カテゴリー記事 広島の都市問題 MICE

【考察その1】
一体、イケヤの出店はいつになったら実現するのか?


画像 2013年7月にイケア・ジャパ(株)と 売買契約締結をした2街区(赤点線内) 画像 UR都市機構HPより

 19年現在、広島駅南・北口地区の再開発事業がたけなわで、停滞都市から脱却しつつある広島市の活力の源がこの地にあると言っても差し支えない。10年前までの広島駅周辺の昭和的な原風景は刷新され、都市イメージの向上に大きく貢献している。今年度で北口の二葉の里土地区画整理はひと段落し、今後は駅ビルの建て替えを含めた南口広場の再整備や北口地区のJR西日本広島支社跡地活用に、整備の重心が移る。20年代半ばには、さらに進化した広島駅周辺の姿が現出していることだろう。ところがである。開発の波に取り残されたかのような区画が実は存在する。それは、二葉の里土地区画整理事業の2街区のイケア・ジャパンが所有する土地(上記画像1と下記画像2参照)である。広さは約1.9㌶と結構な広さである。13年7月の売買契約の締結より6年が経過した。4街区(約2.6㌶)と5街区の東半分(約1.9㌶)はJR西日本所有で、中国財務局から売却された1~3街区と5街区の西半分(1.5㌶)では順調に整備が進んでいる。JR西日本所有の4街区-鉄道病院建て替えが終わり、5街区の東半分は広島支社移転後の再開発が予定されている。イケア・ジャパンが所有する区画だけが、時が止まったかのように放置され続けている。『イケアは本当にこの地に出店する意思があるのか?』、とそんな疑問ももたげてしまう。イケアの意向を状況証拠で推し量ると、14年に、札幌を含む地方都市などへ積極出店し、当時の6店から20年までに14店体制とする計画を発表。現在は仙台や長久手(愛知)を含む9店舗まで増えたが、親会社が昨年に『ビジネスを刷新し再構成する』と方針転換。2万平方㍍超の大型店を郊外に出店するビジネスモデルから、大都市の都心部に小型店を出すことを軸とする計画を示した。既に札幌出店計画は撤回、来春までに、東京・原宿に約2,500平方㍍規模の都心小型店を出店し、後も同規模の店を東京23区内に数年間で複数出すための準備を進めているとの事だ。ビジネスモデル再構築の段取りを考えると、東京23区の後に東京圏の大都市、引き続き関西大都市圏、中京大都市圏、北九州・福岡大都市圏の順となる。広島市はその後となり、3~5年後の出店どころか、下手をすると10年後も怪しい。コンビニ方式で店舗拡大するのではないのだから。本心では、出店を白紙撤回し、取得した土地も売却したいのは山々だが、取得経緯などもありおいそれとは出来ず、進むことも退くこともままならないと言ったところではないだろうか?


画像2 二葉の里の各街区配置図(画像 中国財務局HPより)

 ブログ主はそもそも論として、当時郊外店舗が主流だったイケヤがこの地区に進出することに疑問を感じていた。出店できないのであれば、それはそれで悪いことではないと考える。ただ、安易に売却するのだけは勘弁してほしい。と言うのは、他の土地はいざ知らず、二葉の里地区の旧国有地は06年に中国財務局、広島県、広島市及びJR西日本が設立し、また、09年にUR都市機構が加わった『二葉の里地区まちづくり推進協議会』にて議論を重ね、まちづくりの方向性を打ち出した。その方向性の主旨に賛同し協力する合意の元、土地売却がされ開発を進めている。一民間企業の論理だけで判断が下されるべき場所ではない。契約内容で転売が禁止されているか否かは知る術はないが、仮にないとしても法的にはセーフでも道義的にはアウトだろう。数年以内で出店の意思がないのであれば、所有する土地を中国財務局に差し戻す(売却)か、手続等が煩雑であれば行政に貸し出すことを至急検討してほしい。土地取得後、社会情勢の変化などで企業の方針が転換され、当初の意に沿わなくなることは往々にしてあるものだ。どっちつかずの態度こそ一番罪が重い。長引くほどそうである。どのような結果になるのかは、神のみぞ知るところだが、行政への貸し出しがベター案だと思う。ここから先はイケヤが出店せず、土地所有したままで行政に貸し出す、もしくは中国財務局に売却(差し戻し)し、中国財務局から行政に貸し出すことを前提に話を進める。アホなブログ主の妄想の類だと思い、お付き合い願いたい。イケア・ジャパンの所有する土地の広さは、とあるものに非常に適していると思い立った。それはMICE(マイス)施設の展示施設である。好立地で、土地の広さも丁度手頃である。

【考察その2】
広島駅北口MICE施設(展示施設)案について
広島市の需要相応の施設としては適切


画像3 広島駅北口広場からホテルグラヴィアと5街区を望む(画像 アンドビルド広島より)

 
広島市が弱いとされるMICE関連施設の新規建設について、昨年12月広島商工会議所が
10㌶(10万平方㍍)規模の展示施設中心の提言をした。広島におけるMICEのあり方提言~(広島市HP) 市と県の職員も提言案作成に参画しており、市と県はこの提言をなぜか真摯に受け止め県に至っては市場調査、提言規模の展示施設の採算性、持続可能な運営スキーム、概算でのインフラ等事業費などのを調査をマッキンゼーに依頼した。調査期間は20年1月末までとなっている。過去記事で批判したが、調査内容が広島市の需要調査と適正な規模などの調査であれば分かるが、大前提として展示施設の規模10~20㌶(平方㍍)があり、分かり切った答えをわざわざ外部に委託して、1年半もかけて調査する意味が理解できない。日本の先進国の中でも商文化の相違もあり、メッセ-国際見本市、展示会-小国だ。~世界の展示場面積ランキング~ 日本最大面積を誇る東京ビックサイトですら9.5~9.7平方㍍であることを思えば、供給過剰かつ事業スキームの確立すら覚束ない大風呂敷案に過ぎない。どんぶり勘定がまかり通ったバブル時代の出島地区のメッセ・コンベンションシティ構想の時でさえ、展示施設は3万平方㍍が適正とされていた。現行の展示施設の広島県立産業会館(5,500平方㍍)の稼働率が53.7%、広島市中小企業会館(2,640平方㍍)が70.1%でしかなく、『供給さえすれば需要など後から勝手についてくる』的な考えがある事が驚きを禁じ得ない。よって、1万平方㍍前後が、現在の需要+潜在需要の発掘なされた上での適正規模だと考える。この規模だと、何も郊外地区に立地させる必要はなく、都心部地区が相応しい。会議、宿泊施設、都市観光施設、商業、業務機能など高次都市機能が集積している都心部地区に立地することで相乗効果も見込まれ、にぎわい性にも貢献できる。過去記事では、候補地として中央公園広場で建設が決まったスタジアムとの複合施設案と、広島市文化交流会館・アステールプラザ一帯地区(2.5㌶)の複合施設案を提案した。 ~MICE(マイス)の話題 4~ この2案に加え、イケアの出店白紙を前提に広島駅北口案を提案したい。そのブログ主の提案を下記にまとめてみる。

MICE(展示施設)施設広島駅北口案
①建設予定地:広島駅北口二葉の里地区旧2街区 ②敷地面積:約1万9,000平方㍍
➂建築面積:1万2,000平方㍍ 
 展示場施設:1万平方㍍ 商業・業務施設(基準階面積):1,000平方㍍ 

 建物高さ:15階建て-1F、展示場及び商業テナントスペース、2~15F業務テナ
      ント、公共施設移転スペースなど
④その他:立体駐車場面積(自走式)3,600平方㍍-3層4階建て計約500台 
⑤施設建設と運営方式(下記画像4参照)
  PFI(内閣府HP)の
BOT方式を採用。公募で民間事業者グループを選定、選定され
  た
民間事業者グループがSPC-特定目的会社-を設立し、設計と建設を手掛ける。その
  後、施設は市に返還。維持管理と運営をSPCが手掛ける。土地使用料については、所有
  者-中国財務局orイケア・ジャパンにSPCが支払い続ける

HP:PFI方式分類 (1)
画像4 PFIの各事業方式別の業務主体と所有権(画像 全国地域PFI協会HPより)

 
本来であれば、2,000~3,000人超収容可能な会議場や1万平方㍍規模の多目的ホールの併設が理想だが、敷地面積の制約があり難しい。複合施設としてありがちなホテルなども広島駅周辺や紙・八地区に新規立地が相次いでいるので、不要と考えた。そこで、商業・業務テナントビルを複合施設として取り込む形にした。老朽化している業務系テナントビルが多く、昨今のオフィスビルの空き室率が下がり続けており、供給過小になっている現状を鑑みた。商業テナントは、郊外地区の大型商業施設の乱立状態や広島駅周辺地区が商業地区として強くないこともあり、低めに抑えた。仮に大規模商業施設を立地させても、府中町地区のイオンモール広島府中店である以上採算ベースには乗らないだろう。立地は改めて論ずる必要がないほどだ。JR在来線と新幹線、反対側の南口ではあるが路面電車と市内、郊外バス路線が集まっている。道路も広島高速5号線が近々開通し、山陽自動車道とのアクセスも容易となり遠隔地の広島空港が僅かだが近くなる。立体駐車場の有無についての賛否が分かれるところだが、公共交通至便の地に必要性がないだろうと問われれば、反論できないが展示品の搬入や広域集客の側面から展示場と一定の駐車場はセットとなっている事例が多い。そのため、敷地の制約の問題もあり立体駐車場整備が妥当と考えた。PFIの採用については、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスのためには欠かせない。民間の資金、経営能力、技術的能力を活用する手段だが、近年では一般的になっており、鉄道、道路、港湾、空港、河川、公園、 上下水道のような都市インフラから公営住宅、教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設などのハコモノに至るまでこの制度は導入されている。公募に応じる企業グループの有無の心配は無用だ。公益性こそ高いが実利が少ない公営住宅、教育施設は、コストを押さえ行政からの補助との差額を収益とするしかないが、展示施設等は稼働率を上げれば、収益はそれに応じて上がる。集客により消費喚起させ都市経済の活性化、ビジネス・イノベーションの機会を創造、都市の競争力を向上などもMICE本来の目的なので、経済界の間接的な旨味も大きい。地元企業有志連合、中央資本+地元企業連合など複数の企業グループの応募があるだろう。

【考察その3】
ブログ主が都心部地区MICEを推奨する理由
 

画像5 
広島市都心部地区中心地(紙・八地区)の小売売上高と売り場効率の推移(画像 日本政策投資銀行HPより) 

 ブログ主が以前より主張していた中央公園広場案や
広島市文化交流会館・アステールプラザ一帯地区案の比べ、同じ都心部地区だが東端部にはなるが隣の5街区の広テレビルには広島コンベンションホール(公式HP)、宿泊施設であるホテルなども場所柄多く立地しており環境的には申し分ない。商業施設や観光施設が多く立地する旧来からの都心部の紙・八地区へは、広電路面電車だと約14分程度、バス路線だとその7分程度で、発生させたにぎわい性を回遊させることは十分可能だ。多少の既存公共交通のテコ入れは必要となるかも知れないが・・・。そもそもの話だが、ブログ主が商議所提言の西飛行場跡地地区と商工センター地区のMICE施設案に反対なのは、提言規模が身の丈に全く合わないことが最大の理由だが、他には集客で掘り起こしたにぎわい性をその地区だけの回遊で終わらせてしまい、都心部地区の活性化にあまり寄与しないからだ。イベントなり催事が終われば、遠方の都心部地区に経由することなく、最寄駅から直帰する可能性が高い。西飛行場跡地に関しては鉄・軌道公共交通の整備すら必要とされている。トータルコストで実に高くつく。極論を承知で言うが、広島市の都心部地区の停滞ぶりは、少々の活性化策では在りし日の姿に戻せないほど根は深い。他記事で散々指摘しているが、大店立地法の施行とそれに伴う怒涛のイオンモールとゆめタウンの出店ガチバトルで、96年と13年対比では都心部中心地(紙・八地区)の小売売上は60%以上のダウン(上記画像5参照)となっている。事業所数は81年5.4万に対し、14年は5.6万、と時代により多少の増減はあるが減っていはいない。14年の立地構成はデルタ内-中、南、西、東区-が69.2%、デルタ外-その他の区-が30.8%と郊外は極端に伸びてはいない。行政機能の他所転出もないので業務機能の低下はそこまで酷くない。商業機能のみが著しく低下させている。昨年、ようやく都市再背緊急整備地域に指定されたが遅いくらいだ。都心部地区再生のカギは疾患治療になぞえると、①対処療法(短期)-スタジアム、MICE施設、再開発ビルなどの集客施設建設、②根本治療(中・長期)-自動車利用の制限を課した歩行者中心の都市空間への転換、➂体質改善(再発予防)-郊外大型商業施設の立地規制、集約都市構造への転換、これを何一つ欠くことなく、着実に推し進めることが重要だと考える。


画像6(左) 広島市内のコンベンション施設立地状況
画像7(右) 広島市内のホテルの立地状況(画像6と7共に広島市HPより)


 希望的な観測を込めたものだが、郊外商業地区に押されている現状の転機は、30年代以降に必ず訪れる。その証左となるのが先日記事にしたアルパークの苦境による天満屋アルパーク店の閉店だ。閉店理由は競合の激化による売り上げダウンと老朽化による維持コストの上昇だ。競合店の激化はオーバーストア状態で今後はないと思うが、レイアウトの陳腐化、都心部地区商業施設の反攻、縮小社会の進行(経済市場の縮小)、経済格差拡大による自動車保有率の低下、オンラインストア(ネット販売)のシェア増加で微減傾向が今後予測される。そこに老朽化による維持コスト上昇が加われば、収支が悪化し今回の天満屋アルパーク店のような事態が必ず発生する。郊外商業地区の弱点は、中核店舗が傾くと地区全体が傾くことだ。都心部商業地区は、1店舗が傾いてもそこまでのダメージは受けない。スクラップ&ビルドが可能で時代による浮き沈むことはあっても沈没はしない。沈没する場合は、都市の沈没(超衰退都市)する。広島都市圏の郊外大型商業施設は00年代半ば~後半に集中立地している。その時期が必ず来ると信じ、先に示した3つの治療を焦らず行い、来(きた)るべき時期に備え爪を研ぎ続けるしかない。それには、にぎわい性を大きく発生させるものは根こそぎ都心部地区に持ってくる必要がある。だからこその都心部MICEでもある。行政もかなりの支出も伴うので特にそうだ。ブログ主の主張は、そこがスタートとなっている。ここまで徹底しないと緩すぎる日本の都市計画法では集約都市建設など、絵空事に終わる可能性も高い。補助金目当てで仕方なく舵を切り直した自治体も少なくない。ドイツ、アメリカ、中国のような数十万平方㍍規模の展示場を必要とするメッセ大国に成長する可能性はほぼ皆無、潜在需要を加味しても精々、広島県及び中国地方の地域見本市、専門見本市の開催が関の山で全国見本市や国際見本市は、東京圏や関西圏の都市の役割になる。商議所のハコモノありきの議論先行には大きな違和感しか残らず、提言規模(10万平方㍍)の展示施設の建設だけが目的で、まずは需要の創出ありきが自然の流れだと思うのだが・・・。これではアジア大会失敗の教訓から官民共に何も学んでいないことになる。典型的な『喉元過ぎれば熱さを忘れる』である。広島市のMICE-特に展示会、見本市については、広島観光コンベンションビューローを友好姉妹都市で、世界有数のメッセ都市でもあるハノーバーから人材を数人招き入れ、数年かけ組織を改革し誘致の強化は勿論、広島の産業のイノベーションを後押しする広島発の産業見本市、展示会の開催を可能とする強力な組織に作り替え、併せて都市ブランドを明確に打ち出して、都市競争力を強化。既存施設の稼働率をお断りを入れるぐらい上げる。新施設の建設はそれからでも遅くはない。他都市がMICE新施設の建設を打ち出していたとしても、インバウンドの高騰で浮かれているだけに過ぎない。財政が厳しいのに無理して付き合うことはない。しっかりと足元を見つめ回り道が結果的に早道になることを知るべきだ。


お手数ですが、ワンクリックお願いします

難病(特定疾患) - 病気ブログ村 
広島(市)情報ブログランキング参加用リンク一覧