さて、はや明日には開幕してしまうのだな、ロシアワールドカップ。我らが代表の躍進(?)も、大会全体の展望も気になるのだけれど、まずは先の公演の振り返りから。

20180516_ZIPANGU_0006まずはお芝居におけるポジションで言えば、中盤、ボランチのお二人。典型的なブン屋さん(新聞記者)風貌の、コヤタカフミさんと、どちらかっつーと近所のコンビニに買い物に来ているフリーター(?)みたいな金田唯里さん。実は古参と新米の新聞記者さんの役です。このお二人が、なぜだか騒動に巻き込まれていく形でお話は進んでいきます。そこに起こる事件に対してお客様が感じることを感じる役割。まさに物語の舵取り役。


20180516_ZIPANGU_0105今回のヒロイン役の官邸秘書を演じるのが、北川純子さん。所属劇団のでこぼこギアさんでは、飛び道具的なモノからいろんな役割を演じられてますけど、ワタシはこの人は王道のヒロインが出来る数少ない役者さんだと思っているのです。てなワケで、揺れるヒロインの心情、三連発(笑)。
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先輩秘書(世古新)に密かな思いを寄せるのだが……

こいつは、国際的な事変の最中にも関わらず、サッカーを観るコトしか考えてないロクデナシなのです。どうにか彼をまっとうに戻そうと苦心するヒロイン。

でまあ、そのヒロインに横恋慕してるのがコヤさん演じる新聞記者なのです。
男はつらいよ、シリーズと同じく、日の出シリーズにはマドンナがいて、それに恋する男のドラマが必ずあるのだけれど、まあ、せつない物語がそこにはあるのです。ホントだよ(笑)。

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内閣総理大臣に、佐土原正紀(笑)。
最初、総理を佐土原にやらせようと思った時は、無能で何もできない、情けない総理にしてやろうと思っていたのだけれど、お話を組みあげてみたら、どうにもそれではうまくいかないコトが分かって、最終的には人間的ですこぶるかっこ良い総理になってしまったのだった。内閣の求心力であり、そこにいる人が、実は彼のためにそこに集まっていた、というような。
それでまあ、そんな役が果たしてヤツにできるのかという心配がそこから始まったワケですが……まあ、役割というのは人を成長させるのだなぁ。
20180516_ZIPANGU_0119こうして見ると、かっこよく、見えなくもないね(笑)。

20180516_ZIPANGU_0140総理の相棒役に、重役室長(じゅやくむろなが)さん。彼も普段の芸風はどちらかと言うとお茶目というか、ちょっとはしゃいでるキャラクターみたいなのですが、今回は内閣の要の官房長官です。サッカーで言えば守りの要のセンターバック。こういうどこか押さえたところがあってかつ人間的な役柄が、ワタシは重役さんにあってると思うのですね。



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防衛大臣、星河里奈さん。おそらく今回の一番人気のキャラでした。『防衛』大臣のクセして、守るのが嫌いで攻めるコトしか考えてなくて、でも実は誰よりも人情家で。
実は普段はかなりの天然さんの星河さんなのですが、魅力的な役者さんというのは、どこか天然気質を持ってるものだなぁと改めて。人の魅力、というものはまあ、永遠に謎です(笑)。
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総理の秘書(世古新)をぶんなぐって、

官房長官に「君ぃ、暴力は……」と咎められても、

「私は防衛大臣稲田堤朋子です!」

いや、防衛大臣が殴ったら余計にマズいでしょ(笑)。

このシーンに音響の田島さんがつけてくれた殴る効果音が、ビシっ、とかバシっ、ではなくて、
ドゴーーン!
みたいな音で、それもまたおかしかった。
このシーンは、何度見ても、ワタシ自身が胸がすーっとしたモノです。こういうコトが出来る女優さんって、ホント、貴重だと思うよ。






20180516_ZIPANGU_0214政府の軍事顧問の役に、竹内悠人さん。この人実は結構イケメン(?)なハズなのに、普段はあまりそんなふうにも見えず(笑)、でも舞台の上ではちゃんとカッコよくなるという、まあ役者さんです。一見クール。でも実は内面は誰よりも熱い。
20180516_ZIPANGU_0318そしてまあ、シリーズ名物の観戦シーンでは誰よりも役にたってくれました。笑いをとる、という一点においても、今回のツートップは、防衛大臣と、軍事顧問でしたね。



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そしてまあ、全体を常に常に見渡しているのがこの人。カリスマ新聞記者役の滝沢久美。実は首相より権力持ってる影のドン?サッカーのポジションで言えばゴールキーパーかしら。反則的に一人だけ、手を使ってもよいプレイヤー。ともするとゴールの守りだけでなく、点を取りにも行ってたような(笑)。キーパーなのにフリーキックも蹴るという、伝説のチラベルト的な……って言ってもわかる人にしかわかりませんね。ごめんなさい。


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今回は20周年記念公演ということで、日替わりゲストを劇団ゆかりの役者さんたちにお願いしていたのだけれど、この日のゲストはファルスシアターの矢吹ジャンプさんでした。役柄は外務大臣。役名が、麻生田さんと言いまして、ジャンプさんは一番、あの方を意識した役作りをされていましたね。口癖が「あ、そーだ」って、これは元々の台本にはないのだけれど、そういう遊びがジャンプさんはうまいなぁ。

20180516_ZIPANGU_0356いろいろあって、物語は大団円。今回は台本も遅れたし、稽古の時からいろいろありすぎるくらいあったのだけど……
公演も最後には大団円となったのでした。いろいろいっぱい苦労をかけてしまった役者さんたち、本当にごめんなさい。そして心から感謝します。ありがとうございました。
(写真撮影山下裕之)