2024年03月06日
308ウィンチェスター銃
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さいきん、あれほどニュースのタネにこと欠かなかった「クマさん」の市街地出現ニュースがハタ、と止んでいます。
巷では餌不足からクマの「冬眠」を否定する風潮が溢れはじめ、その後なんとなく沙汰やみになったように思う。
彼らの行動が積雪に阻まれ、「食いだめ」できないままに不貞寝しているのかもしれない。
太れないままに冬眠に入れば、その最中に命が尽きてしまうおそれがある。
増えすぎた彼らの大多数が、餌不足のまま「冬眠死」してくれるのを願う人は多いだろう。
なにしろ酷かった。
個体数が増えれば１固体あたりの「食い扶持」が減少する。
そこに山のめぐみの大凶作と、鮭の回帰が極端に少ない年が重なったことで、冬眠入りを前にした彼らは人里にまでテリトリーを広げるようになった。
テリトリーと申す範囲は、自分が生きていくための領分で、この範囲内の食物は「自分」だけが生きるためのものだから、同じ種族と言えどもテリトリーを犯す固体は、命を駆けて追い払う。
キノコ採りとか、山菜採りの人間たちもテリトリーを犯す「侵入者」なのだ。
何も採らずにハイキングするだけでも、彼らの目から見ればテリトリーを犯す狼藉者なのさ。
こうして人畜に被害が及ぶようになると、「ハンター」たちが堂々と活動するようになる。
そして、ハンターの凶弾（？）に倒れたクマの映像を見て、
「かわいそうだ」
「なんで殺すのか」
といった非難の声が巷に溢れ、北海道を始めとして青森県や秋田県、新潟県、長野県、栃木県･･･の地域役所に抗議の電話が殺到する。
こうした支離滅裂な声は、クマが出没しない地域から上がってくるもので、クマが出没する地域からの抗議は全くないと相場が決まっている。
クマに遭遇することのない地域の人々が考えるクマのイメージはこのようなものだろうか。
それで「かわいそうだ」と短絡思考することになるのだろう。
クマが棲息する地域では、クマは虎やライオンと同様の「猛獣」と認識しているのだ。
だから彼ら猛獣に対処するために、土着ハンターの数は都会地よりも多い。
都会地のハンターたちが、わざわざ危険を冒してまで熊狩りに出張るはずもないことは、『熊は猛獣』であることを良く示しているだろう。
このハンターたちだが、猟銃を使って猪，鹿，熊といったケモノを狩って生計を営んでいるわけではない。
時と場合に応じて、熊を撃ち、猪や鹿を撃っているのだ。
危険を冒してまでクマと対峙することはないにしても、ハンター組合に要請があれば重い腰を上げざるを得ない。
第一に、危険で、命を落とすこともある。
第二に、危険な割に出動手当てが少ない。
第三に、少ない手当てで猟銃撃ちのレベルを維持できない。
だから喜んでクマ撃ちに参加するハンターの数は知れていて、ベテランハンターと呼べる人は、どんどん高齢化しているのだ。
若いハンターが一人前に育つまで、それ相応の年季が必要とされていて、銃の腕前だけでなく、獲物の習性に至るまで熟知していなければならない。
さて、彼らハンターの用いる猟銃は「308ウィンチェスター」銃で、遠方からの射撃よりも、罠にかかった獲物のとどめを刺すときに使われることが多い。
罠にかかった獲物を、銃以外の道具を使ってとどめを刺すのは危険きわまる。
銃の場合、一発あたりの価格が高価な銃弾を何発も撃たずに済むのだ。
こうした使い方をしていれば、「誤射」や「流れ弾」の心配もない。
猟銃の名前が出てきたところで、猟銃本体と銃弾および必要な維持費についてWebを調べてみた。
猟銃本体の価格は割愛するが、初めて自分の猟銃を手にするときは、銃本体の価格のほかに、
・教習資格認定申請手数料8900円
・火薬の譲受許可申請手数料2400円
・射撃教習受講料約3万円(射撃場によって異なる）
・射撃教習のための弾代約3000円
と、銃本体の値段を省いても、ざっと44300円也の費用がかかるそうです。
さあ、晴れてハンターなりました。
なってはみたけれど、実際に猪，鹿，熊を撃ってみれば的を外すことが多く、その都度弾丸を手に入れなければならぬ。
不器用なハンターは既成装弾しか使わないから、1発500-700円で購入しているそうです。
的を外すことが多いことを考えれば、これは「高い」買い物といえるだろう。
弾丸が高いのを理由に、射撃場での練習を怠ると、それがますます的を外す原因になり、自身を危険にさらすことにも繋がりますから、定期的に射撃場に通い、実弾を発射する「カン」を鈍らせないようにしておく必要があります。
そうすると、弾代の高額さをどうこう言えなくなる。
狩猟が主目的のベテランハンターは、使用弾数も少ないので既成の完成装弾を購入しますが、射撃練習をこまめに行なうハンターになると、部品を購入して手製の弾丸を作ります。
これには別途工作機械の購入費用がかかりますが、仲間内で「組合」を結成して工作機械を購入すれば、弾丸の購入費用の面はなんとかなるでしょう。
弾丸を自作するとき、部品の一つである薬莢（やっきょう）は10回以上繰り返して使うので、そのぶん一発あたりの価格を抑えることができ、購入するのは弾頭，火薬，雷管部品だけになります。
雷管が約15円
火薬450ｇが1万円ほど（308ウィンチェスター銃なら1発で火薬3gを使用）。
弾頭は種類やメーカーで差があるが、1発あたりの値段は100-200円程度です。
練習を含めた使用頻度が多ければ、諸道具の初期投資があっても、1年以内には元がとれるとか。
最近になってクマが頻繁に現れる地域の自治体が、国の方針を背景に「個体数の調整」に乗り出すという話が出てきました。
これは対象とする生物の個体数が絶滅しない程度に調整することを指していて、
「□○の地域においては、☆☆頭に調整すべし」
というお上の「御墨付」が発令されることになります。
そうなると、それなりに予算が交付されますから、危険に身をさらしながら満たされなかったハンターたちの懐もうるおうというもので、彼らは後継の心配もなく、今まで以上に積極的に行動するようになるでしょう。
zo_roku at 23:46｜この記事のURL│Comments(0)
