写真は、場あたり中の一コマです。キム木村氏撮影。今回はホントに余裕なくて、写真を撮ったり誰かに頼んだりするのをすっかり忘れていたのでした。場あたり中の写真なので衣装が本番とは違っていてそこが惜しいのだけど、雰囲気はよく出ていると思うので。
そんなワケで、全公演無事滞りなく終了いたしました。今回もお客様の暖かい笑い声に恵まれた、幸せな公演だったと思います。ご来場いただきました全てのお客様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
住人が減って取り壊しになりそうな『日の出荘』を救うために、新しい住人を増やそうと、学生時代の女友人を部屋に呼ぶ主人公。当初は単に引っ越しをお願いするだけだったハズが、なぜだか突然彼女にプロポーズするハメになって……てなところから、お話は始まります。
主人公・岡野役に、世古新。その相手役の弘美さんが、でこぼこギアの北川純子さん。この子の役がねぇ、学生時代のただの友達に突然プロポーズされるは……しかも何故だかそれをアパート中の住人が応援しているは……更には、岡野の先輩が突然来訪してテレビのサッカー中継を見始めたために、とてもやかましい中でプロポーズされるはと、ヒロインなのに、とことん苦しめられる役どころなのですね。内心ちょっと岡野を心憎からず思っている弘美さんは、その都度に心揺らされて……まあ、コメディなのでそこが面白いのだけど、ちょいと切なくもあって、胸がキュンキュン(笑)しちゃうのですね。とにかく全公演通して純ちゃんの評判がとてもよくて、ワタシはとても嬉しかったのです。
世古さんはねぇ……(笑)。まあ、岡野はものすごく大変な役で、表現すべきことが絶え間なく次から次へと…てな主役なので、しょうがない部分は大きいのだけれど、ちょいとがんばっちゃってて、そこが惜しい。演出がいくらがんばるなと言っても、まあ本番はがんばっちゃいますよね。ああいう役を、がんばらないでやるのって、実はとても難しいのです。でも、久々の大役は、彼にとって計り知れない貴重な経験になったハズ。是非、一皮も二皮も剥けた新しい、世古新になって欲しいなぁ。
そしてアパートを彩る、個性豊かな住人さんたちが、金さん(佐土原)、荻原さん、コヤタカフミさん。職人気質で口下手なのに、よく分かっていない諺を何故か使いたがるロクさん。岡野にいろいろアドバイスしようと、思いつきで発言しては、その都度にとんでもないことになるのだけれど、実は成り行きを楽しんでるだけの玲子さん。そして、東大目指して猛勉強中の無口な(リーディングなのに!?)浪人生の東さん。メインの二人を取り巻く人たちに魅力がないと、こういうお話は絶対に面白くならないと思うのだけど、まあ、この人たちは鉄壁でした。時々、金さんが噛んでたけど(笑)。
最初の三人の登場シーンで、リーディングなのに登場しただけで笑いが来た時はちょっと感動モノでしたね。そしてリーディングなのに、登場しても一言も喋らず退場していく東さんは何度観てもとても可笑しかった。玲子さんにお願いしたお色気系の声もとても評判が良くて嬉しかったのです。こんなアパートならワタシも住んでみたいぞ。
サッカーが観たくて突然訪ねて来る岡野の先輩役に、西垣さん。実はサッカーほとんど観たコトがなかったらしいのだけど、本番での声はサッカーファンそのもので、さすがだなぁと思わされたのです。きっと、松木安太郎役でもイケる(笑)。その先輩がなぜだかコンビニで出会っただけのいかがわしい男を連れて来るのだけれど、その、『なぜ君はここにいるんだ役』が、キム木村さん。観戦シーンの主役は彼らなので、二人とも喉がタイヘン心配になるほど声からして応援してましたね。最後の臨場感を作ってくれたのは間違いなくお二人なのです。今回はホント、助けられたと思うよ。
そして全編通してのナレーションと、大家さんを二役(?)で演じてくれた滝沢さん。おばあちゃんの声は、お客様を安心して物語に誘ってくれる、ヒーリングボイス(?)なのです。尖りまくった大家さんとの変わり身(変わり声?)は、さながら落語家のようで、見どころの一つでした。
改めて役者さんたちにも心からの感謝を。
そして、今回突然音響を引き受けてくれたトミーこと、でこぼこギアの役者の池冨さん。我儘な演出の要求に全て応えて、本番はさながら専門職の音響さん並にノーミスでした。良い音をつくってくださって本当にありがとうございます。ミーコの鳴き声はワタシのコレクションにしたいくらいです(笑)。受付のお手伝いで入ってくださった、森さん、天然星河さん、元劇団員のマッキーにも、心からの感謝を。
良いリーディング公演でした。これからも、音の世界の旅は続けたいなと、心から。