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今日の話題 11月27日中国新聞3面より引用
旧広島大理学部1号館 市有識者懇で提案
平和教育の・研究の拠点に

 
【記事概要】
 広島大本部跡地(広島市中区)の被爆建物、旧理学部1号館の活用策を巡り、市の有識者懇談会は26日、広島大と市立大の平和研究機関を1号館に移転し、新たに『ヒロシマ平和教育研究機関』(仮称)の設置を求める提案を明らかにした。跡地での市と広島大による『知の拠点』構想の柱とし、平和に関する国際的な研究、教育や交流の拠点にする狙い。市は今後、両大学と協議を進める。

画像1 11月27日中国新聞3面より(ブログ画像からは全て読めません)

【記事概要】
 提言では、1号館に広島大平和センター(中区)と市立大広島平和研究所(安佐南区)の一部
 または、すべてを移転。研究者が国内外の研究者と共同で、被爆地ならではの研究プロジェク
 トを進めることを提案。平和教育に関しては、国内外の大学院生を対象にした広島への留学生
 制度や、地域内の大学と連携した平和科目の提供などを掲げている。1号館に関する被爆資料
 の展示や、世界の被爆に関する学術的な情報提供の拠点とするアイデアを盛り込んだ

 この日、中区であった有識者懇談会で、事務局の市が1号館の活用策を協議してきた有識者検討
 会の提案を報告した。委員からは『知の拠点に沿う提案だ』との評価の声が上がる一方、『機構
 の新設は、大きな展開だが、市の意気込みは本気なのか?』と実現性を問う声もあった。
 
 座長の高田隆・広島大副学長は懇談会の終了後、機構について『方向性は(大学同士で)共有し
 ており、実現性は高いと考えている。学都広島の象徴として、研究・教育の機能を発揮できれば
 』と話す。市機能調整部の長光信治部長は『提案と懇談会の意見を踏まえ、知の拠点の核として
 活用されるよう取り組む』とした。

【考察その1】

広島大平和センターと市立大広島平和研究所とは一体?

画像2(左) 広島大学平和センターアクセス図
画像3(右) 拡大図 市立大広島平和研究所
アクセス図(共に同公式HPより)

 広島大学平和センターと市立大広島平和研究所とは一体なんぞや?と思う方が多いはずなのでまずはこの2つについて説明する。

 広島大学平和センターについて
 概略
  広島大学平和センターは、広島大学の全学的施設として平和学に関する研究・調査と資料の収
  集を行うことを目的として、 75年学内措置により平和科学研究センターとして発足した。平
  和学の学術的研究機関としては我が国最初の ものであり、国立大学では現在なお唯一の研究機
  関である。 18年より機能強化が図られ『平和センター』と改称した。平和学に関する研究・
  調査及び資料の収集を行う とともに、研究成果を教育の場に還元して平和に関する教育を推進
  している

 主たる活動内容
  ・平和学に関する研究の推進  学内外の研究者連携・ネットワーク構築  文献資料及びデータ
  
収集・整理 ・平和学に関する研究成果の発信  研究成果の教育・社会への還元

 市立大広島平和研究所について

 活動の基本方針

  ◇広島平和研究所は、広島市立大学の附置機関として、98年に設立した
  ◇世界で最初の核兵器による被爆を体験した都市としての歴史を背景に、学術研究活動を通じ
   て、核兵器の廃絶に向けての役割を担うとともに、地球社会が直面する諸問題の解決にも寄
   与し、世界平和の創造・維持と地域社会の発展に貢献する国際的な平和研究機関を目指して
   いる

  ◇国内外における平和研究機関と積極的に連携してネットワークを構築することにより、平和
   研究の発展に寄与する

  ◇学術研究の成果を社会に公開します。講演会、公開講座、シンポジウム、出版活動などを通
   じて、研究成果を積極的に還元

とまあこんな感じの活動を日夜行っているらしい。広島大学平和研究センターについては、被爆や核兵器廃絶、核軍縮を研究する『ヒロシマ平和研究』と、貧困や暴力、平和構築などを研究する『グローバル平和研究』の2つの領域を分け体系化させて研究に取り組んでいるようだ。派手さはなく地味で一般的には評価されにくい分野ではあるが、広島ではなく、『国際平和文化都市“ヒロシマ”』のアイデンティティの根幹をなす分野なので、必要不可欠なものと考える。ややもするとこうした平和臭のするものを宗教的なカルト感覚でとらえる向きもあるが、似て非なるものだ。この世に核兵器があり世界が核の恐怖に脅かされ続け、世界各地で紛争が続く限りヒロシマは過去の歴史的経緯の責任において、被害の実相と平和の尊さを発信し続ける義務がある。その発信メッセージを論理的根拠を以て理論武装する平和研究は欠かせない。自己満足世界の研究だと言われれば、返す言葉を失うがそれを言ってしまったら、他の分野の研究も大して変わらない。実用性の高い研究など医学や工業分野にとどまるのだから。下世話なことを言えば、広島が国内の他都市に先んじれる分野でもある。広島の大きな個性の一つだ。他都市が持ちえないものを多く持つことが縮小社会を生き残る術だと考えるが、平和研究もその中の最大のものだ。


画像4 安佐南区大塚東地区に立地する市立広島大学の全体画像。平和研究所は⓭の情報科学部別館内に置かれている(画像 公式HPより)

【考察その2】
行政(市と県)、広大、市立大の4者の出資による核兵器廃絶や恒久平和を探求する『グローバル平和研究』の一大拠点にしては?



画像5 現在の被爆建物である旧広島大旧理学部1号館の現状(画像 広島市HPより)


画像6 各保存方法による整備コスト一覧(画像 広島市HPより)

 この旧広島大本部跡地は、元々広島大の東広島市西条への移転(95年)後、がんセンター、広島県庁、サッカー専用スタジアムなどの跡地利用が取り沙汰されたが、諸般の事情で立ち消えとなった。06年、広島地域大学長有志懇談会が『ひろしまの『知の拠点』再生プロジェクト(仮称)』を市長へ提案。その後、民間事業者開発予定地(下記画像7 赤線内3.8㌶)の事業予定者の募集し、5者が事業計画案を提出した。その結果、アーバンコーポレーション案が採用され、次点に章栄不動産案となった。ところがサブプライムローン問題に端を発した不動産不況を襲い、08年アーバンコーポレーションは民事再生手続となり事業継続が不可能となり、次点だった章栄不動産も撤収し、事業は仕切り直しとなる。13年に事業者の再公募を行い、三菱地所レジデンスを代表とするグループ案が選定された。 ~『知の拠点を支えるゾーン」における事業実施計画の承認』~(広島市HP) 過去の経緯と広島市の都市規模を思えば、高望みをするのは酷な話だが、当初構想として打ち上げた『知の拠点』としては少し寂しい内容で、力不足の感が否めない。今回提言された、1号館に広島大平和センター(中区)と市立大広島平和研究所(安佐南区)の一部または、すべてを移転。研究者が国内外の研究者と共同で、被爆地ならではの研究プロジェクトを進めることは、その力不足感を補って余りあると考える。他の研究機能らしきものを無理やり持ってきても、この場所である必要性は感じないし、そうしたものが集積出来るかも定かではない。平和研究の拠点施設化は、ある意味、理に適っている。中途半端な集客施設を持ってくるよりもその意義は高い。

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画像7 広島大本部跡地利用状況一覧(画像 広島市HPより)

 広大と市立大の平和研究に関する諸施設を移転統合するのであれば、当然市と県もある程度出資して4者による共同施設として建設、運営すれば良いのではなかろうか?施設規模が大きくなれば、人員も増え予算も拡大する。予算の関係で踏み込めなかった領域まで踏み込め、研究も捗るのではなかろうか?新聞記事でも触れているが、被爆の実相の発信だけではなくこうしたものも全世界に発信すれば、ヒロシマの面目躍如だろう。機構設立には県の参画の願い出るべきだ。湯崎知事になり、県も独自の平和発信を行っている。一定の理解が得られると考える。被爆建物である旧広島大理学部1号館の保存方法は、前面のみの一部保存方式(上記画像6のケース4)となり、残りの建物は一新される。都心部地区に立地する被爆建物を価値をどのように評価するにもよるが、少し勿体ない気がしないでもない。この方法だと約18.5億円の安価で済み、全面保存式だと2倍以上の40.6億円となる。致し方がないのかも知れない。前面の保存部分を残しながらどのようなレイアウトの建物になるのか?素人には予測がつきにくいが、平和研究施設のみならず、留学生の学外講義を行う場や中・小規模な会議が開催できるスペースを設けたり、平和関連の書物などを中心とした図書館機能や、広島市民は言うに及ばず観光客なども気軽に立ち寄れる学習の場ととしての機能なども併設されれば、彩(いろどり)を増すのでは増すのではなかろうか?立地も都心部地区の最南端周辺でそこまでは悪くない。公共交通網も整っている。少し心配などは新聞記事でも触れているが、一部有識者の指摘で市の本気度を疑っている向きがある。事情はよく分からないが、広島市の数少ない武器になるもののなので、ここは真剣に取り組んで頂きたいものだ。


画像8 跡地利用が進む同地区内でひっそりと佇(たたず)む旧広島大理学部1号館(画像 &ビルド広島より)

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