今回も前週の続きで固(かた)めの話じゃ。
「国民国家」 って 「Nation-state」 の翻訳語じゃと先週言ったのう。
nation ⇒ 国民 state ⇒ 国家。
じゃから本来はnation、state、
と云う概念(concept)を把握しない限り
理解不能って事になるんじゃよ。
nation、state、と云う言葉にはそれが使用された処の
経済・政治・文化の歴史がいくえにも積み重なっておるんじゃ。
ほら、ここでも出現しちょる。
economy⇒ 経済・politics ⇒ 政治・cultures ⇒ 文化、
これも翻訳語なんじゃよ。
これ以外にも幕藩体制の崩壊以後、新語として流布した翻訳語が
ごまんとある。と言うよりも明治時代に突入してから
それ以前の和語(日本古来の言葉)の使用が減少したんじゃよ。
どうもわしら日本人は 「新しもの好き」 のきらいがあるみたいじゃ。
これって今現在も日々進行中なんじゃ。
特に、大東亜戦争後には米英語のカタカナ表現は顕著じゃろ。
まあ、今日は 「新しもの好き」 の話ではなく、
最初に触れたnation ⇒ 国民 state ⇒ 国家についてじゃ。

先ずは 「nation ⇒ 国民」、
この国民と言う漢語(熟語)は漢文には存在しないんじゃ。
国(コク・くに)は俗字で 「國」(形声文字)が本来の漢字じゃ。
國=囗+或 
囗・・・四方の城壁や境界の封(もりつち)じゃ。 意符
或=戈+口+一 音符  或は國の原字
 戈・・・ほこ=守備
 口・・・くち=人
 一・・・ひと=土地
或・・・上記の合字で
人の集まり住んでいる土地、即ち、上代のポリス的な「くに」の意じゃ。
民(ミン・たみ)は母又は女子に上下の点を添えた形。(指事文字)
子を生み育てて人を増す意を示すんじゃ。
この二つ(國・民)の漢字をくっつけnation は国民と訳されたんじゃよ。
和製合成漢字での連結意味合いは
「境の内側で愛を育み子孫を増やす行い」 ってな感じじゃよ。
漢語でのこの表現は 「国人」 になるんじゃ。
しかし、現在の中国では日本作成文字を輸入し国民を使用しちょる。
一方、nation は米英語じゃがこれの語源はラテン語natioからじゃ。
(ラテン語は伊中西部在住ラテン人言語→古代ローマ共和国公用語
 →カトリック教会公用語→欧知識人言語。今もバチカン市国公用語)
ラテン語natioは出生→種(族)の意なんじゃ。
故に、nation はある地域で生まれた一族と言うことになる。

次に 「state ⇒ 国家」、
国家は漢語(熟語)で存在するんじゃ。
漢語の国家は国(世間)と家(家庭)との対比表現熟語じゃ。
又、紀元後になり国家=皇帝(皇帝が治める都市=私有財)の意も。
現在の中国語、「国家」 は国民同様日本から逆輸入した国家に。
この逆輸入時期は清朝(満州人王朝)末期(明治維新後)。
清朝は主に漢人を日本へ留学生として送り込んだんじゃが、
彼らが立憲君主国民国家化した日本で知識・軍事を習得し
帰国する際、便利グッズ(和製漢語)としてお持ち帰りされたんじゃ。
国は上記の通り。
家(カ・ケ・コ いえ・や・うち) ( 形声文字)
家=宀+豕
宀・・・家 意符 (象形文字)
使用に垂れた屋根の形にかたどる。原義は奥深い家。
豕・・・いのこ(猪)・ぶた(豚)の意。 音符
原義はぶた小屋の意、転じて人の住む「いえ」に用いる。
この二つの漢字をくっつけstate の訳語として国家になったんじゃよ。
stateはラテン語statusが語源なんじゃ。
ラテン語statusは立つ事・位置、状態→地位、財産の意じゃ。
stateは先週話した、米国東海岸13州が英王室私有財産(土地)を
戦いで分捕り・独立し米国東海岸13州に住まう人の共有財産?に
してしまった。
従って、
stateを訳した国家はこの 「財産(土地)」 って言うことなんじゃよ。

そして、Nation-state ⇒ 国民国家は地域一族財産(土地)って事に。
ちょいと端折って話してしまったが
国民国家とはこんな歴史背景があったんじゃよ。

尚、漢字は 「新漢和辞典改訂版(大修館書店)1967/2/1」 を参考。
形声文字とは
規制の文字を二つ以上結合して新文字を作る際、
一方の字から意味を取り(意符)、他方の字から音を取り(音符)
構成された文字。
象形文字とは
個々の形有る物を簡略化して絵画的に表現した文字。
指事文字とは
象形文字の様に絵画的図形で表現不可の事柄を点や線、或いは、
既存の象形文字上に記号を添えて指し示す文字。