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今日の話題 7月17日中国新聞9面より引用
観光立国へ出遅れ顕著
インバウンド消費全国最下位の中国地方

【記事概要】
 国が観光立国を掲げて、インバウンド(訪日外国人客)の誘致を目指す中、中国地方は十分な経済効果が出ていない。外国人の宿泊客数は関東や関西の1割にも届かず、旅行者の消費額は全国最下位だ。従来の通過型から滞在型の観光エリアに変わるためには、夜のイベントや自然体験を楽しんでもらう工夫が欠かせない


画像1 7月17日中国新聞9面より

【記事概要】
 日本政府は、2017年に閣議決定した観光立国推進基本計画で、インバウンドの増加を掲げた。20年までに4千万人に増やし、東京や大阪、京都を除く地方の延べ宿泊者数7千万人を目指す。中国運輸局も中国地方で18年210万人を20年には、320万人に増やす方針だ。ところが観光庁の調査では、中国地方の宿泊者数は前年よりは25.3%増えたが、関東(3,312万人)、近畿(2,409万人)の1割にも満たない。中国運輸局観光部では『知名度が高い平和公園と宮島(廿日市市)だけ訪れて関西の戻る客が多い』と分析する。宿泊が少ないために旅行消費額も低調だ。18年の中国地方の消費額は外国人一人当たり28,260円と全国10地域で最低。トップの関東(10万354円)の3割弱に留まり、隣の四国(5万1,650円)も大きく下回った。

続く⇒
観光立国へ出遅れ顕著(中国新聞デジタル)

【考察その1】

都市観光中枢都市不在の中国地方


画像2 広島市が誇る唯一無二のインバウンド需要集客の世界遺産の原爆ドーム(画像 ひろたびより)

 当ブログ記事で、縮小社会(高齢化+人口減)、超縮小社会(超高齢化+大幅人口減)時代を迎えるに当たり、外需の取り込み-都市観光と(マイス)-なくして語れないと事あるごとに説く。国内市場の縮小で、既存の産業だけでは都市経済の活性化は望めず、それに代わるものが必要と考えるからだ。集約都市構造への転換はまちづくり、財政の硬直化を予防するための効率運営の観点からも不可欠だが、強調する外需の取り込みを上でも欠かせない。新聞記事を読むと、中国地方のインバウンド需要の取り込み不足は、地域全体の観光資源が少ないこと、中国地方最大の都市広島市でさえ、買い物観光の拠点となり宿泊拠点として域内の都市へ観光客を転送しきれていないことが要因になっている気がする。インバウンド需要の取りこみが絶好調に見える広島市も実は、悲しいかな関西観光の飛び地扱いでしかない。まさに狭間都市ならぬ、狭間地域の悲哀すら感じてしまう。北海道における札幌市、九州における福岡市のように都市観光中枢都市になり得ていない。ブログ主が広島市を愛情をこめて、『自称中国地方の中枢都市』と軽く揶揄する理由もこれがある。市域外にある宮島との低次元でのせめぎ合いなどしている場合ではない。地元在住の人間の一人として、解決策の模索は次の考察に譲るとして、今述べたことも含め、現状を分析したい。

1 ブログ主が考える中国地方の苦戦の理由
①海外に発信可能な観光集客施設が原爆ドーム(広島県広島市)、宮島(広島県廿日市市)しかない。見た目だけの広島の一人勝ち状態(下記画像3参照)
②関西と九州という多くの観光都市を抱える地域に挟まれ、距離も接近しているので飛び地の観光地扱いにされている
➂主たる観光客である北米、欧州、オセアニア大陸の国々からの航空機の路線が開設されていない(②の理由の一つ)
④インバウンド需要の大半以上を占める、アジア-中国と韓国など-の取り込みに失敗している
⑤観光都市ブランドが全ての都市で確立されておらず、周知されていない(PR不足)
⑥中国地方最大の観光客数を誇る広島市でさえ、関西観光の飛び地観光地扱いで、県内及び中国地方の広域観光の拠点になっていない(都市観光中枢都市不在)

 
 である。広島県の健闘ぶりと指摘されるほど関東と関西以外の地域は大したことはない、との印象が画像3を見る限りではしなくはないが、旅行消費額消費額の比較ではその通りなので、由々しき事態ではある。補足説明を加えると①は、都市個々に見れば、世界遺産のワールドクラスに及ばないまでも、それなりの観光資源になり得るものは多いと思うが、外の人間から見て魅力に感じないのかはたまた周知不足なのかは定かではないが、結果としてはそうなってる。『見た目だけ』とは、数相応の内容-宿泊率や消費額が伴っていない-との意味だ。それ以上の他意はない。②は広島市をはじめ中国地方が抱える立地上の難題だ。広島市もそうだが、要は近過ぎる上に高速交通網-高速道路、新幹線-が整備されており、近年はより心理的、時間距離が短縮された。➂はその役割は、関西国際空港(ウィキペディア)が主に担っており、わざわざ観光資源の宝庫である関西の諸都市をスルーして、広島市だけの観光目的で来るとは考えにくい。観光拠点を関西の宿泊施設に求めるのは自然の流れだろう。④は、広島の都市観光の宿命である学習観光の性質上、経済発展が著しいアジア諸国よりも一定の水準を極めて成熟社会に入った欧米、オセアニア諸国の比率が高くなるのは仕方がない。⑤は、日本の都市では地元名産品などの個々の地域ブランドの確立には必至だが、それらを包括する都市ブランドの構築を目指しているのは東京と京都ぐらいなもので、そこまで意識は高まってない。⑥数の問題は別として1人当りの消費額は、北海道-9万1,043円、九州-7万1,355円と中国地方-2万8,260円とはまるで比較にならない。統計がないので断言は難しいが、中枢都市でもある札幌市と福岡市が観光中枢都市としても機能して、個々を起点に域内の観光都市に転送するという役割分担がなされているのではなかろうか?そうでないとここまでの格差は説明がつかない。


画像3 中国地方への訪日外国人来訪状況(訪問率) 画像 中国運輸局HPより

【考察その2】
旅行消費額を増やす手立てはあるのか?


画像4 世界遺産を相生橋から望む(画像 ひろたびより)

 ネット時代を象徴するかの話だが、世界最大の旅行口コミサイト『トリップアドバイザー』で、外国人に人気の日本の観光スポ ットとして広島平和記念資料館が第2位、厳島神社が第3位と、それぞれ前年度から 1ランク ずつアップしている。都市単位でも同サイトで、広島市は18年度版で第7位と健闘している。 ~ベストディスティネーションTOP10-日本~ 観光都市としてもポテンシャルは相当高いと言える。広島市単体で見れば、決して悪くない評価だが、近隣に京都市-アジア13位 日本2位、大阪市-アジア24位 日本3位、福岡市-日本5位、の観光都市が立地しているのが厄介だ。まあ観光に限った話ではないのだが・・・。そうした状況を踏まえ、話を進める。別に広島市だけを指してるのではなく、新聞記事では中国地方全体が抱える課題として指摘している。ただ、中国地方の他県の状況を鑑みると、エース格の広島、いや広島市の観光都市としての成長が改善に寄与するのは明白なので、広島市中心目線で語る。広島市の18年度の観光統計の詳細がまだ完全に上がっていないので、前年17年度の数字を用いる。17年度の入込観光客数は全体で1,341万人。うち外国人観光数は、151.9万人と前年対比129.2%とか高い伸びを示し全体の数字の底上げの原動力となった。肝心の宿泊者数は、87.4万人で宿泊率は57.5%。この年の全体の宿泊率は、43.0%なので総じて高い。広島市の全体の宿泊率は、名古屋市-18.8%、仙台市-26.0%、札幌市-50.9%、福岡市-62.3%と半日観光都市と揶揄さながらも他都市との比較ではそこまで酷くない。中国新聞記事は、『低い宿泊率=低いインバウンド消費』と結論付けたい論調で書かれている。少し分析が甘い。先の考察で話した理由のうち、最大なるものは学習観光でそれゆえ、中国などの富裕層の取り込みが上手くいっていないことだと考える。商業施設等の集積が足りないなどの指摘は違う。現在の集積でも苦戦する店舗が多い状況では、郊外大型商業施設の乱立の問題を解決しないと大規模店舗の新規出店は厳しい。そこで旅行消費額を向上させる策らしきものを考えまとめる。

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画像5(左) 外国人観光客による『お好み焼き体験ツアー』の様子(画像 広島観光コンベンションビューローより)
画像6(右) 四隅の集客施設を核とした都心部地区回遊ルートイメージ(画像 広島市HPより)

2 ブログ主が考える外国人観光客の旅行消費増額策
 ①弱いアジア諸国からのインバウンド需要取り込み強化
  -西日本の好立地を生かし、アジア特に中国と韓国人観光客を招き入れるため、商業都市
   広島のセールス強化
  -
広島空港の民営化を機にアジア方面のLCC路線の新規開設及び既存路線の拡充(イン
   バウンド交通インフラの整備)
、アジアからクルーズ船の誘致と専用港の整備
  -市内主要商店街の全店舗クレジット決済導入
 ②宿泊率の向上と観光中枢都市の実現  
  -
平和公園周辺に留まる回遊性の広域化-都心部地区全体へ ~平和記念資料館来訪者の
   次の立ち寄り先一覧
  -
県内の観光名所-西瀬戸のしまなみ海道地区、鞆地区など-、岡山や松山などの温泉地
   との連携による広島市を起点とした広域観光ルートの開拓
  -
神楽などのナイト観光強化(上記画像6参照)と体験観光(お好み焼き、牡蠣、西条の
   酒、茶道
など)の強化
 ➂都市ブランドの確立
  -都市ブランドとは、他都市との差別化を意味し確立されているか否かで都市観光やMI
   CE(マイス)の外需の取り込みにも大きな差が出る。EU統合後の欧州などでは、都
   市間競争激化によりこの概念が導入されている。
地域名産品などの個々のブランドも網
   羅することで、類似都市が多い国内都市よりも先んずることが可能になる。論ずる必要
   は今更ないが、広島市は一にも二にも、『国際平和文化都市』の一択である


 一朝一夕に達成可能な課題ではなので、難しいのは確かだが多少の補足説明をすると、『①弱いアジア諸国からのインバウンド需要取り込み強化』だが、17年の日本国内の外国人観光客の約86.1%-中国25.6%、韓国24.9%-がアジアで中韓の2か国が、インバウンド需要を趨勢を占めている。広島市の場合、少し異質でアジア37.4%、欧州27.9%、南北アメリカ21.0%、オセアニア11.3%の構成で、中国9.8%、韓国4.3%でしかない。インバウンド需要の一番美味しいところを取りこぼしている。学習観光ゆえの傾向だろうが、実に勿体ない話だ。よって消費額向上には彼らの存在が欠かせないと考える。現在は、経済勃興期なので広島市よりも商業都市として格上の他都市に流れているが、今後安定期と成熟期に入れば価値観の変化も出て、広島市も選択肢に入る。十分取り込める。②宿泊率の向上と観光中枢都市の実現』についてだが、新規の観光施設整備など実際には難しい。既存インフラ設備に多少手を加え、平和公園周辺に留まる狭い回遊性を都心部地区全体に拡大させるという戦術を広島市内で取るのが第一段階。次の段階は、広島市だけでは資源的に限界があるので、県内外の観光地と連携&役割分担をして広域観光ルートを開拓する。この二段階手法で、半日滞在型から数日滞在型、そして広島市の観光中枢都市化を推し進める。『➂都市ブランドの確立』は、広島市の都市イメージを確立することで、訪れたくなるような気持ちにさせる。まちそのものを優れた商品や、ときめきを与える非日常空間として提供することでさらに満足度を高め、再訪問を促す。このような好循環が理想だ。確立して定着するまで時間こそかかるが、一度確立されると少々のことでは揺るがない。個人的な考えだが、30年代以降に必ず訪れる超縮小社会(超高齢化+大幅人口減)、付随する経済市場の縮小を俯瞰すると、国内の需要(内需と定義)よりも国外からの需要(外需と定義)を取り込めるまちづくり(要は集約都市)が求められてる。その外需の主だったものは都市観光であり、MIE(マイス)である。外から訪れる人を増やし、少しでも長く滞在と消費させて、都市経済を活性化させることがそもそもの目的だ。その意味合いでは課題となっている低い消費額をどこまで向上させられるのか?これからの取り組みが、広島市が将来を握っていると言える。

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