さて、早いモノでして、今週末にはもう本番となるのです。
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先日、2回目の通し稽古を、キム木村氏不在の中、私が代役で(笑)敢行しました。プレイヤーには久しく縁のないワタシですが、リーディングの代役ならってことで、やってみるといやはや、楽しい、ですね。そしてまあ、自分でやってみると、演出視点とはまた違った発見もあって面白かったのです。今週からはキム氏がもどってくるので、ちとさみしい(笑)。

この戯曲、もう20年も前に書いた作品で、つまりは元々はワタシが30を過ぎた頃の作品なのです。今読み返すと、当然のことながら若さも甘さも感じてしまうのだけど、それを補って余りある、強引なまでの筆の勢いみたいなモノがある。ついでに言うと、昨今では滅多に書かない、なんだかセイシュンの瑞々しさのようなモノまであって、今でも心を躍らされてしまうのです。やるな、20年前のオレ(笑)。その後に続く日の出シリーズの原点だけあって、いろいろなアイディアに溢れた台本でもあります。当時の自分は、それまでにない全く新しいタイプのコメディにちゃんとチャレンジしていて、そして当時の20代後半の若者が中心の役者さんたちと共に、右も左もわからん中でそれこそ無我夢中で新しい何かを創り上げたのだと思うのですね。リーディングへの改稿の際に、いろいろなモノを削らざるを得なかったのだけど、そのあたりの匂いはなるべくそのままに、今に蘇らせることを心掛けました。

そして今回、恵まれたことに、役者さんがとても豪華で良いです。

でこぼこギアの看板女優の北川純子さん。
かわいらしい顔に似合わず(?)積んでるエンジンがでかい女優さんですが、今回はちょっと意地っ張りだけど感じの良い、つまりはごく普通の女性の役です。彼女の秘められたパワーは、本質的にはこういう役でこそ生きると私は思っていて、嬉しくても怒っても常に感情を押さえているのに時々意地を忘れて見せる素顔が、とてもかわいいのです。

吹澤信子事務所の荻原恭子さん。去年の夏に所属事務所の企画で、拙作の『カサ・ノワール』という戯曲をやはりリーディングで上演していただいたのだけど、その際に主役の女霊媒師を演じていただいたのが彼女でした。まあ、ある種のバケモノみたいな存在感が必要な役なのですが、しっかりと皆の求心力となる演技が素晴らしかったのです。今回はその時とは全然違った、ある種女っぽい役どころなのですが、変わらぬ存在感を発揮してくださってます。

その『カサ・ノワール』の初演の時と『シット☆コム』の時にもご出演をお願いした、現在声優としても活躍中の西垣俊作さん。
声のプロの方ですから、もちろんその表現力にも注目なのだけど、今回は新境地となるような普段、氏があまりやらない役に挑戦していただいております。あのキャラクターと西垣さんとで、そこにどんな化学変化が起こるのか、ワタシも注目なのです。

元劇団員の、ご存じ、キム木村さん。
今回は、実はもともとうちの公演の一週間前に別現場の本番を抱えていたのに、ワタシがそれでもいいからと強引に誘って出演していただくことになった経緯があります。そんなワケで今回は助っ人的なスタンスでの参加となりますが、相変わらずの存在に愛嬌のある演技は健在で、作品の魅力にある種の華(?)を添えていただいております。ちなみに出番自体は決して少なくないです。キム木村ファンにも、きっとご満足いただけるかと。

そして当劇団に6回連続出演記録を更新中の、でこぼこギア主宰のコヤタカフミさん。
もはや、陰の劇団員と噂されております。もっと言えば陰の主宰としてワタシの存在をも脅かしているのです。(ウソです。素顔のコヤさんは、シャイで真面目な好青年です)
そのコヤさん、今回の役はひとことで言えば……飛び道具です。詳しく言うとネタバレになっちゃうので書けないのがもどかしいのですけど、コヤさん、弾けていただきます。その新境地にも是非ご期待いただければ、と。


日の出シリーズは、繰り返しになりますが、選手や関係者のドラマではなく、それをテレビで観ている、ごく普通の人々の物語となります。当然サッカー好きもいれば、そうでもない登場人物もいます。シリーズの名物はその臨場感あふれるサッカー観戦シーンなのだけど、そこに至るまでのごく普通の人々のごく普通のドラマこそが、このシリーズの肝でもあります。すばらしい役者さんと共に、新たなチャレンジとして、その世界観を創れたら……今回、とても面白い作品になると思っています。今週末、下北沢まで是非お出かけください。心よりお待ちいたしております。