2008年10月

2008年10月29日

歯医者でハーレム

 歯医者に通っている。

 思えば昨年の11月、差し歯が折れたのを治療しに行ったら、潜在的な虫歯が何本か見つかってしまって。
 すぐに治したかったのだが、しかしスケジュールがそれを許さず。
 翌年(つまり今年)の3月ごろには通えるようになるかと思っていたら、そうもいかず。
 ついにずるずると夏を過ぎ秋を迎えたわけで。

 しかし今回、編集部の「いいから休め」のお言葉に、ようやく時間が空けられた。

 念入りに手入れをしていたおかげで、大した進行はなかったようで、一安心。
 おまけに、連続して予定を空けるのが難しいと相談したところ「それなら、1回の通院で確実に1本ずつ治せるように、治療計画を組んでおきます」とのこと。
 ちょっと驚いた。

 実は一昨年の転居にともなって、これまで長いこと世話になっていた歯科医に通えなくなってしまった。それで新しい歯科医を探したのだが、これがちょっと驚きの連続でね。
 前の歯科は中学生のころから世話になっていたところで、だから貶すわけではないのだが、明らかに医療技術やシステムが「旧い」ものだったようだ。
 そのことに今回、新しい歯科にかかってみて、判ったのである。

 例えば、正面から見える歯に、ちらりと虫歯があったとしよう。
 当然、虫歯の部分を削り取って、そこに樹脂を埋めるという治療になる。
 以前の歯医者の場合、こういう治療をした痕は、舌で触れると樹脂を埋めた箇所が明確に判ったものだ。
 ところが、新しくかかっている歯科で同様の治療をしてもらうと、舌先で触れてみても治療部分が判らないのである。
 樹脂を磨いて、本来の歯とツライチ(同一平面)にしてあるのだな。

 しかしそれより驚きだったのは、「痛くない」という事実だ。
 我々の世代の認識では「歯医者は痛い」というのが当たり前だった。無論、「無痛治療」なんてものの存在は知っていたが、実際には「以前より痛くない」ていどだと思っていたのである。
 いや、ごめん。
 不明を恥じる。
 麻酔の注射でさえ「痛くない」というのは、本当に驚いた。
 いや、全く痛くないわけじゃないのだが、
「何か感じるかと言われれば、感じる」
「それがどういう感覚か表現しろと言われれば、まあ『痛み』だよな」
 くらいの感じなのだ。
 その麻酔も、以前の歯医者なら抜糸の時くらいにしか射たれなかったのだが、今回の歯医者では例えば「歯茎に触れないで削るのが難しい」とか「神経に触れるわけではないが近接する」とか、そういった「痛む可能性が高い場合」にはあらかじめ射つ、という姿勢になっているらしい。
 もうね、
 こんなに甘やかされていいものか、と思うよ、本当に。

 ただし、欠点もある。
 高いのだ。
 以前かかっていた歯医者では、1回の治療が数百円、なんてことも少なくなかった。
 ところが今かかっている歯医者では、最低でも千円を超える。
「この世で最も金がかかるのは『安楽』を買うことだ」と言ったのは誰だっけか忘れたが、まあ、けだし明言ではあるな。

 さて。
 今やってる原稿が済んだら、また予約を入れとかねば。

 

 ちなみに今回のタイトルは、山本正之氏の楽曲である。



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2008年10月21日

非科学的妄言

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/23/news147.html

 私は、「エロゲーをやったことがある」人間で、だから「エロゲーをやる人間」であるとは言えない。
 また、個人的な趣味(キリヤマ太一さんの絵が好きなんだよ)でやったものよりも、仕事でやったものの方が多い。正確には「趣味1本、仕事2本」だ。
 だから、
 はっきり言ってエロゲがこの世からなくなったとしても、何も困らない。
 エロゲ関係の仕事はもう何年も依頼がないし、キリヤマ太一さんの絵は他のところでも(たぶん)見ることが出来るだろうから。

 しかし、
 こんな暴論は絶対に肯定しない。

>「街中に氾濫(はんらん)している美少女アダルトアニメ雑誌やゲームは、
>小学生の少女をイメージしているものが多く、
>このようなゲームに誘われた青少年の多くは知らず知らずのうちに心を破壊され、
>人間性を失っており、既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件が起きている」

>「幼い少女たちを危険に晒(さら)す社会をつくり出していることは明らかで、
>表現の自由以前の問題である。
>社会倫理を持ち合わせていない企業利潤追求のみのために、
>幼い少女を危険に晒している商品を規制するため、
>罰則を伴った法律の制定を急ぐ必要がある」

 まず「小学生の少女をイメージしているものが多く」の根拠がない。
 エロゲ全体の比率から言えば、むしろ少数だと言える。
 相対数ではなく絶対数を問題にしているなら、明確な本数を明示した上で、何本以上を以て「多い」とするかを定義しなければならない。
 つまり、これは単なる「個人的な印象」による発言だ。

「心を破壊され人間性を失って」についても、同様。
 どういう状態を指して「心を破壊され人間性を失って」いるとするかも問題だが、仮にそれが定義可能だったとしても、
1/エロゲをやって、心を破壊された例
2/エロゲをやらずに、心を破壊された例
3/エロゲをやって、心を破壊されなかった例
4/エロゲをやらずに、心を破壊されなかった例
 ……という4群を比較検証した結果でなければ、この発言は単なる「個人的な主観」に過ぎない。

「幼い少女たちを危険に晒(さら)す社会をつくり出していることは明らか」という主張については、もはや目茶苦茶だ。
 これを肯定するためには、
1/エロゲをやって、性犯罪を起こした例
2/エロゲをやらずに、性犯罪を起こした例
3/エロゲをやって、性犯罪を起こさなかった例
4/エロゲをやらずに、性犯罪を起こさなかった例
 ……という4群の比較検証が必要になる。
 せめて「1群」と「3群」だけでも比較しなければ、この人物の主張は成立しない。

 そして、これらの調査・検証の結果が全てこの人物の主張どおりだった場合にのみ、初めて「表現の自由以前の問題」か否かを論じることが出来るのだ。

 

 つーかさ、
 いつぞやの「フィギュア萌え族(※)」の時にも思ったんだが、
 どうして、知りもしないものを調査もせずに印象論だけで抑圧しようとするかなあ。
 デカい声で衆愚(失礼)を煽動すれば足りるとでも思ってんのかなあ。
 それとも、
 本当にこれが正しいと心の底から信じている「真性の莫迦」なのかなあ。

 まあ、何よりも調査すべきは、
「性的欲求をエロゲーによって解消している」
 とする一群が、どれだけ潜在しているか、という点だと思うね。
 そういうユーザーからエロゲーを取り上げたら、何が起きるんだろうね。
 小児性愛への欲求は、今ンとこエロゲー以外に合法的な解消方法がないもんね。

 まあ俺が心配してやる必要のあることではないがな。

(※)
日記
http://blog.livedoor.jp/zoahunter/archives/2004-11.html#20041130
参考
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%A2%E8%90%8C%E3%81%88%E6%97%8F



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2008年10月16日

ちょっと総当たり

 映画“NEXT”を観る。
 DVDで。

 こいつが、ちょっと面白かったのだ。

 ちょっとな。

 以下は平気でネタバレしていますので、ご注意を。

 

 

 ジャンルとしては、SF。
 予知能力もの。
 予知能力だけをギミックに扱った作品と言うと、他には『デッドゾーン』くらいしか思いつかないが、この“NEXT”の方はかなり方向が違う。

 まず、その予知能力の設定が、ちょっと変わっている。
 ほぼ完全に未来を予知するが、その範囲は、
1/自分の身に起きることに限定
2/時間的な距離は最長で2分後まで
 という限界付き。
 しかし、ただ1件だけ例外があって、その例外が物語を転がすわけだ。

 少なくとも映像面においては、成功していると言っていいだろう。
 これまで、フラッシュ・フォワードに効果を被せるくらいの処理しか方法がなかった「予知の映像化」という命題を、実に面白く処理して見せてくれる。
 特に「一つの未来を予知して、これを回避しようとする」だけでなく、「発生し得る全ての可能性の中から、最も好ましいルートを選択する」という、言わば「コマンド総当たり」をやるあたりが、ちょっと新しい。
 個人的には『ラン・ローラ・ラン』を思い出した。
 
 しかも、最初は「総当たり」を1つずつ潰して見せてくれるのに対して、観客がパターンを理解し終えたクライマックスでは「発生し得る可能性を全て同時に見せる」という荒技まで登場するのは、ちょっと凄い。
 例えるなら「無数のバッドエンドが発生する中を、トゥルー・エンドの主人公が突き進む」わけだ。

『ゾアハンター』の音緒が持つ超演繹能力も、「発生し得る全ての可能性を感知する桁外れの演繹能力」なわけだが、さすがに「あり得る可能性を総当たり」というのは思いつかなかった。
 まあ、小説でこれをやったら、そっちに比重がかかってしまって使えないが、「この能力を主軸にした別の作品も書けたよなあ」とは思う。
 ちょっと惜しい。

 しかし、この映画の凄い点は、他にある。

「夢オチ映画」というジャンルを設けるなら、この作品は最新作としてランク・インさせるべきだろう。
 私ゃ思わず、こう口走っちまったよ。
「そこまで戻るンかい!!」
 たしかに「あのシーン」を観た時は、妙な演出だなあ、とは思っていたのだが、そのための伏線だとは思わなかったのだ。
 こういう悔しさは、ちょっと嬉しい。

 でもな。
 この映画で最大の驚きは、
 やはりピーター・フォークが出ていたことだろうな。



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2008年10月08日

ゼロワン

cdcfcb36.jpg

 つい先日のことだ。
 愛用のケータイが、上京予定日の前日に壊れてしまった。
 電源が落ちたまま、入らなくなったのである。
 ちなみに、購入してからまだ2年。その2年のうちに、同じトラブルが2度も発生しているわけだが、それはまた別の話だ。

 ともかく、なんとか時間を空けて、サービス・センターに駆け込んだ。
 故障機を修理に出し、代替機を受け取って来る。そいつを持って、無事に上京、打ち合わせを済ませたわけである。
 だが、毎回それが出来るとは限らない。
 現に、似たようなトラブルは過去に何度かあって、ケータイなしで10日ほど過ごしたこともある。これはもう、非常に不便だった。
 だから「2台めのケータイは必要かも知れん」とも思っていたのである。

 その一方で、そういうトラブルの際を除けば、普通はケータイなんて1台で充分なもんだ。むしろその1台さえ、私の場合ほとんど使わないのである。
 2台めなんて、勿体ないことおびただしい。
 けっきょく「必要かなあ」「でも勿体ないよなあ」で数年を過ごしてしまったのだ。

 しかし、である。
「普段はオモチャで、万が一の場合はケータイ」だったら、その「勿体ない」の部分は解消されるのではないか?

 そういうわけで購入したのが、上の写真。
“SoftBank 815T PB”、通称「フォンブレイバー」。

http://mb.softbank.jp/mb/special/k-tai7/
http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2008/20080227_01/

 テレビ番組『ケータイ捜査官7(セブン)』に登場するアイテム……と言うかキャラクターで、携帯電話に変形する。
 この商品は設定とは逆に、「ロボットに変形する携帯電話」と言っていいだろう。

 私は当然、黒い方を選択した。
 番組中では、こいつは悪役で、主人公の持つ銀色の方(セブン)のライバルという設定だそうだ。
 いやまあ、番組を観てないので、「だそうだ」としか言えないわけだが。

 しかし。
 ここでちょいと苦言を呈したい。
 この商品、ちょっと前までは「モデルはセブンとゼロワンの2種類だが、中身はセブンだけ」だったのだな。
 どういうことかと言うと、
 こいつの売りは「バディ・トーク」と呼ばれる機能。ケータイと会話(無論、擬似的な)が出来る仕様なのである。
 ところが、本体にプリセットされている「バディ・トーク」は、セブン仕様なのだ。
 つまり、ゼロワンが好きで黒いモデルの方を購入しても、実際に「会話」をする相手はセブンなのである。
 かろうじて待ち受け画面の壁紙(つまり顔)をゼロワンのものにするくらいで、「バディ・トーク」のアプリが起動すればセブンの顔になっちゃったのだな。

 問題は、その説明が広告からでは知り得なかった、という点。
 少なくとも、発売以前から購入を検討していた私が、実際に手にしてみるまで気づかなかったのだ。
 でもさ、
 普通に考えれば「ゼロワンを購入すればゼロワンの『バディ・トーク』がプリセットされている」と思っちゃうだろ? 私だって、そう思ってたよ。
 キャラクターに依存した商品なのだから、こういった仕様情報については、もっと判り易く提示して欲しかったところだ。
 初めて電源を入れた時にセブンの顔だったので、もうちょっとで暴れるところだったぞ。

 まあ、それはともかく。
 暴れる前に調べてみたら、専用サイトにゼロワンのアプリを発見。
 速攻でダウンロードしたのだが、なんとこいつ、8月にリリースされたばかりだった。
 購入のタイミングとしては、偶然にもばっちりだったわけだな。
 おかげさまで、私のケータイは外側も中身も「ゼロワン」になったよ。

 さて。
「バディ・トーク」てのは、基本的には文字会話。
 ゼロワンが一方的に話しかけてきて、時おり投げられる質問に対して「選択式の回答」を投げ返してやる。この情報を蓄積して、いずれは会話のパターンも変化するようだ。
 この会話中、ゼロワンの表情が、ころころ変わる。
 不敵に笑って見せたり、怒ったり、泣いたりするのだな。
 充電が少なくなってくると、怒り顔で「おいっバッテリーチャージだ!」とか言いやがるんだよ。ナニサマだ、こいつ。
 他にも、仏頂面だの驚きだの、意外と表情豊かである。

 で、実を言うとそれほど期待していたわけでもなかった(失礼)のだが、実際に弄ってみると、これが意外と楽しい。
 夢中になってハマッちゃう楽しさではないのだが、ふと気がついたら手が伸びて、ゼロワンと「会話」しちまうわけである。
 あれ?
 ひょっとして、俺って寂しい奴だったのか!?



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2008年10月03日

新刊告知

2c56ff23.jpg

 8月の猛暑の真っ只中、
「せめて市民プールくらい行きてぇよお」
 なんて言いつつ、けっきょく閉じ籠もりっ放しで書き上げた物語は、
 リゾート・ホテルのプライベート・ビーチで美少女2人がたわむれる、なんつー羨ましくもムカつく物語だったわけで。

 今月発売の新刊にござる。

【神曲奏界ポリフォニカ アイソレーション・ブラック】

 絶海の孤島にそびえたつ巨大リゾートホテル。きらめく太陽と蒼い海。マナガこそいないものの、オミテック社のパーティに招かれたシェリカとマティアは、そんな夢のような休暇を満喫できるはずだった。そう、ツガ・ラジウェーナが絶命する、その瞬間までは。

 事故なのか事件なのかもわからない状況で捜査に着手するマティア。もし事件ならパーティの最中、何人もの客が見守るなか、犯人はどうやって彼女だけに毒を飲ませることができたのか? 解決の糸口がつかめぬまま、迫り来る台風がホテルを外界から完全に隔絶してしまう……!

 黒のポリフォニカ、衝撃の第9弾!

定価:672円(税込)
ISBN:978-4-7973-5127-9
2008年10月15日発売



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