しゅさいのブログ

コメディ作家で、劇団ZIPANGU Stage主宰の今石のブログです。
稽古日記や、スポーツ観戦記などなど。
お気軽にお立ち寄りくださいませ。

平昌オリンピック前半所感

男子フィギュア
羽生・金、宇野・銀

元より、羽生がもし金を逃したとしても、勝つのは宇野君じゃないかと思っていたのだけれど、まあ、その通りに二人のワンツーでした。怖いのはファビエル・フェルナンデスくらいで、そのファビちゃんも実は今まで五輪のメダルをとったことなかったので、フリーは難度をあげて金を取りには来ず、むしろ確実に銀か銅を狙いにいった印象でしたね。取るべくして取った、日本の、金・銀。
なんて今だからかっこつけて書けるのだけど、実際、4か月ぶりの実戦となった金曜のショートプログラムはドキドキでした。果たしてホントに、ぶっつけ本番に近い羽生は大丈夫なのかは誰にもわからなかったですからね。氷の上に立ったら滑って危ないんじゃないかとか(いや、スケートなので当たり前なんだけど)、氷の上で回転とかしたら転ぶんじゃないかとか(フィギアなんだから回るのは当たり前なんだけど)、ちっちゃい子供が初めてスケートしてるのを見てる親みたいな(笑)心境で観ておりました。実際にはヒヤヒヤもドキドキする心配は全くなかったんだけど。最初の4回転ジャンプがびたっと決まった後は、ただただすげえなぁ、と。フリーは後半のスタミナだけが問題なだけで、まあ実際最後の方はバテバテなのをなんとか動いていたようにも見えたのだけど、もはやスコア的な心配をするほどでもなく、やはり普通に滑れば、ひとつ抜きんでているのだなぁ。実は羽生が怪我から復活したコトで一番割を食ってしまったのは宇野昌磨なんですね。彼だけが、明らかに金を狙っていましたから、その結果での銀は立派。しかし、この宇野クン、その後のインタビューなんかを聞くにつれ、もしかしたら、天然クン?疑惑が(笑)。お芝居の演出家なんかやってるせいで、私、天然さんを見分ける眼力には自信があるのだけれど、たぶん、あれ、間違いねえんじゃね?いや、偉業には違いないんで宇野クンがホントに天然かどうかは、別に……なんの問題でもないのですが。

スピードスケート女子
1500m 高木美帆・銀
1000m 小平・銀 高木美帆・銅
500m 小平・金

これまでの結果だけ並べても、今回の女子チームが日本史上最強なのは疑いないですね。1000mはオランダの選手にやられてしまったのだけれど、あれは五輪によくある突然確変(それまでW杯等で結果があまり出てなかったのに、本番で突然強くなってしまう人が、どんな競技でも、ままありますね)だと思っていて、ここも日本のワンツーでも全くおかしくなかったと思う。逆に500mについては、小平さん、本当にひとつ抜けてたんですね。一番スプリントの500mは通常は1位と2位のタイム差が100分の1秒単位になるのだけれど(実際、その後に行われた男子の金と銀とのタイム差は、100分の1秒差でした)小平さんが2位につけた、ほぼ0.4秒差というのは、あり得ないほどの秒差だと思うのですね。銀や銅を取った選手が試合後に心から嬉しそうだったのを見ても、この種目だけは、転倒でもない限りは元々逆転はなかったのだなぁ。史上最強の500mチャンプじゃないかしら。
高木美帆も凄いですね。ここまで銀と銅を取っているので、最後のチームパシュートで金を取れば、珍しい、同一大会で全てのメダルを取った選手になっちゃいますね。なんか、野球のサイクルヒットみたいで、かっこいいじゃないですか。

ノルディック複合男子ノーマルヒル
渡部暁斗・銀

前半のジャンプで3位だったのですが、1位と2位の選手はクロカンあまり得意じゃない人だったのと、W杯で今シーズン好調だった選手たちが、判で押したようにみなさんジャンプを失敗していたので、こりゃ絶対イケるんじゃないかと思っていたのだけれど、結果はソチの時と同じ銀。しかも勝ったのもソチと同じドイツのフィレンツェルで、この人は今シーズンは全然好調じゃなくて、なのにまあオリンピックの時だけ……今回、こういうのが多いですね。(スノボのハーフパイプの平野にしても、今回は絶対本命と見られながらショーンホワイトの確変演技にやられております)
まあ、渡部にはまだラージがあるので、もう一回チャレンジできます。はい、今まさにその前半ジャンプの最中でして、今度こそは雪辱してもらいたいのです。
余談ですが、NHKで複合の解説をしているのが、かつてのキングオブスキーの荻原健司さんなのだけど、彼の口調が、あれあれ?どうしちゃったの?ってくらいにバカに丁寧でして、なんでだろうと思ったところ、おそらくですが、彼は現役引退後に一度国会議員さんになっているのですね。あ、そのせいなのか。しかしなー。「皆様にご期待いただきたいと思っております」とかって、どうなのよ?

銅メダルでもすごくうれしそうだった沙羅ちゃん、よかったです。4位から3位なので、次は2位、次の次の五輪で金、なんていかがだろう?
モーグルの原大智選手の銅もよかったですね。全然期待されてなかった(期待されていたのは別の選手だったので)マスコミに対しての対応も、なんかよかったぞ。

これまでのところの日本のメダルは、金2銀5銅3の計10個。これは過去最高だった長野の結果にこの段階で既に並んでいるらしいので、予想をはるかに上回る結果だと思うのです。ん?どっかのブログで金が6個とか控えめな予想としてしていたみたいなのだけど、そんなモリモリに盛った予想は(笑)この際、忘れてこれからも応援しようぢゃないですか。
がんばれ、ニッポン!

平昌オリンピック開幕

大変遅ればせながら、日本コメディ協会公演『シェイクスピアの何か』、無事千秋楽の幕を下ろすことができました。本当に、連日キャンセル待ちのお客様が出る、大変な盛況ぶりでした。評判の方も上々で、運営面での課題をいくつか残しながらも、公演としては大成功だったと思っています。関係した全てのスタッフさん、役者さん、そしてご来場いただきました全てのお客様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

さて、始まっちゃいましたね、冬季五輪。この二月は、五月の劇団25周年記念公演の準備や脚本を書き始めるための、とても大切な時期なのだけど……観ちゃうなぁ(笑)。困ったモンだ。五輪がなくてもそろそろカラダ二つ欲しくなってくる時期なのに、三つ欲しくなりますね(笑)。困ったモンだ。いやはや楽しみなのです。本当に困ったことに(笑)。

てなワケで恒例(?)のメダル予想。毎回書いているコトだけれども、競技そのものが楽しみなのであって、メダルの数なんて本当にどうでもよいのだけれど(ホントですよ(笑))、まあ予想が当たるかどうかを楽しみの一つにするのも一興、なのです。まあ、メダル候補の日本選手が出ている競技は観てても盛り上がりますしね。てなワケで、ちゃんちゃん。

金メダル6個
銀メダル8個
銅メダル12個

まずは、今大会で一番鉄板な、スピードスケート女子。小平は500mと1000でのダブル金まであり得ると思うし、高木美帆も複数取ってもおかしくないし、目下ワールドカップで世界記録を更新しまくっているチームパシュートもかなり確率が高いのです。女子スケート全体で、金三つくらいと予想しますが、これでも結構控えめな予想。大いに注目しましょう。
そして、男子フィギュア。怪我からのぶっつけ本番に近い羽生クンは状態が気になるところですが、なんかあの人、五輪に愛されてる気がするので復活金も十分ありそうです。ダメでも宇野の金メダルと予想。いずれにせよ、男子フィギュアで金一つ。
あとは、前回ソチで大活躍したスノボ勢。こちらもうまくいけば3〜4個金メダルが取れてもおかしくないのだけれど、今回は金二と予想。もちろんこれ、いい方向に予想が外れて欲しいという捻じれた(笑)願望なのだけど。
あと有力なのは、ノルディック複合の渡部暁斗。今シーズンのワールドカップでの成績を見れば金でも全く不思議はないし、ミスターナンバー2という(ソチ五輪でもその後の世界選手権でも銀)称号をこんどこそは覆して欲しいですね。
そして女子ジャンプの高梨沙羅ちゃん。ソチでは絶対本命からのまさかの4位でしたが、今回は4年前の沙羅ちゃんなみの強い新人に押されて、専門家の予想などでも銀か銅というのが多いのです。でも今回は前回嫌われた風に愛されての金と予想(笑)。伊藤とダブル表彰台なんてあったら、さぞ盛り上がるでしょうし。

あれ、こうやって並べてみると、金8個になっちまいますね(笑)。でも、予想を上回る結果というのが好きなワタシは、金予想は、控えめに、6個にしておきます。上記の金メダル候補たちが順当に金を量産すれば、銀や銅は予想より少なくなるかもですが、いずれにせよ、これだけ取れれば過去の冬季五輪史上最大数にはなるハズ。それがまあ、自分としても控えめな予想。どうです?楽しみになってきたでしょ?

全くもって、困ったモンな、平昌五輪なのです。楽しみだけど(笑)。

謹賀新年と、協会公演のお知らせと

18劇団年賀状web用


















タイヘン遅ればせながら……
明けましておめでとうございます。

さて、年明け早々なのですが、先に紹介した、日本コメディ協会の公演が、いよいよ今週水曜日(17日)から下北沢・小劇場楽園にて行われます。うちの世古も、episode2『Romeo』に出演しております。よろしければ是非お出かけください。

公演に関する詳細は協会公式サイトをご覧ください。
http://j-comedy-a.com/next.html

チケットご予約(世古扱い)はこちらから
https://www.quartet-online.net/ticket/s-nanika?m=0ghbaea

お蔭様にて好評につき、既に予約数満了の回もあるようなので、お早目のご予約をお願いできれば幸いなのです。木曜夜、平日の昼などはまだ余裕があります。残席のない回をどうしても……の場合は……
メッセやメール等にて今石にこっそり(笑)ご相談いただければと思います。なんとかなる場合もあるかも、しれませんんので。

そして、今年はうちの劇団創設25周年の記念イヤーとなります。
5月にどどーんと記念公演を予定しておりますので、それについてはまた改めて。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

シェイクスピアの何か

シェイクスピアチラシさて、ワタシが自分とこの劇団以外で所属している、日本コメディ協会の公演が、はや来年1月(つまりは来月)半ばに行われますので、今日はそれについて。今回は劇団皇帝ケチャップ主宰の吉岡さんを中心とした、プロデューサー主体の企画公演です。テーマはなんと、シェイクスピア!? まあ、かの有名な人の有名な作品をモチーフに、去年までと同様に、協会所属の脚本家さんたちが新作コメディを書き下ろしてのオムニバス公演となります。まあ、おそらくは難解なところなどあまりない、シェイクスピアを全く知らなくても問題なく笑って楽しめる3本の新作コメディの競演になるかと。

公演についての詳細・チケット予約等は以下のサイトをご覧ください。
日本コメディ協会公式サイト

先日(というか一昨日なのだけど)その、一回目の合同通し稽古というのが行われまして、まあ以前にも書いたのですけど、3つの作品のオムニバス公演ですから、それまでは個別に稽古していた各座組が、初めて一堂に会して、お互いの作品を披露する場でもあるのですね。自分トコの公演がきちんと笑って受け入れてもらえるのか、あるいは他の座組の作品はどうなのよ?むっちゃ面白かったら焦るなぁ、等々、演出家さんや役者さんのいろんな思惑が交錯して、まあ緊張感ハンパない感じで例年行われているのですね。今年は私は総合演出とかって肩書もないし、自分の座組もないので、割合気楽に、3組の通し稽古を拝見させていただきました。いやぁ、面白かったなぁ。いろんな意味で。

てなワケで、毎年恒例(?)の今石による、全然協会公認でもなんでもない、すこぶる個人的な作品の見どころ紹介なのです。ではいきます。ちゃん、ちゃん。

『最後の夏の夜の夢』 作:佐藤史久(マグズサムズ) 演出:渡邉晋(鉄骨ボレロ)
協会公演では毎年おなじみの佐藤さんの台本は、もうコメディのお手本と言ってよいくらい、わかりやすく面白いです。リーダブルでよく出来たラノベを読んでいるかのように、いつの間にかその世界に入り込ませられて、気が付いたら声出して笑っていました。今回は夏の夜の夢に出てくる妖精パックやオーベロンがなぜか現代日本に現れて、若者の恋を……てなストーリーなのですが、本当にこれ夏の夜の夢を全く知らなくても問題なく楽しめますね。(知っているとより楽しい部分もありますが)
そして、その作品を鉄骨ボレロの渡邉さんが、主に若い役者さんたちを使って、爽やかに演出されています。渡邉さんご自身がまだ若いのに、ストーリーをお客様に気持ちよくストンと落としていく手腕がお見事で……万人に文句なくお勧めできる一本になるかと。

『Romeo』 作:一宮周平(パンチェッタ) 演出:佐藤竜(劇団さしすせそ)
最近売り出し中のパンチェッタの一宮さんの脚本を、ご存じシュガードラゴンこと佐藤竜さんが演出します。このコンビの作品というだけで、ワタシはワクワクしてしまう。そしてまあ、見せていただいた作品は期待を裏切らず、というか大きく期待の斜め前方にはみ出しておりました(笑)。もちろんこれ良い意味です。まあ、実験的手法、という意味では過去の協会公演のどの作品と比べても前衛的、かもしれません。どこがどんな風に前衛的なのかは、書いてしまうとネタバレになっちゃうんで書けないのがもどかしいのですが、観た直後の率直な感想は「すごい」の一言でした。ものすごく一般受けする作品ではないかもしれませんが、観る人に、丁寧にその行間(というかセリフ外の部分)に隠されたモノまで感じていただければ、表層で表現されているモノとは違った何かを感じることができる作品です。こういうコメディもいいなぁと思うのですね。
ちなみに、あまり世間では知られてないと思うのですが、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』って、実はもともとの戯曲に、性的な言葉遊び(ひらたく言えば下ネタ)が満載なのですね。(これ、ほんとですよ)あのすこぶる悲劇的な物語の中にも、そういう部分がちゃんとあって、それがまあ、形は変われどこんなふうに……ああ、詳しく書けないのがもどかしい(笑)。是非、本編をご覧になっていただければ、と。

『除夜』〜十二夜より 構成・演出 松田文(イマカラメガネ)
最後の一本は、またうって変わって、とある家族の一夜を描いた作品です。イマカラメガネの松田さんは普段ご自身の劇団での公演から、初めから台本を書くワケではなく、役者さんにエチュード(インプロビゼーション=即興)をやっていただいて、そこから作品を積み上げていくスタイルの方なのですね。なので今回協会公演でも、その手法で構築していただきました。協会公演初の試みであるとと同時に、協会初の女性演出家。だからなのか、やっぱり今までのどの作品にも似ていない、新鮮なコメディ作品となっておいます。そしてその作劇方法による部分もあるとは思うのだけど、ストーリーのああなってこうなってではなくて、ディテールに積み重ねられる『情』とか、本音のつぶやきだとか、なにげないやりとりの中にこそ、その真価があって、それはワタシにとっても、とても気持ちのよいモノでした。そして、このお話、言ってみたらシェイクスピアの『十二夜』とは、ストーリーからなにから全然似ていない(笑)のだけど、観終わってみれば、ああ、確かにこれも十二夜だよな、って思うのです。全編がわりあい、しっとりとした心地よい時間で、気が付いたら良い気持ちで見終わっていたなぁ、というのが感想です。個人的にもお勧めの一本。

とまあ、こうして書いてみて、今年も例年以上に、ホント作品のテイストやらなにやら、全く違う3本なのですね。よくぞこんなにバラバラになったもんだとすら思う。同じテーマ、同じコメディなのに、いろいろ盛沢山に楽しめて、大変お得だと思います。これはマジで。そしてまた、今年も役者さんたちが良いです。うちの世古も2本目に出演させていただいてますけど、過去うちに客演してくださった、布袋田さん、マツジュンさん、シュガーさん、野本さん、ジャンプさんも出演してます。ジパングをいつも観ていただいているお客様にも、あの人観たことある〜てな楽しみ方もできるかと。
1月は是非、下北沢・楽園にお出かけください。

日の出荘のW杯ご来場御礼編

日の出荘のW杯場あたり中01
写真は、場あたり中の一コマです。キム木村氏撮影。今回はホントに余裕なくて、写真を撮ったり誰かに頼んだりするのをすっかり忘れていたのでした。場あたり中の写真なので衣装が本番とは違っていてそこが惜しいのだけど、雰囲気はよく出ていると思うので。

そんなワケで、全公演無事滞りなく終了いたしました。今回もお客様の暖かい笑い声に恵まれた、幸せな公演だったと思います。ご来場いただきました全てのお客様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。





日の出荘のW杯場あたり中02
住人が減って取り壊しになりそうな『日の出荘』を救うために、新しい住人を増やそうと、学生時代の女友人を部屋に呼ぶ主人公。当初は単に引っ越しをお願いするだけだったハズが、なぜだか突然彼女にプロポーズするハメになって……てなところから、お話は始まります。

主人公・岡野役に、世古新。その相手役の弘美さんが、でこぼこギアの北川純子さん。この子の役がねぇ、学生時代のただの友達に突然プロポーズされるは……しかも何故だかそれをアパート中の住人が応援しているは……更には、岡野の先輩が突然来訪してテレビのサッカー中継を見始めたために、とてもやかましい中でプロポーズされるはと、ヒロインなのに、とことん苦しめられる役どころなのですね。内心ちょっと岡野を心憎からず思っている弘美さんは、その都度に心揺らされて……まあ、コメディなのでそこが面白いのだけど、ちょいと切なくもあって、胸がキュンキュン(笑)しちゃうのですね。とにかく全公演通して純ちゃんの評判がとてもよくて、ワタシはとても嬉しかったのです。
世古さんはねぇ……(笑)。まあ、岡野はものすごく大変な役で、表現すべきことが絶え間なく次から次へと…てな主役なので、しょうがない部分は大きいのだけれど、ちょいとがんばっちゃってて、そこが惜しい。演出がいくらがんばるなと言っても、まあ本番はがんばっちゃいますよね。ああいう役を、がんばらないでやるのって、実はとても難しいのです。でも、久々の大役は、彼にとって計り知れない貴重な経験になったハズ。是非、一皮も二皮も剥けた新しい、世古新になって欲しいなぁ。

そしてアパートを彩る、個性豊かな住人さんたちが、金さん(佐土原)、荻原さん、コヤタカフミさん。職人気質で口下手なのに、よく分かっていない諺を何故か使いたがるロクさん。岡野にいろいろアドバイスしようと、思いつきで発言しては、その都度にとんでもないことになるのだけれど、実は成り行きを楽しんでるだけの玲子さん。そして、東大目指して猛勉強中の無口な(リーディングなのに!?)浪人生の東さん。メインの二人を取り巻く人たちに魅力がないと、こういうお話は絶対に面白くならないと思うのだけど、まあ、この人たちは鉄壁でした。時々、金さんが噛んでたけど(笑)。
最初の三人の登場シーンで、リーディングなのに登場しただけで笑いが来た時はちょっと感動モノでしたね。そしてリーディングなのに、登場しても一言も喋らず退場していく東さんは何度観てもとても可笑しかった。玲子さんにお願いしたお色気系の声もとても評判が良くて嬉しかったのです。こんなアパートならワタシも住んでみたいぞ。

サッカーが観たくて突然訪ねて来る岡野の先輩役に、西垣さん。実はサッカーほとんど観たコトがなかったらしいのだけど、本番での声はサッカーファンそのもので、さすがだなぁと思わされたのです。きっと、松木安太郎役でもイケる(笑)。その先輩がなぜだかコンビニで出会っただけのいかがわしい男を連れて来るのだけれど、その、『なぜ君はここにいるんだ役』が、キム木村さん。観戦シーンの主役は彼らなので、二人とも喉がタイヘン心配になるほど声からして応援してましたね。最後の臨場感を作ってくれたのは間違いなくお二人なのです。今回はホント、助けられたと思うよ。

そして全編通してのナレーションと、大家さんを二役(?)で演じてくれた滝沢さん。おばあちゃんの声は、お客様を安心して物語に誘ってくれる、ヒーリングボイス(?)なのです。尖りまくった大家さんとの変わり身(変わり声?)は、さながら落語家のようで、見どころの一つでした。

改めて役者さんたちにも心からの感謝を。
そして、今回突然音響を引き受けてくれたトミーこと、でこぼこギアの役者の池冨さん。我儘な演出の要求に全て応えて、本番はさながら専門職の音響さん並にノーミスでした。良い音をつくってくださって本当にありがとうございます。ミーコの鳴き声はワタシのコレクションにしたいくらいです(笑)。受付のお手伝いで入ってくださった、森さん、天然星河さん、元劇団員のマッキーにも、心からの感謝を。
良いリーディング公演でした。これからも、音の世界の旅は続けたいなと、心から。

今週金曜日から下北沢亭にて日の出荘のW杯

さて、早いモノでして、今週末にはもう本番となるのです。
公演情報等はどうぞ劇団hpをご覧ください

ZIPANGU Stage公式サイト

先日、2回目の通し稽古を、キム木村氏不在の中、私が代役で(笑)敢行しました。プレイヤーには久しく縁のないワタシですが、リーディングの代役ならってことで、やってみるといやはや、楽しい、ですね。そしてまあ、自分でやってみると、演出視点とはまた違った発見もあって面白かったのです。今週からはキム氏がもどってくるので、ちとさみしい(笑)。

この戯曲、もう20年も前に書いた作品で、つまりは元々はワタシが30を過ぎた頃の作品なのです。今読み返すと、当然のことながら若さも甘さも感じてしまうのだけど、それを補って余りある、強引なまでの筆の勢いみたいなモノがある。ついでに言うと、昨今では滅多に書かない、なんだかセイシュンの瑞々しさのようなモノまであって、今でも心を躍らされてしまうのです。やるな、20年前のオレ(笑)。その後に続く日の出シリーズの原点だけあって、いろいろなアイディアに溢れた台本でもあります。当時の自分は、それまでにない全く新しいタイプのコメディにちゃんとチャレンジしていて、そして当時の20代後半の若者が中心の役者さんたちと共に、右も左もわからん中でそれこそ無我夢中で新しい何かを創り上げたのだと思うのですね。リーディングへの改稿の際に、いろいろなモノを削らざるを得なかったのだけど、そのあたりの匂いはなるべくそのままに、今に蘇らせることを心掛けました。

そして今回、恵まれたことに、役者さんがとても豪華で良いです。

でこぼこギアの看板女優の北川純子さん。
かわいらしい顔に似合わず(?)積んでるエンジンがでかい女優さんですが、今回はちょっと意地っ張りだけど感じの良い、つまりはごく普通の女性の役です。彼女の秘められたパワーは、本質的にはこういう役でこそ生きると私は思っていて、嬉しくても怒っても常に感情を押さえているのに時々意地を忘れて見せる素顔が、とてもかわいいのです。

吹澤信子事務所の荻原恭子さん。去年の夏に所属事務所の企画で、拙作の『カサ・ノワール』という戯曲をやはりリーディングで上演していただいたのだけど、その際に主役の女霊媒師を演じていただいたのが彼女でした。まあ、ある種のバケモノみたいな存在感が必要な役なのですが、しっかりと皆の求心力となる演技が素晴らしかったのです。今回はその時とは全然違った、ある種女っぽい役どころなのですが、変わらぬ存在感を発揮してくださってます。

その『カサ・ノワール』の初演の時と『シット☆コム』の時にもご出演をお願いした、現在声優としても活躍中の西垣俊作さん。
声のプロの方ですから、もちろんその表現力にも注目なのだけど、今回は新境地となるような普段、氏があまりやらない役に挑戦していただいております。あのキャラクターと西垣さんとで、そこにどんな化学変化が起こるのか、ワタシも注目なのです。

元劇団員の、ご存じ、キム木村さん。
今回は、実はもともとうちの公演の一週間前に別現場の本番を抱えていたのに、ワタシがそれでもいいからと強引に誘って出演していただくことになった経緯があります。そんなワケで今回は助っ人的なスタンスでの参加となりますが、相変わらずの存在に愛嬌のある演技は健在で、作品の魅力にある種の華(?)を添えていただいております。ちなみに出番自体は決して少なくないです。キム木村ファンにも、きっとご満足いただけるかと。

そして当劇団に6回連続出演記録を更新中の、でこぼこギア主宰のコヤタカフミさん。
もはや、陰の劇団員と噂されております。もっと言えば陰の主宰としてワタシの存在をも脅かしているのです。(ウソです。素顔のコヤさんは、シャイで真面目な好青年です)
そのコヤさん、今回の役はひとことで言えば……飛び道具です。詳しく言うとネタバレになっちゃうので書けないのがもどかしいのですけど、コヤさん、弾けていただきます。その新境地にも是非ご期待いただければ、と。


日の出シリーズは、繰り返しになりますが、選手や関係者のドラマではなく、それをテレビで観ている、ごく普通の人々の物語となります。当然サッカー好きもいれば、そうでもない登場人物もいます。シリーズの名物はその臨場感あふれるサッカー観戦シーンなのだけど、そこに至るまでのごく普通の人々のごく普通のドラマこそが、このシリーズの肝でもあります。すばらしい役者さんと共に、新たなチャレンジとして、その世界観を創れたら……今回、とても面白い作品になると思っています。今週末、下北沢まで是非お出かけください。心よりお待ちいたしております。

日の出荘のW杯2017

日の出2017チラシ仮さて、方々で告知されております通り、来年は劇団創設25周年の記念イヤーということで、年末にそのプレ企画公演を行うこととなりました。

『日の出荘のW杯2017』
(公演の詳細は下記劇団HPをご覧になっていただければと思います)
劇団公式サイト

日の出シリーズというのは、うちの劇団で、4年に一度のワールドカップイヤーに必ず上演している作品群です。それぞれが独立した物語で、サッカーに材を取っていますが、選手や関係者は一切出てきません。それをテレビ観戦している、ごく普通の人々の物語となります。アパート、病院、交番前広場、温泉宿、銀行などなど、作品ごとに場所は違えどその片隅には必ずテレビがあって、本当はサッカーどころじゃないハズの人々がいつの間にやらテレビの向こうのボールの行方に夢中になり……なにやらジンセイの大事な何かを試合の結果に賭けてしまう。そのシリーズの記念すべき第一作が1998年に初演された『日の出荘のW杯』であり、これは時の萬劇場さんのコンクールでグランプリをいただいた、劇団にとっての出世作であり、我々にとっても思い出深い作品でもあります。今回はそれをリーディング用に大幅改稿してお届けしたいと思っております。

期せずして来年はワールドカップイヤーでして、来年5月には旗揚げ20周年記念公演として、日の出シリーズの最新作の上演を予定しております。その前に、そのシリーズの記念すべき第一作を、味わっていただければ、と。リーディングといえど、まるでパブリックビューイングの会場にいるかのような臨場感で、あのジョホールバルの歓喜を味わっていただけると思っています。もちろん、サッカーをまるで知らない方にも安心して楽しんでいただける作品となっております。皆様のご来場を、こころよりお待ちいたしております。

『から・さわぎ』の裏のもう一つのドラマ(最終)

5月も半ばになり……翌週に公演本番を控えた頃に、

くーちゃんは体重が1.7キロくらいまで落ちていて、ある晩、激しい嘔吐に襲われました。それまで、下痢の症状はあっても、嘔吐はなくて……しかもひどく苦しそうで……

翌日午前中に時間を無理やりつくって、獣医さんに連れていきました。いつもの点滴に、嘔吐止めの薬も入れてもらって、家に連れて帰ったのだけど、くーちゃんは、あまり動かない。
その日も夕方からは稽古があったので、ワタシは出かけていきました。
稽古後に、役者さんとハナシがしたくて、少し飲みに行って、お芝居のハナシをしていたら、かみさんから、スマホにメッセージが届きました。
くーちゃん危ないかもしれない、と。

急いで帰宅したのだけれど、
くーちゃんはほとんど動けず、ソファの上に横たわっていました。
名前を呼んでも、少し首を動かす程度で、ソファの上には失禁の跡がありました。
昨日まではまだ自力でトイレに行けていたのに……もはや自力では立ち上がることもできないようでした。私とかみさんは、2階の我々の寝室に連れて行って、かみさんの布団の上にバスタオルを敷いて寝かせました。撫でてあげると、少しだけまた首を動かしました。しばらくはそうして撫でていたのだけれど、私もかみさんも翌朝が早いので、さすがに徹夜するワケにもいかず、午前3時を過ぎた頃に、少しだけ眠ることにしました。

目が覚めたのは、6時ごろで……
かみさんが、泣いていました。
くーちゃんは、昨夜寝かせた時と同じ格好のままで横たわっていて、
それは、本当に、ただ眠っているだけのようにしか見えなかったのです。

ほとんど苦しむこともなく……
私とかみさんが寝ている間に……
それは、私たちに、もういいよ、と言ってくれているようでした。

病気が発覚したのが、稽古開始の前の週で、
亡くなったのが本番の前の週の金曜日の朝です。
なんだか、計ったように、『から・さわぎ』の稽古と共にくーちゃんは駆けて行って、
私とかみさんは、落ち込む暇もなく翌週からの本番の準備に忙殺されていきました。
わずか二か月間の闘病生活でしたけど、
最後は、あがくこともなく、潔く、
なんだか、くーちゃんらしいなぁとも思うのです。

くーちゃんのお墓は、大家さんに相談して、今の借家の庭につくらせていただきました。
もともと、大家さんの娘さんが怪我をしている野良の子猫のくーちゃんを拾ってくれて、
それを縁あって私ら夫婦がいただくことになった経緯があって、
それが、また大家さんの持ち家の庭に眠ることになったのです。
私もかみさんも、そして猫二人、タイムもしーちゃんもここでずっと暮らしていくから、
きっと寂しくはないやね。

タイムとしーちゃんは、どこまで分かってるんだか、分かってないんだか。
特にしーちゃんにとっては、実の母親で、ずっと甘えて甘えて、過ごしてきたワケで、
突然いなくなった、あの日以来、以前にも増して私らに甘えるようになりました。時折、その姿を探しているようにも見えて、それは切ないのです。
私はと言えば……まあ、ハンパなく、泣きましたよ、その時は。
猫を亡くすのって、慣れることなんかできないので。でも、夢中で公演期間を走り抜けているうちに、少しは落ち着いて考えられるようにもなったのです。もしも、その公演期間の最中に、その時がきていたら……最後はたぶん見送ることもできず、心に、もっと深い傷を負ったことになったかもしれません。


今でも時々……
猫のご飯を用意する時、三人分用意しそうになって、あっ、と思う時があります。
最初うちに来た時はまだ子猫で、全然、なついてくれないのが心配で……でも、タイムと子供を二度もつくって、宝物みたいな子猫たちと一緒に過ごして……そうやって、共に生きてきた時は、本当にかけがえのない、ものでした。

そこは、寒くないですか
さみしくは、ないですか
くーちゃん
うちの子になってくれて、本当にありがとう


『から・さわぎ』の裏のもう一つのドラマ(3)

台本も進んで、稽古はどんどん佳境に入っていって……

今年の4月後半くらいのお話です。くーちゃんの体重は、2キロを切るか切らないかくらいまで落ちていました。獣医さんに、ステロイド剤を皮下点滴で入れてもらって、一時的には食欲が戻ったものの……
その翌日には、大変な下痢をしてしまって、おそらくは、食べたモノをほとんど消化することなく出してしまったのです。胃腸が、もはや食べ物を消化できないほどに悪くなっていたのだろうと、今にして思います。

病気が発覚した頃、開腹手術をしないと決断した時に、
ワタシとかみさんが決めたのは、なるべく、くーちゃんを、この家で、今までと変わらず、過ごさせてあげたい、ということでした。
もしも、癌であったとしても、残された時間を、なるべく住み慣れたこの家で過ごさせてあげたい。そして、今まで以上に、沢山愛情を注いで、少しでも長く幸せな時間を一緒に過ごしたい。
でも、くーちゃんはますます食欲を無くし……
薬を飲ませても、胃腸が吸収しなくなりました。獣医さんに連れていって、点滴で薬を入れてもらえば少し元気になるのです。でも、飲み薬をいくら飲ませても、一行によくなる気配がなくて、
ずっと、この頃も朝晩、獣医さんに処方してもらった薬を、飲ませていたのだけれど、なんだか今までみたいに抵抗もしなくなったくーちゃんは、されるがままに薬を飲んでいて、それはそれで悲しいことなのでした。
せめて少しでも食事をとってくれればと、鮭を買って焼いたものを冷やして与えたりしてみました。その時は食べてくれて、もう本当に少しでも食べてくれると嬉しくてしょうがなかったのだけれど、また、翌日になると猫トイレに下痢の跡があったりしたのです。

5月になり、台本が完本して、
通し稽古になる頃、もうくーちゃんはほとんどなにも食べられなくなり、
獣医さんに連れていって、点滴をしてもらって、その栄養素で生きているような状態になりました。
この家で、なるべく一緒に幸せな時間を過ごさせてあげたい、
そう願ったクセに、稽古はますます佳境になり、ワタシも滅多に家にいられなくなって、
少し時間ができると、獣医さんに連れて行って、点滴をしてもらって、それで命をつないでいる。
このころは本当に、もう、何が正しいのか、自分でも分からなくなっていました。

おそらくは、もう、助からない。

分かっていたけど、それを認めるのは難しいことでした。延命治療を否定したクセに、いざそうなると、どうしたって、少しでも長く生きてくれるように、なにかできることがあるならば、少しでもしたくなるのです。人間って愚かだ。
強制給餌という、無理やり猫の口に注射器でペースト状の餌を入れて、少しでも栄養を取るようにする、みたいな治療もやってみました。でもさ、胃腸が吸収しなくなってしまった猫に、注射器で無理やりごはんを喉に流し込んだところで、
吸収してはくれない、のですね。翌日、ひどい下痢が猫トイレに。
全てはただ、苦しませているだけなんじゃないかと自問しながら……
それでも、くーちゃんは、まだ階段を自力で登ったり(すごくゆっくりになったけど)トイレにも自力で入ったり、稽古終わって帰宅した私の膝に乗ってきたりもしてくれていたのです。

いつか来るだろう、その日が、いつになるのか。
その月の下旬には本番があって、本番週は、もうどうあがいても、小屋につきっきりになって、獣医さんに連れていく時間がない。あるワケがない。
なんとか、その翌週までもってくれれば……普段は神頼みなどしないくせに、本当に祈るしかない。せめて本番が終わるまでは……
それがその頃の切なる願いでした。

『から・さわぎ』の裏のもう一つのドラマ(2)

猫に薬を飲ませるというのは……
やったことある人ならわかると思うけど、実はとても大変なのですね。左手で猫の頭をがっしと押さえて上を向かせ、親指と小指をうまく使って、猫の口を開けさせる。そうしておいて右手で用意しておいた薬をつまんで、猫の喉をめがけて落とすのだけど……
まあ、当たり前ですが、猫がそんなおとなしくしてくれるワケはないのです。身体をくねらせて、必死の抵抗をします。運よく、喉にストンと落ちてくれればいいのだけれど、暴れる猫を押さえつけながらの作業ですから……手元が狂って舌に落ちたりすると、薬ってハンパなくマズいみたいなので、これはもう、「何するんだよ〜」とばかりに吐きだします。時には、口から泡を吹いたりもして、こうなったらもうお手上げなのです。食欲のある猫ならば、餌にまぜて食べさせるという方法もあるのだけれど、元来、腸に異変が起こってごはんを食べなくなっている猫には、上記の方法以外はなくて……その頃のワタシら夫婦は、毎日朝と夜の一日二回、文字通り、黒猫のくーちゃんと格闘していました。

ちょうど、から・さわぎの稽古が始まった頃のことです。
その頃の、くーちゃんの体重が、2.6キロくらい。こぶりな猫だけど、それでも普段の体重は3キロを超えていたので……まあ、当たり前ですが病気で食欲が落ちると、みるみる体重は落ちて行きました。それなのに、くーちゃんは、元気でした。しーちゃん(牡8歳)と追いかけっこをしたり、タイム(牡14歳)に、ちょっかいを出したり。病気になったなんて嘘みたいでした。時折、台本を書いているワタシの膝に乗ってきて、スヤスヤ眠っていたりもしました。ただ、どうしても食事を食べてくれない。ご飯をあげると、ちゃんと寄ってきて匂いをかいで、食べようとはするのだけれど、食べ始めると、苦しいのか、げっぷのような息を漏らして、すぐにやめてしまうのです。人間の場合でもそうですけど、食べられているうちはまだ大丈夫で、食べられなくなってしまうと、途端に病魔に負けてしまう。

リンパ腫(癌)か、腸炎か。それを明確に診断するためには、開腹手術をして腸の組織を調べなければならない。でも、体重も減って、体力が落ちている猫には、その手術自体が大きなリスクになってしまう。
かみさんと何度も相談しましたが、結論を出すのは難しいことでした。セカンド・オピニオンが欲しくて、以前住んでいた町にある、くーちゃんが子猫の頃からお世話になっている獣医さんの所に、レンタカーを借りて連れていったりもしました。診断結果は、今の町の、今お世話になっている獣医さんとほぼ同じものでした。
だけど……
どうしても私には、今のくーちゃんに開腹手術を決断することはできなかった。もし、その結果がリンパ腫だったとしたら……
ただでさえ体力の落ちているくーちゃんに、手術をした上で、そこから先の抗がん剤治療だのって、過酷な(おそらくは副作用を伴う)治療をさせることになるのです。何日も入院することにもなると思う。猫って、家につく生き物ですから、普段慣れた場所と違う所に連れていくだけで、とてつもないストレスを感じてしまうのですね。しかも前述した通り、それをやったからといって、完治する可能性は少なくて、おそらくそれは苦しむだけの、延命治療というものになりかねない。果たしてそれは誰のための治療なのか……

イチかバチか……
そんな言葉が適切かどうかは分からないけれど、開腹手術はせずに、両方の病気に効くと思われている薬を処方してもらいました。腸炎なら、治る可能性はある。でもそのためには……
くーちゃんの食欲が戻るかどうかがカギでした。
劇団の稽古はどんどん進んでいて……
かみさんが、忙しい合間をぬって、ペットショップで、ありとあらゆるペットフードを買ってきました。食べてくれればいい。お願いだから、食べてくれと、願うしかなかった。

獣医さんがステロイド剤という薬を、皮下点滴というやりかたで入れてくれて、
元々は、免疫を弱める作用のある薬らしいのだけど、それがいろんな病気に効果があるみたいなのですね。食欲増進の効果もあるらしい。
薬を投与したその日、
くーちゃんは病気が嘘みたいに……それこそ、何日かぶりかで、与えたごはんを、病気になる前の量、完食しました。
私とかみさんは文字通り、手を取り合って………あんな嬉しかったことは、今までになかったかもしれない。きっと、良くなると……

くーちゃんは、いつもに比べればいくらかおとなしい気もしましたけど、でも元気でした。稽古はどんどん進んでいって、それがくーちゃんのお蔭かどうかは分からないのだけれど、台本もいつもよりはずっと順調に進んでいました。この先どんなコトになっても、絶対に公演は中止にできないですから……その思いが、私にいつも以上の集中力を与えていたのかもしれません。
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