さて、日本コメディ協会公演『ワ・ラ・カ・ル・ト2018』無事全日程を終了いたしました。ご来場いただきました全てのお客様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

ワラカルト ゲネ_180906_0001トップバッターを務めていただいた、『ある妹とその弟』チーム。いつの協会公演でもそうですけど、最初に出るってのはやっぱりハードル高くて、そりゃそうだよね、既に温まったお客様ではなくて、コメディ協会なんぼのモンじゃい!ってなお客様を、まずは我々の世界に引き込まなきゃならないのだから。毎回、冒頭のイカちゃん(五十嵐)とデラちゃん(小野寺)の会話からクスクスが始まって、嶋田さんの演じるヘンなパパが出てくると笑いが起こって、更に稲岡さんが出てくると……って、時が進むごとに、お客様がコメディの世界に誘われていたのです。かなり強引なキャラと、強引なお話を、毎回ストンとお客様に落としてみせた遠藤会長の手腕がお見事でした。そしてそのかなり強引なキャラを演じた役者さんたちにも、拍手。

ワラカルト ゲネ_180906_0006そしてまあ、景浦さんの落語にはどれだけ助けられたことか。まくら、でお客様を完全につかんでしまう手法がお見事で……あとは古典落語の世界に、どっぷりと。まるで、落語家さん(笑)。いえ、お客様には本当に落語家さんに見えていた、と思う。本職は声優さんの景浦さんの、いつもとはまた違った可能性が存分につまった一席だったと思うのです。その後のチームが、どれだけやりやすかったことか。



ワラカルト ゲネ_180906_0011写真は、小石田純一さんです。すっかりテレビでもお馴染みの小石田さんのネタは、まあ、当たり前っちゃそうなのですが、一番爆笑を誘っておりました。でも、ワタシがビックリしたのは、日替わり芸人さんの、あとの二組でして、二日目の太田トラベルさん、三日目のおしんこきゅうさん。そのネタのクオリティの高いことと言ったら。いやはや……その道のプロの手腕をライブで存分に見せていただいて、一緒にやっているワタシらにしても、贅沢な時間だったと思うよ。


ワラカルト ゲネ_180906_0013そして拙作の『四番目の証言』。コメディ協会の作品としては、ちと反則なのではないかと自分でも思いつつ(笑)。でも、これはこれでコメディだとワタシは思うのですね。人として、弱点も欠点もいっぱい抱えながら、あくせく生きていく人たちの物語。リーディングですから、ストーリーの面白さだけは伝えつつ。まあ、わりと我儘に、好きなことをやらせていただいたと思うのです。遠藤さんにいつ怒られるんじゃないかと、実はワタシひやひやしてました(笑)。今回、本当に声の良い役者さんたちに集まっていただけたので、音のドラマとしては、自分の作品がワンランク上等になったように(笑)も思えて、役者さんたちには感謝の念しかないです。そしてまあ、ここまでのチームが存分にコメディとしての笑いを生み出してくれていたので、そのはざまにはお客様にとっても、こういうのもアリになったとも思う。そういう意味では、みなさんありがとう、の作品でもあるのです。

ワラカルト ゲネ_180906_0019最後は、今をときめくパンチェッタ・一宮さんの『Hana』。実験的な作品でありながら、かくもお客様に受け入れられ、笑っていただけることに、ワタシは感心したのでした。そしてまあ、ここの役者さんたちが、本当に寸暇を惜しんで、それこそ本番直前まで稽古されていて。彼・彼女たちは本当に大変だったと思うよ。でも、観てくださるお客様のために、最期の最後まで。傍で観てたら、ちょっと心配なほどに、役者さんはがんばってましたね。だからこその、客席のあの笑い。なんだかコメディというものの原点を観ているような、そんな複雑な思いもわいたチームなのでした。そうそう、ここに出演されていた野々目さんという女優さんの演技が、ワタシはなんか好きだったぞ。花が枯れる瞬間の変化は(こう書いても観てない方には分からないと思うのですがごめんなさい)凄い、の一言でした。

この企画、たぶんまたやる、かもしれません(笑)。今回、残念ながら見逃された方も、是非次の機会をお待ちいただければ、と。自分としてもいろいろ刺激をいただいた、良い公演だったと思うのです。