)      5月2日 下水汚泥 4,000
巴波川浄化センター
(栃木市 城内町)    5月2日 下水汚泥  280
北那須浄化センター
(大田原市 宇田川)   5月2日 下水汚泥  4,200
県央浄化センター
(上三川町 多功)    5月2日 下水汚泥  620
大岩藤浄化センター
(栃木市 藤岡町)    5月2日 下水汚泥  330
思川浄化センター
(野木町 野木)      5月3日 下水汚泥  230
秋山川浄化センター
(佐野市 植下町)    5月2日 下水汚泥  980
※放射性セシウムの値は、Cs-134、Cs-137の合計値

この数字を先日発表されたWSPDEEIのヨウ素131の地表降下量予測図に落とし込んでみると以下の様になる。

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これを見ると、地表降下量予測図の流れと大凡リンクする。
太田原(4,200Bq)→日光(4,000Bq)→佐野(980Bq)
太田原(4,200Bq)→上川町(620Bq)※1→栃木(330Bq、280Bq)→野木町(230Bq)
―――と、言う流れになっていることが分るが、これは米国エネルギー省が東北新幹線の被曝量や健康基準を超過した駅名を5月13日に公表した中で、駅の空間線量の
那須塩原駅0.46μSv/h→宇都宮駅0.074μSv/h→小山駅0.069μSv/h※2
と、言う南下する毎に低下する点とリンクしている事も付け加えて指摘しておく。

※1上川町の部分のみ水色の低濃度汚染地域で表示されているが、処理施設は基本的に周辺自治体の分の処理も行う点を考慮すれば、地表降下線量図との矛盾はそこまでないと考えれる。
※2小山駅は栃木、野木町のホボ中間にある。

宇都宮のみ、32,000Bqと非常に高い数値を指し示しているが下水汚泥を焼却した為、放射性物質が濃縮された結果であると言える。これは、水道水を煮沸させると濃縮させてしまうので行ってはならないと言う理屈と同様に考えればよいだろう。

高濃度の焼却灰が検出された宇都宮市の下水道資源化工場施設で処理される下水汚泥が何処から来たものかと調べてみると、「那須塩原市と栃木県との間の下水道資源化工場施設の建設及び維持管理に関する事務の委託に関する規約〔県土整備部都市整備課〕  平成17年01月14日 告示第10号」の中で、

『下水道資源化工場施設の建設及び維持管理に関する事務の委託に関する規約

(委託事務の範囲)
第一条 委託者は、公共下水道事業及び流域下水道事業から生ずる汚泥の処理の用に供するため、宇都宮市、足利市、鹿沼市、日光市、小山市、大田原市、矢板市、那須塩原市、さくら市、益子町、茂木町、市貝町、芳賀町、壬生町、高根沢町及び那須町(以下「関連市町村」という。)と栃木県とで共同して設置する下水道資源化工場施設に関する次に掲げる事務のうち委託者が処理すべき事務(以下「委託事務」という。)の管理及び執行を栃木県に委託する。
一 下水道資源化工場施設の建設に関する事務
二 下水道資源化工場施設の維持管理に関する事務
三 前二号に掲げる事務に附帯する事務
(平一七告示二六四・平一七告示七四八・平一八告示三六・平一八告示二六四・平一九告示二八〇・一部改正)』
―――と、ある。

前述の日光(4,000Bq)、太田原(4,200Bq)の高濃度汚染された汚泥が宇都宮で再処理された事になるし、前述した、『特に空間線量の面に関しては(南関東地域から見た場合)那須・太田原盆地-矢板間にある山岳地帯が、結果的には放射線量の進攻を阻んでいる防波堤の役割を担っているのではないかといえるのではないだろうか??』と、言う高線量が計測されている地域(那須町、那須塩原市、太田原市)も含まれるので、宇都宮の再処理施設での焼却灰が高濃度になる事は十分に説明が出来る。

利根川水系と栃木県水系の関係

前項では栃木県の下水汚泥をフォーカスしたが、下水汚泥は生活排水や市街地に降った雨水mの含まれる為、その地域の水道水や雨水の汚染量を測り知るには丁度イイと言えるだろう。さて、水道水は概ね、河川か雨水のどちらかに頼っている訳だが、関東地方の水道水の汚染を考えた場合は、利根川水系を無視して考える事は出来ない。


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上図は栃木県水系と他県の水系(主に利根川水系)との接続を可視化したものだが、
渡良瀬川水系(紫色)は、茨城県古河市付近で利根川水系に合流する。
鬼怒川水系(水色)は千葉県野田市-柏市の間で利根川水系に合流する。
那珂川水系はそのまま茨城水戸市・ひたちなか市方面へ流れて行く。

下図は、文科省発表の3月18~25日の水道水の放射能測定値(ヨウ素131)をグラフ化したものだが見て欲しい。
※対数グラフなので目盛の間隔に注意

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茨城県(ひたちなか市)は断水の為、3月18-19日の測定値は出ていないが、1週間の間に2回50Bq/kgを超えているのが分かる。同様に栃木県(宇都宮市)は同期間に100Bq/kg超えが1回、50Bq/kg超えが2回計測されている。
茨城、栃木に次いで高いのが東京都(新宿区)で同期間に25Bq/kg超えが2回(10Bq/kg超えであれば4回)計測、埼玉県(さいたま市)では10Bq/kg超えが3回となっている。

しかし、利根川水系上流の群馬県(前橋市)では、同期間に10Bq/kg超えが1回もない。つまり、利根川水系の上流は思ったよりも汚染されておらず下流に行くほど汚染度合いが強くなっている可能性がある。

それを検証する為にも、利根川水域の1都3県の水道水放射能値を以下に対数表にし、計測地点を地図に落として可視化したのを見て貰いたい。また、栃木県は宇都宮市のみでの計測のしかデーターがないので上表を参照
(各図ともクリックで拡大可)

群馬県 汚染 水道水 放射能 ヨウ素131















榛東村、千代田町、みどり市で時々、前橋市を超える数値が観測されるが、不検出も多いが基本的には前橋市の数値を上回る事はなく、前述の1都7県(文科省発表)のグラフとホボ大差がなく、概ね低めの傾向があると言える。


埼玉県 汚染 水道水 放射能 ヨウ素131












大久保浄水場以外の数値は23日以降の計測分しかないものの、大久保浄水場以外の浄水場は総じて25日までは大久保浄水場よりも高いが、これは全浄水場が利根川水系から水を引いている為であると言えるのではないか?
但し26-27日に、吉見浄水場が不検出になっている点は、推測であるが荒川の水を引いている事と関係があるのではないだろうか??

実質的には前出の1都7県(文科省発表)のグラフの数値よりも高いと考えた方が現実的であると言える。

東京都 汚染 水道水 放射能 ヨウ素131














東京都は3月15,16日の数値は金町浄水場で全β放射能0.4Bq/ℓと、言う表記でしか書かれていない。更に
(注1) WHO飲料水水質ガイドラインの値は、全α放射能では0.5Bq/リットル、全β放射能では1Bq/リットルです。
(注2) 金町浄水場における過去20年間の測定値は、0.0~0.5Bq/リットルです。
―――と、3月17日の発表では記載されているにもかかわらず、3月23日の発表以降は「※不検出<20Bq/キログラム」と、されており発表基準が大幅に変更された事がうかがえる。よって、上表の20Bq/kg未満の数値に関しては不検出(≒0)としたが信憑性はイマイチとしか言いようがない。

尚、3月23日以前の荒川・利根川からの水を使用している朝霞浄水場は、埼玉県吉見浄水場にも似た事例があり、矢張り荒川・利根川からの水の使用比率によって、検出量に極端な上下があるのではないかと推測する。小作浄水場は多摩川を水源としており、降雨による影響のみで説明が可能であると言えるだろう。

金町浄水場のデーターと新宿区の水道水のデーターを比べると21日以前にも高い数値を記録してたのではないかと推測出来るが前出の1都7県(文科省発表)のグラフの数値よりも遥かに高いと考えた方が現実的であると言える。

千葉県 汚染 水道水 放射能 ヨウ素131













文科省発表はポスト地点が千葉県市原市(水源養老川)であり、本表とはまったく違って低過ぎる数値であり、極端に言えば東京の小作浄水場(水源多摩川)と同様に、本稿では特に注目するに値しないと言える。然しながら、千葉県の主要部の水源と異なる水源を使う水道水を、同県のサンプル例として出す文科省のやり方は如何なものであろうか??

千葉県は今見て来た1都3県の中で全般的に放射性物質の含有量が高く、幼児摂取制限のある暫定数値100Bq/Kgを4か所で超えている点も最も水道水汚染が深刻であると言える。

福島第一原発事故 モニタリングポスト チェルノブイリ以上の様に見た場合、関東地方の水道水汚染に関しては、利根川水系の果たす役割が大きいのではないかと言えるのではないかと思う。

先日UPした東京もチェルノブイリ放射能管理区域相当が濃厚にの中では、放射性ヨウ素131降下量概数推測値(3月11-25日累積 左図 クリックで拡大可)を出したが、水道水や浄水場のデーターを見る限りでは、確かに東京小作浄水場(多摩川水系)の様に黒い雨の降雨による放射性物質の増加は認められるものの、相対的な影響は低いと言わざるを得ない。

古来より
「水は(高きから)低きに流れる」
―――と、言われるが、その格言を証明したとも言えるだろう。

水道水に関しては東京都の20Bq/kg未満の数値に関しては不検出(≒0)の様に、一定の数値以下は発表されないにしても、現状としては浄水に拠るフィルタリングも機能しているようではある様に思えるし、雨天後の水道水に気をつけるようにすれば成人であればそこまで問題があると言える事ではないだろう。