日本 28 ― 22 サモア

前半はこれまでで一番と言っていい立ち上がりでした。ディフェンスも攻撃も安定感があって、スクラムもガッチリ止めて、前半32分までに2トライ。今日は安心して観てられるなあ、なんて思っていたのだけれど、やはりそんな甘いもんじゃなかったのです。33分、堀江の不用意に高く入ってしまったタックルがイエローカードになって、そのペナルティキックを起点にサモアが怒涛のモールでトライ。いやあホントに要らん失点で、前半は17対8となりました。こういうので得てして流れが変わってしまうのですね。一人少ないジャパンは後半も開始直後から攻めに攻められ……ああ結局はこういう試合になってしまうのだなあ、と。ところが……

その堀江が戻った後半7分に、今度はサモアのベン・ラムがレッド・カードで一発退場に。直後の9分、今度はジャパンがモールでトライ。16分にはキック絶好調の松田がPGも決めて、スコアは25対8。ツートライでも追いつかれない点差になって、流石にこの時は決まったかな、と思ったよ。だいたいは過去のサモアならこれで切れてましたしね。あとはボーナスポイントが付く4トライめを待つばかりだなあ、とか呑気に思っていました。ところが……

その後のサモアがすさまじかったのです。一人少ないハンデを埋めるためにスクラムハーフのジョナサン・タウマテイネを下げて、展開のラグビーを敢えて封印して(だってパス出しできる人いないですから)近場ばかりをゴリゴリ攻めてきた。この苦肉の策にも思える戦法がめちゃくちゃジャパンには有効で、まあ押される、押される。切れるどころか、キレっキレのリアリーファノ中心にどんどん攻めてきて後半26分と38分にサモアのトライ。気がつきゃ点差は6点差になってまして、つまりはワントライで逆転可能。いやー、こんなにヒヤヒヤしたの、生まれて初めてよ(笑)。

結果的には切れないサモアをなんとか振り切っての勝利。ボーナスポイントは取れなかったけど、まあ取れるどころじゃなかったです、ハッキリ言って。結果的には、セルジオ越後さん風に言えば「勝ったことだけが収穫だよ」てな、危ういゲーム。まあ本当に、勝てて心からホッとしました、ワタシは。なにより……
後半20分以降のゲームは、近場のゴリゴリ戦法やら、交代選手の不出来も含めてジャパンはこうすれば倒せるという情報を、アルゼンチンにたっぷり与えてしまったとも思う。
果たしてこの短期間で修正はできるのか。まあJJ(ジャパン監督)も分かっちゃいると思うので何かしらの対策を考えてくる……とは思うのだけど。

さて、いよいよ本当の決戦、なのです。
プールDの2位アルゼンチンとの直接対決。ここまでの戦績は互いに2勝1敗で勝ち点も同じく9。ただ得失点差はだいぶ向こうが上なので、引き分けではダメ。ただ、勝てさえすればどんな勝ち方でも我らがジャパンの決勝トーナメントが決まるのです。チリやサモアと違って、普通にやっては勝てない格上相手ですが、2015年も19年も『何か』を起こしてきたのがジャパン。
期待しましょう。