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カテゴリー記事 広島の都市問題


1 そもそも都会の基準とは?
絶対的な基準などありはしない


画像1 世界遺産の原爆ドーム 広島の代表的な風景の1つ 広島市の個性の1つだろう(広島市HPより)

 別に都市問題でも何でもないのだが、当ブログの広島都市ネタの画像で、いつもお世話になっている鯉党@さんのブログのコメント欄が今回の記事を書くきっかけとなった。お題は『広島は都会か?それとも田舎か?』なのだが、そもそも都会と田舎の定義が難しいと言うか万人が納得する明確な基準がない。お題のように漠然と聞く場合と比較で聞く場合でも答えが当然変わる。広島を見たままで答えると、『まあ普通の地方の田舎だね』になるし、中国地方の他都市と比べると『都会とは思わないが、田舎でもない街だね』にもなる。これって、明確な基準がない以上、千日論争になり不毛な自己主張を繰り返しで、論じても平行線だろう。田舎だなと思う理由は、街と人間がイマイチ垢抜けない点だがこれはあくまでも現状の評価でしかなく、上下の格付けとか勝ち負けの話ではない。世間一般的な基準としては、若者や遊ぶところが多いとか、より東京を意識させるものが多くあるか?に落ちつく。その度合いが多ければ都会、少なければ田舎となる。これとて回答者の主観に基づくものでしかない。


 私の主観の基準を改めて定めると、移動手段が鉄・軌道中心であれば都会。自動車中心であれば田舎になる。開放的か否か、そこ住む人たちの生き方の多様性を表面だけではなく容認するか否かも判断材料になる。この基準だと、日本の都市で都会は東京23区と大阪市ぐらいしかなく、後は全て田舎となる。地方都市は基本的には、程度の差こそあれ閉鎖的だ。もっと視野を広げれば、日本自体が極東の島国でしかなく、欧米の大陸目線で見ると外れにある田舎と言えなくもない。これは改めて聞かれた場合、そう答えるだけの話。その都市の価値は、規模ではなくそこに住む人たちの生活満足度や部外の人たち目線で魅力的に映るかどうかで決まるような気がする。よく都市比較で示される経済的な数値は、その点ではあまり意味をなさないのではないだろうか?ただ、この論を適用すると、『都会=魅力的』『田舎=魅力がない』となる。
『東京的なもの=魅力的なもの=都会的』の図式を完全には否定しない。都会的なものも、都市の魅力の1つで吸引力となっているのは事実だ。ただそれだけの尺度を当てはめ過ぎてはいないだろうか? と思う。仕事や学校での勉強ではないのだ。答えは1つではなく、複数あっても問題ないはずだ。

2 個性が少ない日本の都市
街はそこに住む人を映し出す鏡


画像2 今年完了した広島駅南口地区再開発。1960年代を彷彿させる昭和オールウェイズな街並みが消え一新したのは喜ばしいが、個性豊かとは言い難い。今後南口広場再整備と駅ビル建て替えが予定されているが、広島カラーを打ち出したものを期待したい。

 日本人は模写が得意な国民だ。自身で何かを発明したり開発して文明のトップランナーとなることは皆無だが、それを模写して和風にアレンジし直して独自のものを創りあげた。その精度は高く、世界に誇れるものも数多い。島国ということもあり外の目を絶えず意識している。特に明治維新以降はその傾向が強い。これがアジア初の経済大国に押し上げた原動力となった。地方も含めての話だが、日本人は横並び意識も強い。人と同じでなければ不安感に襲われる(危機感を感じる)ようなところがある。良し悪しは別として、そんな人種だ。目標となるものを掲げ、その姿を理想として価値基準もそこに置く。
都市計画やまちづくりでも同様で明治以前は『〇〇地方の小京都』が最大の褒め言葉、以降は東京が模範とされ、東京に近い姿『リトルトーキョー』がベストとされた。高度成長、バブル経済成長期、この傾向は止まるどころか拍車がかかった。その結果、個性的な都市はなくなりどこを切っても金太郎飴的な、似たり寄ったりの都市が全国各地に出現した。都市最大駅前や中心市街地には、東京資本の商業施設やホテルなどが軒を連ね、個性とは程遠い。そこに住む住民のニーズとして、より東京を身近に感じる-『あたかも地元にいながら東京で遊んでいるかの錯覚を覚える』ものへの渇望がある。地方人の東京信仰は、宗教と言っても差し支えないレベルだ。時折、東京を悪し様に語る人がいるが、憧れが高じて何かのきっかけで屈折したものに変異した姿と思っている。個性がない(少ない)都市と言うのは、裏読みすればそこに住む人たちの個性のなさの裏返しと言える。個性がない、個性を認めない人たちが多い事が街並みにも反映している。

 広島人に限らず、日本人の価値基準の1つで『古いもの=悪』『新しいもの=善』もある。たぶん日本人の8割以上の人たちの基本価値観だろう。これも私個人の見解と前置きするが、採点するなら✖ではないが、△だ。△の理由は、古いものはすべて悪ではなく、現在使えないものでも少し手を入れて付加価値が加われば、再び輝きを増すものも中にはある。そうしたものは善、当然歴史・文化的価値が高いものも善だ。この
2つに該当しないものは悪だろう。『新しいもの=善』も〇に近い△。都市経済の活性化を考えると、都市空間のリニューアルは不可欠だ。それを否定するつもりは毛頭ない。再開発や区画整理、跡地利用計画が進めば人の流れが変わり、蜜を求める蜂のように人が多く集まり、消費が喚起される。市域内外、都市圏外から集客する吸引力となる。と同時に、先で述べた✖ではない古いものも壊してしまう。真新しいものばかりに、都市の個性や魅力がどれだけあるのか? 広島を代表する新たなラウンドマークにしたいとか、待ち合わせなどに使う魅力的な広場にしたいとか、そんな発想が皆無だ。極端な例を紹介する。

 首都圏の都市に、つくば市という街がある。1960
年代から筑波研究学園都市として開発が進み、現在は日本国内最大の学術都市となっている。完璧な都市計画の元、広々とした道路・公園、公共施設
どが配置され、日本の都市とは思えない。日本最大の都市計画失敗都市の東京23区と真逆に位置する。東京23区は理想人口300万人、最大人口500万人を想定した戦災復興計画が立案された。その計画も満足に成就していない。2016年現在921万人。節目ごとに継ぎ足しでテコ入れして、現在に至っている。都市計画上は混沌とした街そのものだが、逆にそれが良い味付けとなっている。若年者の流入人口を見ると日本最大の魅力に溢れた都市と言える。一方のつくば市は1970~80年代、『つくばシンドローム(症候群)』『筑波病』-精神疾患を発症して自殺する が流行った。最近はそんなことはないそうだが、合理性一辺倒の都市は、精神的負荷が増大して住みにくく、魅力に欠けるともいえる。新しいものと古いものがバランスよく調和しているのが理想だろう。


画像3 カープが連覇を果たした当日の広島市都心部の本通地区の喧騒。『広島市=カープの街』を改めて感じる一コマ。これも恥じることのない立派な個性の一つ。

3 広島市を自虐、無駄な褒めちぎりなしで眺めてみる
離れていたからこそ分かるその街の良さ


画像4 
広島都心部地区の様子。改めてみると緑と河川が多く、自然豊かな街である。これも他都市では見出しにくい個性の一つ。(広島県HPより)

 広島人には面白い特徴がある。広島市を自己評価する場合、強弱の差はあれ
自虐的に悪し様に罵る人と世界で一番素晴らしい都市と頓珍漢な自慢をする人の2パターンに分かれる。その中間という人が割と少ない。私は1987~2000年の13年間、広島を離れ東京で暮らした。東京と広島、両極端な街だが離れてみて広島の良さも再認識した。一例を挙げると、広島は自然とのロケーションが素晴らしい。都心部でも緑と河川が多く潤いがある。河岸緑地は数代前の荒木市政の遺産だ。東京など河岸緑地は少なく、広島の河川では遊歩道や緑地帯になっている場所も、建物が立ち並び風情などない。平野部が少なく、丘陵・山岳地帯が多い地形も都市美観には大きく貢献している。都心部の規模対比で大規模な都市公園が多く、公的スペースが多い。全国でも希な100㍍道路(札幌と名古屋だけ)もある。日本的な価値観に照らし合わせると、都心部に公園や広場が多いのは衰退都市のイメージと本気で語る人が多い。これは価値観の違いではなく、はっきり言うが間違いだ。その間違いの理由は、欧米の都市を機会があれば訪れればいいと思う。広大な公園や街路樹に彩られた道路、市民の憩いの場となる広場などが街中に溢れている。こうした公的スペースは市民の共有財産だ。一方の日本の都市では、こうしたものが非常に少ない。広島市はその日本の都市の中でもその点で恵まれており、恥じるどころかむしろ誇れば良い。広い公的スペース(公園など)が都市の成長の阻害要因だと的外れ論議がまかり通っている。市民の共有財産となるべく社会ストックは、都心部にこそ相応しい。ただ広島市の場合、その活用方法がセンスがなく下手くそなだけだ(笑)。その事実だけを切り取り、広大な都心部の公園を否定するのはどうかと思う。

 広島市の最大の個性で平和都市がある。人類初の被爆都市という歴史的経緯から、この世に核兵器がある限り、いや紛争や戦争が続く限り平和発信を続けないといけない。これも何かと批判の対象になる。私は別に左翼でも何でもないが、過去(歴史)を否定する都市には明るい未来はないと考える。都市像と言うのは5~10年の短いスパンで成り立たない。20~30年以上の長い時間をかけ構築するものだ。構築過程で『過去・現在・未来』を実情に基づき、見渡す必要がある。広島市の場合、過去(被爆)を否定したら自己否定にもなる。未来を展望した場合、国際平和都市『ヒロシマ』は国内の他都市が持ちえない大きな武器となる。それは誘致活動もしていないのに、五輪新種目大会開催検のオファーが勝手に舞い込んだ来た事でも証明された。外国人観光客の急増も『ヒロシマブランド』によるところが大だ。今後本格化する人口減時代を見据えた場合、国外交流人口拡大の肝となるので、平和は個性(魅力)があるまちづくりにも都市経済活性化の双方に貢献できる。その次となるとカープの存在が欠かせない。その存在は、スポーツコンテンツの域を超え、広島人の家族と言っても差し支えない。よその土地から見れば、宗教チックで異様な光景に映ると思うが、野球でもサッカーでもそこに住む人たちが、時が経つのを忘れるほど熱くなれるものが身近にあることに大きな意義がある。その最大なる存在は、今や地方スポーツコンテンツの鏡となっている。当然、他都市にはない大きな個性(魅力)の1つだ。

 こちらにUターンして、結婚して子供も生まれ家庭を持った。家庭人として住む広島市は多少足りないところもあるが、特に不自由さは感じない。分不相応なものを臨まない限り、ほどほどに何でも揃っている。事実、広島市の合計特殊出生率は1.51人(2016年度)で全国平均(1.44人)よりも高く、全国平均よりも高い政令指定都市は珍しい。これは広島市の住みやすさを示す大きな指標だ。そしてこんなデータもある。

-1⃣ 
地方の政令指定都市所得ラキング(10市) 
 出典 
全国市区町村所得(年収)ランキング2015年
①福岡市340.7万円 144位/1,741、②広島市336.2万円 162位/1,741、③仙台市335.8万円 164位/1,741、④静岡市328.7万円 196位/1,741、⑤岡山市321.2万円 238位/1,741、⑥浜松市320.5万円 245位/1,741、⑦北九州市 304.6万円383位/1,741、⑧熊本市304.4万円 385位/1,741、⑨札幌市 303.9万円 388位/1,741、⑩新潟市293.2万円 497位/1,741

※政令指定都市の場合、低所得者の絶対数の人口が多いため、全体の平均値が下がる傾向がある。

-2⃣ 0政令指定都市幸福度ランキング(2016年度)
 出典 
最新! 47都道府県幸福度ランキングより ~(東洋経済ONLINE)
1位 さいたま市
基本指標 2位、健康分野 6位、文化分野 10位、
仕事分野 5位、生活分野 9位、教育分野 13位
2位 浜松市
基本指標 4位、健康分野 2位、文化分野 13位
仕事分野 3位、生活分野 7位、教育分野 5位

3位  千葉市
基本指標 9位、健康分野 3位、文化分野 5位
仕事分野 10位、生活分野 4位、教育分野 9位
8位 広島市
基本指標 15位、健康分野 18位、文化分野 8位
仕事分野 2位、生活分野 15位、教育分野 3位

13位 仙台市
基本指標 10位、健康分野 1位、文化分野 14位
仕事分野 13位、生活分野 8位、教育分野 14位
14位 福岡市
基本指標 13位、健康分野 7位、文化分野 3位
仕事分野 9位、生活分野 19位、教育分野 10位
18位 札幌市
基本指標 14位、健康分野 15位、文化分野 17位
仕事分野 20位、生活分野 6位、教育分野 17位

※3大都市圏の政令指定都市を除外すると広島市は第2位。
 
 この記事をまとめると、基準が定かではない都会か田舎などの定義など、無意味。個性(魅力)がある都市であるか否かの方が大きな問題。それ以外では、その地域に住む人たち生活満足度も大きな指標となる。そのバンランスが取れた街こそ理想の姿で目標ではなかろうか?。住む地域に対して愛情を抱く人が多い街が良い街で、少ない街はそうではないと言えるだろう。その点広島市は合格点だ。

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