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広島の都市問題 郊外・その他

日の話題 2月1日中国新聞1~3面より引用
東京圏へ一極集中
18年 中国5県、転出超過


画像1(左) 2月1日中国新聞1面より(ブログ画像からは全て読めません)
画像2(右) 同日同新聞3面より

【記事詳細】
 総務省が31日(1月)公表した外国人を含む2018年の人口移動報告によると、東京圏
 (埼玉、千葉、東京、神奈川)は転入者が転出者13万9,868人上回る『転入超過(人口
 の社会増)』となった。前年よりも1万4,338人多く一極集中が拡大した。日本人に限れ
 ば23年連続の転入超過となった。国内の全市町村の72.1%は人口の流出を意味する『
 転出超過(人口の社会減)』で、東京圏の転入超過を20年に似解消する目標を掲げた安倍
 政権の看板施策『地方創生』の効果が見えなくなりそうだ。東京圏の転入超過は、進学や就
 職時期に入る15~29歳が12万7,393人に上った。これについて政府関係者は、『堅
 調な景気を背景に企業の求人が増え、待遇面の向上もあるので、地方から人が集まっている
 のではないか?』とみている。日本人での全年齢層での超過数は、計13万5,600人だ
 った

 中国地方に目を向けると、転出超過(人口の社会減)のトップは福山市の1,998人。全国
 でも10番目で、次いで岡山市1538人、倉敷市1,136人、下関市1,032人と続い
 た。反対の転入超過(人口の社会増)は総社市(岡山県)549人、防府市452人、東広
 島市192人の順になっている。中国地方最大都市の広島市は、661人と前年の転入超過
 から転出超過に転落した。中国地方でワースト1位になった福山市の企画政策課では、今回
 の発表に際して次のようなコメントを述べた。『転出の大半が外国人在住者なので、今後、
 原因を詳細に分析したい。年代などで、ターゲットを絞った人口減少対策を打つつもりだ』

 『東京五輪の関連工事に加え、都内各地では再開発やホテル建設など、空前の雇用需要が伸
 びている』と国土交通省関係者は語り、当面は東京圏が地方の人材を吸引するストロー効果
 が続くとみている。政府は昨年末、東京圏への人材の流出を阻むダム機能を目指し『中枢中
 核都市』として政令指定都市や中核市など82市を選定した。これらの都市を重点支援する
 ことで地方創生の実現を目指すが、歓迎する向きも多いがその一方で効果を疑問視する声も
 少なくない。今後、少子化による大幅な人口自然減が予測される中、地方を再生するのか、
 政府の手腕が問われている

【考察その1】
ダム機能を果たしていない自称中枢都市広島
やはり地域首都ではなく、中国地方最大の都市でしかない


画像3 世界遺産の原爆ドームと平和記念公園の佇(たたず)まい(画像 ひろたびより)

 世の中には目的と手段という言葉がある。目的(目標)実現のために手段がある。ややもすると手段そのものが目的化することが多々あったりするのが世の常だ。この論理をまちづくりに当てはめると広義だと、目的、目標が『広島市民を幸せにする』になり、手段は都市インフラの整備、企業の誘致、社会保障の充実など色々な手法がある。今回の人口の社会増減-転入超過・転出超過も目的・目標を『都市の持続的な成長』を定めた場合、結果において不合格かつ赤点だったと言える。曲がりなりにも、中国地方の中枢都市を自称する広島市が、転出超過に陥ったからだ。ブログ主は、地域首都なる造語をよく使うが、これはブロック内の押しも押されぬ中枢都市で、東京23区をはじめとする東京圏への流出を堰き止めるダム機能を有する都市の意味を込めそうしている。その点においては18年の広島市は、合格ラインに達しておらず、成績表の『よくできました(笑)』をあげることは出来ない。外国人在住者を含めての数字ではあるが、転出超過に陥った衝撃は相当のもので地方中枢としてしては恥ずかしい限りだ。極論を承知で言わせてもらえば、近年活発化している都市再開発や跡地利用、ホテル建設など結果において何の意味もなさなかったと言えなくもない。堰き止めるダム機能として分かりやすい指標は転入超過数だ。この数値が大きければ、ブロック内の吸引力が高く、小さいもしくは転出超過であれば低いということになる

指標1 総務省1/31日公表の日本人の転出・転入超過数ベスト10
        転出超過(人口社会減)       転入超過(人口社会増)
  1   長崎市    2,376人      東京23区 65,853人
  2   北九州市   1,674人      大阪市   13,769人
  3   那覇市    1,636人      さいたま市  8,765人
  4   堺市     1,522人      福岡市    8,032人
  5   神戸市    1,520人      札幌市    7,930人
  6 寝屋川市(大阪) 1,447人      横浜市    7537人
  7 横須賀市(神奈川)1,352人      川崎市    6,898人
  8 函館市(北海道) 1,341人      名古屋市   4,441人
  9 浜松市      1,291人      流山市(千葉)4,121人
 10 八戸市(青森)  1,269人      船橋市(千葉)3,254人
 ・・ 広島市※      661人
 ※広島市の数字は外国人在住者も含む

指標2 広島市の転入超過数の年ごと推移
 1980年 6,855人 91年 ※1▲1,680人 2011年 1,991人
 14年 375人 16年 1,169人 17年 582人 18年
▲661人
 
※1▲は転出超過(人口の社会減)数 外国人在住者も含む

http://livedoor.blogimg.jp/zono421128/imgs/6/f/6f3a520f.png
画像4 広島市の人口推移に与えた自然増減と社会増減。都市の中枢性の指標となる社会増(転入超過)数は、80年代をピークに下がり続けている(画像 広島市HPより)

 あえて外国人在住者を含めた数字を持ってくることに恣意的な意図は特にない。日本人だけの数字でも転入超過ではなく、転出超過だと思われるので躊躇いもなくそうさせてもらった。表向きは、活況感が近年溢れているかのような広島市だが、内情はお寒い現状であることが露呈した形だ。『広島市はまだマシな方でもっと悲惨な都市はたくさんある』と指摘されれば、確かにそうだがかってはライバル関係にあった地方中枢四都市で、群を抜いて低く中枢都市の看板を下ろすことを真剣に検討するレベルといっても言い過ぎではあるまい。この場合の『ものは考えよう』は禁物だ。指標2を見る限りでは、バブル経済崩壊までの高度・安定成長期まだはブロック内のダム機能をそこそこ果たし、その後はジリ貧傾向となり微増微減を繰り返し、18年は遂に転出超過に転落した。91年の大幅な転出超過(人口社会減)が謎だが、バルる経済崩壊翌年で自動車産業の雇用調整や国立広島大の文系学部の西条への移転でもあったのだろうか?よく分からない。指標1を見ると東京圏の主要都市+地方の地域首都的な都市が転入超過の上位となっている。東京23区の一人勝ちの様相を呈しており、少々の地方分権政策ではこの現象は止められないだろう。首都直下型地震のリスク回避と称して、無理やり遷都でもしない限りどうしようもない。2位の大阪市とは、約5倍差となっているが大阪市の肩を少し持つとすれば、市域面積が225.21平方㌖と政令市20市の中でも3番目に狭く、626.70平方㌖の東京23区の1/3強程度しかないことも留意すべきだろう。と言いたいところだが、大阪市の近隣の堺市や寝屋川市が転出超過の上位に入っていることを鑑みれば、適正な数値だろう。広島市に話を戻すが、時折、歴代為政者(知事や市長)の無為無策により、現在の状況を招き入れたとの指摘を聞くが、70年代半ば~90年代初頭まで市長だった通称:植木市長は別格として、その後の市長や歴代知事がそこまで酷かったとは思えない。確かに広島市の都市計画センスはピントがずれていると感じることが多々あるが、そこまで大きな失態に繋がる過失とも思えない。内的要因部分も少しはあるのだろうが、むしろ外的要因が大きいのでは?と考える。

【考察その2】
広島市のダム機能が決壊した理由


画像5 17年の広島市の転入、転出の詳細(画像 首相官邸HPより)

 広島市の中枢都市としての低迷ぶりも目を覆うばかりだが、かといって広島市を中国地方の都市の盟主の座から引きずり落とす都市も出ていない。新聞報道だと中国地方の都市人口ランキング上位の岡山(1,538人)、倉敷(1,136人)、福山市(1,998人)なども広島市以上に草刈り場と化しており中国地方の都市が東京圏、関西圏、北九州・福岡大都市圏の人材供給地域になっている。こうなると都市の自助努力の範疇を超えていることが何となくだが、読み取れる。先の考察の続きとなるが、仮に現在の広島市が、市民が思い描く最強で理想の姿だったとする。ブログ主定義だと、国立広島大が西風新都の石内地区にあり、広島空港も西飛行場跡地で沖合に拡張されアクセス鉄・軌道系公共交通も整備。東西方向にはフル規格地下鉄、南北方向はリニア式ミニ地下鉄。都市高速道路もアジア大会開催(94年)までに主だった路線はフル規格で整備され、ブログ主がよく提案する環状道路や主要国道BPも整備されている。広島駅周辺再開発も他都市同様に80年代後半に終わり、再々開発も10年代半ばに完了。万が一(億が一)、このような広島市であっても(絶対にあり得ないが・・・)、下がり幅は幾分緩やかになっていたと思うが、基本的にはそう変わらない姿だろうと予測する。その最大の要因は広島市及び同都市圏の立地に大きな問題があると考える。下記の指標3をご覧頂きたい。

指標3 地方中枢4都市の他都市距離(直線距離)と新幹線と航空機の時間
          直線距離       新幹線          航空機
札幌市     
 仙台市     
535.2㌔    約6時間30分(※注1)  約1時間10分
 東京23区   831.4㌔      ―    (※注2)  約1時間40分 
仙台市
 札幌市     535.2㌔    約6時間30分
(※注1)  約1時間10分
 東京23区   351.8㌔    約1時間40分        ー(※注3)
福岡市
 広島市     209.0㌔    約1時間5分         ー
(※注3)
 大阪市     486.0㌔    約2時間30分       約1時間15分
 東京23区   886.0㌔    約5時間          約2時間
……………………………………………………………………………………………………………
広島市

 大阪市
     282.0㌔    約1時間25分        (※注3)
 福岡市     
209.0㌔    約1時間5分         ー(※注3)
 東京23区   679.0㌔    約4時間3分        約1時間30分
 
 ※注1 新幹線と特急との乗り継ぎ ※注2 時間がかかり過ぎるので未カウント
 ※注3 航空路線なし

 他の地方中枢都市と比較して左右に自身よりも大きな都市圏が近くにあり、本来吸引すべき地域を逆に吸引され続けている。山口は中国地方だが、同時に九州に顔を向け鳥取、岡山も同様に関西に顔が向いている。昭和の時代より、広島市の経済的な影響力を及ぼす地域を『三山まで』と称することが多かった。三山とは福山、徳山、松山を指す。広島県内と山口県東部、愛媛県の松山市周辺、島根県が当時の範囲だった。高速交通網-空港、高速道路、新幹線-の整備進捗により時間距離がさらに短縮され、意識上の距離も縮まった。例えば山陰地方の島根、鳥取から広島市に行くよりも東京に行く方が時間的には早い。これでは、中国地方の地域首都にはなり得ないだろう。広島都市圏が格上の関西大都市圏と北九州・福岡大都市圏にサンドイッチのように挟まれ、その距離も他の中枢都市よりも近く、高速交通網の整備も相まって、様々な分野で通過都市化していると考える。立地上のこうしたハンディが広島市の中枢都市として求められるブロック内でのダム機能低下につながったのではなかろうか? 内部要因であれば、原因を洗い出し対応策を講じれば問題解決は十分可能だが如何ともし難い外部要因の場合、困難を極める。極端な例ではあるが北九州市を見るとよく分かる。北九州市は、かっては四大工業地帯として栄えに栄えた。ところが大陸とのつながりが希薄となり施設の老朽化とエネルギー施策の大転換(石炭⇒石油)により、立地の優位性がかき消された。基幹産業(鉄鋼など)が衰退し、転出超過(人口の社会減)現象が、70年代より顕著となり立て直しが迫られた。それに代わるものとして、観光やメッセ・コンベンション(MICE)に活路を求めた。当時、辣腕市長として高名を馳せた市長の元、産業構造の転換、都市インフラ整備などが積極的に進められたが、かっての輝きを取り戻せていない。転入超過数では毎年上位にランクし、市民の高齢化率の高さは政令指定都市の中では群を抜いて高い。三大都市圏以外で、初の政令指定都市、100万人都市になった同市だが現在は100万人を割っている。外部要因(社会情勢の変化)が市政の停滞・衰退要因となる場合、自助努力のみの反転攻勢は功を奏さない。広島市もものこそ違いと程度の差はあれど、この点では少し似ている。ブログ主の主観によると人口の転入超過(人口社会増)と転出超過(人口社会増)のいずれかになる決定打は、都市規模、都市ブランド力、進学したい大学の数、就労意欲をそそる上場企業の数などが大きく左右すると考える。


画像6 再開発が進む広島駅周辺地区。一見、都市活力旺盛の印象があるが、実態はそこまで旺盛ではない現実が・・・(画像 アンドビルド広島より)

【考察その3】

都市のブランド力の向上が若年者を吸引する磁石になる


画像 毎試合満員御礼でスタジアムを真っ赤に染め上げるカープファン。これも個性の一つで、都市ブランド力の向上に寄与している

 東京圏への人材の流出を阻むダム機能を目指し
中枢中核都市構想』(ウィキペディア)を推し進めようとしている。目論みは決して悪くはないし、本来あるべき理想の姿を追求する努力は必要だ。では、この構想で、目論むダム機能が構築されるのか?と問われると答えは『否』になる。やらないよりはほんの少しマシ程度で終わるだろう。これもブログ主の主観になるが、この記事で語っているダム機能と強さと国内人気都市ランキングは見事にリンクしている。この場合の人気都市とは、人生全体を俯瞰し進学・就職先をどの都市を選択するかを指す。広島市のダム機能の低下現象が顕著となり始めたのは、バブル経済崩壊後の90年代前半以降からだと推察するが、広島市及び同都市圏の国公立大学、都市最大難関の文系・理系の私立大学の学力偏差値の低迷ぶりからも、伺い知れる。日本の大学の価値は特殊な学部以外は、基本的には本校がある都市の人気が反映される。その都市での序列も大きな要素として加わり、決定される。日本的大学の価値観ではそうなっている。その証左としては東京23区、しかも都心内に本校がある有名私立大学が新学部を地方都市に新設したとする。驚くほど学力レベルが低く、別の大学と見間違うほどの落差がある。この事象が、日本の大学の価値観に見事に符合している。結局国内都市ブランド力が桁2つぐらい劣っているのでこうなるのだ。逆説論だと、ここに大きなヒントがあるのではなかろうか?と言うのは、『国内都市広島』と『国際都市ヒロシマ』とでは、知名度においてWスコアどころか桁違いの差があると思っている。国内都市広島に絞ると、情報発信力やブロック内での存在感、都市イメージなど実に弱い。広島市の都市戦略的な立ち位置もとことん国際平和都市を極めるのか、それとも自称している中国地方の業務・管理機能に特化した経済の中枢都市を目指すのか、自動車産業を中心とした産業都市を目指すのか、中途半端だ。ほど良い感じで全てを目指しているのが現状だと心得ているが、都市の個性らしきものは存在しない。

 商業の集積や余暇施設、地方人が憧れるであろう都会的な高層ビル群などの厚みは、都市規模的に難しく限界がある。上位都市の東京23区、大阪市、福岡市などの二番、三番煎じに過ぎず、『リトル東京』のような街並みを体現しても、都市ブランド力の向上にはつながらない(と思う)。埋没するだけだ。都市としての総合力ではどう足掻こうが後塵を拝するのは当然で、得意分野に特化したオンリーワン戦術がベストだ。題材は、インバウンド需要を取り込んだ都市観光、スポーツコンテンツを活用したもの、自動車産業に特化した企業城下町、日本では本来の意味合いで実現していないコンパクトシティ(集約都市)、まだ取り組みの緒についたばかりのMICE、他都市にはない都心部地区の自然のロケ-ションを活かした独自の都市景観など他都市が持ちえない武器を持つことで、知名度の向上ひいてはブランド力の向上につなげたい。これを成し遂げれば、他地域の若年者層からも広島市が進学、就職の候補地として意識され始めるのではなかろうか?あれもこれも偏ることなく投資可能な財政状況でもないし、東京圏、関西圏の大都市、福岡市とがっぷり四つに組んでも勝ち目はないと思ったりする。ならば、ゲリラ戦法と言うか局地戦に持ち込むのが賢い選択だろう。従来通りの、マニュアル以上でも以下でもない凡庸なまちづくりでは状況を打開できないの確実だ。ブログ主的には、広島独自のローケーションを活かした都市景観の創出、それに応じ他にぎわい性の創出、欧州都市に見られるような歩行者専用道路ネットワークを構築した都市空間の創造などで上位都市の経済発展のみを取り込んだまちづくりとは真逆の方向性で独自路線をとことん極める形が良いのでは?と思う。そうすることで広島を際立たせ、ダム機能の向上と競争力の強化を図るのが最適解である。この辺は、考え方だが従来の発想では結果が出ないことは判明しているし、やみくもにインフラ投資し続けても駄目なことはアジア大会の大失敗で理解している筈だ。