さて、ワタシが自分とこの劇団以外で所属している、日本コメディ協会の公演が、はや来年1月(つまりは来月)半ばに行われますので、今日はそれについて。今回は劇団皇帝ケチャップ主宰の吉岡さんを中心とした、プロデューサー主体の企画公演です。テーマはなんと、シェイクスピア!? まあ、かの有名な人の有名な作品をモチーフに、去年までと同様に、協会所属の脚本家さんたちが新作コメディを書き下ろしてのオムニバス公演となります。まあ、おそらくは難解なところなどあまりない、シェイクスピアを全く知らなくても問題なく笑って楽しめる3本の新作コメディの競演になるかと。
公演についての詳細・チケット予約等は以下のサイトをご覧ください。
日本コメディ協会公式サイト
先日(というか一昨日なのだけど)その、一回目の合同通し稽古というのが行われまして、まあ以前にも書いたのですけど、3つの作品のオムニバス公演ですから、それまでは個別に稽古していた各座組が、初めて一堂に会して、お互いの作品を披露する場でもあるのですね。自分トコの公演がきちんと笑って受け入れてもらえるのか、あるいは他の座組の作品はどうなのよ?むっちゃ面白かったら焦るなぁ、等々、演出家さんや役者さんのいろんな思惑が交錯して、まあ緊張感ハンパない感じで例年行われているのですね。今年は私は総合演出とかって肩書もないし、自分の座組もないので、割合気楽に、3組の通し稽古を拝見させていただきました。いやぁ、面白かったなぁ。いろんな意味で。
てなワケで、毎年恒例(?)の今石による、全然協会公認でもなんでもない、すこぶる個人的な作品の見どころ紹介なのです。ではいきます。ちゃん、ちゃん。
『最後の夏の夜の夢』 作:佐藤史久(マグズサムズ) 演出:渡邉晋(鉄骨ボレロ)
協会公演では毎年おなじみの佐藤さんの台本は、もうコメディのお手本と言ってよいくらい、わかりやすく面白いです。リーダブルでよく出来たラノベを読んでいるかのように、いつの間にかその世界に入り込ませられて、気が付いたら声出して笑っていました。今回は夏の夜の夢に出てくる妖精パックやオーベロンがなぜか現代日本に現れて、若者の恋を……てなストーリーなのですが、本当にこれ夏の夜の夢を全く知らなくても問題なく楽しめますね。(知っているとより楽しい部分もありますが)
そして、その作品を鉄骨ボレロの渡邉さんが、主に若い役者さんたちを使って、爽やかに演出されています。渡邉さんご自身がまだ若いのに、ストーリーをお客様に気持ちよくストンと落としていく手腕がお見事で……万人に文句なくお勧めできる一本になるかと。
『Romeo』 作:一宮周平(パンチェッタ) 演出:佐藤竜(劇団さしすせそ)
最近売り出し中のパンチェッタの一宮さんの脚本を、ご存じシュガードラゴンこと佐藤竜さんが演出します。このコンビの作品というだけで、ワタシはワクワクしてしまう。そしてまあ、見せていただいた作品は期待を裏切らず、というか大きく期待の斜め前方にはみ出しておりました(笑)。もちろんこれ良い意味です。まあ、実験的手法、という意味では過去の協会公演のどの作品と比べても前衛的、かもしれません。どこがどんな風に前衛的なのかは、書いてしまうとネタバレになっちゃうんで書けないのがもどかしいのですが、観た直後の率直な感想は「すごい」の一言でした。ものすごく一般受けする作品ではないかもしれませんが、観る人に、丁寧にその行間(というかセリフ外の部分)に隠されたモノまで感じていただければ、表層で表現されているモノとは違った何かを感じることができる作品です。こういうコメディもいいなぁと思うのですね。
ちなみに、あまり世間では知られてないと思うのですが、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』って、実はもともとの戯曲に、性的な言葉遊び(ひらたく言えば下ネタ)が満載なのですね。(これ、ほんとですよ)あのすこぶる悲劇的な物語の中にも、そういう部分がちゃんとあって、それがまあ、形は変われどこんなふうに……ああ、詳しく書けないのがもどかしい(笑)。是非、本編をご覧になっていただければ、と。
『除夜』〜十二夜より 構成・演出 松田文(イマカラメガネ)
最後の一本は、またうって変わって、とある家族の一夜を描いた作品です。イマカラメガネの松田さんは普段ご自身の劇団での公演から、初めから台本を書くワケではなく、役者さんにエチュード(インプロビゼーション=即興)をやっていただいて、そこから作品を積み上げていくスタイルの方なのですね。なので今回協会公演でも、その手法で構築していただきました。協会公演初の試みであるとと同時に、協会初の女性演出家。だからなのか、やっぱり今までのどの作品にも似ていない、新鮮なコメディ作品となっておいます。そしてその作劇方法による部分もあるとは思うのだけど、ストーリーのああなってこうなってではなくて、ディテールに積み重ねられる『情』とか、本音のつぶやきだとか、なにげないやりとりの中にこそ、その真価があって、それはワタシにとっても、とても気持ちのよいモノでした。そして、このお話、言ってみたらシェイクスピアの『十二夜』とは、ストーリーからなにから全然似ていない(笑)のだけど、観終わってみれば、ああ、確かにこれも十二夜だよな、って思うのです。全編がわりあい、しっとりとした心地よい時間で、気が付いたら良い気持ちで見終わっていたなぁ、というのが感想です。個人的にもお勧めの一本。
とまあ、こうして書いてみて、今年も例年以上に、ホント作品のテイストやらなにやら、全く違う3本なのですね。よくぞこんなにバラバラになったもんだとすら思う。同じテーマ、同じコメディなのに、いろいろ盛沢山に楽しめて、大変お得だと思います。これはマジで。そしてまた、今年も役者さんたちが良いです。うちの世古も2本目に出演させていただいてますけど、過去うちに客演してくださった、布袋田さん、マツジュンさん、シュガーさん、野本さん、ジャンプさんも出演してます。ジパングをいつも観ていただいているお客様にも、あの人観たことある〜てな楽しみ方もできるかと。
1月は是非、下北沢・楽園にお出かけください。
公演についての詳細・チケット予約等は以下のサイトをご覧ください。
日本コメディ協会公式サイト
先日(というか一昨日なのだけど)その、一回目の合同通し稽古というのが行われまして、まあ以前にも書いたのですけど、3つの作品のオムニバス公演ですから、それまでは個別に稽古していた各座組が、初めて一堂に会して、お互いの作品を披露する場でもあるのですね。自分トコの公演がきちんと笑って受け入れてもらえるのか、あるいは他の座組の作品はどうなのよ?むっちゃ面白かったら焦るなぁ、等々、演出家さんや役者さんのいろんな思惑が交錯して、まあ緊張感ハンパない感じで例年行われているのですね。今年は私は総合演出とかって肩書もないし、自分の座組もないので、割合気楽に、3組の通し稽古を拝見させていただきました。いやぁ、面白かったなぁ。いろんな意味で。
てなワケで、毎年恒例(?)の今石による、全然協会公認でもなんでもない、すこぶる個人的な作品の見どころ紹介なのです。ではいきます。ちゃん、ちゃん。
『最後の夏の夜の夢』 作:佐藤史久(マグズサムズ) 演出:渡邉晋(鉄骨ボレロ)
協会公演では毎年おなじみの佐藤さんの台本は、もうコメディのお手本と言ってよいくらい、わかりやすく面白いです。リーダブルでよく出来たラノベを読んでいるかのように、いつの間にかその世界に入り込ませられて、気が付いたら声出して笑っていました。今回は夏の夜の夢に出てくる妖精パックやオーベロンがなぜか現代日本に現れて、若者の恋を……てなストーリーなのですが、本当にこれ夏の夜の夢を全く知らなくても問題なく楽しめますね。(知っているとより楽しい部分もありますが)
そして、その作品を鉄骨ボレロの渡邉さんが、主に若い役者さんたちを使って、爽やかに演出されています。渡邉さんご自身がまだ若いのに、ストーリーをお客様に気持ちよくストンと落としていく手腕がお見事で……万人に文句なくお勧めできる一本になるかと。
『Romeo』 作:一宮周平(パンチェッタ) 演出:佐藤竜(劇団さしすせそ)
最近売り出し中のパンチェッタの一宮さんの脚本を、ご存じシュガードラゴンこと佐藤竜さんが演出します。このコンビの作品というだけで、ワタシはワクワクしてしまう。そしてまあ、見せていただいた作品は期待を裏切らず、というか大きく期待の斜め前方にはみ出しておりました(笑)。もちろんこれ良い意味です。まあ、実験的手法、という意味では過去の協会公演のどの作品と比べても前衛的、かもしれません。どこがどんな風に前衛的なのかは、書いてしまうとネタバレになっちゃうんで書けないのがもどかしいのですが、観た直後の率直な感想は「すごい」の一言でした。ものすごく一般受けする作品ではないかもしれませんが、観る人に、丁寧にその行間(というかセリフ外の部分)に隠されたモノまで感じていただければ、表層で表現されているモノとは違った何かを感じることができる作品です。こういうコメディもいいなぁと思うのですね。
ちなみに、あまり世間では知られてないと思うのですが、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』って、実はもともとの戯曲に、性的な言葉遊び(ひらたく言えば下ネタ)が満載なのですね。(これ、ほんとですよ)あのすこぶる悲劇的な物語の中にも、そういう部分がちゃんとあって、それがまあ、形は変われどこんなふうに……ああ、詳しく書けないのがもどかしい(笑)。是非、本編をご覧になっていただければ、と。
『除夜』〜十二夜より 構成・演出 松田文(イマカラメガネ)
最後の一本は、またうって変わって、とある家族の一夜を描いた作品です。イマカラメガネの松田さんは普段ご自身の劇団での公演から、初めから台本を書くワケではなく、役者さんにエチュード(インプロビゼーション=即興)をやっていただいて、そこから作品を積み上げていくスタイルの方なのですね。なので今回協会公演でも、その手法で構築していただきました。協会公演初の試みであるとと同時に、協会初の女性演出家。だからなのか、やっぱり今までのどの作品にも似ていない、新鮮なコメディ作品となっておいます。そしてその作劇方法による部分もあるとは思うのだけど、ストーリーのああなってこうなってではなくて、ディテールに積み重ねられる『情』とか、本音のつぶやきだとか、なにげないやりとりの中にこそ、その真価があって、それはワタシにとっても、とても気持ちのよいモノでした。そして、このお話、言ってみたらシェイクスピアの『十二夜』とは、ストーリーからなにから全然似ていない(笑)のだけど、観終わってみれば、ああ、確かにこれも十二夜だよな、って思うのです。全編がわりあい、しっとりとした心地よい時間で、気が付いたら良い気持ちで見終わっていたなぁ、というのが感想です。個人的にもお勧めの一本。
とまあ、こうして書いてみて、今年も例年以上に、ホント作品のテイストやらなにやら、全く違う3本なのですね。よくぞこんなにバラバラになったもんだとすら思う。同じテーマ、同じコメディなのに、いろいろ盛沢山に楽しめて、大変お得だと思います。これはマジで。そしてまた、今年も役者さんたちが良いです。うちの世古も2本目に出演させていただいてますけど、過去うちに客演してくださった、布袋田さん、マツジュンさん、シュガーさん、野本さん、ジャンプさんも出演してます。ジパングをいつも観ていただいているお客様にも、あの人観たことある〜てな楽しみ方もできるかと。
1月は是非、下北沢・楽園にお出かけください。