前回記事 MICE(マイス)の話題 
カテゴリー記事 広島の都市問題 MICE


今日の話題 6月20日建設通信新聞より引用

マッキンゼーを特定/広島県/MICE施設検討



【記事詳細】

 広島県は、公募型プロポーザルを採用した『MICE施設検討事業(大規模展示場実現可能性検討)に係る業務』の審査結果を公表した。最優秀者には、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパンを特定した。近く契約する。事業予算上限額は、2,000万円(税込み)に設定している。展示面積が10㌶を超える大規模展示場を備えるMICE(国際的な会議・展示会など)施設整備を検討する。 同業務は、国内外の大規模な展示会やイベント開催の需要(市場・ニーズ)を調査し、広島西飛行場跡地利用計画での新たな産業(にぎわい)ゾーンを中心とした県・市有地を検討対象地として、展示面積10㌶を超える大規模展示場の実現可能性を判断する根拠資料を作成する。資料は、県、市、有識者などで構成する検討会で議論するために使用する。

 業務内容は、国内外の大規模展示場現状調査(成功モデルのメカニズム)として、展示会(イベント)ビジネスの現状、海外の大規模展示場調査(施設概要、特徴、立地環境、事業費・費用分担等、収支構造、整備運営手法、官民の役割、行政支援策など)、大規模展示場の活用方策、大規模展示会やイベントなどの開催需要・成り立つための機能・要件分析として、海外の市場調査から分かった必要な成功要件、主催者・出展者等へのヒアリング、運営手法等諸課題抽出として、広島での展開可能性、必要なインフラ抽出、整備手法を含めた運営手法検討(指定管理、PFI、コンセッションなど)、実現可能性判断のための資料整理として、ビジネスモデルのイメージ作成(概算でのインフラ等事業費、経済波及効果、持続可能な運営スキーム、MICE開催時以外の有効活用策など)。条件とする規模は、展示面積が10または20㌶を基本とする。

続く⇒マッキンゼーを特定/広島県/MICE施設検討(建設通信新聞)

【考察その1】
今回の決定の所感


画像1 MICE施設検討がされる旧広島西飛行場跡地の様子(画像 アンドビルド広島より)

 今回の
公募型プロポーザルを採用した『MICE施設検討事業(大規模展示場実現可能性検討)に係る業務』の審査結果の公表は、昨年12月に広島商工会議所から提言された広島におけるMICEのあり方提言~(広島市HP)を本格検討するための議論のたたき台となる資料を民間企業に作成させるため公募したものだ。その結果、『マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパン』に一任されることとなった。国内外の大規模展示場現状調査(成功モデルのメカニズム)として、展示会(イベント)ビジネスの現状、海外の大規模展示場調査(施設概要、特徴、立地環境、事業費・費用分担等、収支構造、整備運営手法、官民の役割、行政支援策など)、大規模展示場の活用方策、大規模展示会やイベントなどの開催需要・成立させるための緒条件などの調査、ビジネスモデルのイメージ作成などが業務内容となっている。前提条件は10~20㌶規模となる。提言後、散々荒唐無稽案として論ずるに値しないとこけ降ろしてきた。詳しくは、この記事を読んで頂きたい。 ~MICE(マイス)の話題 ~ 10㌶規模の展示場の提言を踏まえた今回の検討だが、委託期間が20年1月末でその後、県、市、有識者などで構成する検討会で本格議論されることが予測されるので、最低でも2年間は、西飛行場跡地利用-南端の『新たな産業(にぎわい)ゾーン』(3.6㌶)とその北隣の『スポーツ・レクレーションゾーン』(約7.0㌶)の跡地利用計画は完全にストップする。そこまでするのであれば、最初から答えが分かりきっている10~20㌶規模前提ではなく、それも含め『広島都市圏レベルの適正規模施設』を主体とした議論をしたほうが建設的で、時間ロスも少ない。この問題に限らず、典型的にお役所的と言うか決定的に欠けている視点として『機会の損失』がある。行政主導の展示施設の有無については、議論の余地がないほど必要性があるのだから。


画像2 広島西飛行場跡地の位置図(画像 広島県HPより)

 こんな原理原則論を言いたくはないのだが、本気で県と市の手を携えてMICE都市を目指す場合、現在の国際会議や展示会・見本市開催数とその参加人数、既存施設の稼働率、概算での経済波及効果を分析し、把握した上でライバル都市の動向も踏まえ、手を加えない場合の将来需要、目指すべき地点を設定。既存の施設だけで間に合うの
か?既存施設の増設?はたまた大規模施設の新設なのかが、全く見えてこない。グローバルMICE都市(観光庁HP)に一応、選定されているので横並び意識の延長戦でMICE都市を標榜し、検討している感がする。ドイツの各都市のようにメッセ(展示会、見本市)を新産業化させようとする気概も全く感じない。世界に冠たるメッセ国であるドイツのレベルまで求まる気がないが、『それで本当に大丈夫なの?』の不安を拭えない。広島市特有ののんびりと構え、他都市の様子を窺い、ぼちぼちとやろうの姿勢が随所に垣間見えるのが残念だ。アグレッシブさが相変わらず不足しており、競争意識と危機意識が希薄だ。危機意識とは思わぬ言葉かも知れないが、既に国全体では縮小社会(高齢化+人口減)に入り、30年代ぐらいから広島市のような地方大都市でも超高齢化と大幅人口減の本格縮小社会に突入する。国内のあらゆる市場は縮小曲線に入り、外需-都市観光、MICE-の取り込みなくして、持続的な都市の成長はあり得ない。逆にそれを取りこぼした場合、停滞を超えた衰退都市の負のスパイラルに入り、財政硬直化-義務的経費の増大-も進み、都市活性化余力を永遠に失う。勝手な憶測の域となるが、国レベルで見ると本格縮小社会に入ると生産性が低く結果が出せない都市や国民は財政上の縛りから、皆平等に取り扱うのではなく表面上は平等の旗印は堅持はしてもその実、取捨選択が加速すると考える。その論に沿うと、過剰表現だが、都市としての運命の分岐点に立っていると言っても過言ではない。

【考察その2】
広島市のMICE-展示会・見本市の現状
需要が先か供給が先なのか?


画像3 拡大図(要拡大) かっての広島県の港湾計画『ポートルネッサンス21』の中に組み込まれた『メッセ・コンベンションシティ構想』の交流施設用地(計51.9㌶)、2ヵ所の港湾緑地(計31.6㌶)の施設配置図(画像 広島県HP)


画像4 『ポートルネッサンス21構想』の各地区整備イメージ図 全体イメージ図(画像 広島県HPより)


画像5(左) 04年公共事業見直し委員会で『一旦中止』となった出島地区の『広島メッセ・コンベンション』のチューブ状の柱が並ぶ広大なロビー
画像6(右) 同施設の
ストライプ状に展示ホールと会議室(画像共に伊東豊雄建築設計事務所HPより)


画像7 かって広島みなと公園スタジアム案で約9,200平方㍍の展示場との複合施設が提案された(画像 広島市HPより)

 この考察では、展示施設に絞り話を進める。広島市の展示施設建設の議論の歴史は、87年8月、大規模展示施設(3.0万平方㍍)建設の意向を示していた広島市の要望を受け、広島県が、広島港宇品・出島地区再開発構想『広島ポートルネッサンス21』に盛り込んだのが端緒である(上記画像3と4参照)。2010年の市人口140万人(笑)になるのを見越した夢のような計画を立てた。西部丘陵都市(現西風新都)共に広島市の副都心的な位置づけだった。今回のグローバルMICE都市同様に運輸省のメッセ・コンベンションシティー構想の都市の一つに選ばれていた広島市だが、対象地区(出島、宇品内港)の造成待ちとなり、関連のハコモノ建設は広島国際会議場(89年完成)に留まった。後は広島県立広島産業会館(70年完成、90年増設)、広島市中小企業会館(79年完成)などの既存施設の活用と広島県立体育館の建て替え(93年)で誕生した広島グリーンアリーナ小アリーナだけで、大規模な国際会議場と展示施設、中小の会議室、宿泊施設を兼ね備えた本格施設は出島地区に建設する予定だった。他のメッセ・コンベンションシティー構想に選ばれた都市では、80年代後半~90年代初頭にかけて本格施設が続々と誕生した。そうこうしているうちにバブル経済は弾け飛び、需要の見直しが必要となり、97年展示施設面積を3万平方㍍から半分の1万5千平方㍍に下方修正をして、平岡市政(91~99年)と初期の秋葉市政では実地設計まで終わり着工目前まで漕ぎつけた(上記画像6と7参照)。ところが、03年広島市は財政非常事態を公表し、翌年から第2次財政健全化計画期間に入った。この時の財政状況はまさに破綻待ったなしで、個人の家計で例えれば自己破産寸前の状態。『公共事業見直し委員会』で軒並み大型事業は凍結、中止に追い込まれた。展示施設も蚊帳の外ではなく、『一旦中止』となった。その後、広島市の展示施設に関する主体的なアナウンスは皆無で、16年2月、サッカースタジアム問題の広島みなと公園の複合施設案(上記画像7参照)として、顔を覗かしたぐらいだった。それは19年6月時点でも変わらず『黙して語らず』の姿勢に終始している。ブログ主的には、同じハコモノ施設でもスタジアム建設よりも必要性においては上位に位置すると思うのでこの点、疑問に感じる。財政上の問題からなのかは不明だが、今回の『MICE施設検討事業(大規模展示場実現可能性検討)に係る業務』の審査結果についても、対岸の火事かの様な態度で傍観している。


画像8(左)日本の都市の展示施設一覧
画像9(右)日本の都市の会議施設一覧(画像8と9共に広島市HPより)



画像10 今後新設される展示施設を含めたMICE施設一覧(画像 商業施設新聞より)

 施設整備だけが本気度を量る物差しにはならないが、他のグローバルMICE都市、選定漏れした他都市(上記画像10参照)の取り組み-将来目標設定、施設整備計画-を鑑みると取り組みの甘さを指摘されても致し方がない。着実に他都市は広島市よりも先んじた取り組みをしており、このままでは都市交通(鉄・軌道系、道路)、集約都市建設などで後塵を拝し続けた広島市は、MICEでも後塵を拝する可能性が高い。広島市の中枢性云々を論ずれば、立地上の不利という外部要因も大きいが、こうした都市計画全体のスピード感のなさが内部要因になっている気がするのはブログ主だけだろうか?次は現行の広島市の見本市、展示会需要を見てみる。下記画像11が16年度のそれにあたる。広島県広島産業会館(展示面積約5,500平方㍍)53.7%、
広島市中小企業会館(展示面積2,640平方㍍)70.1%で、福岡市のようにお断りを入れるような切羽詰まった稼働率ではなさそうだ。自然発生的な需要への対応は十分事足りると言えなくもない。改修作業こそ進んでいるが、展示施設中心の老朽施設であることには変わりはなく、グローバルMICE都市に相応しいかと問われれば、答えは『否』であり、かなり見劣りがする。広島市中小企業会館に至っては、レイアウトは言うに及ばず施設規模自体、供給過小で論ずるに値しない。ブログ主の個人的な考えだが、展示会・見本市・国際会議などの誘致などに大きな力となるのは、ハコ以外の都市インフラ整備などではなくむしろ、都市ブランド力とその都市のプロモーション、セールス能力が大きく問われると思っている。広島市政は、従来通りの馬鹿の一つ覚えである再開発や跡地利用計画に邁進している。それだけで他都市との差別化が図られ、魅力にあふれた都市が創造が出来るかと言うと無個性な街、東京のコンパクト版-リトル東京-になるだけで、都市間競争に打ち勝てそうにない。特にブログ主は都市ブランド構築は、都市としての発信力は潜在的には東京と京都に匹敵するものがあると考えるので、何にも増して喫緊(きっきん)の課題だと思っている。


画像11 16年度の広島市で開催されたMICE関連会議、展示会などの件数(画像 広島市HPより)


画像12 MICE(マイス)施設立地状況(画像 広島市HPより)

 ブログ主はかねてから行政主体の展示施設は面積1万平方㍍規模で、都心部地区が望ましいと考える。本来は規模が大きい展示施設は、ドイツの事例でも郊外立地が多い。現行と将来の広島市の展示会などの需要、(商文化の相違から)先進国有数のメッセ小国である日本(下記画像13参照)、などを鑑みると郊外大規模展示施設は不要だ。昨年12月の広島商工会議所からの10㌶(10万平方㍍)規模の展示施設を中心としたMICE提言などは、広島オリンピック構想に匹敵する世紀の大愚案だろう。MICE都市として広島市よりも先を走る福岡、札幌両市でも新MICE施設の展示面積は、4,000~5,000平方㍍(既存施設の追加)とそう広くはない。であれば、他のMICE施設の立地が都心部地区に集中して、都市交通整備などの関連インフラの新規投資の必要がなく、都心地区ににぎわい性の創出に寄与し、『コンパクトMICE=会議場+展示施設+商業施設+観光施設+宿泊施設+業務施設』の実現が可能となる。今、広島市が県と共に手を携えすべきことは以下の通りだ。

広島市がMICE都市を目指すための必要事項
①現在の広島市の国際・国内会議と、展示会及び見本市の開催実績の把握と参加人数、経済波及効果などの検証作業
②5年、10年、20年後の自然発生の需要予測とMICE強化策を打ち出した場合の需要予測、達成可能な目標の設定
➂広島市の弱点を洗い出し、優遇制度の拡充・新設などの支援策の強化
④誘致活動を容易にする都市ブランドの構築
⑤誘致活動を迅速に行う組織づくり
⑥プロモーション・セールス活動などを受け持つ人材の育成
⑦②の予測に基づいた既存施設稼働率の試算。何れは不足するであろう展示施設や大ホールなどの適正規模での整備の検討

と一般的な常識論だと百人いて百人そう思う筈だ。①~⑥を無視して、いきなり⑦をしかも荒唐無稽の規模ありきで議論するのは、相当の違和感でしかない。労力の無駄の形容すら生温い。民間の仕事でもそうだが、結局行くつく先は、組織づくりと人材育成に集約されると思うのだが・・・。ハコモノさえ整備すれば、天から需要が降ってくるかの錯覚に陥るのは、典型的な思考停止でしかなく高度・安定成長期を彷彿させる愚かな感情でしかない。初動が遅れている感があるにはあるが、まだまだMICE都市建設は始まったばかりで、これからいくらでも取り返せる。回り道が結果的に早道になる事例は世の中、数沢山ある。今こそ、地に足をつけた地道な取り組みから始め本格縮小社会に入る前に、ライバル都市追いつけばいいのではないだろうか?早ければ言い訳ではなく、後発の強みを活かし今こそ地に足をつけた取り組みが肝要だ。


画像13 拡大図 世界の展示場面積ランキング(画像 日本展示会協会HPより)
 
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