前回記事 広島東署跡地、エソワール広島周辺一帯開発の話題
カテゴリー記事 広島の都市問題 都心部活性化
広島東署、県薬剤師会館、旧県歯科医師会館、エソール広島などが立つ-富士見町の再開発ビルの運営予定事業者にかねてからの噂通り、ヒルトンが正式に決まった。今回の立役者は多少強引な手法ではあったが、湯崎広島県知事だと考える。ゆるゆると各方面が納得する形の民主的な手続きを経て、やっていれば時間だけが浪費するだけで、機を失う恐れもある。身内の批判覚悟で邁進した結果が今回の決定につながった。中国新聞などでは、お決り的な批判めいたものが書かれていたが、個人的には批判に値しないと考える。今日はこの話題を取り上げたい。
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▼今日のお題 6月6日-中国新聞29面よりより引用
広島にヒルトン決定
東署跡地ホテル 22年開業 客室400
画像1 6月6日中国新聞29面より
【広島市中区富士見町エリアの再開発】
広島東署、県薬剤師会館、旧県歯科医師会館、エソール広島などが立つ広島県有地と隣接する民有地計6,400平方㍍を再開発し、千人規模の国際会議が開けるホテルを誘致する計画。対象エリアの施設のうち、県歯科医師会館は昨年1月に東区二葉の里地区に移転した。県薬剤師会館は今年8月に、広島東署は9月にいづれも同地区に移転する予定。県女性総合センター『エソワール広島』の機能は中区の複合ビル『おりづるタワー』に移った。貸事務所や賃貸住宅の入居者は9月末までに退出する。県自治総合研修センターも中区胡町の民間ビルに移転する。
【記事詳細】
▼広島東署などがある広島市中区富士見町エリアを再開発して国際会議が開ける多機能型ホテルを
誘致する計画で、広島県は5日、米大手ヒルトンがホテルの運営事業予定者に決定したと発表し
た
▼約400室の客室に加え、8室の会議場(計2300平方㍍)、レストラン、スパ、ジム、プー
ルなどを設ける予定
▼ヒルトンは世界106の国と地域で約5,300の宿泊施設を手掛けている。日本国内では、9都
道府県で16施設を運営しており中四国地方への進出は初となる
▼東京の日本地区担当者の広報は『国内外からの観光、ビジネス需要の高い広島で、質の高いサー
ビス提供が出来るように努めたい』と語る
▼運営事業者の選定は瀬戸内7県の地銀でつくる瀬戸内ブランドコーポレーション(中区)と同社
が設けた特別目的会社(SPC)が2月に始めた。1次審査で外資系ホテル3社が通過し、2次
審査でヒルトンで決まった。
関連記事 中心部振興期待の声 ~6月6日中国新聞22面より~
画像2 6月6日中国新聞22面より(ブログ画像からは全て読めません)
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【考察その1】
中区富士見町エリア再開発の概要
画像1 広島市中区富士見町の再開発予定地(画像 地元放送局ニュース画像より)
【中区富士見町エリア再開発】の詳細
1. 再開発予定地(上記画像1参照)
中区富士見町-広島東署(3,502.83平方㍍)、県薬剤師会館(686.85平方㍍)元
県歯科医師会館(685.06平方㍍) 広島県女性総合センター(1,528.21平方㍍)
計6,402.95平方㍍
2.運営予定事業者 Hilton Worldwide Manage Limited
3.提案の内容
ホテルブランド-ヒルトン 客室数-400室 会議場-8会場 計2,300平方㍍(最大の
ものは約1,200平方㍍) その他-レストラン、スパ、ジム、プールなど 他の施設につい
ては運営予定事業者との協議にて決定
4.エリア整備手法
※注1PFI方式を採用。県と地権者が土地と建物を鑑定評価額に基づき、SPC(特定目的
会社-瀬戸内ブランドコーポレーションが設立)に一括で売却。施設はSPCが整備。
施設と土地はSPC保有のまま、運営事業者を県と共に公募(18年2月~)にて選定
する
5.完成時期など
完成-2022年度 総事業費-200~300億円
※注1PFI方式
公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に、従来のように公共が直接施設を整備せ
ずに民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法のこと
【考察その2】
不足する公共施設を補うPFI事業
インバウンド需要で高騰するホテル需要
画像3 駅前通りから富士見町再開発地区を望む(画像 アンドビルド広島より)
画像4 JNTO規定による都市別国際会議開催件数の推移(画像 JNTO公式HPより)
今回県が、独断専行の批判覚悟で事業を急いだ理由としてMICE-特に国際会議開催件数の広島市の劣勢がその理由に挙げられている。国策として2030年国際会議開催件数アジア1位を掲げていることもあり、順調に伸びているがグローバルMICE12市中、11位に低迷している(16年度)。広島市が大好きな四地方中枢都市の括りでは、福岡市383件、札幌・仙台市115件、広島市76件と大きな差をつけられている。経済発展が著しいアジアの需要を取り込める優位性がある西日本地域にありながら、東日本地域の札幌、仙台市の後塵を拝している。元々の都市の需要がこの程度なのか?他の理由により潜在需要を取りこぼし、他都市に逃げているのか?この辺の判断は難しいが、県は供給過小による需要の取りこぼしが少なからずある、と判断したのではないだろうか?国際会議開催の能力-国際アクセス・ニーズに沿った多種に渡る会場・過去の開催実績・アフターMICE(都市観光)・都市の知名度-などの総合力を勘案すると、グローバルMICE12市の中で、そう極端に劣っているとは思えない。仮に難があるとすれば、誘致体制や開催の補助制度、ニーズに沿った会場の問題になる。県の判断の需要の取りこぼし、と断じた理由は、近年のインバウンド需要の高騰、都市の知名度、ホテル客室数(都市規模に見合っていない)があると推察する。今の時代、かってのように官設官営の会議場の整備は、財政面などのリスクが高い。今回の手法(PFI事業)であれば、リスク回避も可能で高い費用対効果も得られるのではないだろうか?ライバルと言うにはおこがましくなった福岡市は、需要に供給が追い付かない状況でお断りが続いているそうだ。こうした需要を確実に拾いつつ、国際会議都市-ヒロシマの魅力を国内外にセールスし続ければ、MICE都市としての成長の足掛かりになるかも知れない。
カテゴリー記事 広島の都市問題 都心部活性化
広島東署、県薬剤師会館、旧県歯科医師会館、エソール広島などが立つ-富士見町の再開発ビルの運営予定事業者にかねてからの噂通り、ヒルトンが正式に決まった。今回の立役者は多少強引な手法ではあったが、湯崎広島県知事だと考える。ゆるゆると各方面が納得する形の民主的な手続きを経て、やっていれば時間だけが浪費するだけで、機を失う恐れもある。身内の批判覚悟で邁進した結果が今回の決定につながった。中国新聞などでは、お決り的な批判めいたものが書かれていたが、個人的には批判に値しないと考える。今日はこの話題を取り上げたい。
………………………………………………………………………………………………………………………
▼今日のお題 6月6日-中国新聞29面よりより引用
広島にヒルトン決定
東署跡地ホテル 22年開業 客室400
画像1 6月6日中国新聞29面より
【広島市中区富士見町エリアの再開発】
広島東署、県薬剤師会館、旧県歯科医師会館、エソール広島などが立つ広島県有地と隣接する民有地計6,400平方㍍を再開発し、千人規模の国際会議が開けるホテルを誘致する計画。対象エリアの施設のうち、県歯科医師会館は昨年1月に東区二葉の里地区に移転した。県薬剤師会館は今年8月に、広島東署は9月にいづれも同地区に移転する予定。県女性総合センター『エソワール広島』の機能は中区の複合ビル『おりづるタワー』に移った。貸事務所や賃貸住宅の入居者は9月末までに退出する。県自治総合研修センターも中区胡町の民間ビルに移転する。
【記事詳細】
▼広島東署などがある広島市中区富士見町エリアを再開発して国際会議が開ける多機能型ホテルを
誘致する計画で、広島県は5日、米大手ヒルトンがホテルの運営事業予定者に決定したと発表し
た
▼約400室の客室に加え、8室の会議場(計2300平方㍍)、レストラン、スパ、ジム、プー
ルなどを設ける予定
▼ヒルトンは世界106の国と地域で約5,300の宿泊施設を手掛けている。日本国内では、9都
道府県で16施設を運営しており中四国地方への進出は初となる
▼東京の日本地区担当者の広報は『国内外からの観光、ビジネス需要の高い広島で、質の高いサー
ビス提供が出来るように努めたい』と語る
▼運営事業者の選定は瀬戸内7県の地銀でつくる瀬戸内ブランドコーポレーション(中区)と同社
が設けた特別目的会社(SPC)が2月に始めた。1次審査で外資系ホテル3社が通過し、2次
審査でヒルトンで決まった。
関連記事 中心部振興期待の声 ~6月6日中国新聞22面より~
画像2 6月6日中国新聞22面より(ブログ画像からは全て読めません)
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【考察その1】
中区富士見町エリア再開発の概要
画像1 広島市中区富士見町の再開発予定地(画像 地元放送局ニュース画像より)
【中区富士見町エリア再開発】の詳細
1. 再開発予定地(上記画像1参照)
中区富士見町-広島東署(3,502.83平方㍍)、県薬剤師会館(686.85平方㍍)元
県歯科医師会館(685.06平方㍍) 広島県女性総合センター(1,528.21平方㍍)
計6,402.95平方㍍
2.運営予定事業者 Hilton Worldwide Manage Limited
3.提案の内容
ホテルブランド-ヒルトン 客室数-400室 会議場-8会場 計2,300平方㍍(最大の
ものは約1,200平方㍍) その他-レストラン、スパ、ジム、プールなど 他の施設につい
ては運営予定事業者との協議にて決定
4.エリア整備手法
※注1PFI方式を採用。県と地権者が土地と建物を鑑定評価額に基づき、SPC(特定目的
会社-瀬戸内ブランドコーポレーションが設立)に一括で売却。施設はSPCが整備。
施設と土地はSPC保有のまま、運営事業者を県と共に公募(18年2月~)にて選定
する
5.完成時期など
完成-2022年度 総事業費-200~300億円
※注1PFI方式
公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に、従来のように公共が直接施設を整備せ
ずに民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法のこと
【考察その2】
不足する公共施設を補うPFI事業
インバウンド需要で高騰するホテル需要
画像3 駅前通りから富士見町再開発地区を望む(画像 アンドビルド広島より)
画像4 広島都心部地区のホテル建設計画予定地(画像 中国新聞記事より)
今回の決定が正式に決まり、各界の反応は一部を除き概ね好評のようだ。同日の中国新聞の別面
記事を読むと、広島の地を訪れている観光客は言うに及ばず、地元経済界にも期待の声が出てい
る。中国経済連合会の谷口雅彦常務理事(59)は『広島市を起点に県北や瀬戸内海沿い、日本海
側など広域を巡る魅力的なツアーを官民で発信をできれば地域の経済効果が高まる』と期待を寄せ
る。市民も世界ブランドの高級ホテルの進出に都市の格が上がるとして、好意的な評価を以って受
け止めている。反対ではないが戸惑いを隠せないのが、同業者と街並みが一変するであろう地元の
人たちぐらいだ。ブログ主も大いに賛成だ。上記画像4は、今後予定されているホテル計画予定図
だが、供給過剰の指摘もあるが好調なインバウンド需要と宿泊率の上昇を受け、もう少しイケると
考える。広島市の場合『学習観光』の傾向が強く、中国一辺倒ではないところが他都市と異なる。
欧州、北米、オセアニアの比率が他都市よりも高く、にわか需要ではあるが一過性のブームではな
く、高い水準で今後も安定する、と予測する。 間違っても見るも無残な引き潮にはならないだろ
う。半日観光都市で宿泊率に難ありが定説になっている広島市だが、その宿泊率も近年、上昇傾向に
ある。12年度-37.4%が16年度-43.0%になっている。概して日本人観光客よりも外国
人観光客のほうが、宿泊率が高い傾向があり、広島市にとって追い風になっている。ヒルトンの立地
に限れば、客層は一部被るだろうが中規模のビジネスホテルとは異なり、中産階級以上の富裕層がそ
の対象で、棲み分けが可能ではなかろうか? ~平成 28 年(2016年)広島市観光客数について~(広島市HP)
今回の決定が正式に決まり、各界の反応は一部を除き概ね好評のようだ。同日の中国新聞の別面
記事を読むと、広島の地を訪れている観光客は言うに及ばず、地元経済界にも期待の声が出てい
る。中国経済連合会の谷口雅彦常務理事(59)は『広島市を起点に県北や瀬戸内海沿い、日本海
側など広域を巡る魅力的なツアーを官民で発信をできれば地域の経済効果が高まる』と期待を寄せ
る。市民も世界ブランドの高級ホテルの進出に都市の格が上がるとして、好意的な評価を以って受
け止めている。反対ではないが戸惑いを隠せないのが、同業者と街並みが一変するであろう地元の
人たちぐらいだ。ブログ主も大いに賛成だ。上記画像4は、今後予定されているホテル計画予定図
だが、供給過剰の指摘もあるが好調なインバウンド需要と宿泊率の上昇を受け、もう少しイケると
考える。広島市の場合『学習観光』の傾向が強く、中国一辺倒ではないところが他都市と異なる。
欧州、北米、オセアニアの比率が他都市よりも高く、にわか需要ではあるが一過性のブームではな
く、高い水準で今後も安定する、と予測する。 間違っても見るも無残な引き潮にはならないだろ
う。半日観光都市で宿泊率に難ありが定説になっている広島市だが、その宿泊率も近年、上昇傾向に
ある。12年度-37.4%が16年度-43.0%になっている。概して日本人観光客よりも外国
人観光客のほうが、宿泊率が高い傾向があり、広島市にとって追い風になっている。ヒルトンの立地
に限れば、客層は一部被るだろうが中規模のビジネスホテルとは異なり、中産階級以上の富裕層がそ
の対象で、棲み分けが可能ではなかろうか? ~平成 28 年(2016年)広島市観光客数について~(広島市HP)
今回県が、独断専行の批判覚悟で事業を急いだ理由としてMICE-特に国際会議開催件数の広島市の劣勢がその理由に挙げられている。国策として2030年国際会議開催件数アジア1位を掲げていることもあり、順調に伸びているがグローバルMICE12市中、11位に低迷している(16年度)。広島市が大好きな四地方中枢都市の括りでは、福岡市383件、札幌・仙台市115件、広島市76件と大きな差をつけられている。経済発展が著しいアジアの需要を取り込める優位性がある西日本地域にありながら、東日本地域の札幌、仙台市の後塵を拝している。元々の都市の需要がこの程度なのか?他の理由により潜在需要を取りこぼし、他都市に逃げているのか?この辺の判断は難しいが、県は供給過小による需要の取りこぼしが少なからずある、と判断したのではないだろうか?国際会議開催の能力-国際アクセス・ニーズに沿った多種に渡る会場・過去の開催実績・アフターMICE(都市観光)・都市の知名度-などの総合力を勘案すると、グローバルMICE12市の中で、そう極端に劣っているとは思えない。仮に難があるとすれば、誘致体制や開催の補助制度、ニーズに沿った会場の問題になる。県の判断の需要の取りこぼし、と断じた理由は、近年のインバウンド需要の高騰、都市の知名度、ホテル客室数(都市規模に見合っていない)があると推察する。今の時代、かってのように官設官営の会議場の整備は、財政面などのリスクが高い。今回の手法(PFI事業)であれば、リスク回避も可能で高い費用対効果も得られるのではないだろうか?ライバルと言うにはおこがましくなった福岡市は、需要に供給が追い付かない状況でお断りが続いているそうだ。こうした需要を確実に拾いつつ、国際会議都市-ヒロシマの魅力を国内外にセールスし続ければ、MICE都市としての成長の足掛かりになるかも知れない。
MICEとは、会議・研修(M)、招待旅行(I)、国際。学術会議(C)、展示会(E)の略だが一般的な観光旅行よりも経済効果が高く、ビジネス・イノベーションの機会を創造し、国・都市の競争力を向上させる効果があるとされている。後発組の日本が先を走る欧米先進国や今や世界第2位の経済大国となった中国の各都市を追いかける構図となっている。その日本の都市でも、上位に位置していない広島市が割り込むには高いハードルがあるが、今後の本格人口減と超高齢化を考えると、外需を取り込み都市の成長戦略に加えないと、人口減という縮小社会に飲み込まれ埋没して二度と浮上出来ないだろう。MICEを新産業の育成と位置づけ、10~20年の長期サイクルで取り組み集約都市構造への転換ともうまく絡ませれ場相乗効果は高い。道は平たんではなく中途半端に終わる可能性も高いが、真剣に取り組まないと生き残りをかけた都市間競争に敗れ、これまた負け組となり埋没する。模写は100%無理だが、広島市の姉妹友好都市にドイツのハノーバーがある。この都市は、市域人口こそ約52万人だが、世界に冠たる『メッセ(国際見本市)都市』で、毎年世界最大級の産業見本市の『ハノーバーメッセ』が開催され、出展者数は約6,000社・団体で訪問者数が約200,000人にも及ぶ。会場のハノーバ-国際見本市過剰の規模は49.8万平方㍍で世界最大の規模。東京ビックサイトの5倍以上だ。このハノーバ―レベルになる可能性は皆無だが、MICE都市として先の先の先を行く都市として、いろはのいぐらいは学びたいものだ。立ち位置が違い過ぎるが、日本人は本来他国の優れた点を吸収して、自分風にアレンジし直して発展してきた。MICEについてもその手法を取れば良いだろう。『MICE都市ヒロシマ』の武器となりそうな今回のヒルトン進出、その端緒となると思う。
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