しゅさいのブログ

コメディ作家で、劇団ZIPANGU Stage主宰の今石のブログです。
稽古日記や、スポーツ観戦記などなど。
お気軽にお立ち寄りくださいませ。

『日の出政府のW杯』の裏のもう一つのドラマ(3)

こうやって後から連載形式(?)で振り返っていると、その当時、ワタシが随分長いことグルグル悩んでいたように読めるのだけど、悩んだのは実際はほんの僅かな時間です。なにせそんな暇なんて全くなかったですから。本番初日まで、10日。決断したら、もう動き出すしかないのです。それが、どれだけ困難で不可能ギリギリのミッションだったとしても。

貴城さんには電話で、後のことはこっちでなんとかするから、身体を治すことに専念して欲しいと伝えました。申し訳なさそうに、「代役のあてはあるんですか?」と、貴城さん。ワタシはこう言いました。
「譲さんの役を、貴城さん以外の役者さんにやらせる気はないから」

ワタシに最後の決断をさせたのはその部分でした。二か月近く、二人で育ててきた譲さんという登場人物を、他の役者さんがやる姿は想像できなかった。これまで稽古してきて、ここで降板せざるを得なくなった貴城さんがどれだけ無念で忸怩たる思いなのかは想像に難しくなかったですし。

その日のうちに、他の役者さんには、台本を修正する旨を伝えました。緊急事態故に、快く同意してくれた役者さんたち。でもその内心には不安やら焦りやらの計り知れないモノがあったと思います。そりゃそうだ。既に3分の2以上のセリフと段取りは入れてもらってましたから。それが、この時期になって。

翌日月曜日、この日は本番までの最後の稽古休みの日でした。いつもの公演ならば、演出としての準備やら残った制作作業やらをここでやるのだけれど、全て後回しにさせてもらいました。この日のうちに修正台本をあげなければ、実質公演は無理だと思っていました。勝負は一日しかない。

台本上の譲さんには登場人物としての、おおまかに二つ役割がありました。ひとつは主人公のバディ(相棒)役。時にくじけそうな主人公に寄り添い、共に目的に向かう人物。もう一つはそのキャラクター故におかしなコトを喋ったりして、本質的には決して明るくはない状況設定を持ったこのお話を、楽しめるコメディとして明るくする役割でした。それを彼抜きで果たしてどうやるか。そして、他の役者さんの負担を考えるに、既に入れてもらったセリフは極力変更しないでそれを達成することが望ましいのです。更にかつ、これが一番大事なことなのだけど……
台本の改稿は、改稿以前より(台本自体が)面白くなるべきで、改稿してつまらなくなってしまっては全く意味がないのです。それはこんな緊急事態であろうと、そうあるべきだとワタシは思うし、実際そうならなければ、降板した貴城さんにも、他の役者さんたちにも申し訳がたたないとも思う。今、思い返してみても、無茶苦茶なハードルの高さで、不可能ミッションにも思えてしまうのです。自分ごとながら。

2場の、譲さんの最初の登場シーン。ここで彼が登場することで、物語が次の展開を迎えるのだけれど、彼が出てこなくてもそれ以上に、同じ効果を与える出来事を起こさなければならない。3場の中盤の山場で、譲さんが励ますことで主人公が奮い立ったりするのだけれど、それを彼抜きで、かつより鮮明にそのシーンを際立たせなければならない。なにか良い手はないものかと、考えて考えて……

思いついたのが、主人公の敵役だったコヤさんの役を、敵役と同時に、バディにできないかということでした。敵役なのに相棒。なんだそりゃワケわかんねえってなりそうな、強引すぎるやり口なのだけど、その方向性で各シーンを見直してみたら、これが案外……

いける!

そういうコトが起こるのは、ワタシにしては珍しいのだけれど、
それから大急ぎでパソコンのワープロソフトを開いて直しを始めて、ふと気がついたら5時間くらい経過していて(その間の記憶はほとんどない、です)
気がついたら、台本から、譲さんという登場人物はいなくなっていて、
つまりは改稿は全て終わっていたのでした。

『日の出政府のW杯』の裏のもう一つのドラマ(2)

さて、どうすればいいのか、どうすべきなのか……

その日の稽古の、夕方の休憩時間に、事故にあってしまった貴城さんから電話がありました。精密検査の結果、脳や内臓に異常は見られなかったのだけど、外傷、特に顔の裂傷が酷くて(特に目の周りの傷が酷かったようです)とても一週間程度で治るような怪我ではないようだ、と。
その時から、ワタシの頭はぐるぐる回り始めたのです。

もし、本番10日前の段階で役者さんが降板してしまったら……
演出家として取りうる対応はおそらく三通りくらいしかないと思う。

(1)降板した役者さんに代役を立てる
(2)脚本を書き換える
(3)公演自体を中止にする

もしも運良く、降板した役者さんの代わりに本番を努めていただける役者さんが見つかれば……
対処としてはそれが一番スムーズ。台本は現状のままで出来るし、周りの役者さんへの負担も一番少なくて済むのです。ただ、普通はそんな都合よく、翌週に迫った本番スケジュールを全てこじ開けてくれる役者さんが見つかるワケはなくて、よしんば見つかったとしても、本番までひと月もあるならいざしらず、残り10日もない僅かな時間で全てのセリフを入れていただいた上で、他の役者さんとのコンビネーションも磨かねばならないですから……
それはもう、代役の役者さんの能力次第ではあるけれども、ある種の賭けにはなってしまうのですね。

うちの劇団の公演の場合は、座付作家(つまりワタシ)がいるワケなので、脚本を書き換えて、降板した役者さんの、役そのものを削るという選択肢はあります。ただ、今回の場合は貴城さんの役は重要な役でしたので……それをやれば、これまでの稽古で培ってきた台本の、構造やらバランスやらが全て崩れることになります。単純にセリフを他の役者さんにふれば済むのであればさほど難しくはない、と思う。でも、役割をきちん伴った役を削ってしまったら……それはもう、台本を根本から見直すのに等しい作業になってしまうのですね。他の役者さんにしても、改めてセリフを入れ直すことになって、その負担は計り知れないとも思う。

(3)の選択肢は、最初からなかったです。公演直前で、既にお客様の予約も沢山入っていて、つまりは沢山の公演を楽しみにしてくださってる方が、既に予定をこじ開けてくださっていて。ジュリーならいざ知らず(笑)。カリスマでも芸能界のレジェンドでもない私がそれをやったら、それはもうお客様への裏切りでしかないですから。なにより、これまでの決して短くない稽古期間を供にしてくれた役者さんたちに、申し訳が立たないですし。

残された時間は本当に僅かで……
それでも決断せねばならず、本当にワタシはグルグルしていました。
貴城さんと過ごした、これまでの稽古期間のことが思い出されて……

貴城さんは、本当に稽古熱心な人で、そして飲むことが大好きな役者さんです。うちは古い劇団体質の劇団なので、大抵稽古後には飲み会をやるのだけれど、ワタシの記憶が確かなら、稽古後の飲み会を一度も欠かしたことがない方でした。そしてまあ、よく喋る(笑)。時には演出家のワタシの言葉を遮ってでも、自分の言いたいことを喋りまくってました。ただ、その言葉には常に演劇への愛があふれていました。本当にお芝居が大好きな人なんだなぁと……。今回のお芝居の中の、譲(ジョー)さんという、彼が演ずるハズだった役も、サッカー(日の出シリーズですからサッカーに材を取ったお話なのですが)への愛にあふれた役どころでした。彼が参加してくださることを前提に、彼にあてて書いた役でした。彼(ジョー)のサッカー愛故に、物語は転がって、そして思わぬことになって……それは、ワタシという演出家と、貴城さんという役者さんで、共に育ててきた役柄でした。

代役を立てるか、あるいは台本を書き直すか。
その選択を迫られる中で、これまでの稽古がリフレインのようにあふれてきて、
ワタシは、
彼が演ずるハズだった、譲(ジョー)さんという登場人物を、殺す決断をしたのです。

『日の出政府のW杯』の裏のもう一つのドラマ(1)

先日、『彼』が出演するお芝居を観に行ってきたのです。お芝居自体、丁寧に作られた良質の作品だったのだけど、その『彼』はその中で非常に重要なポジションの役どころをいただいて、それがすごく良い効果を生んでいて、なんだか嬉しかったのですね。『彼』はもう、次に進んでいる。そう思えたことがとても嬉しかったのです。

ハナシは半年前にさかのぼります。今年の5月、『日の出政府のW杯』という公演の、その本番小屋入りの僅か一週間前の、出来事です。

その日は、台本が完本して、例によって稽古後に完本祝いもやっていただいた翌日の日曜日でした。いろいろ苦労はあったけれども、無事完本して、これでどうにか本番が迎えられる……私個人的にはちょっとホッとしていて、ホントに久しぶりにゆっくり寝て、稽古開始の午後1時の2時間くらい前に、久々に心静かに目覚めて、その時、ワタシの携帯が鳴ったのでした。

「申し訳ありません。今回の公演、降板せざるを得ないかもしれません」

一瞬は何のハナシかわかりませんでした。携帯電話の向こうからは、なんだかラジオドラマの効果音のように、救急車のサイレンが聴こえていました。

「事故に合ってしまいました。本当に……本当に申し訳ありません!」

最後の方は涙声になっていました。とりあえず詳しい状況を知らせてもらったのですが……ワタシの方の心臓がどんどんバクバクしてきました。『彼』は、その一週間後に小屋入り予定のワタシらの公演の、かなり重要な役柄で出演予定の役者さんでした。そしてその救急車のサイレンが告げる通り、その『彼』は今まさに病院に救急搬送される途中だったのです。

それからしばらく……なにをどうしていたかの記憶がありません。
とりあえず、おそらくは命に別状がないことを知らされ、病院での精密検査の結果が分かったら知らせてくれということだけ伝えて、気がついたらワタシは稽古場にいました。
そこに当然『彼』の姿はなく、
ワタシは、コトの次第を他の役者さんたちに伝えねばならず、伝えようとしていて、
ふと、涙交じりの『彼』の電話の声がよみがえってきて、
ワタシ自身が涙声になっていました。

『彼』、盒教城さんは、おそらく今回の公演を降板することになるだろう、と。

本番初日から、わずか10日ほど前の、まぎれもない実話です。

リーディングのワークショップをやるのだ

さて、方々でご好評いただいたワラカルト2018なのですが、協会のわりあい恒例な行事として、公演後にその上演台本をテキストとしたワークショップを行うのですね。で、10月に私が講師の、リーディングのワークショップを行うことになりました。日程や応募等の詳細は、協会HPにありますので、よろしければご覧になってください。

日本コメディ協会公式HP

ワラカルト ゲネ_180906_0013
さて、そもそも、リーディング、とは何なのでしょう。

舞台の上で演者さんが一人、もしくは複数人で、本を朗読する。時折効果音や音楽が入って……と、まあ基本は『音』のドラマですね。ただ、ラジオドラマ等と違うのは、お客様の目の前に朗読する人がいて、その音を発する姿を見ることはできるのです。表情だったり、ちょっとした所作や雰囲気だったり。つまりはライヴなのです。そしてまあ、個人的にはこの『ライヴ感』というものがリーディングには命だと思っていてます。上手な読み手さんというのは、ただ本を読んでいるだけなのに、そこに生の言葉を生み、時間を流れさせ、お客様の想像力の中でドラマを動かすのですね。

今回は、そのライヴな『音』のドラマを生み出すためのワークショップとなります。普通のお芝居の演技とリーディングの演技にはどんなところに違いがあるのか。これからリーディングをやってみたいという役者さんや演出家さん、あるいは既にリーディングの活動されているのだけれど、どうにもしっくりいかないという方にも、なんらかの参考になるモノになると思っています。また、今回は役者さんに限らず、子供に絵本をうまく読み聞かせられるようになりたいなーってお母さんやお父さんでも参加可能です。ワラカルトをご覧になっていただいた方であればより面白いと思いますが、ご覧になってない方でも十分楽しめるモノにしたいと思っております。どうぞお気軽に……『音』が作るドラマの世界を体験してみてください。ご参加お待ちいたしております。



日本コメディ協会ワラカルト・ご来場御礼編

さて、日本コメディ協会公演『ワ・ラ・カ・ル・ト2018』無事全日程を終了いたしました。ご来場いただきました全てのお客様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

ワラカルト ゲネ_180906_0001トップバッターを務めていただいた、『ある妹とその弟』チーム。いつの協会公演でもそうですけど、最初に出るってのはやっぱりハードル高くて、そりゃそうだよね、既に温まったお客様ではなくて、コメディ協会なんぼのモンじゃい!ってなお客様を、まずは我々の世界に引き込まなきゃならないのだから。毎回、冒頭のイカちゃん(五十嵐)とデラちゃん(小野寺)の会話からクスクスが始まって、嶋田さんの演じるヘンなパパが出てくると笑いが起こって、更に稲岡さんが出てくると……って、時が進むごとに、お客様がコメディの世界に誘われていたのです。かなり強引なキャラと、強引なお話を、毎回ストンとお客様に落としてみせた遠藤会長の手腕がお見事でした。そしてそのかなり強引なキャラを演じた役者さんたちにも、拍手。

ワラカルト ゲネ_180906_0006そしてまあ、景浦さんの落語にはどれだけ助けられたことか。まくら、でお客様を完全につかんでしまう手法がお見事で……あとは古典落語の世界に、どっぷりと。まるで、落語家さん(笑)。いえ、お客様には本当に落語家さんに見えていた、と思う。本職は声優さんの景浦さんの、いつもとはまた違った可能性が存分につまった一席だったと思うのです。その後のチームが、どれだけやりやすかったことか。



ワラカルト ゲネ_180906_0011写真は、小石田純一さんです。すっかりテレビでもお馴染みの小石田さんのネタは、まあ、当たり前っちゃそうなのですが、一番爆笑を誘っておりました。でも、ワタシがビックリしたのは、日替わり芸人さんの、あとの二組でして、二日目の太田トラベルさん、三日目のおしんこきゅうさん。そのネタのクオリティの高いことと言ったら。いやはや……その道のプロの手腕をライブで存分に見せていただいて、一緒にやっているワタシらにしても、贅沢な時間だったと思うよ。


ワラカルト ゲネ_180906_0013そして拙作の『四番目の証言』。コメディ協会の作品としては、ちと反則なのではないかと自分でも思いつつ(笑)。でも、これはこれでコメディだとワタシは思うのですね。人として、弱点も欠点もいっぱい抱えながら、あくせく生きていく人たちの物語。リーディングですから、ストーリーの面白さだけは伝えつつ。まあ、わりと我儘に、好きなことをやらせていただいたと思うのです。遠藤さんにいつ怒られるんじゃないかと、実はワタシひやひやしてました(笑)。今回、本当に声の良い役者さんたちに集まっていただけたので、音のドラマとしては、自分の作品がワンランク上等になったように(笑)も思えて、役者さんたちには感謝の念しかないです。そしてまあ、ここまでのチームが存分にコメディとしての笑いを生み出してくれていたので、そのはざまにはお客様にとっても、こういうのもアリになったとも思う。そういう意味では、みなさんありがとう、の作品でもあるのです。

ワラカルト ゲネ_180906_0019最後は、今をときめくパンチェッタ・一宮さんの『Hana』。実験的な作品でありながら、かくもお客様に受け入れられ、笑っていただけることに、ワタシは感心したのでした。そしてまあ、ここの役者さんたちが、本当に寸暇を惜しんで、それこそ本番直前まで稽古されていて。彼・彼女たちは本当に大変だったと思うよ。でも、観てくださるお客様のために、最期の最後まで。傍で観てたら、ちょっと心配なほどに、役者さんはがんばってましたね。だからこその、客席のあの笑い。なんだかコメディというものの原点を観ているような、そんな複雑な思いもわいたチームなのでした。そうそう、ここに出演されていた野々目さんという女優さんの演技が、ワタシはなんか好きだったぞ。花が枯れる瞬間の変化は(こう書いても観てない方には分からないと思うのですがごめんなさい)凄い、の一言でした。

この企画、たぶんまたやる、かもしれません(笑)。今回、残念ながら見逃された方も、是非次の機会をお待ちいただければ、と。自分としてもいろいろ刺激をいただいた、良い公演だったと思うのです。


今週末、下北沢亭にて、ワ・ラ・カ・ル・ト

さて、もはやまな板の上の鯉(笑)なのです。公演情報のページを劇団HPにもつくりましたので、よろしければご覧くださいませ。
劇団HP

でまあ、先日恒例の全座組の合同通し稽古というヤツがありましたので、これも恒例(?)によって、今石による、コメディ協会公認でもなんでもない、すこぶる個人的な見どころをご紹介。

『ある妹とその弟』
【作】渡邉晋(鉄骨ボレロ)
【演出】遠藤隆之介(ファルスシアター)

ジャンルは、敢えて言えばコントでしょうか。鉄骨ボレロの渡邉さんの作品を、ご存知遠藤会長が存分にご自分の味を添えて演出されております。いつもの協会公演の作品だと、だいたいが作家と演出家が別々の人になるのですが、今回は、(落語を除くと)作と演出が違うのはこの作品だけになってまして、それだけに、違ったテイストの二人の化学変化が醍醐味な作品なのです。渡邉さんの今回のホンは、ちょっと人を食ったようなナンセンスな展開でして、最初は単純にゲラゲラ笑っていたのですけど、徐々に、根底に誰もが一度は味わったコトがあるような感覚が見え隠れしてきます。でたらめな展開、のハズなのに最後には、そのでたらめな人々がどこかせつなくかわいく思えてくるのです。ここらへんは遠藤さんのテイストが滲んでるような気がしますね。あまり詳しく書くとネタばれになっちゃうのでアレですが、家族って、こういうものかもしれないなぁ、てなことを観終わった後に、ふと考えたたりしました。『ある妹』の役に、うちにも去年客演していただいた小野寺佳七子さん。『その弟』役に、これも以前うちに2度ほど客演していただいた五十嵐雅史さん。うちのお芝居を観た方であれば、あの人観たことある、へー、こういう役もやるんだ、てなことに驚かれるかもしれません。お二人ともどこか不思議な役どころに正面から取り組んでらっしゃってて好印象なのです。どうぞお楽しみに。


<落語>
【出演】景浦大輔(パワー・ライズ)

協会公演ではお馴染みの役者さんで、テレビアニメ等の声優さんとしてもご活躍中の景浦大輔さんが、今回は落語をやられます。でまあ、ありがちな、役者さんや声優さんのなんちゃって落語ではなくて、この人の落語は本格派なのです。なにせ本筋の師匠からも、二つ目の実力は十分にあるとお墨付きをいただいた方ですから……何も知らずに観た方には本当の落語家さんと思われるに違いないです。そしてその手法というか演じ方についても、古典を正統にバッサリと。しかも玄人はだしなのです。あれあれ、っと言う間に落語の世界に誘われて、気がついたら声を出して笑っておりました。今回は3日間の8ステージで、いくつか違うネタをご披露していただけるそうなので、それもまた楽しみなのです。


<リーディング>
「四番目の証言」
【作・演出】今石千秋(ZIPANGU Stage)
【出演】滝沢久美(ZIPANGU Stage)/西垣俊作/キム木村(吹澤信子事務所)/盒教城(リベルタ)

とある事件の、四日間の公判を描いた法廷モノです。リーディングですが、ちょいとサスペンスチックなコメディとなります。事件の真実とは何なのか……ちょっとだけネタばれすると、四番目の証言とは果たして……てな部分を追いかけていただけると、より楽しめるかと思います。
リーディングですから当然なのだけど、ストーリーがそれだけでも面白いホンを、と意気込んで書いた作品です。そして、前にも書きましたが演じてくださる役者さんがホントに皆さんお上手なので、まあ、自画自賛でなんですけど(笑)、一番安心して楽しめる作品になっているかと思います。サスペンスなのでゲラゲラ笑うタイプの作品ではないですが、要所要所の仕掛けにクスクス笑っていただければ、ワタシとしてもとても嬉しいのです。
音がつくるドラマって、良質な作品は必ずそうなのだけど、そこにある世界がお客様の想像力の中で無限に広がるのです。その醍醐味を少しでもより多く伝えられるよう、最期までがんばります。


「Hana」
作・演出:一宮周平(パンチェッタ)

過去の協会公演で、『キャンピング・デッド』や『リピートするのに遺産はいらない』の2作品を演出し、『Romeio』の脚本を担当し、そしてまた先日行われたせんがわ劇場演劇コンクールでグランプリとオーディエンス賞と俳優賞をトリプル受賞した、パンチェッタの一宮さんの作品です。今回はご自身のパンチェッタ公演と同じく、短いモチーフのような短編を編み合わせて、それが結果全体として一つの作品となるような、氏のあざやかな手法をお楽しみいただけると思います。
一宮作品って、時にちと難解な芸術のようにもなりがちなのだけど、今回は比較的というか、彼の中ではかなり分かりやすい一連の作品郡になっていると思います。演じる役者さんも、協会公演には欠かせない小久保英明さんを始め、『Romeo』で乳母を好演した轟もよ子さん、以前うちの『笑う数学者』という作品に美貌の未亡人役でご出演していただいた野本蓉子さんなど、出演陣も豪華です。今をときめく一宮さんのワールドに、是非ご期待いただければ、と。


<日替わり芸人>
【出演】小石田純一(ニュースタッフプロダクション/※)(24日のみ)/
太田トラベル(ニュースタッフプロダクション)(25日のみ)/
おしんこきゅう(ニュースタッフプロダクション)(26日のみ)

今回は、協会員の小石田純一さんを始め、人気芸人さんが日替わりで華を添えてくださいます。プロの芸人さんのライブ(贅沢ですね)も、心行くまで味わっていただければと思っております。


さあ、書いていてなんだかワタシ自身がすごく楽しみになってきたぞ(笑)。
ワタシらにできるのは、最後の最後までより面白くを全員で。
皆様のご来場を心よりお待ちいたしております。

総集編的な、珍迷言集

ロシアワールドカップ終幕から、はや一週間。

思い返すに、夢のような(笑)日々でしたね。日本の試合以外でも、こんなにテレビにかじりついた大会は、実は初めてかもしれない。いやはや、どの試合も大変面白うございました。てなワケで恒例(?)の、しゅさいのロシアワールドカップの珍名言集。

「めちゃくちゃ良いキーパーじゃないですか!」(by 乾)

ベルギーのゴールキーパー、クルトワを評しての乾の一言。ご存知のようにラウンド16のベルギー戦、乾はそのクルトワから見事なゴールを奪っているのだけれど……
これがなぜ面白いかというと、この発言は、その試合の際のモノではなくて、その後のラウンド8でベルギーがブラジルを破った試合を、乾が(おそらく)テレビで観ての発言だからなのです。スペインで活躍中の乾選手、実は他国リーグの選手は殆ど知らないんだとか。クルトワはイングランド・プレミアリーグの、超のつく凄いキーパー。199センチの長身で、でも動きは機敏で安定感もあって。同じくプレミアの吉田マヤとか以前マンUにいた香川らに、よくまあ、あんなすごいキーパーから得点できたね、って乾は言われたらしいのだけど、前述のように知らない選手だったので、あんまピンとこなかったらしいのですね。で、その次のブラジル戦を観て、びっくらこいて冒頭の発言となった次第、らしいです。
あのベルギー戦で乾が奪ったゴールは、大会ベストシュート集に選ばれるほどの見事な一撃でした。無回転で、計ったようにサイドネットに。でなければクルトワなら防いでしまったと思う。ホントにすごかったけど、もしかしたらそれ、知らなかった、からなのか?もし、乾がクルトワのすごさを試合前から知っていたら……撃つ瞬間に力んでしまって入らなかったかも、しれないのだなぁ。……。乾選手、実は天然説、がワタシの中で芽生えたのだった。まあ天才というのはすべからく天然、なのかもしれないのですが。


「手のひら返しでごめんなさい」(by 沢山の日本人のツイート)

まあ、開幕前にこれだけ期待されて、なかった日本代表は歴代初めてでしょうね。ハリル監督を電撃解任してからも、ガーナやスイスに全く歯が立たず(2試合で1点も取れず)、ほぼ2軍のパラグアイ相手にはなんとか勝利したものの、良くなる道筋が見いだせなかった我らが代表。正直に言ってしまえば、開幕前のワタシの予想も3戦全敗、もしくは、よくてひとつくらいは引き分けられるかもというネガティブなものでした。それがまあ、コロンビア戦に勝利して一夜明けたら……
ワタシを含めてほとんどの日本人が、ものの見事に手のひらを返したのだった。かくして突然、テレビの芸能コーナーまで全局サッカーの話題で持ち切りになってしまうという、開幕前には信じられなかったような状況が出現したのです。
ちなみにTwitterの姉妹作に「本田さんごめんなさい」というのもあります。開幕前には「本田は終わった」だの「本田のベストポジションはベンチ」だの、まあ散々な言われようでしたが(ワタシもそう思っていた(笑))いざ開幕するや、コロンビア戦で決勝点をアシストするは、セネガル戦では同点弾を決めてしまうは。さぞかし多くの人にTwitterで「ごめんなさい」とつぶやかせてしまったことでしょう。ワタシもつぶやいたけど(笑)。
更に言うなら、結果的に日本が敗れたラウンド16のベルギー戦も、あの最後のベルギーの高速カウンターの起点となってしまったのは、本田のコーナーキックをクルトワがキャッチしたところから。そういう意味では、本田で始まり本田で終わった、とも言える日本の今大会。そして、あくまで噂レベルではあるのだけれど、そもそもハリルホジッチ前監督の更迭のきっかけをつくったのが噂通り彼であるのだとしたら……
プロフェッショナル、ケースケホンダは、実はフィクサー? おそるべしは本田、なのだな。ご存知の通り、ベルギー戦後に代表からの引退を発表したのだけれど、今後二度とこういう選手は現れない、かもしれない、いろんな意味で。


「あんなドイツなら、日本でも勝てる」(by 滝沢久美)

まさかのグループリーグ敗退が決まったドイツ。まあこれも日本の津々浦々で似たような発言があったことでしょう。
ご存知ない方のために補足しておきますと、ワタシの劇団が5月に上演した『日の出政府のW杯』という作品の中で、劇中のテレビで行われている日本代表の試合の、架空の対戦国として選ばれていたのがドイツなのです。でまあ、お芝居の中でさんざっぱら、「相手は世界一の強豪、ドイツなんだ!」とかってセリフが出てきて、それはそれは強い、もう日本なんかが逆立ちしたって勝てっこない相手として、ドイツ代表が登場しております。現実の世界でも大会前の予想では優勝候補の筆頭だったハズで、日本が決勝トーナメントに進むことを予想した人に比べたって、ドイツの予選敗退を予想した人ははるかに少なかったハズ。それがまあ、初戦のメキシコ戦で苦杯をなめると、次のスウェーデン戦でも終了間際まであわや2戦目で敗退決定となるところまで追い込まれ、そして最終戦の韓国戦を0−2で敗れて、結果的にはグループ最下位でワールドカップを去ることになったのです。なにがどうしてどうなってこうなったんだか、ワタシも未だに分からないし、マスコミを含め、その理由をこれだとズバリ言い当てた人はいないと思う。なぜだか分からんうちにドイツは突然不調になり、滝沢さんに冒頭の発言をされるに至るのです。その理由に……実はワタシは気づいてしまったのだった。
うちの劇団の『日の出シリーズ』と呼ばれる作品群。今回は前述した通り、相手国はドイツだったのだけど、4年に一度のシリーズなので、その時々に対戦相手が、まあ当然ですが変わるのですね。ちなみにですが、4年前の『日の出銀行のW杯』の際、劇中の対戦相手としてワタシが選んだのはイングランドでした。そのお芝居が終わった一月後、そのイングランド代表は……グループリーグで敗退しました。8年前の『日の出温泉のW杯』、対戦相手はイタリアで……やはりグループリーグで敗退しております。……っていうコトは……
つまりは大会前に、ワタシが台本上で仮想の対戦相手として選んだ国は、ことごとく、現実のワールドカップではグループリーグで敗退しているワケです。いずれ劣らぬ強豪国、であったにも関わらず、ワタシが台本にその名を書きこめばグループリーグで……。これは「デスノート」ならぬ「デス脚本」なのか。あの強い強いドイツがグループリーグで敗退したのは、まさかのワタシのせい!? わー!ドイツの皆様、ごめんなさい!


「ケインがイングランドを牽引してますね」(by 中田浩二)

準決勝のクロアチア戦の前の、中継した某局のバラエティ(?)タイムでの、中田浩二氏の発言。スタジオは「あれ?」って空気に包まれておりました。いわゆるサッカー解説者の中で、ダジャレおじさんと言えばもう、誰もが認める早野さんでして、これが早野さんの発言であれば誰もがうつむいてただスルーするだろうし、ワタシもスルーする。でも、発言したのが、あの一見真面目そうな中田浩二さんなので……あれ? ナカタコさんて、そういうキャラでしたっけ?って、スタジオの皆さんもどうしていいかわからなかったようでした。もしかして、ネクスト早野を狙っているのかしらん。でもその道は……ご本人が想像するよりずっとずっと、険しい険しい道程(笑)だと思いますよ。


「あれ、たっくさんじゃん」(by 劇団員一同)

たっくさん、というのは、近頃うちの常連客演さんで、でこぼこギアという劇団を主宰している、コヤタカフミさんのことです。日本の初戦、コロンビア戦を劇団事務所で観戦会していた面々が、試合前の国歌斉唱の際の、とあるコロンビア選手を見ての発言です。これがどういうことかと言うと……

たっくさん
たっくさん01

カルロスサンチェス

似てるのは、髪型だけなんスけど(笑)。
実はこの人(カルロスサンチェス)、あのコロンビア戦で、香川のシュートを手で止めて日本にPKをくれたばかりか、レッドカードで一発退場になった選手なのでした。たっくさん、ありがとう。





で、そう思っていろいろ探しているうちに、ワタシ、気づいたのでした。似てるのは彼だけじゃなかったのだと。論より証拠。

たっくさん
たっくさん03
ムハメドサラー

まさか、あのエジプトの英雄にして、昨年のプレミアリーグ得点王まで、たっくさんだとは。
似てるのは、髪型と髭だけなんスけど(笑)
誰でもたっくさん、なのだなぁ。たっくさんがいっぱい。
長らくお付き合いいただいたのに、最期はこんなネタでごめんなさい。






フランス対クロアチアの決勝戦をフランスが制して、ロシアの幕は閉じたのでした。大会MVPはクロアチアのモドリッチ。新人賞はフランスのエムバペ。ベストゴールキーパーはベルギーのクルトワ。全て全く異議ナシなのです。余談だけど、今回こそ、トトカルチョやっておけばよかった(笑)。って、買わなかった馬券ほど当たるもので、まあ、ジンセイそうしたものではあるのですが。
4年後がはや、楽しみですね。




閑話休題(?)日本コメディ協会のワ・ラ・カ・ル・トとは何か

さて、ワールドカップも残すところ4試合。
いよいよ大詰め、との緊張感もあるのだけれど、ここまできちゃうと日程がスカスカ(笑)ですので、まあ世間ももはや終わったみたいな雰囲気にもなっているし、個人的にも少々寂しい気持ちにもなってくるのです。今日は準決勝のフランス対ベルギー。ワタシが個人的に優勝候補にあげていたフランスと、日本のみならず、あの強い強いブラジルまで倒してしまったベルギーの一戦。これ事実上の決勝戦、かもしれない。うーん、寂しがってる場合ぢゃないですね(笑)。

さて、閑話休題(笑)。
もはや来月に迫ってきているのだけれど、ワタシが劇団とは別に所属している、日本コメディ協会の公演が8月のお盆明けにあるのです。今回は、ちと今までの協会公演とは趣を変えて、コントあり、落語あり、短編コメディありの、いろんな『笑い』を一緒くたに詰め込んだ、夏のイベント的な公演です。今石も短編作品のリーディングを一本、作・演出として担当させていただきます。詳細はこちらから是非ご覧ください。

劇団ブログ

劇場は、もはやお馴染みの、ステージカフェ・下北沢亭です。あそこの良いところは、お客様に肩肘張らず、ドリンク片手に演目をお楽しみいただけるところでして、今回も是非、軽く一杯やりながら気軽に笑っていただければと思っております。人気芸人さんや落語家(?)さんも多数出演します。そしてまあ、ワタシが担当するパートの出演者が豪華なのです。リーディングにこの人は絶対欠かせない、うちの劇団員の滝沢久美さん。元劇団員で、以前のリーディング公演にも多数ご参加いただいている、キム木村さん。プロの声優さんで、うちのお芝居にも何度かご出演していただいた、西垣俊作さん。そして、先日の日の出政府の公演の際にも声のご出演をしていただいた、盒教城さん。詳細はまた改めてご案内しますが、ワタシ、ことリーディングであるならばこれ以上の布陣は考えられないんじゃないかとすら思っているのです。

まだまだ暑い夏の、暑さを吹き飛ばすイベント公演に、
どうぞご期待ください。


ワールドカップの行方

さて、日本代表ロスの痛みを乗り越えて(笑)……

今日からはワールドカップで一番面白い(と個人的に思っている)準々決勝が始まります。落ち込んでる場合じゃないです。ここからは強豪同士・優勝候補同士の生き残りゲーム。日本の試合しか観ないって方も、これをお読みになったら是非一試合だけでも観ていただきたいのです。ホンモノの戦い、が、そこにあります。多分(笑)。

まずは本日(6日)23時から、ウルグアイ対フランス。

共にグループリーグはトップ通過した上に、ラウンド16でもポルトガル、アルゼンチンといった優勝候補を倒したもの同士。共にハンパない攻撃力が売りのチームですから、激しい点の取り合いが予想されます。ただ、ウルグアイが誇る世界一のツートップの一人、カバーニが怪我で欠場という情報もあり、そうなると試合の方はフランス優位になるかと。まだ19歳のエムバペは既に大活躍していて、次世代のスター候補の筆頭。いやはや早いのなんのって。そしてスピードだけでなく、プレーの一つ一つに独創性も華もあって……この人を見るだけでも、この試合を観る価値はあります。これはマジで。


日付変わった朝の3時から、ブラジル対ベルギー。

ぅわあ、なんて豪華な組み合わせなんだ。これ決勝戦のカードでもいいんじゃね?と素直に思うよ。本来ならここに、日本の名前があがるハズだった、と思うと複雑な心境も沸くのだけれど、まあ日本が負けてしまったお蔭(?)で、こんな豪華な試合が観られることにもなったワケです。
グループリーグの初戦と2戦目こそ苦労したものの、その後は安定した強さを取り戻したブラジル。難敵メキシコを倒したラウンド16の戦い方は既に王国ブラジルでした。しり上がりに調子をあげているブラジルは現時点で優勝候補の最右翼と言って差し支えないと思う。対するベルギーは、言わずもがな。日本ときわどい試合をしたことで、本来の攻撃力にはますます磨きがかかることでしょう。ただ、その日本戦で見せたように、守備には若干の難のあるベルギー。対するブラジルは守備面でも、ここまで4試合合計で僅か1失点。ここも点の取り合いが予想されますが、ブラジルがやや有利か。


明日(7日)の23時から、スウェーデン対イングランド。

ここも本来ならばドイツがいたハズだと思うと、ちと寂しくはあります。でもそのドイツを競り落としたスウェーデンはかなり強いです。グループリーグ含めた4試合での失点合計は2点と、固い守備が持ち味で、かつグループリーグでブラジルと引き分けた難敵スイスを倒してもいて、現在得点ランキングでトップを走っているハリーケインを擁するイギリスとしても大量点は望めないでしょう。コロンビアとのラウンド16の戦いは結局はPK戦を制したモノの、試合自体は全体的には押されていたイングランド。若い選手も多いですし、うまく試合を運んで、ハリーケインの一発に賭ける、ような戦い方ができれば勝機はあります。ワタシとしてもそちらに賭けたい、かな。


日付変わった8日(日)の午前3時から、ロシア対クロアチア。

地元ロシアの勢いが止まらず、まさかスペインを破ってしまうとは。ラウンド16の一番のアップセット(番狂わせ)。まあPK戦は心理的には有利に戦えたと思うのだけど、延長含めた120分でスペインをオウンゴールの1点のみに押さえたのは立派でした。確かに終始押されてはいたけど、よく走って走って最後の砦を崩させなかった印象。あっぱれロシア。
ただクロアチアは、ここまで8得点2失点。あのアルゼンチンを3−0で撃破したことでもわかるように、実はタレントも揃った強い強いチーム。ラウンド16はデンマークの固い守備に苦しみましたが、グループリーグで経験しなかった競り合ったゲームを切り抜けたのは、むしろ好材料にも思えて、ここはクロアチアの勝ちと予想します。


さて、優勝の行方。
世間の予想で言えばブラジル、との声が多いのは確か。先にも書いたようにスター軍団がしり上がりに調子をあげているので、まあ普通に考えればそうなるだろうと私も思う。ただ、何が起こるか分からないのが一発勝負のトーナメントの醍醐味でもあるので……
決勝はフランス対クロアチアで、フランス優勝としておきます。うん、当初の予想通り、となるか?

さて今日から一番面白い、準々決勝。その1戦目が、間もなく始まるのです。果たして……

日本の終戦と、これからのことと

日本 2−3 ベルギー

立ち上がりのベルギーが思ったよりふわっと(?)していたことにまず驚く。今大会は強豪国でもなかなか先取点が取れないと苦しむケースがやたら目立っていましたから、最初からトップギアで先制点を取りに来ると思っていたのです。開始からしばらくは我慢の時間になると思っていた。でも、さにあらず。序盤はむしろ日本のペースで、香川の惜しいシュートがあったり、なんだよ、結構やれてるじゃんと思いながら観ていた。慎重に立ち上がったベルギー。日本相手ならそれで勝てると思っていたのだろうなぁ。まあ、実際結果だけ見ればその通りだったのだけど。

前半15分を過ぎた頃から、ベルギーの圧力が徐々に強くなって、ピンチの連続になる。しかしここではなんとかしのぐ日本。ベルギーのシュートがなかなか枠に飛ばず……少ないながらも日本のチャンスもありました。ひやひやしながらも前半は0−0で終わって一安心。でもなぁ、相手はベルギーなので、後半はもっと厳しい試合になるだろうと、この段階では思っていたのです。ところが……

後半3分。柴崎の素晴らしいスルーパスが原口に通って、それをきっちり原口が決めて日本の先制点。夢かと思ったよ(笑)。まさか先制できるとは。ベルギー相手に勝つためには、少ないチャンスで先制点を取るのが必須条件だと思っていて、それをまんまと取ってしまった。思いがけない、熱狂。
そしてその僅か4分後に、更なる熱狂を迎えることになるとは。乾の突破から香川がつないで、最期はまた乾! このシュートは、本当にワールドクラスでした。無回転で、でもコース自体が素晴らしかった。飛びついたベルギーのゴールキーパーの僅か指の先を抜けて、ゴールに突き刺さったのでした。マジか!? 日本が2−0でリードする、そんな試合展開はまさに想定外でして、ワタシも夢をみたよ。ベスト8になっちゃうのか、と。

さあ、どうするんだ、日本。まだまだ時間は35分以上あって……
先ほど想定外と書いたのだけど、おそらくは日本チームの誰しも、西野監督もスタッフも、そして選手たちにしても、想定外。1点差ならまだ想定してたと思うのです。その場合は、守りに行くために、こういう選手を入れて、こういうふうに時間を使って、とかのね。でもリードは2点になってしまったのです。そこから、日本がふわふわし始めた。これは無理からぬことかもしれない。私だってふわふわしたさ。3点目を決めれば、本当に試合はそこで終わり、だったので。

普段は後半15分とかに選手交代のカードを切るハズの西野監督が動けない。その後もルカクのシュートがなぜか枠にいかなかったりと、ツキもある、みたいな時間があって、でも後半20分過ぎに、ベルギーの、おそらくはシュートでもなんでもないヘディングが、それこそふわふわと日本のゴールを割って、そこから試合がまた別の顔になってしまったのです。

相変わらず交代のカードを切れない西野監督。ベルギーは日本の弱点をつくべく、上背のある選手を次々に前線に入れてきます。おい、何か手を打たなきゃ……これもう、このままじゃやばいんちゃう?と思っていた時間に、日本はついに同点ゴールを決められてしまうのです。

決勝点はね、あれは仕方ないとワタシは思う。2−2の状況で、チャンスのフリーキックやコーナーキックがもらえたら、そこに全てをかけて決勝点を取りにいくのは無理からぬこと。あそこで、同点のまま延長戦に入ったとしても、余力がなかったのは日本の方だと思うので、勝てた確率は限りなく低いと思う。つまりは同点に追いつかれた段階で、勝敗はほぼ決まったとワケで、交代のカードを効果的に切ったベルギーと、有効なカードを持っていず、しかも切れなかった日本との差。もともと、総合力には相当の差が、あったのだなぁ。分かっちゃいた、ハズなのだけれど。

正直に言えば、試合前は、勝てるとは全く思ってなかったです。
優勝候補とも言える強豪国との、負ければお終いの決勝トーナメントでのガチの勝負。そこで日本がどれだけやれるのか。もしかしたらボコボコにされるかもしれないけど、その経験が今後の日本にとって計り知れないモノになると思っていた。だってさ、相手は強い強いベルギーですから……どんな形で負けても心に傷を負わない、と思ってたのです。でも、2−0になっちゃえばさ、夢を見ちゃいますよね。そして2−0になったからこそ、その後の戦い方に対して、日本の課題やらなにやらが分かりやすく目に見える形で明らかになり、そしてワタシは自らの予想に反して、敗戦というものに、ざっくりと心に傷を負ったのでした。

例えば、ハリルホジッチであれば……
2−0にもしなったら、そこからは、おそらくは槙野だとか植田だとか、少しでも上背のある守備的な選手を次々に入れて、その2点を何が何でも守りに行ったと思う。それでベルギーから2点を守れたかどうかはともかく、守る時は守る。そういう戦術を取ったと、思う。それが正解かどうかは分からない。でも、あの状況から何も手を打てず、まんまと逆転されてしまうのは、それはチームとしてはあまりに、ウブではないか、とも思ってしまうのです。

おそらくは、今回の優勝候補に対する大善戦を、世界も日本も称賛すると思うし、それは間違いではないでしょう。本当にあの状況から……よくぞここまで、と私も思うよ。でも、それでも。

やはり今回のチームは急造チームで、それ故にチームがまとまって、それ故にサプライズも起こった。決勝トーナメントに進出し、ベルギーに対して一時は2−0の状況まで作り出した。そして……急造チームが故に、最後は逆転され、終わりを迎えたのだなぁ、と思う。

ここからが、本当に大事ですね。
長谷部も本田もこれが最後のワールドカップであるとの表明を出したそうです。
日本代表は世代交代の時期を迎え、この先に、監督をどうするのかを含め、どういうチームを目指していくのか。
いろんなことが、ここから変わっていく。
そんなコトまで考えさせられてしまった、日本の、最期の一戦、なのでした。
Profile

しゅさい

Twitter
Recent Comments
QRコード
QRコード
にほんブログ村

にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村 演劇ブログへ
よろしければクリックを!
  • ライブドアブログ