カテゴリー記事 広島の都市問題 都心部活性化

【考察その1】
エリアマネジメントについて
つくるまちから運営するまちへの転換


画像1 広島市でエリアマネジメントが進む広島駅北口地区(画像 アンドビルド広島より)

 最近エリアマネジメントなる言葉をよく耳にする。エリアマネジメントとは国土交通省によると『地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民事業主地権者等による主体的な取組み(2008年)』と定義されており、内閣官房及び内閣府からは『特定のエリアを単位に、民間が主体となって、まちづくりや地域経営(マネジメント)を積極的に行おうという取り組み(2016年)』と定義されている。両者には若干の違いがあるものの、共通点として主体が行政ではないということ、そして対象となる地域、地区に対して多様な関係者が積極的に活動に参加することによって、今までまちづくりの主体であったインフラ整備や開発とは異なり、ソフト面からのまちの活性化や賑わいの創出、延いては対象となるエリアのイメージアップ、エリアのブランドを確立するといったところに重きを置いている。21世紀に入り注目を集め始めた背景として、これまでまちづくりは道路、公共交通などの都市インフラや商業施設オフィスビルマンションといったハコモノ開発の側面が強く『つくる』まちづくりが中心に行われてきた。行政ディベロッパー不動産業界を中心に『つくる』まちづくり、すなわちハードの側面は加速度的に整備され都市の成長は促されたが、自治体の財政難や少子高齢化、人口の過疎化・過密化を加味できない画一的な行政サービスだけではまちの活性などのソフトの側面には寄与できず、地域の持続的な成長が難しいことが問題視され始めた。そこでそのエリアが抱える問題の解決と、解決した後の持続的な賑わいを創出するエリアマネジメントに注目が集まっている。


画像2 広島駅北口同様にエリアマネジメントが進むhitoto広島の千田町地区(画像 hitoto広島公式HPより)

 
期待される効果として、エリアマネジメントの初期の活動としてエリアの清掃活動が多くみられる。エリアの住人やそこで働いている人たちが集まって清掃活動を行うことにより、景観の維持と住民同士のつながり創出にも期待ができる。さらに公共施設や公共のスペースを用いてエリアの魅力につながるイベントを行い、その情報をイベント前後で発信することでエリア内外にエリアの魅力を伝えることができる。その一連の活動を継続させるでエリア内の住人・働く人に愛着を持ってもらい、エリア外の人には来街につながる魅力として捉えられる。このようにエリアのブランディングを行うことで賑わいの創出、来街者の増加、移住者が増えて土地の資産価値が上昇するといった経済的な活性にも期待できる。同時に課題もある。それは、エリアマネジメントの活動は継続的に行うことが求められるが、活動の種類に関係なく活動単体での収益が少ないため財源の確保が課題となっている。またエリアマネジメントを担う専門性を持った人材も不足しており、行政や協力者・協力団体との連携、調整が難しい場合があったり、エリアマネジメントの活動に取り組む人、団体組織が変更となった場合は、再びノウハウの蓄積やエリアの方向性を定めることから始まり、タイムラグが生まれることが懸念されるため人材面での継続性も同様に求められる。近年では、大規模再開発や跡地利用計画などの完成を契機に従来からの地域の事業者、住民の他、開発計画に参加する事業者、主導する事業者中心にエリアマネジメント組織を立ち上げる事例が増えている。中には、事業の円滑な推進目的に計画策定段階や事業中段階での組織立ち上げもある。いずれの事例もつくって終わりのまちから、つくり運営するまちづくりの理念が滲み出ており、今後も増え続けると思われる。特に再開発計画などがなくとも中心市街地などでもエリアマネジメント組織立ち上げ事例が増えている。再開発計画地区に、エリアマネジメント組織の立ち上げ事例が多いのは、地域意識を高騰させるきっかけになるだけの話で、きっかけは基本的には何でも構わない。

【考察その2】
真新しいハコモノだけの殺風景なまちが魅力的と言えるのか?


画像3 17年度に再開発事業が完了した広島駅南口地区。昭和的な原風景は刷新され、都市イメージの向上には寄与しているが、消費者の支持はそれほど上がっていない(画像 アンドビルド広島より)

 現在広島市では、かってのアジア大会開催前を彷彿する都市再開発の活況期に入っている。広島駅北口の二葉の里地区では19年度を以て完了するが、その後はJR西日本広島支社跡地の再開発が待っている。南口では、南口広場の再整備と広電駅前大橋線の高架乗り入れに伴い駅ビルの建て替えが予定され、25年春の完成を目指している。旧来からの都心部地区の中心だった紙・八地区も昨年都市再生緊急整備地域の指定を受け、官主導のリーディング事業の市営基町駐車・駐輪場一帯再開発、民主導の紙屋町サンモール一帯再開発が始動し、中央公園広場ではサッカー専用スタジアム、旧市民球場跡地では屋根付きイベント広場の整備、少し場所は離れるが富士見町では広島東署跡地一帯再開発もある。インバウンド需要の高騰や老朽ビルの更新期、アベノミクスによる景気回復などの時期が重なりホテル建設は数えきれないほどで、現松井市長も4月の市長選で公約の中で『都心の大改造』を謳った。これがこの数年の広島市の活況感を醸し出し、これまでの長かった停滞感を払拭しつつある。傾向としては決して悪くはないと思う。しかし、既に開発終了したエリアを見渡すと天を突きさすようなタワーマンション、唯一の需要だと言わんばかりの高層ホテル、気持ち程度の規模の商業施設のオンパレード。『この建物が開発、地域の新しい顔ですよ』的なものは一切なく、個性の欠片すらない。人間性と言うか人の温かみを感じる空間など皆無で殺伐とした無機質感剥き出しだ。そんな建物ばかり並んでいる。開発後は目新しさで一定の集客を果たすだろうが、飽きられ新鮮さが失せれば市民の関心は別の場所に移り、見向きもされなくなるだろう、と思うのだ。使い古した言葉だが、『リトル東京的な街並み=魅力的な街並み』『古きものを一切排除した街並み=洗練された都会的な街並み』が都市の最大の価値として体現化しているようにも思える。こんな多様性を一切切り捨てた都市が果たして本当に魅力があるのか?非常に疑問が残る。都市の風景は、そこに住む市民の心のありようを映し出す鏡の側面があると考える。その論に沿うと、没個性的かつリトル東京的一辺倒の街並みを尊いものとする画一的価値観を好む地方人特有のメンタルが強くにじみ出ている。


画像4 ドイツ第3の都市ミュンヘンの
ノイハウザー通りの様子(画像 ミュンヘン公式HPより)
 
 別に都市のスクラップ&ビルドを否定する訳ではない。都市の持続的な成長の観点からは、新たな血の導入の要素は欠かせないし、ルール一切なしの市場経済論理をまちづくりにそのまま適用するのはさすがにあれだが、一定の枠組みの中での民需の誘導は都市活性化には不可欠だ。新たなものも必要に応じて導入しつつ、古きものとの共存と調和を図る。言い換えれば、真新しい超高層ビル街区もあれば、都市の雑踏感が満載で昭和の香りが充満する街区も残すと言う形態が理想的だ。画一的ではない、多様的な側面を残すことが都市の器の大きさを示すことにもなるし、同時に多種多様な人間を引き付ける都市の魅力にもつながると思うのだ。ブログ主的な価値観に照らすと、広島市も含め日本の地方都市はリトル東京的な街並みの再現を最良と信じて疑わず、地域独自のアイデンティティーを体現化した街並みを高度成長期以降捨て続けた。裏読みをすれば日本人のメンタルの貧しさを示す事例でもある。経済発展をある程度極め、縮小社会待ったなしとなりつつある今日においても日本人のメンタルの基本的な部分は成長していないように思えるのだ。よくブログ主が、欧州都市のコンパクトシティを成功事例として紹介する。これは90年代後半、会社出張でドイツのフランクフルトやデュッセルドルフに訪れる機会が多くあり、ドイツの都市の街並みに衝撃を受けた体験によるところが大きいからだ。都市により多少の差異はあるが、都心部地区(旧市街地)は自動車利用に制限をかけ、トランジットモール、モールなどの歩行者中心の都市空間があり大規模な公園や自然も上手く加味させて、人間が本来持つ本能的な欲求を満たした空間となっている。ブログ主はその当時、東京在住だったが東京的な街並みを見慣れ何の疑問を抱かなかった。逆説的に見れば東京の街並みと言うのは市場経済論理を体現化させたもので、日本の首都、世界都市という個性を前面に打ち出し、日本いや世界経済を牽引する上でこれはこれで是なのである。また多くの人間もそれを求めている。最近すっかり下火になった道州制や過度の地方分権など東京の活力を奪うものでしかなく、『東京の衰退=日本の衰退』になってしまうので反対だ。


画像5 ドイツの都市ブレーメンの旧市街地を上空から見た姿(画像 ブレーメン公式HPより)

 欧州都市は先の2都市とケルンしか訪れた経験はないが、都心部地区(旧市街地)の街並みは古く伝統的なものが保存されテーマパークさながらの景観だ。日本ではあり得ないほど厳しい景観条例-高さ、色合い、デザインなど-、が徹底されている。地域のアイデンティティーを体現化させたものとして、その保存はアイデンティティーを守り次世代に継承させるべきものと認識さている。『この差は一体何か?』を考えさせられたが、ブログ主のさして良くもない頭脳では明確な答えは容易に出ず、地域個性-アイデンティティー-を何よりも大事にして代々継承し、多様な価値観を容認する国民性だと勝手に結論付けた。心の余裕と豊かさが日本人とは基本的に違うのかも知れない。エリアマネジメントの話から随分と飛躍している、と思うかも知れないが、十分な関連性があればこそと思い、この考察設定をした。その関連性とは、『都市ブランド⇒都市の個性(地域個性)⇒都市内の地区ごとの個性の集合体⇒地区ブランド』となり、最後の『地区ブランド』を構築にはエリアマネジメントの力が必須となる。この論に沿うと、全くの無関係どころか大いに関連性があると考える。

その2へ続く
 
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