ASHCAN SCHOOL(アッシュカンスクール)

マイナー漫画。一般的には知られていないが名作の漫画。世間の評価は低いが、自分的には面白い漫画を紹介します。 ASHCAN SCHOOLとは20世紀初頭のアメリカ、ニューヨークで発生した芸術家集団のことで彼らは労働者階級や下町に生きている人たちを写実的に表現したことから、ASHCAN SCHOOL(アッシュカンスクール)と呼ばれている。

マイナー漫画。一般的には知られていないが名作の漫画。世間の評価は低いが、自分的には面白い漫画の考察記事です。

「ドラゴンクエスト-ダイの大冒険」 現代社会と、同じ問題点を抱えている魔王軍

大人気のRPG「ドラゴンクエスト」をベースとした漫画、「ドラゴンクエストーダイの大冒険」は、1989年から1996年まで、週刊少年ジャンプに連載された少年漫画である。

迫力のアクションシーンだけでなく、緻密な設定からくる丁寧な物語構成が魅力となって、大きな話題を呼び、90年代におけるジャンプの代表作品の一つとなった。

本作の敵勢力、魔王軍は、強大な力を持った者たちで構成された軍団で主人公である勇者ダイ達を何度となくピンチに追い詰めている。

しかし、最終的にはダイ達の活躍によって倒されてしまうのだが、なぜ強大な力を持った魔王軍が倒されてしまったのかを考察してみよう。

 魔王軍の組織構成

魔王軍は、魔界の巨大勢力の持ち主、大魔王バーンと、彼の部下となった魔軍司令ハドラーが構成した六大軍団によって成り立っている。おおよその組織構成は以下(前回の記事も参照)の通りである。

 百獣魔団

一般的な動植物型モンスターによって構成された軍団で、力攻めの強襲を得意とする。軍団長は、ワニ型のリザードマンで、獣王の異名をもつクロコダイン。

 不死騎団

アンデット型モンスターで構成されており、死をも恐れぬ軍団である。軍団長は、人間でアバンの弟子でありながら魔王軍になりさがった、魔剣戦士ヒュンケル。

 氷炎魔団

氷や炎に関連した精霊型モンスター(ブリザードやフレイム等)や、岩石生命体などで構成された軍団。過酷な環境でも活動できるのか、極北の国オーザムを攻略した。

軍団長は溶岩と氷が合体したような形の岩石生命体、氷炎将軍フレイザード

 妖魔士団

魔術を使う魔物で構成された軍団で、戦闘そのものより情報収集や通信、魔術の研究など、兵站業務を得意とする軍団で魔王軍においてはインテリジェンスを担う。

軍団長はハドラーと同じ魔族で、強力な魔力の使い手である妖魔司教ザボエラ。

 魔影軍団

スモークや、さまよう鎧など、実体のない亡霊のようなエネルギー生命体で構成された軍団。

魔王軍のなかでも最もミステリアスな軍団であり、軍団長も大魔王バーンの代理人で、魔王軍の中でも最も謎に包まれた存在、魔影参謀ミストバーン。

 超竜軍団

モンスターの中でも、もっとも強力な怪物であるドラゴンによって構成された軍団。事実上、魔王軍の中では最強の軍団である。

軍団長は、ダイの実父で、竜の騎士である竜騎将バラン。六大団長最強の実力を誇り、ハドラーより強い。


概ね、この通りだがこの六大軍団に加えて、大魔王バーンの居城バーンパレスには大魔王直轄の軍団。超魔生物となってパワーアップしたハドラーには、オリハルコン(神々のみが造ることができるという強力な金属)でできた金属生命体によって構成された親衛隊「ハドラー親衛騎団」が加わることになる。

 魔王軍の人間関係

魔王軍は強力な軍勢であり、司令官であったハドラーもかつては地上の世界を蹂躙し、魔王と呼ばれた魔族でもある(バーンは魔界を征服した大魔王である)。

ハドラー以外にも魔王軍は強力な力を持った戦士が勢ぞろいしている。クロコダインは、獣型モンスター達を従えさせることができ、リザードマンならではの強力なパワーと強靭な肉体を誇っている。

ヒュンケルは人間で、かつてはダイと同じアバンの弟子であったが、ある理由から人間やアバンを憎み、魔王軍に入った者だがその剣の実力はバーンに気に入られるほどものである。

フレイザードは、炎と氷の魔法をほぼ無尽蔵に使えることができるとてつもない生命体であり、荒くれ者に見えるが、冷徹な策略にも長ける。ザボエラは卑劣な性格だが優秀な魔法使いであり、優れた研究家としての素質を持っており、ハドラーを超魔生物に改造してパワーアップさせた張本人でもある。

このように、魔王軍はとてつもない能力を秘めた強敵だらけであり、超竜軍団長のバランやミストバーンに至っては初期のハドラー以上の実力を持っていた。

しかし、これほどの実力を秘めていながら、魔王軍はダイ達にやられてしまったのである。それはなぜか?

理由の一つに、魔王軍の人間関係がギクシャクしていたことにある。

実は六大軍団長のほとんどは、近年バーンの配下になったものばかりで、魔軍司令であるハドラーでさえ、元々、バーンの部下ではなかったのである。

六大軍団長のうち、バーンの直轄となる者はバーンの代理人でもあるミストバーンくらいで、軍団自体も編成されてから一年くらいしか経っていない。急造の軍団と言ってもいい。

つまり、しっかりとした人間関係が築けておらず、軍団内で対立が発生していた。何しろ、全員実力もプライドも高い者ばかりである。

しかも、バーンはどこか軍団内で力比べをさせて競争を煽っているようでさえある。

例えば、ハドラーはクロコダインが倒さた際には軍団の総力を結集させてダイ達を倒そうとしていたが、そこへバーンがヒュンケルに一任するようにと、横槍を入れてきたのだ。
ダイの大冒険

ヒュンケルと仲が良かったバラン以外の周囲は面白くない(ヒュンケル、バラン、クロコダインの三人は仲が良かった)。特にフレイザードは露骨に不快感を露わにしており、ハドラーもフレイザードを宥めていたが、本人もヒュンケルのことを快く思ってはいなかった(ヒュンケルが人間であるということ以外にも、アバンの弟子であることも要因の一つ)。


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それでもハドラーは魔軍司令として、周囲を取りまとめようとしていたが、彼にも悩みの種があった。部下の一人であるバランは強大な力を秘めた「竜の騎士」と呼ばれる存在であり、しかも彼は、ダイの父親でもあったのだ。

ハドラーは、バランがダイを自分の仲間に引き入れて、親子二人で魔軍司令の地位を脅かそうとするのではと、不安に駆られてしまい、ダイが竜の騎士の血を引くものであることを周囲やバーンに隠し、2人を会わせないようにしていたのだ。

それが原因で、ハドラーは大事な情報を報告を怠ったと叱責を受けたばかりか、軍団長の半数以上が敗北(おまけにヒュンケル、クロコダイン、バランは寝返ってしまう)した責任をとらされてしまう。

 競争ばかりで、足並みのそろわない魔王軍

人間関係がガタガタの魔王軍はまったく足並みがそろわなかった。唯一、協調性のあったクロコダインが真っ先にダイ達の陣営に行ってしまったのも、魔王軍の協調性が失われてしまった原因の一つである。

特に、魔王軍時代のヒュンケルはザボエラやフレイザードとの衝突が多かった。アバンと袂を分かってから師となった、ミストバーンともあまりうまくやってないようであった。

バランはその高い実力からか、どこかハドラーを見下しているような感じであった(それでも命令には従っていた)。

ザボエラに至っては、強力な魔力を持っているにもかかわらず、周囲に取り入ってばかりの卑劣な人間に成り下がっている。

これは、ザボエラの率いる妖魔師団が、戦闘よりインテリジェンスを担っているために、目立った手柄を立てることができにくかったのが、要因の一つではないかと思われる。

このように、魔王軍の人間関係はかなり、ぎくしゃくしており、周囲と力を合わせようとするものが、あまりにも少なすぎたのだ。

そもそも、魔王軍はバーンの余興でしかなく、どれほど強力な軍もしくは戦士ができるか、活躍するかを試すものであったのだ(ミストバーンはそのための監視役)。

強大な力を持ったバランをあえてハドラーの部下にしたのも、ハドラーを追い詰めて彼の実力をださせるためでもあった。

結果的にハドラーは、自分の肉体を超魔生物に改造し、さらなる実力を伸ばしたわけだが、結果的にそれがハドラーの寿命を縮めることにつながる。超魔生物は強大なパワーを付加させるために、生命力を消耗してしまうのだ。

それはどこか、無茶なノルマを社員に課す大企業や、無闇に秀才や天才児を作り上げようと奮闘する、教育熱心な親のようですらある。

 個人能力ばかりを重んじて、全体を考えない。

魔王軍というよりバーンの方針の一つとして、個人能力ばかりを重んじて、全体の事ばかりを考えない点にある。

バーンはふるまいは鷹揚で気品のある仕草ゆえか、一見するとハドラーより大物のように見えるが、実際はハドラー以上に残忍な一面がある。

前述したように、バーンはハドラー以上の実力を持ったバランをわざとハドラーの下につけさせたうえで、魔王軍に実力主義を強いているのだ。

ハドラーからすればたまったものではない。自分の地位をすぐに奪い取ることができる者が部下になっているのだ。実際ハドラーは、バランがいつ自分の地位を奪い取りに来るか気が気でなかった。

もちろんバーンは、ハドラーを苦しめるためではなく(若干、ハドラーがうろたえている様を眺めて、楽しんでいるような所もあったが)ハドラーの底力を信じているが故の行為であるが、それでも残酷であることには変わりはない。

残酷さとは意識して出すより、無意識に出していることのほうが多い。特に、自分が正しいと思ったり、人より権威があると思ていると、人は信じられないほど他者性を無くして、どこまでも残酷に傲慢になっていくのだ。

いっそ初めからバランを魔軍司令にして、ハドラーを軍団長にでもした方が、まだ納得しやすかったし、ハドラーも素直に軍務に携わりながらも出世のために奔走したかもしれない。へたに高い地位になったばかりに保身に走ってしまい、バランとギクシャクした間柄になってしまったのだ。

バーンが不用意に競争を煽るような真似をしたためにフレイザードは功名心に、ザボエラは保身に、ハドラーはその両方に固執するようになってしまった。

そのうえ、武人体質の強いヒュンケルやバランも人間への復讐に凝り固まっていた。つまり、組織のことを考えようとするものがいなさ過ぎたのだ。

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 所有欲の塊のバーンと、現代と同じ問題を抱えていた魔王軍

くどいようだが、魔王軍とはバーンが最強の軍団を欲するために生み出した軍団であり、そのために魔王軍に実力主義を強いた。

立ち居振る舞いが上品で鷹揚な感じであるため、わかりづらいが、実際の所バーンは寛大なのではなく、所有欲の塊なのである。

ヒュンケル、バランのような魔界とは縁遠い人間を部下にしているあたり、彼は器がでかいのではなく、珍しい人員や、それぞれ質の異なる強力な力を持った戦士を欲していただけなのである。

つまり、人材ではなく軍団という駒をコレクションしたかったのだ。

レオナ姫に対しても、「そなたは余の物となるのだ……そして終生、余の側に仕え、大魔王の強さ恐ろしさを語り続ける魔界の歌姫となれ」と言い放ち、彼女を自分の側に置こうとしたりもした。

そんなバーンの部下になった者を見てみると、興味深いことが分かる。

ハドラーは立身出世のために必死で会社の無理難題をこなそうとしている会社員に見えるし、乱暴で残忍なフレイザードも、自分の出世のためにライバルを姑息な方法で蹴落とすような男に思えてくる。

ザボエラに至っては、口では強い者に取り入っているが、本心では周囲の人間をなめきってバカにしている性格の悪い高学歴エリートのような感じである。

特に、ザボエラは己の得意分野に関しては優秀だがそれを魔王軍のために使わずに、自分の欲や保身のために使っているあたり、嫌な感じの理工系のオタク青年を老人にしたようである。

彼が最後に使った切り札も超魔ゾンビという、生体部品を使ったモビルスーツのような武器であり、ロボットアニメに出てくるような武器を使って、自分は傷一つつかずに暴れ回る様はまさにゲームオタクそのままである。

他にも、バーンの居城にはハドラー親衛騎団と同じ、オリハルコンでできた金属生命体であるマキシマムというキャラクターがいる。

このキャラクターは、コンピューターのように情報やデータを溜めこんで、そのデーターをもとに、自我を持たないオリハルコン性の金属生命体を、ゲームの駒のように動かして戦うキャラクターである。

このキャラクターはまさに、現代で言うネットおたくみたいな存在で、ザボエラ以上に詭弁ばかり並べ、頭脳派を気取っているような男であるが最終的には間抜けな最期を遂げるような奴である。

まさに魔王軍とは、現代にもいるような「困った人間」ばかりで構成された軍団なのである。

 魔王軍の一番の問題点とは何か?

魔王軍の最大の問題点は、それだけではない。ただ困った人間がいるくらいは、昔も今も大して変わらない。

最大の問題点は己の後継者、もしくは人材を育てようとしない所である。

一番いい例はザボエラである。彼にはザムザという息子がおり、彼もまた優れた研究者であるが、ザボエラは彼を道具程度にしか思っておらず「役に立たなければゴミ」とまで言い放っていた。

もっとも、ザボエラからすれば、これでもまだ愛情をかけているほうで、彼が命がけで超魔生物のデータを届けたときは素直に息子の功績を称えてはいたが、最終的に息子は父親の捨て石にされてしまったのだ。

他のキャラクターも同じで、ミストバーンはヒュンケルの師であったが、彼はヒュンケルを正真正銘自分の道具にしか見ておらず、最後までヒュンケルに対して辛辣であった。

一方、ダイの仲間達のほとんどはちゃんと自分の後継者を育てようとしていた。ダイの師となったアバンはもちろん、アバンの戦友である大魔導師マトリフはポップを弟子にしたし、同じく武道家のブロキーナはマァムを弟子にしていた。

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上はアバン、下はバーン。それぞれの考えの違いがよくわかる。

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クロコダインはチウを後継者にしていたし、ヒュンケルは自分の体がボロボロになった後はラーハルトに自分の使命を託していた。

ハドラーも魔王軍と決別した後、完全な生命体として進化したハドラー親衛騎団のヒムが後継者となった。

人材を育てるというのは、単に組織にとっての戦力を育てるのではなく、自分の成した何かを別の何かに引き継がせることによって、新しい何かになっていくということも意味している。

たとえ自分の代では失敗であっても、後続の人間がその失敗を正しく理解すれば、成功に導かせることができるのだ。

それができるのは、しっかりとした人間関係からくる、「絆」というものでしかない。

魔王軍には、それが致命的なまでに欠けていた。唯一、ハドラーとミストバーンが友情に目覚めるが、結果的に二人は決別していしまう。

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現代は、果たして魔王軍をあざ笑えるかどうか疑問である。

年長者は若者を育てようとしないし、そのうえ、魔王軍に匹敵するほど弱者に対して辛辣である。若者は自分の好きなことだけやり、自分と同じ世界を共有できるものとだけ、同じ世界を共有するオタクとなっている。

なぜ、人は弱い者を育てなければならないのか、それは、人間が子育てをしたり、後継者を育成するためなのである。それなのに、現代は驚くほど弱者の成長を嫌っているようにさえ感じる。

人手不足なのに若者を育てないし、子供の数が減っているのに保育園や幼稚園の待遇が悪すぎる。

それは育児放棄や虐待などの痛ましい事件にそれが現れている。


「ドラゴンクエスト-ダイの大冒険」 魔軍司令ハドラーは元々優秀な戦士だった。

ダイの大冒険 7


「ドラゴンクエスト-ダイの大冒険」とは、1989年から1996年まで、週刊少年ジャンプで連載されていた漫画で、タイトルでもわかる通り、大人気RPGである、ドラゴンクエストをベースにした漫画である。

物語は、デルムリン島に住む、勇者に憧れる少年ダイが、かつて魔王を倒したという勇者アバンに弟子入りし、兄弟子で、親友である魔法使いのポップとともに、新たに復活した魔王軍に戦いを挑むというものである。

このアバンに倒された、魔王というのが、新たに編成され強大になった魔王軍の司令官である、魔軍司令ハドラーである。

ハドラーは、魔王軍の現場指揮官を任された男であるが、度重なる失敗のために、ファンから小物扱いされる男であった。

後に彼は、部下であるザボエラの助力によって、身体を超魔生物(モンスターの長所を結集した合成生物)に作り変え、ダイたちの強力なライバルとして立ちはだかるようになる。

しかし、ハドラーは小物ではなく、本来は優秀な資質を持った指揮官であったのだ。

ダイの大冒険5

↑初登場時のハドラー。デザインがシャープで、原作であるドラクエのイメージがまだ強かった。

 ハドラーとは何者?

ハドラーとは、ダイの大冒険の物語が始まる前に、「魔王」と名乗り、人間たちの住む地上の世界の侵略を企てた男である。種族は、魔界に暮らす「魔族」で、同種族には部下であるザボエラや、魔界の最高権力者である大魔王バーンがいる。

彼は前述の通り、アバンとの闘いで命を落としかけたが、バーンに新しい肉体を与えられて蘇った。

そして、魔界の神と呼ばれるほどの権力を持つバーンの力添えによって、十数年の時を得て再編成された魔王軍の司令官「魔軍司令」となって、ダイたちの前に立ちふさがることとなったのだ。

魔王と名乗っていただけあって、メラ系の魔法から、ギラ系、イオ系など強力な魔法をマスターして、使いこなすことができ、強靭な肉体から繰り出す肉弾戦も得意とするなど、高い戦闘力を持っている。

 ハドラーの軍団編成

ここで、魔王軍の、おおよその組織編成を解説していこう。魔王軍は、六つの軍団に分かれ、ハドラーは、六つ軍団を束ねる現場最高司令官の役割を担っている。

 百獣魔団

一般的な動植物型モンスターによって構成された軍団で、力攻めの強襲を得意とする。軍団長は、ワニ型のリザードマンで、獣王の異名をもつクロコダイン。

 不死騎団

アンデット型モンスターで構成されており、死をも恐れぬ軍団である。軍団長は、人間でアバンの弟子でありながら魔王軍になりさがった、魔剣戦士ヒュンケル。

 氷炎魔団

氷や炎に関連した精霊型モンスター(ブリザードやフレイム等)や、岩石生命体などで構成された軍団。過酷な環境でも活動できるのか、極北の国オーザムを攻略した。

軍団長は、溶岩と氷が合体したような形の岩石生命体、氷炎将軍フレイザード

 妖魔士団

魔術を使う魔物で構成された軍団で、戦闘そのものより、情報収集や通信、魔術の研究など、兵站業務を得意とする軍団で、魔王軍においてはインテリジェンスを担う。

軍団長は、ハドラーと同じ魔族で、強力な魔力の使い手である妖魔司教ザボエラ。

 魔影軍団

スモークや、さまよう鎧など、実体のない亡霊のようなエネルギー生命体で構成された軍団。

魔王軍のなかでも最もミステリアスな軍団であり、軍団長も、大魔王バーンの代理人で、魔王軍の中でも最も謎に包まれた存在、魔影参謀ミストバーン。

 超竜軍団

モンスターの中でも、もっとも強力な怪物であるドラゴンによって構成された軍団。事実上、魔王軍の中では最強の軍団である。

軍団長は、ダイの実父で、竜の騎士である竜騎将バラン。六大団長最強の実力を誇り、ハドラーより強い。

 キルバーン

大魔王バーンのお抱え暗殺者で、死神の異名を持つ。実はバーンとは別の存在が主君であり、バーンとはあくまでも協力者の間柄である。

 大魔王バーン

魔界の神とも呼ばれる実力者で、魔王軍のトップ。

ダイの大冒険7


 なぜハドラーが司令官なのか?

前述した通り、ハドラーより強いのは、超竜軍団長のバランである。何しろ、神々が作った「竜(ドラゴン)の騎士」と呼ばれる生命体であり、本編によれば、竜の騎士とは、竜族の戦闘力に、魔族の魔力、人間の心を持った生物なのだ。

実際、ハドラーはバランに自分の地位を脅かされるのではと、いつも不安に思っていたくらいであったし、中盤では本当に魔軍司令の地位を取り上げられそうになっていた。

では、なぜバーンは、バランではなく、ハドラーを魔軍司令に任命していたのか?

実は、司令官に要求されるのは、戦闘力ではなく実務力であり、ハドラーは実務力の方が高かったのだ。

実際、ハドラーは無能というわけではない、情報収集力はかなり高く、ダイがバランの息子、すなわち竜の騎士であることを見抜いたり、パプニカ王国でサミットが開かれることを察知していた。

観察力も高く、アバンとの再戦の後、ダイから受けた傷の具合を見て、ダイの実力が高いと見抜いていた。その後、即座にロモス王国にいるクロコダインにダイの討伐をするよう指示していたので、実務能力は高いのだ(バランは逆に相手をなめてかかって、痛い想いをすることがある)。

裏切られてばかりいるが、ハドラーは意外と部下の管理能力も高い。前述の通り、バランとダイの関係性を見抜いただけでなく、ザボエラが超魔生物の研究をしていたことも把握していた。

また、ヒュンケルがダイと戦っていた時の場面を思い出してほしい、ハドラーはこの時、ヒュンケルのアジトを視察に訪れていた。

その時、ヒュンケルは反抗的な振る舞いをするが、ハドラーは怒りをぐっとこらえて我慢をしていた。無闇に激高しないあたり、人間性は意外と大人なのだ。実際ハドラーはあまりパワハラしている描写はない。視察に来た際も、ヒュンケルにあまりうるさいことは言わず、彼の実力を正当に評価していた(そもそも視察に来ていたのはフレイザードがうるさいことを言っていたからである)。

しかも、その後ヒュンケルに、行方をくらましたクロコダインの消息を聞いていた。クロコダインのキャラクター性もあるだろうが、ハドラーはちゃんと部下のことを気にかけているのだ。

 意外!!ハドラーはそれほど失敗していない

「でも、失敗しているじゃん」とおっしゃる方も多いだろうが、ダイの大冒険をよくよんで見ると、ハドラーはそれほど失敗をしていない。

ロモス王国功略失敗に関しては、クロコダインのミス(もしくはザボエラの余計な横槍のせい)、ヒュンケルの敗北も彼自身のミスだが、そもそもヒュンケルにダイの討伐を指示したのはバーン本人である。

ダイの大冒険
軍団長収集が無駄になってしまい、部下たちに詫びるハドラー↑、意外と礼儀正しい

バルジ島では、超竜軍団以外の残った魔王軍の勢力を投入して、フレイザードを加勢しに行ったが、全軍返り討ちという憂き目に会ってしまう。これが初めて犯した失敗らしい失敗である。

ただ、バルジ島では、クロコダインとヒュンケルに裏切られたためなので、あながちハドラーのせいばかりではない。

ヒュンケルが裏切ったのは、ハドラーのせいという人も言うだろうが(ヒュンケルは赤ん坊の頃、魔王時代のハドラーの部下に拾われたことがあったが、その部下は失態を犯し、ハドラーに処刑された)、ハドラーは、そもそもヒュンケルが裏切ることをある程度想定しており、彼を仲間にすることは反対し、バーンに意見具申までしていた。

ヒュンケル関しては完全にバーンの見込み違いで、むしろハドラーの判断のほうが正しかったと言える。

ちなみにバルジ島では裏切ったヒュンケルと戦って敗北したが、最後にヒュンケルの足掻きによって不意を突かれただけで、むしろ戦いそのものは、ヒュンケルが所持している呪文をはじく鎧魔剣を奇策で打ち破ったり、ヒュンケルの最後の大技グランドクルスにも耐え抜いた、ハドラーの勝利と言えなくもない。

一番ひどい失敗といえば、バランにダイが彼の息子であることを、本人はおろか、バーンにも黙っていたことだろう。バランがダイを魔王軍に引き込んだら、自分は用済みとされ、魔軍司令の地位をはく奪されると思ったのだ。

もしかすると、バーンは元々、バランを司令官にするつもりであり、すぐに彼を司令官にしなかったのは、軍団長として経験をつませることで、バランに司令官としての実務力を身に着けさせようとしたのではないか、という気させしてくる(バランはそもそも単独で戦っていたような男であったので、司令官に向きのキャラクターではない)。

 ハドラーは参謀向きだった?

魔王軍の最大欠点は、軍師もしくは参謀のような存在が欠けていたことである。

ザボエラがそのポジションになれそうだが、力の強いやつにへつらっているザボエラは、副官にはなれても参謀は無理(参謀は時折、トップに意見をしなければならない)、おまけにハドラー以上の秘密主義者で、超魔生物の研究もハドラーに言われるまで、絶対に秘密にしておくつもりだったはず。

そもそもは自分の切り札として研究していたのだ。

ミストバーンは「魔影参謀」という肩書ではあるが、参謀というよりは軍監(軍隊における監視と、目付を行う役職)である(よく考えると、ミストバーンは官僚的な性格をしている)。

つまり、権力が大魔王バーンに一極集中化させ、かつ実力主義のシステムであるため、協調性が生まれず、組織内でぐらつきがでてきてしまっているのである。

ハドラーが自分の地位に固執するようになったり、クロコダイン、ヒュンケル、バランが裏切ってしまったのは、その辺にもあるのかもしれない。

魔力に秀でたザボエラが、姑息な存在になり果ててしまったのも、武人型や軍人型の存在が多い中で、唯一のインテリ型であったので、疎外感を感じていたのかもしれない。

では、どうだったらよかったのか?答えはハドラーは司令官ではなく、軍師か参謀のようなポジションにして、バランを司令官にすればよかったのである。

ハドラーは一見力押しに見えるが、前述の通り、実務力は高く、情報収集や観察力も高い。また、窮地に陥っても、それを覆す奇策を思いつくだけの頭脳を持っているので、意外と軍師向きなのかもしれない。

 まとめ

魔王軍に欠けていたのは、組織内における協調性であり、かわりに、無闇に競争心を煽って、実力主義を貫いたために、仲間や他者を思いやったり、力を合わせて、問題に取り組むという、結束の力がなくしてしまった点にある。

そのために、バラン、ヒュンケル、クロコダインに裏切られてしまったのだ。とりわけクロコダインに至っては、魔王軍の中では一番協調性があったにも関わらず、真っ先に裏切ってしまった。

この魔王軍の体制や組織のありようは、上げ足の取り合いばかりしている政治政党、正論ばかり吐いて何もしない詭弁家、無闇に競争意識を植え付けて、実力主義を押し付ける企業、つまらないことでマウントをとる人などがいる現実社会とどこか似通っているのだ。

そうした振る舞いが、会社のためになってくれる社員や、自分を大事にしてくれる友や仲間を失っていくことになるのだ。

逆に言えば、現実の社会で横暴な振る舞いをしている人よりは、ハドラーの方が何倍もましなのかもしれない。

バランがダイに敗れた後、追い詰められたハドラーは、ザボエラとともに、姑息な手段に打って出るようになるが、それも打ち破られてしまう。

しかし、この絶望的な敗北を乗り越えるべく、ハドラーはザボエラの手によって、己の体を超魔生物に作り替え、魔軍司令ではなく、一武人として、文字通り心身共に己を鍛え治すこととなった。

だが皮肉にも、それが彼を魔王軍から離脱させるためのきっかけになろうとは、本人も周囲も当時は思いもよらなかった。

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パワーアップを果たしたハドラー、そこには冷酷な魔王の面影はなく、誇り高き武人の佇まいがあった。





「SEVEN EDGE(セブン エッジ)」 都市の復興と再建に絡んだ人の欲

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「SEVEN EDGE(以下セブンエッジ)」はWEB漫画サイト「Z」で連載された作品で、作者はベテランの漫画家であるやまむらはじめ。

内容は、大地震で崩壊された首都圏を舞台にした、ハードボイルド風味のガンアクションものである。

短命に終わった漫画であるが、質のいい漫画であり、埋もれさせてはいけない漫画の一つである。

 物語

ある日、首都は大地震で崩壊してしまう。国の中枢は大阪に移設され、国は立て直されたが、崩壊された首都を省みることはなく、封鎖されたままとなった。

そして、それから10年が経ち、封鎖された首都には独自の自治体「九月政府」が置かれ、町には細々と暮らす人々と、彼らで構成された、組織(サークル)と呼ばれる武装組織の姿があった。

優れた銃使いである築織朔也(ツキオリ・サクヤ)もまた、そうしたサークルの元で戦闘員として働き、首都の利権を貪る西側の為政者達を狩りだしていた。

しかし、仲間の方代征生(カタシロ・ユキオ)が裏切り、サークルは壊滅し、サクヤは命の危機にさらされるものの、謎の少女、木蓮に救われる。

木蓮の導きによって、サクヤは「団長」と呼ばれる、僧形の男が組織したサークル「エッジ」に招かれることになる。

エッジは、かつて頓挫した「首都再建計画」を復活させる目的があり、そのために、計画の邪魔になる者、私利私欲のために計画に横槍を入れてい来る。

 キャラクター

 エッジのメンバー

 朔也(サクヤ)

 本編の主人公。銃を使った戦いを得意とし、優れた危険察知能力を持つ。本名は築織朔也。

 不愛想だが、思慮深く繊細な性格。エッジに入る前、所属した組織を裏切ったユキオと、その恋人である本庄侑莉(ほんじょうゆうり)を返り討ちにしたことが悔恨となっている。

 木蓮(モクレン)

 高い身体能力を持ったエッジの女性メンバー。アクロバティックな格闘戦を得意としている。任務においては最前線で戦うことが多い。

 気性が荒く、口よりすぐ手が出るという典型的な暴力ヒロインだが、本来は世話焼き屋である。当初サクヤに対して、風当りが強かったが、徐々に態度を軟化させていく。

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 冥(メイ)

 エッジの女性メンバーで、狙撃を担当する。寡黙で冷静沈着な性格。集中力が高く、ひとたび任務につくとわき目も降らずに取り組み、感覚のみで風速を感じ取ることができる。

 かつて、団長に救われたことがあり、それが縁でエッジに入る。性格的に似通ったところのあるサクヤとは気が合うのか、時折二人で行動したり、話をすることがあるが、本人は団長に思いを寄せている。

 ▲団長

 僧侶の姿をした、エッジのリーダーを務める壮年の男。謎の男「オラクル」の指示を受けて、暗殺を請け負っている。人物鑑定が優れているのか、各方面のエキスパートをスカウトして、エッジのメンバーにしている。

 本名は兼森大輔(カネモリ・ダイスケ)と言い、元は警察官で、恋人の伏里美(フセ・サトミ)とともに、首都圏再建計画を執り行っていた、いざなみ機関に関わっていた。

 しかし、計画には多くの利権が絡んでいたため、兼森達の思うようにはいかず、とうとう里美が殺されてしまう。

 意気消沈した彼の前に、オラクルが現れ、彼の協力によって、里美の意思を継ぎ、首都再建計画を叶えるために、エッジを設立した。

 若いころは端正な顔立ちであったが、里美を亡くしてからは、老け込んでしまった。

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 アカシャ・メヘラ

 コンピューターを使った情報収集を得意とする女性メンバーで、団長の参謀のような役割を務める。朔也同様、元は別のサークルで、情報解析やハッキングなどを行っていた。

 経歴は不明だが、名前から察するにインド系で、制服を着ていた顔写真が張られていたことから、元々留学生か何かの可能性がある。

 楡毅(ニレ・タケシ)

 ゴーグルをかけた白衣の男。銃の調達や調整を担当している。オタクっぽい雰囲気で、荒事に向いておらず、戦いでは無力だが、エンジニアとしての能力は高く、冥や朔也、木蓮に合わせた武器をこしらえることができる。

 気のいい性格で、他者とあまりなじめないサクヤの良き話し相手になっている。

 板栗(バンリ―)

 エッジのメンバーの一人。トラップ作成を担当している。癖っ毛で目つきが悪く、性格もひねくれているが、協調性が無いわけではない。

 経歴は不明だが、名前から察するに中国系。

 女に手が早く、木蓮やアカシャにモーションをかけている。


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 敵対者

 征生

 本名は方代征生(カタシロ・ユキオ)。元は、朔也と同じサークルに所属していた男。恋人の侑莉とともに足抜けし、貴志の所属する警備会社に転職するために、組織を裏切ったが、侑莉を朔也に返り討ちにされ、自身も朔也に撃たれる。しかし、一命をとりとめ、どうにか入社することに成功する。

その後は、貴志の元で働きながら、朔也を狙っている。

 貴志孔一(キシ・コウイチ)

綜合警備会社エスクード社のガードマンで、首都に立ち入る要人の警護を担当する。体格のいい男で、元は警察官。面倒見がよく、征生の教育係を務める。

 そのほかの人物

 榛柚香(ハシバミ・ユズカ)

眼鏡がよく似合う美人。ルポライターで、エッジが狙う要人を調べていくうちに、エッジの存在を知るようになり、後にある事件を通じて、協力者となる。

見た目に合わず、強かで芯の強い女性。

 オラクル

エッジに指令を出す、謎の人物。


 キャラクターモデルはエヴァか?

本作に登場するキャラクターだが、どことなく新世紀エヴァンゲリオンのキャラ(特に女性キャラ)に似ているので、モデルになったのではないかと思われる。

例えば、ヒロインの木蓮は、気が荒い、暴力ヒロインという気質はエヴァンゲリオンのアスカそのもので、もう一人の女性キャラである冥は、寡黙でクールというところから綾波レイがモデルではないか(名前と髪形もどことなく似ている)。


また、世界観も、崩壊し新しく再生された都市や、別の都市に新政府が建てられているなど、エヴァと似通った設定も多い。


 復興と利害、現場から遠のく都市の再建

本作は、大地震によって崩壊した首都を舞台にしたハードなアクションものである。崩壊した町もしくは世界を舞台にした作品は、原哲夫の「北斗の拳」や、大友克洋の「AKIRA」、永井豪の「バイオレンスジャック」などがあげられるが、「セブンエッジ」はそのどれとも趣が違っており、崩壊した都市の再建と、その利権に関わる物語である。

物語の舞台となっている封鎖地区となった首都は、独自の自治政府「九月政府」によって、ある程度の復興のめどが立ってきた。

九月政府は、首都圏再建計画を立案し、計画を実行するために、「いざなみ機関」という組織を立ち上げた。本作の登場人物で、エッジのリーダーである団長も、恋人の里美とともに、この計画に関わっていた。

しかし、首都の再建には多くの利権がからみ、思うようには進まなかった。中には西に移設された政府と手を結んで利益を得ようとするものもいた。

団長のかつての恋人である里美は、都市工学の専門家で人一倍熱心に再建計画に取り組んでいた。

いつしか彼女は、計画の精神的支柱にまでなっていたが、計画を自分の都合の良いものに修正したがる者が、彼女を危険視し、彼女を殺してしまう。

里美を殺されて団長は失意のどん底となってしまったが、彼の前に里美の意思を継ぐものが現れ、団長の協力者となった。それがオラクルである。そして、オラクルの協力によって再建計画の邪魔をするもの、もしくは利権を貪る者を葬る暗殺組織「エッジ」を創設したのだ。

物語は完全に、東日本大震災を意識しており、本作で述べられている復興の問題も、現実に東日本大震災で出てきた問題であった。

本作同様、被災地で復興事業が始まると、政府は基本、被災地のためと言いながらも、その実態はスマートグリットの開発や、野菜工場など、目新しいものばかり行い、被災者が帰還するための事業は、あまり行われなかった。

復興のための事業計画はいくつも出されているが、国会で決定され予算を渡されるのはそうした、被災者のためにならない事業ばかりなのである。

つまり、被災地に住む人のための復興ではなく、中央の人間の利益のための復興になってしまっているのだ。

もともと、東北に置かれた原発も、政府の人間、すなわち東京からの押し付けであった。東京から派遣された人間は、反対する人間を口八丁で強引に言いくるめ、原発を設置させ、事故が起こると、徹底的に保身に徹し、尻ぬぐいはすべて現地の人間が負うことになったのだ。

悲しいくらい政府は、自分らの利益のために地方を利用するしか考えておらず、現地の住民たちに対して無頓着であった。

セブンエッジの世界でも、主人公たちの住んでいる封鎖地区を支配し、町を建て直しているのは、西に移設された政府の回し者であり、彼らは基本的に己の利益しか考えない者ばかりである。

現実の復興問題は、東京の地方に対する無関心さが浮き彫りになっているが、セヴンエッジは逆に崩壊した首都を見捨てて、利権に走る政府がとなっている。構図は逆だが、どちらも現地に住む住民に無関心になっている点は一緒である。

 ◆裏切りつぐ、裏切りの展開

セブンエッジは、人に裏切られる展開が多い。主人公の朔也は、親友に裏切られ、団長も協力者に裏切られている。

主人公の陣営から、裏切り者が出てこないのが救いとなっているが、裏切り者のほとんどの理由が、新しい場所でいい暮らしがしたい、出世したいなどのあまりにも俗っぽい理由がほとんどである。

人とはそんな理由で、自分の仲間を切り捨ててしまうものだと思うと、どうにもやりきれなくなるが、考えてみると、東京に住む大半の人間が地方を切り捨てて生きている。

あるいは、都市社会とは昔からそうした一面があるのかもしれない。地方を切り捨てた人間が集まって、地方を自分たちの利権にしようとしている。

高度経済成長期も、バブル時代も、東京から多くの人間が地方に集まって、開発してきたが、大抵の利権は中央に吸い上げられてしまっていた。

人とは、違う場所で新しい生活をするためには、平気で仲間を切り捨てていく生物なのかもしれない。

 まとめ

結果的に、セブンエッジは5巻で終わってしまい、読者の心を掴むことができなかった。内容が小説的で、漫画的なインパクトがなかったのが本作の欠点であろう。

しかし、描かれている物語は、驚くほど重厚で、短命に終わったのが悔やまれてしまうほど良作である。

頓珍漢なRPG風のエセファンタジーばかりではなく、本作のように朴訥であるが、味わい深い作品も読んでみることをお勧めする。

ダンジョン飯 探検記録 第9巻 後編

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 ◆
ミスルン隊長の秘密


カナリヤ隊の隊長、ミスルンと供にダンジョンの底へ落ちたカブルーは、子供時代のことを思い出していた。

彼は、故郷のウタヤがダンジョンから出てきた魔物に攻め滅ぼされると、当時のカナリヤ隊に救助され、副長であるミルシリルに引き取られた。

多種族の子供をかわいがるミルシリルは、当然、カブルーのことも猫かわいがりしていたが、カブルーは、ダンジョンの謎を解き明かすために、彼女から戦う術を学んだ。

やがて、目を覚ますと、そこはダンジョン6階で、近くにはミスルンがいた。彼は転移魔術を応用して、降下しながら、上の方に転移し続けて落下速度を軽減させて、カブルーを助けたのだ。

カブルーと同じ場所に降下したミスルンは、近くにいるカブルーをのことをあまり気にも留めずに、どんどんと進んでいった。すると、そこへシェイプシフターが現れた。ミスルンは、カブルーを、シェイプシフターの方に転移させて驚かすと、シェイプシフターは逃げて行った。

カブルーは、シェイプシフターが何かを食べていたことに気づき、調べてみると、食べかけの妖精(エルフが使役している使い魔)があった。

妖精は疑似的な生物であったらしく、シェイプシフターに多少かじられても機能することはできた。ミスルンはさっそく、パッタドルと連絡を取ると、妖精の声がパッタドルに変わった。
 
彼女が言うには、ミスルンのもとに救援を向かわせるには、最低でも一週間はかかるとのことであった。その後、妖精の声がシスヒスにかわり、カブルーにミスルンの世話役を要求した。

シスヒスに仲間を人質にされ、カブルーはミスルンの世話役を引き受けたが、食料の確保に困り、仕方なしに歩きキノコを焼いて食べることにした(ミスルンの転移魔法のバグなのか、カブルーの足にくっついていた)。

その後、カブルーとミスルンが歩き続けると、以前、ライオスがレッドドラゴンにファリンを食われたことがあった(第1巻参照)、広大な広場のような場所に出くわし、そこでライオス一行が以前置き忘れた寝袋を回収した。すると、突如ミスルンの様子がおかしくなり、倒れてしまう。

カブルーは彼を連れて近くにあった洞穴に入ると、うまい具合に水が流れていた。ミスルンに言わせると、カブルーが望んだから現れたので、あまり強く望むなと忠告した。

カブルーはミスルンの調子が悪くなったのは、魔力切れによるものと見抜いたが、術師が自分の魔力切れが分からないのを不審に思い、彼を問いただした。

すると、ミスルンは、自分はかつて迷宮の主であったと言った。

 ◆ミスルンの過去

ミスルンはかつて、カナリヤ隊の一隊員であり、彼はエルフ社会における貴族の生まれであった。カナリヤ隊は、古代魔術に関わった罪人を隊員として使い、それを貴族出身の隊員が彼らの監視役としてつくという組織構成をしていた。

ある時、ミスルンはとあるダンジョンの攻略に向かった際、ダンジョンの中にあった、鏡を見てしまう。それは人の奥底に秘められた妬みや欲を映し出す鏡であった。

映っていたのは、かつての想い人であった女性と、彼女と仲良く話をしている己の兄であった。ミスルンは兄の代わりに入隊したのであった。

その光景を見たミスルンは激高し、鏡を叩き割ってしまう。すると、割れた鏡から一匹の子ヤギが現れて、ミスルンに、カナリヤ隊に入らなければ叶った人生を叶えさせてやると言った。

ヤギの力によってミスルンは、ダンジョンで己の想い人と、親友たちとの穏やかな暮らしを送った。しかし、その暮らしもいつしか陰りを帯びてくる。

ダンジョンの内部に侵入者が入り込み、金品を奪おうとしてきたのだ。やがて、ダンジョンの内部は複雑化し、徐々に魔物が多く出回るようになってくる。

いつしか仲間の姿もいなくなり、ミスルンも少しづつ気力が弱くなっていった。しかし、なぜかヤギはどんどん力が増していった。

とうとう、ミスルンは衰弱して、寝込んでしまうが、そこへ、見上げるような巨体となったヤギが、ミスルンの体の中から何かを吸い取ろうとしていた。

ミスルンは、ここでようやくダンジョンから解放されたが、彼は耳と右目、そして大半の欲を吸い取られていた。やがて、彼は、カブルーの里親であるミルシリルに救い出され、ミスルンには悪魔への復讐心のみ残されており、以来、彼はカナリヤ隊に複隊し、復讐心のみを糧として、生きてきたのである。

 ◆ダンジョンの正体

その後、カブルーはミスルンの身の回りの世話をしながら(欲がないミスルンは、自分が空腹なのか体調が悪いのか把握できないため)、ダンジョンを探索し、彼から聞いた話をまとめていた。

ダンジョンの正体は、古代魔術で召喚された異次元の世界に住む存在「悪魔」が、人の欲を糧に造りだしたものだったのである。

もともと、古代人は無尽蔵のエネルギーを造りだすために、魔術で異次元の世界をつなげる門をつくりだした。異次元の世界からエネルギーを得ようと思ったのだ。しかし、同時に異次元に住む生物も招くことになった。

異次元に住む生き物は、力こそないが、人間の欲をエネルギーに変える力を持っており、欲を食られたものは衰弱して死んでしまったのだ。

そこで、古代人はダンジョンを造りだし、異次元から来た生物「悪魔」を封じ込めたのである。

 ◆カブルーの決断

カブルーは、当初ライオスにダンジョンの攻略を任すつもりであったが、ダンジョンの真実を知り、いてもたってもいられなくなった。

やがて、ミスルンの部下、フレキの使い魔が現れ、転移術が仕込まれた巻物(どこでもドアみたいなもの)を二人に渡した。

転移術で帰ろうとする二人だが、ライオスのことが気になったカブルーは、彼を追い、探索を続けることにした。

 ◆考察
 
 ■ミルシリル

 ・カブルーの育ての親は、ミルシリルと言い、二つ名が「陰気」であることから、どうも仲間のエルフから、あまり良く思われていないようである(筆者は結構好み)。

ぬいぐるみを常時抱えているが、どうやら、これを使い魔にすることができるようである。仲間とはあまり打ち解けることができない反面、多種族の子供に愛着があるのか、カブルーを溺愛していたようである。

海外では、人付き合いのうまくない女性の象徴で、ぬいぐるみを使うことがある。代表例が、ティム・バートン監督の「バットマンリターンズ」に出てくる「キャットウーマン」ことセリーナで、彼女はいい歳になっても、部屋にぬいぐるみを数多く飾っているような女性であるが、これは成熟しきれていない女性という隠喩である。

実際、映画でのセリーナは、キャットウーマンになる前、内気で陰気な、さえない女性であった。

ただし、ミルシルは実力は高く、カナリヤ隊の副長を務るくらいの社会性は持っているようである。また、戦闘力も高く、カブルーに剣の腕を徹底的に仕込んだのも彼女である。

また、ミルシリルの腕は傷が多くあり、相当な修羅場を潜ってきた古兵であることがわかる。

カブルーが敵の弱点を突く戦いをするのは、ミルシリルからエルフの戦闘術を学んだためと思われる。非力なエルフは敵の弱点を正確につく必要性があるからだろう。

 ■ミスルンの体

 ・カブルーはシェイプシフターの食っていたものを拾い上げると、それは、一緒にダンジョンの下まで落ちて行った妖精であった。この妖精は、魔術で造られた使い魔であるらしく、連絡と通信に使えるようである。シェイプシフターが食っていたことから、藁か何かでできているようである。

連絡に出たシスヒスとのやり取りで、カブルーは救援が来るまでの一週間、ミスルンの世話を焼くことになった。シスヒスはちらっと、カブルーの仲間を人質に取っていることを匂わすなど、かなりのやり手。というか相当なワル。
 
ミスルンが交渉事で、副長のパッタドルではなく、彼女を使うのはこの辺によるものと思われる。

ミスルンは、悪魔に欲を食いつくされたため、食欲はおろか、生理的欲求まで失ってしまったので、カブルーが世話を焼かないと何もできないようである(というよりしない)。第8巻でシスヒスがミスルンの食事の世話をしているようなことを言っていたが、まさか下の世話までしていたのだろうか?

欲が無くなってしまうと、自分の体の異変に気付くことができず、体調の管理ができなくなってしまうというのは、かなり興味深い描写。ドラえもんで言うところの、苦痛や悩みを無くす道具「ヘソリンスタンド」のエピソードを思い出させてしまう。

 ■エルフの人間関係

 ・カブルーの見立だと、エルフは、かなり人間関係がどろどろしているようである。マルシルも、恋愛モノにやたら興味深々であることから、もしかするとエルフは、ゴシップがお気に入りなのかもしれない。

シニカルに見えて、エルフは他人のあらさがしが好きだったりするの可能性もある。そう考えると、エルフたちの性質は、どことなくイギリス人的に思えるのは筆者だけだろうか?そう言えばダンジョン飯は、どことなくイギリス文芸的である。

 ■ミスルン、カブルーの通ったルート

・ミスルンとカブルーは、地下六階に行った後、ライオスが最初にレッドドラゴンに襲われた場所(そこで、寝袋、バロメッツを確保)、次にヒッポグリフォのいるドワーフの造った貯水庫にやってきて、ここでヒッポグリフォの卵を確保した。

ミスルンはここで、貯水庫にある柱の中に隠し通路を見つけて、そこを通ることになった。カブルーはミスルンの方向感覚がおかしいのは、空間が歪んだダンジョンで暮らしていたためと推察した。

カブルー達の通ったルートは、ライオス達より先回りしていることがわかる。前巻にあった、魔術で造られた門や、ドワーフの居住区にあった野営跡は、カブルー達の物であったことがここで判明される。

ちなみに、門の前でカブルーとミスルンも、チェンジリングによって、それぞれ種族が入れ替わってしてしまう。

エルフのカブルーは割と違和感がないが、ミスルンは原哲夫風のマッチョに。ミスルンはエルフとしては高い身体能力を持っているので、トールマン(この世界で言うところの人間)になるとマッスルボディになってしまうようである。

ちなみにチェンジリングの胞子は早く洗い流さないと、キノコになって自我を失ってしまうようであった(第1巻のモンスターよもやま話を参照)。

 ■古代魔術

・古代人たちは、異次元から無尽蔵のエネルギーを得るために、魔術で異次元つながる門を造りだしたが、同時に悪魔も呼び出してしまった、とミスルンは言った。
 
カブルーのセリフから察するに、悪魔はこの世界では物語の存在として認識されているようだが、実際は、古代人が魔術で召喚したものであった。

この巻では「悪魔」に関してまだデーターが足りないので、悪魔に関する考察は次回に回すことにする。

古代人たちは、悪魔に欲を食われて衰弱してしまったため、悪魔を閉じ込めるためにダンジョンを作ったが、結局古代文明は滅びてしまったようである。迷宮が魔物を封じ込める役目というのは、第5巻の考察で行いました。

この時、カブルーが抱いた、無限のエネルギーのイメージとして、エッシャーが描いた「滝」に似た絵が出てくる。

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エッシャーの滝

エッシャーは、この永遠に同じところを流れ続ける不思議な滝を、ペンローズの三角形を元に描いたそうである。

ペンローズの三角形とは、絵でしか表現できない、不可能図形と言われ、エッシャーをはじめとして、多くの四次元的なトリックアートに用いられている。

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ペンローズの三角形


四次元というと、大体はメビウスの輪や、クラインの壺で表現する人が多いが、ペンローズの三角形の方が、四次元チックで面白い。

 ■カナリヤ隊

 ・カナリヤ隊は、古代魔術に関わった、罪人と、その監視役で隊を構成されている。罪人2人に対し、監視役一人という基準である。
 現在のカナリヤ隊(の先遣隊)で見ると、以下の通りである。

 ▲監視役→ミスルン(隊長) パッタドル(副官)

 ▲罪人 →シスヒス(褐色肌のエルフ) オッタ(小柄な短髪のエルフ)
      フレキ(癖っ毛のエルフ) リシオン(全身に魔術の文様が描かれているエルフ)

監視役を行っているエルフは、貴族のエルフで、カブルーの見立だと、パッタドルは、相当な箱入り娘のようである。

貴族の子息を、なぜ危険な仕事に従事させるのか、と思われる人も多いはず。これは、日本でもそうだが、貴族とは、ノーブレスオブリージュの精神に基づいているからである。

ノーブレスオブリージュとは、単刀直入に言うと、高貴なるものは、社会の模範となって義務を全うするという意味である。西洋では騎士道精神、日本では武士道精神につながっている。

つまり、ミスルンたちは、エルフの社会の模範となって、勇猛さや高潔さを示すために、あえて危険な仕事(もしくは戦う仕事)に就いているのである。

現代でも、アメリカの大統領のほとんどは軍隊出身者で構成されているように、アングロサクソンの世界では、ノーブレスオブリーシュの思想は、ある程度受け継がれているようである。

第8巻の考察でも書きましたが、罪人を治安維持に使うという発想は、昔から存在しており、有名どころはフランスに実在した探偵ヴィドックである。彼は元は大泥棒であったが、裏社会に精通していたため、その知識を生かすべく、探偵業に鞍替えしたという。

日本でも江戸時代の岡っ引きは元々犯罪者であった。彼らのような、犯罪者を使うのは、ヴィドックのように犯罪の手口に詳しいからというのが理由である。現代でも、司法取引と称して、ハッカーややくざから情報を得ることがあるという。
 
虚構の世界で、犯罪者が治安維持のために活躍する作品と言えば、70年代にヒットした漫画「ワイルド7」や、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」などが有名。

 ◆ダンジョンは欲によって創られる

ダンジョンとは、魔力ではなく「欲」によって構成されるものであった。つまり、今まで外界から魔力を吸っていた(ある程度はおそらくエネルギーに変えていた可能性もある)と思われていたが、そうではなく、人の欲に反応していたのである。

前巻で、ダンジョン一階に人が集まったために、強力な魔物が現れたことを思いだしてほしい。あれは、魔力ではなく人の欲に反応していたようである。
 
もっとも、ミスルンの解説によると、金銭欲のようなポピュラーな欲では悪魔は満足しないらしい。

想像だが、浅層階にいた人が、俗物的な欲しかなかったために、ダンジョンは、歩きキノコを巨大化させる程度しかできなかったようである(もしヤバイ欲があったら、キメラになったファリンはもっと暴れ回っていた可能性がある)。

背景に描かれている図面を見るからに、承認欲求のような概念的なもののほうが、悪魔はお気に入りのようである。シスルのように、複雑に気を回していくタイプは厄介であるそうだ。

黄金城の住人たちは、ほとんど欲を無くしてしまっているが、それでも衰弱死していないのは、悪魔すなわち、翼獅子をシスルが封印したためであるようだ。

しかし、翼獅子のほうも負けじと、黄金城の住人に自分を守り神と信じさせ、新しい主が来るのを待っていたようである。それがライオスであった。

ライオスの持っている欲は、エゴイスティックなところがあり、自分の周囲を自分の好きなもので埋めたいというタイプである。かつて、ミスルンも想い人を自分のものにしたいという、エゴから抱いたために、悪魔に魅入られた。

エゴイズムは、自分の嫌いなものを排除したいという願望も入っているので、悪魔にとっては、餌と、自分の身を守るダンジョンを構成するのにふさわしかった可能性が高い。

つまり、だいぶ前から、悪魔はライオスを狙っていたのである。ライオスが、比較的早くダンジョンの深層までこれたのも、悪魔が招き寄せたという見方もできる。

しかし、ここで疑問が生まれる。ライオスがダンジョンに招かれているのなら、なぜ、第1巻で、強力なモンスターである、レッドドラゴンに遭遇してしまったのかということである。

その理由は、この時点だと、ダンジョンの主はシスルなので、まだシスルの魔力の方が強かったからではないかと思われる。

しかも、悪魔はシスルによって封印されてしまったようであることから、シスルのほうが一枚上手であったのだ。

 ◆意外!ダンジョン飯は現代を風刺していた

悪魔に願いを叶えさせると、ダンジョンは自分の好きなもので埋め尽くされるようだ。自分の親しい友達や恋人、そして好きなもの。翼獅子がライオスに見せた世界もまさにそんな感じである。

だが、悪魔の巧妙なところは、所々で簡単な問題やトラブルを起こさせて、人の心に刺激を与えて、「飽きさせない」ようにしている点である。

言ってみれば、悪魔は超リアルな3D型シミレーションゲーム、もしくはシムシティ的なゲームを延々とさせているようなものである。

それは、現代のオタクと呼ばれる人の願望そのもので、ライオスはそうしたものに思いっきり弱い。現に、翼獅子がライオスに見せた世界では、ライオスの周囲にいる人間は、ライオスにあまりきついことを言わない人、もしくは考え方が似通っている人(ファリン、マルシル、センシ)と、魔物に近い人間(オークのゾン族長、イヅツミ)ばかりであることがわかる。

逆にライオスが苦手とする人物は、城の外か(チルチャック)もしくは登場していない(ナマリ、シュロー)。

言ってみれば、自分の作った箱庭のみを「世界」したいという願望がオタクにはあるのだ。それが悪と言えるかどうかはわからないが、そうした願望も気を付けないと、恐ろしい存在に利用されかねないということである。

さて、事実上ダンジョンの主である翼獅子こと、悪魔はシスルを見限り、新しい主を求めていた。悪魔はシスルの封印を解くために、じわじわと力をため込んでいたのか(黄金城の住人は食欲を無くしていることから、彼らから欲を奪った可能性が高い)少しづつ、黄金城の人間に干渉し、予言と称して干渉していたようである。

デルガルが地上に出て行ってしまったのも、翼獅子の予言が原因であったようである。

 ◆翼獅子が認めた人間、認めない人間

ライオスが翼獅子に狙われたその他の理由としては、ある程度、ダンジョンの深層に行けるような実力と、探求心がなければならないということも挙げられる。

その一方、翼獅子にも嫌っている人間がいるようで、彼らが深部に来ないように、妨害している可能性もあると思われる。

代表例は、ダンジョンを攻略しようとするカナリヤ隊はもちろん、ダンジョンを無くそうと思っているカブルーも同様である(カブルーのパーティが、なかなか深部に行けなかったのもそれが理由か?)。

また、シュローもかなりの実力を持っていながら、ファリンを食ったレッドドラゴンの元にたどり着くことができなかった。

これは、シュローのファリンに対する思いが、欲ではなく、純粋な愛情であったためではないかと思われる。現にシュローがファリンと再会したのはキメラになった時で、その時は、ライオスやマルシルがそばにいた。

つまり、残念ながら、ライオスやマルシルのファリンに対する思いは、エゴイスティックなものということになる。

 ◆まとめ

前編では、ダンジョン飯には解説役がいないということを述べたが、どうやら終盤近くになって、カブルー、ミスルンコンビが解説役になるようである。

今後の展開だが、どうやら、終盤は、カブルー達ダンジョン攻略組と、翼獅子に魅入られたライオスとひと悶着ありそうな感じである。