カテゴリー記事 広島市の都市問題 郊外・その他

【考察その1】
思い出深いフタバ図書八丁堀店の閉店


画像1(左) フタバ図書八丁堀店をえびす通り側から望んだ姿
画像2(右) 同店の地下1階売り場の様子(画像1と2ともに公式HPより)


 ブログ主の高校、浪人生時代の80年代半ば広島市内には大型書店と言われるものは住んでいた安佐南区のような郊外地区にはなく、紙屋町地区のそごうセンター街6階の紀伊國屋書店、広島積善館、金座街の廣文館、えびす通りのフタバ図書八丁堀店(上記画像1と2参照)、横川駅前のフタバ図書横川店ぐらいだった。専門書までの蔵書に絞ると紀伊國屋書店が断トツだったと記憶している。外見は身体と声がデカい典型的なスポーツバカだったブログ主は、それに似合わず活字マニアで足繫く通った。お気に入りは、紀伊國屋書店とフタバ図書八丁堀店で前者はバスセンター内にある利便性とその規模、後者は親しみやすさがその理由で、愛読書(笑)の一つだった少年ジャンプの北斗の拳やキャプテン翼のコミック本を購入していた。本と言えるものは時代小説が好きで、司馬遼太郎、山岡荘八、池波正太郎の作品を好んだ。この頃から若者の活字離れが囁かれていたが、その後ネット社会の到来で書籍だけではなく、新聞なども含めた紙媒体自体が斜陽化曲線に入った。大学生の息子に確認すると、紙媒体特有の縦文章よりも横文章形式の方がすんなりと頭の中に入るそうだ。20世紀生まれの人間と21世紀生まれのジェネレーションギャップを感じずにはいられない。今回、フタバ図書八丁堀店が8/31日をもって閉店するとの報を聞き、驚いたと同時に来るべく時が来たとの印象を持った。~フタバ図書八丁堀店営業終了のお知らせ~(公式HP) 公式HPに立ち寄ると、ネット通販サービスの終了や他店の閉店も予定されており、ただ事ではないことを予感させる。非常に気になったので少し調べてみた。『新文化』7/25日号によると、6/24日に緊急招集したバンクミーティングで『40年前から粉飾決算を行ってきた』と告白。100億円以上の借入れ金があるが、さらに60億円の追加融資を求めたという。100億円の借入金の返済は滞り、日本出版販売では一時、送品を停止していた。昨年10月、世良與志雄社長が急死し、財務などの経営管理担当の実弟世良茂雄専務が後継したが、すぐに手をつけたのが資金調達だった点も見逃せない。現在、今後、数ヵ月かけて、専門家による調査が行われるが、20~30億円の簿外債務が指摘され、在庫などの資産評価の洗い直しが必至な状況となっている。


画像3 フタバ図書八丁堀店の閉店の告知(画像 公式HPより)

 昨年、同業の地場の廣文館も経営難に陥り、日本における二大出版取次会社の一つであるトーハン主導で、既存事業を継続する新会社と債務を引き継ぐ旧会社とに会社分割し再出発を切った。廣文館に続くフタバ図書の経営難は、ネット社会の到来や少子高齢化による市場の縮小、そして創業者一族経営の弊害などが背景にあると思われる。フタバ図書は書籍・雑誌系売上ランキングが第5位で348.2憶円(15年度)だった(1位は紀伊国屋書店-1086.3憶円)。業界5位の中堅どころの経営難は、業界の未来を暗示しているかの印象を受ける。粉飾決算とは、会社が不正な会計処理を行い、内容虚偽の財務諸表を作成し、収支を偽装して行われる虚偽の決算報告をすることで目的は、株価操作、配当操作、容易な銀行借り入れ、企業イメージの維持などである。手法は、貸借対照表の資産を過大計上したり、負債を簿外計上する、売り上げの水増しなどが一般的だ。粉飾決算が明るみとなった場合、『会社のために・・・』などという会社愛で許されず、それに係った経営陣や計監査法人の公認会計士が逮捕されることもある。フタバ図書の場合、40年間に渡り、粉飾決算をし続けたというのだから、呆れてものも言えない。書籍だけではなく、中古本、文具・雑貨、ゲーム売り場、レンタルビデオ、ゲームセンターなどの複合施設化で、書店が生き残る方向性を示していただけに今回の結果は残念だ。廣文館よりも規模が大きい会社なので、経営実態の詳細を明らかにした上で責任を取る形で創業者一族の退陣。その後、大幅なリストラを進め廣文館のように、既存事業を継続する新会社と債務を引き継ぐ旧会社とに会社分割する形で進むものと思われる。

【考察その2】

地場産業中心の本店・本社経済は本当に安泰なのか? その1
支店経済の否定は都市経済の否定


画像4 基町地区から紙屋町、平和公園を望んだ姿(画像 ウィキペディアより)

 よく都市開発系ブログなどのコメント欄を見ると、『支店経済に依存せず地場産業が強い広島市の将来は万々歳』とか、牽強付会(けんきょうふかい)丸出しの『広島経済共和国』的な物言いをする人が多く、驚く。ブログ主が察するところでは、ネット住民特有の排他主義-自身が依存し、信奉するもの(国や地域)の歪んだ絶対視-の反動、中央資本に経済植民地化されている事(事実は違うのだが)への反発、としか思えない。真面目な話をすると、国や中央資本に依存しないとした場合、広島市だけに限った話をすると、広島市民と立地する企業だけの市税徴収と社会保障費の支払いだけで、財政を運営することになる。19年度の市の一般会計予算(広島市HP)は6700.5億円。市税とその他収入は2392.8億円。よく言われる三割自治ならぬ、『三割五分自治』である。現行の市の行政サービス水準を維持する場合、差額の約4,300億円をどこに求めるかの話に行き着く。市税の増税や社会保険料負担の増額だけでは成立しないことは、火を見るよりも明らかだ。新規の公共事業の採択など不可能で、既存の都市インフラやハコモノ施設の更新どころか、維持すらも危うい。増税や社会保険料負担の増額は匙加減を誤ると、経済市場の縮小は避けられない。差額を市債の乱発で賄うと、財政がすぐに破たんする。現行の法人市民税の課税率水準で、いくばくかの差額を埋め合わせる場合、マツダクラスの上場企業が数十社あったとしても、到底無理な話だ。要するに広島市及び周辺の都市圏だけで経済的に完全自立するなど、夢物語の戯言で道州制など大幅な自治制度の改革(特に財源)なしで語るのはナンセンスなのだ。言いたいところは、今後超縮小社会(超高齢化+大幅人口減)が到来すると経済市場の縮小の避けられず、それに合わせ支店の統廃合も進む。となると、経済的なダメージがあるのでそうなる前から、依存率を下げる体制を整えるべきだとの主旨と理解するが、この論の大前提として地場の企業が、この時代に入っても少なくとも、現行レベルで存続している、がある。


画像5 全国主要都市の支店、支社の従業員数。広島市の水準は福岡市の半分以下

 話を蒸し返すが、最近、支店経済を悪し様に言う人が多い。広島市の戦後における都市の成長は、重工長大産業の工業化ではなく、大企業の支店集積によるところが大きく、中央資本の進出特に金融や商業などの流通面における中央資本の進出、すなわち支店の設置に負うところが多い。賛否のある意見ではあるが、多くの識者や在所の経済界もそう指摘している。高度・安定成長期(60~90年代初頭)においては特にそうだった。バブル経済崩壊後、経済市場の縮小、経済のグローバル化、IT化(本社機能強化)などが時期を違えず襲い、支店機能は縮小を余儀なくされた。広島市だけの話ではなく、全国一様の現象でこれが00年代半ばまで続いた(下記画像6参照)。06年以降、理由は定かではないが増加に転じている(下記画像7参照)。安倍政権後の数値は見つからなかったが、近年のオフィスビルの空き室率の低下を見ると、増加現象は今も続いていると推察する。かつてのような都市の成長を牽引するほどの力こそないが、今なお景気の浮沈を大きく左右する力を支店は持ち続けていると言える。極論をさせてもらうと、支店経済の否定は地方都市経済の否定になる。『広島市は支店経済が衰退している』とご高説を声高に叫ぶ人がいるが、事実や論拠に基づいた説ではないと断言してもいい。比較する時期にもよるが、支店経済は広島市においても維持され続けている。さらに加えると、地場産業が急成長して、依存率が下がったのではなく、先に挙げた3つの理由で支店・支社の就業者数が減少し、勝手に依存率が下がっただけのことだ。集積度云々の話だと、広島市は中国地方の中でも絶対的な存在とは言い難い。お隣の岡山・倉敷地区は、中・四国地方の交通の要衝でもありそれなりの集積を誇っている。


画像6(左) 06年の支店・支社就業者数の増減
画像7(右) 06~09年の支店・支社就業者数の増減

【考察その3】
地場産業中心の本店・本社経済は本当に安泰なのか? その2


画像8 広島市の都心部の紙屋町地区の様子(画像 アンドビルド広島より)

 ここから、今回の話題であるフタバ図書の事例も絡め話を進める。『支店経済不要論』の大前提として、元気な地場産業による本店・本社経済の維持がある事は既に触れた。素朴な疑問としてまず思うのが、一部上場企業クラスが地方の支店の存続を真剣に考える段階において、経営体力がない中小企業が生き残っているのか?その点である。経済市場縮小に伴う業界内スクラップ&ビルドの過程は、まずは業界上位企業が中小クラスの企業を買収する。これが第一段階。第二段階は、上位企業同士及び、上位とそれに準ずる中位企業がくっつく。業績が悪化しているところは吸収される形で、そこまで悪化していない場合は対等合併の形が多い。全体では顕著な傾向にはなく、廣文館やフタバ図書は合併や吸収ではないが、市場の縮小で経営難に陥り、生き残りが微妙だ。イズミとセブンアンドアイ、ポプラとローソン、松山市の企業だがフジとイオンとの資本・業務提携は、何れは系列化する流れの一環だと予測する。この二つの動きが、本店・本社経済の危うさを証明して余りある、と言えなくはない。『些細な動きでしかないので、取るに足らない』と言い切れば、それまでだが、格上企業との資本・業務提携は経営が傾くと、経営が悪化すると救済の名を借りた吸収に流れになりやすい。まだ、一部の業界でしか生まれていない現象が、今後
超縮小社会(超高齢化+大幅人口減)が到来で、ありとあらゆる業界に飛び火して拡大される可能性は高い。その未来の姿が、今回のフタバ図書八丁堀店の閉店で見て取れる。飛躍し過ぎとの批判は承知しているがそう思わずにはいられない。隕石の激突か気候の大変化なのかはよく知らないが、何かの理由でエサが大幅に減り、絶滅した恐竜の生態を彷彿させるとは言い過ぎだろうか?

 実はブログ主は逆説的な見方をしている。超縮小社会で淘汰されるのは、業態的に国内の市場でしか戦えない企業(規模の大小は問わず)で、海外の市場に打って出れる企業はその気にさえなれば生き残れると考える。では、抜本的な解決方法があるのか?と問われると、そんなものはどこにもないとしか言いようがない。要領を得ない処方箋となるが、①現行の支店経済を可もなく不可もなく維持し続ける ②ビジネス・イノベーションの機会を産学官が一体的に取り組む ➂規制緩和を推し進め民需を刺激し誘導する環境を整える ④都市観光やMICE(マイス)などの外需の取り込みを積極的に行う ぐらいしか思いつかない。経験したことがない時代で、確固たる処方箋など存在しないので海図なき航海になるのは間違いない。ここから先は、妄想的な大胆予測となるが何れアジアも、EUのような関税や国境が取り払われ、共通通貨の巨大市場が誕生すると考える。実現にはEU以上の高いハードルが多いが、そうなるだろう。インターネットの普及や移動手段の発達で、世界自体が狭くなっており、必然の流れになる(と思う)。昨今のイギリスのEU離脱の動きからあり得ない話に映るかも知れないが、これとて急激な変化に対するリバウンド現象に過ぎず、今回は離脱するだろが離脱の弊害が顕著になると再加盟の流れになる筈だ。時計の針は逆さには回せない。となると、巨大企業オールスター軍団になりつつある中国系企業が統一されたアジアの市場を席巻するかも知れないが、日本も業界内のスクラップ&ビルドを行い、少数精鋭で臨めば一角に食い込めるだろう。海があるハンディはあるが、とんでもない人口を抱えるアジアが経済的に統一されると、縮小社会どころか超拡大社会(企業活動において)になる。これが万が一実現した場合、現在囁かれている杞憂など笑い話になるのだが・・・。最後の話は聞き流してほしい。

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