私の放送作家の師匠であり、私をシナリオライターとして世に出してくださった、竹内日出男先生が8月30日、亡くなりました。88歳でした。

未だに信じられない気持ちでいっぱいなのです。晩年は後進の指導に尽力しながらも、80歳を過ぎてからもご自身の新作の構想を実に楽しそうに語っていました。ラジオっ子ではなかった私に、ラジオドラマの面白さを教えてくださった方でもあります。映画やテレビドラマは絵(映像)のメディア。ラジオドラマは音のメディア。演劇はその中間。音を大事にしなさい。それが私の作品作りの根底になっていたと思います。

ご自身がラジオドラマの分野で国際的な賞を沢山受賞しながら、私を含め沢山の弟子たちをデビューさせた、指導者としても超一流な方でした。弱点を指摘するのではなく、あなたはこういうところがいいよ、と。そして時には厳しい言葉も。だから先生に褒めていただけるとね、なんかすごく嬉しかったんです。いつか先生に「あの野郎、やりやがった」と言って欲しくて、それが私の創作の一番のモチベーションになっていたとすら思います。

私の人生の中で、数少ない幸運は師匠に恵まれたことだと、今本当にそう思います。お忙しい中で、私のお芝居の公演にもほぼ欠かさず足を運んでくださり、時に笑顔で、時に厳しく……

今日、お別れに行ってきました。先生はどこか安らかな顔をしていました。

先生、ありがとうございました。ありがとうございました。ありがとう、ございました。本当に心から、ありがとうございました。そして、不甲斐ない弟子で本当にすみませんでした。

竹内先生、どうか、安らかに。