2009年09月16日
可動

今回、新作の仕込みのためにいろいろと物色したものの中に、こういうものがある。
まあ、とにかく写真をご覧いただこう。
身長・約29センチの、可動フィギュアである。
商品名は“S.F.B.T-1”。
「サフビット・ワン」と発音する。
ガレージキット・ディーラー「Mフィールド」さんの商品。
http://www.mfield-gk.com/
私はこれを作家仲間から紹介されたのだが、いや写真を見た瞬間に引っ繰り返ったね。
可動箇所は約80ポイントにも及ぶそうだが、実際にはそんな単純な問題じゃないのだ。
最初に目を惹かれたのは、前腕の構造だ。
こんなもん普通に考えりゃ、手首に回転軸を一つ、ぶち込んどきゃいいだけのハナシじゃん?
それなのに、手首と掌の位置関係を維持したまま、前腕全体が捻れるんだぜ!?
人間の前腕を構成する2本の骨(橈骨・尺骨)のメカニズムを、そのまま外部に露出させているわけだ。しかもそれでいて、外形のシルエットを安定させるという、信じられんことをやってるのだ。
まさに正気の沙汰ではない(褒めてます)。
さらに手指は全て可動、足指も「親指とそれ以外」という分け方ではあるものの可動するし、挙げ句の果てには瞼の開閉と眼球の視線移動まで出来る。それも、上下左右に。
腕の付け根も凄いぞ。肩をすぼめる、肩を引く、さらには肩をすくめることも出来る。上の写真では、左肩は落して右肩だけを上げて、さらにすぼめている。右の鎖骨(に相当するパーツ)が僅かに上がっていることがお判りいただけようか?
加えて首も傾げているが、これは首パーツが付け根から横に倒せるから可能なポーズ。この首は当然、前に倒したり後ろへ起こしたりすることも出来る。
さらに驚くべきは、脚の付け根。
可動によって隙間が開けばそれを塞ぐプレートが滑り出してくるし、逆に邪魔になるプレートは可動に合わせて引っ込むし。
ここまでくると、腕を曲げると上腕二頭筋が突出する、なんてのは「当然」みたいな感じである。
こんな気が狂ったような造形(褒めてますからね)なのだが、まあ上記リンク先へ跳んでみて価格をご確認いただきたい。驚くから。
お断りしておくが、これはキットの値段ではない。完成品の値段なのだ。
ピンとこない方のために説明すると、もしガレージ・キットの製作代行業者に組み立てを依頼すれば、この金額はあっさり超えるだろう。
そのくらい常軌を逸した低価格設定なのだな。
さて。
ここでしかし、「でもね」と付け加えておきたい。
残念ながら私は、この商品を大きな声でオススメしようとは思わない。
なぜかと言うと、物凄く「人を選ぶ」からだ。
非常に繊細な構造であるだけでなく、素材もそれほど丈夫なものではない。これは、個人製作の限界だ。
構造の複雑さを考えるなら、本当ならABSなどの柔軟かつ硬質な素材を用いたいところなのだろうが、それだとコストが一気に跳ね上がる。射出成形のための金型って、べらぼうに高価だからね。
そういうわけで、
このアイテムはアクション・フィギュアや可動素体と言うより、むしろ「繊細かつ精密なモケイ」と考えた方がいいだろう。
興味を持たれた方は、その点をまずご理解いただきたい。
これは、緻密なメカニズムそのものを楽しむべき商品だ。
てなことを前置きした上で、
ここ何ヶ月か、新作のための取材として「女性モチーフの可動フィギュア」を物色していたのだが、このアイテムはその中でも特A級の逸品であると明言する。
こっそりバラしておくと、
私の作家仲間の中にも何人か、購入した連中がいるのだった。
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ありますか? ありがとうごさいました。