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今日の話題 8月22日中国放送より引用

アストラムライン延伸 環境への影響は?広島市



画像1 アストラムライン延伸を伝えるニュース画像(画像 中国放送より)

【記事詳細】
 広島市のアストラムラインの延伸事業について、環境への影響を話し合う審査会の初会合が開かれました。審査会の初会合には、大学教授や弁護士など12人の有識者が出席しました。広島市は、アストラムラインの広域公園前駅からJR西広島駅までの7・1㌔を延伸し、『令和10年代初頭』に全面開通させることを目指しています。この延伸事業について、市の実施計画書では▽トンネル工事による地盤沈下、▽高架の存在による日照や電波障害などの面で、環境への影響を調べるとしています。

 これについて有識者からは、▽景観への影響を調べるポイント『眺望点(ちょうぼうてん)』を増やしたり、▽工事による振動などの影響を軽減させたりする必要性が指摘されました。他には、『公園からトンネルに向かう景観は地域の人からすれば非常に大事、それを踏まえて、『眺望点』を増やす』(審査会の座長を務める 堀越孝雄 広島大名誉教授)、『工事と、実際に供用が始まった時に振動・騒音・粉じんが出たり、そういうものを軽減させる方法を考えることが重要』と声も出ました。また、『己斐上駅』の予定地付近が土砂災害警戒区域に指定されているため、有識者からは、『のり面を補強して工事中の災害のリスクを減らす必要がある』といった指摘もありました。審査会は10月にも開かれ、その後、有識者の意見が松井市長に答申されます


【考察その1】
アストラムライン延伸事業の概要


画像1 郊外の高架区間を走るアストラムライン(画像引用元不明)

画像2 アストラムライン延伸(西風新都線)区間ルート図(画像 地元ニュース画像より)


画像3 アストラムライン延伸区間(西風新都線)ルート断面図(画像 広島市HPより)

 ブログ主は、他の都市交通系記事を見ての通りアストラムライン延伸については辛辣な意見だ。理由は次の考察にて詳しく書くが、大雑把に言えば費用対効果が低いこと、優先順位が間違っているの2点に集約される。記事冒頭から理詰めのがんじがらめの批判もあれなので、まずは、概要だけ軽く説明したい。

1 アストラムライン延伸事業(西風新都線)の概要

①事業区間:広域公園前~JR西広島駅間 7.1㌔(上記画像2と3参照) 
②設置駅:五月が丘1~同2~石内東~己斐上~己斐中~西広島(全て仮称駅名) 6駅
➂その他:全線単線構造(全駅行き違い施設あり) 終点の西広島駅前南口広場内の乗り入れ
④所要時間:十数分(全線) ⑤1日平均利用者予測:1万5,200人
⑥事業スケジュール:(下記画像4

 19、20年度 環境影響評価、都市計画法、軌道法の諸手続き
 21年度 事業着手
 20年代後半 広域公園前~石内東間の部分開業(予定)
 30年前後 全線開業(予定)

⑦事業費:約570億円(広島市約289億円、国281億円)
⑧区間ごとの平面図など:(全て広島市HPより)
 全体ルート図 五月が丘地区 石内東地区 己斐地区 終点の西広島駅



画像4 アストラムライン延伸(西風新都線)計画事業スケジュール(画像 中国新聞記事より引用)

 復習の意味合いで書くが、アストラムライン延伸は広島市にとって前秋葉市政時代(99~11年)からの悲願だった。憶測ではなく、事実に基づき話を進めると延伸計画は、99年11月策定の『新たな公共交通体系づくりの基本計画』(広島市HP)で、中・長期間で整備する基幹公共交通として位置づけられた。路面電車の駅前大橋線と平和大通り線、交通結節点改善などは基幹公共交通を補助する位置づけで、単・中期的で整備するものとした。話が少しややこしくなるが、アストラムライン延伸・新設計画のうちデルタ内と都心部地区は、計画策定の議論の後半戦、中国運輸局が異例の『ちょっと、待った!』をかけ、『まかりならん』と異議申し立てをした。その証拠に国のお墨付きを与える02年の中国地方交通議会の広島県地域交通計画では、アストラムライン西風新都線と路面電車の駅前大橋線と平和大通り線は盛り込まれたが、他の計画は議論もされなかった。よく秋葉前市長を平和一辺倒の『あか市長』とネット内では忌み嫌い、アストラムライン延伸を潰した戦犯扱いする人がいる。これも事実誤認で、02年延伸区間である己斐地区の住民説明会を開催し、翌03年には己斐地区の導入路である市道己斐中央線を都市計画決定している。この時点では、国からお墨付きをもらったものについては、建設する気があったのは事実だ。それを方向転換せざる負えなくなったのは、03年10月に公表した財政非常事態宣言(広島市HP)を公表したからだ。広島市は、アジア大会の独自開催と90年代後半の小淵政権での緊急経済対策のお付き合いで、財政を悪化どころか破綻寸前まで追い込まれていた。98~03年度で『財政健全化計画』を立て、改善に取り組んだが小淵政権での緊急経済対策のお付き合いで改善どころかさらに悪化させた。いよいよどうにもならないところまで追い込まれた。バブル末期の90年度の臨時財政対策債残高等控除後の残高は、3,762億円だが、00年度は8,506億円となっている。財政の逼迫度が分かろうというものだ。そして第二次財政健全化計画(04~07年)に休む間もなく突入した。


画像5 99年策定の『新たな公共交通の体系づくりの基本計画』で策定されたアストラムライン3線の延伸・新設計画(構想含む)と15年策定の『公共交通の体系づくりの基本計画』で策定されたアストラムラインの延伸・新設計画(画像 広島市HPより)

 全体計画の建設費が約3,000億円以上と言われたアストラムライン延伸・新設計画は真っ先に見直しの対象となり、07年2月島市は『現状ではアストラムラインの延伸は非常に厳しい』との見解を示し、西風新都線は『交通ビジョン推進プログラム』の更新に併せて事業化の時期を検討するとした。国から認められていない東西・南北両線は既存公共交通機関の活用の方向に改められた。西風新都線の着工に並々ならぬ意欲を持った松井市長が11年から就任し、財政の一服感もありコスト削減(単線化)とルートの一部変更(石内東地区経由)を経て現在に至っている。07年に一度、既存公共交通機関の活用の方向となったが、15年策定の『公共交通体系づくりの基本計画』(広島市HP)では、オールカットにはならず、部分カットとなり名も都心線に改称(上記画像5参照)した。かつての計画では、東西線の郊外区間が西風新都線といった形だったが、現計画では主従が逆転し、西風新都線の都心部区間が都心線になった感がある。西風新都線が開業する30年代以降に今一度、社会情勢を鑑みながら導入の議論を行うとしている。国から認められていない時点で計画としては完全に詰んでおり、広島市のような地方大都市部でも、超高齢化(高齢化率30%超え)、大幅な人口減少が顕著となる30年代に認められる可能性は0%と断言出来る。建設費が900億円としているが、99年当時の概算でしかなく、30年代試算だと1.5倍は優にかかり、手が出せない代物になっていると推察する。ブログ主は、デルタ内&都心部地区の地下式鉄・軌道系公共交通が実現しなかった理由は、広電の陰謀でも(爆)、市の怠慢(結果論として少しあるかも・・・)でもなく、①財政状況を超悪化させてインフラ整備の空白期(98~07年)を生んだアジア大会の開催 ②国内都市有数のコスト高&高コストを賄う需要がない ➂縮小社会(高齢化+人口減)の到来-建設境ではなくなった。要は建設期を逸した- ④国が計画を見放した 以上4点だと考える。15年の広島市長選挙の世論調査では、西風新都線の建設は約70%の賛同を集め、逆に都心部及びデルタ内への延伸は約60%の反対となっていた。都心線の代替え事業として、都市美観(架線など)、緑大橋などの建て替え費用などの問題で棚上げされている広電平和大通り線(西広島~白神社)が浮上し、ようやく整備されるだろう。

【考察その2】

事業が軌道に乗り始めても今思う事 その1


画像6 地区移動間の発生トリップ数とバスのシェア(画像 広島市HPより)


画像7 かつて2連接バス車両の導入が計画されていた西風新都方面の郊外バス路線(画像 国土交通省HPより) 

 ブログ主が西風新都線のこの時期の建設に以前より反対なのは、過去記事を読んで頂ければ、お分かりだと思うが、今更詮無き事と知りつつもこの考察ではその辺を考えたい。

アストラムライン西風新都線に反対する理由 その1
①『西風新都~都心部地区』の公共交通移動需要はそこまで逼迫していない
 かつて市北西部へ現在のアストラムラインが計画された70年代後半、沿線の交通渋滞は酷かった。渋滞の言葉すら生温く、麻痺といっても差し支えなかった。安川流域を縫って走る県道や旧国道54号線は機能しなかった。バイパス整備は後手に回り、開通しても沿線開発が進めば元の木阿弥になる可能性が高かった。バス輸送の限界にも達していた。そこで、定時性が高く、道路渋滞に左右されない鉄・軌道系公共交通である新交通システムの導入が計画された。当時の安川流域の団地群と都心部地区を結ぶバス路線の1日平均利用者数は、約3.4万人。今後も増加が見込まれ(当時)、市の中枢性向上にも貢献し、最大の公共交通移動需要である東西方向-『広島駅~紙・八地区間』-の路線よりも優先されたのはこのためだ。では、現在の『西風新都地区~都心部地区』の移動需要(上記画像6参照)を見ると、順位は3番目で公共交通のシェアこそ50.3%と高いが、逼迫しているとは言い難い。では、今後沿線開発が進み、大幅な人口増加があるのか問われるとその可能性も皆無だ。主たる沿線の西風新都地区の人口は19年6月末の時点で約5.5万人 ~ひろしま西風新都~(公式HP)。この数年はほぼ横ばいで、市は希望的な観測の元、50年代には地区人口8万人を願っているが市人口の100万人割れが予測されるこの時代に、どこをどう考えれば、そのような考えに至るのか理解に苦しむ。因みに現在の広電バス『西風新都地区~都心部地区』の路線バスの1日平均利用者数は約7,500人(上記画像7参照)。アストラムラインを施設するほどの需要はないと見るのが一般的だ。


画像8 広島市市民世論調査報告書の公共交通の満足度の質問(画像 広島市HPより)

②優先順位が違う
 広島市の直近の公共交通計画である『公共交通体系づくりの基本計画』(広島市HP)では、基幹公共交通として、JR各線、アストラムライン、広電宮島線、郊外主要路線バス、広島空港リムジンバスを位置付けている。都心部地区内を縦横に結ぶ路線は少なく、その役割は下カテゴリーの広電路面電車や市内バス路線に担わせている(デルタ内準基幹公共交通)。その事自体、理に適っていると思うが、都心部地区の外縁部及び、その周辺に位置する鉄道線駅~都心部地区中心地(紙・八地区)間の低い速達性の問題が残る。広電の路面電車9.0~9.5km/h、市内線バスは12~13km/h程度でしかなく、現行複線アストラムラインの30.0km/hと比べ大きく見劣る。市主催の世論調査では、満足以上が60%を超えているが、少し眉唾もので『路面電車やバスなので所詮こんなもの』的な諦めの心理が働いていることを忘れてはいけない。ブログ主は、市が本気で集約都市、中国地方の真の中枢都市を標榜するのであればいの一番に手を付ける問題と考える。となると、優先順位も都心部区間がない郊外線の西風新都線よりも高いのは明らかだ。路面公共交通ゆえの様々なしがらみがあり、遅々として進まない現状は把握しているが、西風新都線の建設費を今後10年前後で投資すれば、懸案の駅前大橋線や平和大通り線の建設はおろか、停留所の統廃合&高規格化、車両の置き換え、PTPS設置、軌道の再整備など一通り終わる筈と思われるので、公共事業の選択と集中が求められる今の時代にあっては、郊外線でしかない西風新都線を最優先する姿勢に疑問を感じる

➂単線で都心部延伸が絶望的な西風新都線ではバスには100%勝てない


画像9 市が定める基幹バス路線の旅行速度一覧(画像 広島市HPより)  

 地下・高架式の地下鉄やAGT(アストラムライン)の最大のアドバンテージは、速達性と定時性の高さだ。完全なる専用線ゆえのことだが、西風新都線に関してはそのアドバンテージが確立できないもどかしさがある。というのは、上記画像9を見ると、『西風新都地区~都心部地区』の郊外バス路線に限れば、とてもバスとは思えない高い速達性を誇る。複線アストラムラインのそれが30.0km/hであることを考えると、ご理解頂けるだろう。因みに市内線路は平均12~13km/hでしかない。西風新都方面バス路線が速い理由は、広島高速4号線経由であることが大きい。この区間が実質専用バスレーン化しているからだ。西風新都線はご存知の通り、コストカット理由から全線単線構造で駅で行き違いをする。速度は平均駅間隔距離なども勘案すると、25~26km/h台になるものと思われる。しかも、先の考察で述べた理由で都心部地区への延伸は絶望視されており、西広島駅止まりで終わる。そこから先へは、JR、路面電車、バスへの乗り換えが必須となり乗り継ぎを強要される。広島BC(バスセンター始発)に乗り入れ都心部地区直結の広電バス路線と、少なくとも都心部地区に向かうには2つの公共交通機関の乗り継ぎを強要される西風新都線、駅から駅までの速達性でも劣り、目的地までの移動トータル時間だとさらに劣るのは確実だ。己斐地区に関しても同様で、この地区は広電100%出資の子会社のエイチ・ディー西広島(公式HP)がボン・バスを運行している。6路線のうち、4路線が紙・八地区に乗り入れている。この地区では、西風新都線は新設道路の市道己斐中央線に施設される。憶測の範囲となるが、己斐中央線の開通、西広島駅の南北広場が整備されるとボン・バスの走行環境が劇的に改善され旅行速度が上がる。誰も目と鼻の先で止まる西風新都線など見向きもしないだろう。

④1日平均利用者数-1万5,200人など、夢のまた夢で経営再建の足手まといになる


画像10 現行アストラムラインの開業前利用予測(内訳含む)と開業後実績(画像 広島市HPより)

 行政の方々は地下鉄やAGTなどの公共交通機関さえ整備すれば、需要など勝手に湧き起こると思っている節がある。『①元々の公共交通機関移動の需要(自然発生需要)+②自動車利用からの転換+➂開業を見越した沿線開発による@需要+④沿線の将来人口増加』が1日平均利用者数なのである。選定機種はピーク時の1時間当たりの片方向の輸送需要を見極め、慎重に選択されるのが王道だ。その論に沿えば、『①元々の公共交通機関移動の需要』が基本値となる。西風新都線に当てはめると上記画像7の7,500人が、それになる。これも行政の方々の勘違いしやすいことだが、公共交通機関を整備すれば自動車利用者が公共交通利用に転換してくれる、と考えている。その考えが失敗だったことは、現行アストラムライン開業時に学んだ筈(上記画像10参照)である。『喉元過ぎれば熱さを忘れる』のようだ。公共交通移動需要を上げるには、沿線開発と都市構造自体の変革しかない。その予測値1日平均利用者数-1万5,200人というのは、アストラムライン延伸の利用者予測(4段階推計法)について(広島市HP)を見る限りでは、計算上の公共交通移動需要の総取り前提で、競合する広電バス路線など考慮されていない。一例を挙げると五月が丘団地の地区住民は約6,000人。同地区には2駅の新設が予定され、利用者は約3,000人と見積もられている。住民の2人のうち1人が利用する計算だ。広島市の平均高齢化率-24.2%(16年度)よりも高い30~40%未満の高齢化率の同団地では、通勤・通学需要がそこまで期待できない。西風新都線延伸が本決まりとなった時にインタビューで団地内の高齢女性が、『この辺は皆車じゃし、開通しても使うひとはおらんよ』と言っていたのが全てを物語っている。ブログ主は、西風新都線の利用者数は『(西風新都方面のバス路線利用者+五月が丘方面のバス路線利用者)×0.3~0.4』がMAX値であろうと考える。


画像11 
74年(笑)までの借入金返済額とキャッシュフローの推移(画像 広島高速交通HPより)

 アストラムラインを運営する広島高速交通は現在経営再建中だ。
今後の経営展開(公式HPより)によれば、日本政策投資銀行などからの有利子の長期借入金-計181憶円(利子含む)-を、29年度まで年額約1億円、30~50年度まで年額約8億円の予定で返済。無利子の市からの単年度借入金(155億円)を51~64年度まで年間約5億円、65~74年度まで年間約9億円の予定で返済することになっている(上記画像11参照)。民間企業相手の融資では絶対にあり得ないトンデモ返済計画で、市が保証人でもならない限り不可能なものだ。公共交通という社会的公益性を鑑みてのものだと思うが、死者を無理やり蘇生させている感がする。そもそも会社再建というのは、黒字を出している部門や黒字化が見込める部門のみを残し、事業規模を縮小させ黒字が出やすい体質にすることだ。そして、生産性の低い社員など無駄なコストはこれ以上ないほど厳しく切るのである。広島高速交通のそれは、真逆の方向を指向しており、経営再建中でありながら黒字化が見込めないものに設備投資するというセオリーを一切無視している。現在は新白島駅効果などもあり順調に既存線区間で利用者を伸ばしているが、何れは頭打ちとなり、縮小社会(高齢化+人口減)に本格突入をすると、減少に転じる(後述)。その時期は、30年代半ば以降と考える。二度目に車両更新期に入る47年頃には、返済計画にも支障が出始め、車両更新の事業者負担(費用の1/3)が捻出できない事態になり、市が全額面倒を見る羽目になる。ブログ主であれば、全株を市にかき集めさせ100%所有で実質市営化とし、有利子の長期借入金を一括で返済し、身綺麗にした上で、広電もしくはJR西日本に運営を任せる。広島高速交通は、軌道や駅などのインフラ施設と車両などのインフラ外施設のみを保有させる。これがベスト案ならぬベター案だ。

【考察その3】
事業が軌道に乗り始めても今思う事 その2


画像12  拡大図 既存アストラムラインと西風新都線沿線団地群の高齢化率(12年) 濃ピンク-40%、薄ピンク-30~40%未満、黄色-20~30%未満、緑-20%未満(画像 広島市HPより)

アストラムライン西風新都線に反対する理由 その2
⑤先細る需要  
 上記画像12は、既存アストラムラインと西風新都線沿線に貼り付く団地群の高齢化率だ。地図上の団地群は、60~80年代に造成され高齢化率も軒並み高いことが特徴だ。下記画像13は、各交通事業者の定期券比率を示したものだが、JR62.0%、アストラムライン48.3%と異常に髙い。これは典型的な通勤・通学路線で日中はほとんど利用されていないことを意味する。裏を返せば、通勤・通学利用者が減れば、沈んでしまう路線だ。そこでアストラムライン沿線団地群の高齢化率が大きく影響する。『高齢者=引退世代』であり、通勤・通学需要が高齢化率の上昇で将来的には大きく目減りする。西風新都線の沿線も同様で、五月が丘団地や己斐地区の団地群が軒並み高い高齢化率で、シルバータウンと化している。これは住民の入れ替えが殆どない団地の宿命で、バス会社各社や広電路面電車の場合、公共交通最大の需要路線『広島駅~紙・八地区』に路線網があるので、JRやアストラムラインよりも定期券比率が低く、日中も比較的利用されている。これを回避する手立てとしては、集約都市構造への転換を促し、沿線人口を増やすことしかない。市もその辺は理解しており、インセンティブを設けることで解決を図ろうとしているが、そう容易くは運ばないだろう。沿線は高校や大学も多く立地しているが、年々出生数は減少しており、定員減で済めば良いが統廃合すらあり得るので、奇跡的に多子化にでもならない限り、通学需要も年々先細ると考える。この辺を考えると、原理原則論では都心部地区のネットワークの構築が定石なのだが、先の理由でそれも果たせない。だから、現在のネットワークのままがベスト案ならぬベター案(本日二度目)になる。


画像13 広島市内に主要路線を持つ交通事業者の定期券比率(画像 広島市HPより)

 散々、言うだけ言って代替え案を提示しないのもあれなので、示したい。現行の広電バス路線の疑似BRT化で事足りる。現在の広島高速4号線を経由する複数路線の経由路の城南通り(中広2丁目交差点~駅前大橋南詰交差点間)と中広通り(中広
2丁目交差点~横川駅前交差点間)を時間限定バス専用レーン化し、PTPS(公共車両優先システム)を設置、停留所を高規格させ需要が多い花の季台・こころ方面の路線のみ2連接バス車両を投入する。広島駅南口広場は今後再整備されるので専用のバスバースを設けるのは可能で、バスセンターも全盛期よりもバス利用者が激減しており容量も問題ない。広島駅に延伸すれば、陸の玄関口と直結され西風新都方面のアクセスも容易になる。速達性は今でも十分だが、疑似BRTすれば、現行+4~5km/hの旅行速度向上が見込まれる。旅行速度30km/h超えだと、現行複線アストラムラインよりも速い。輸送能力云々の反論がありそうだが、片方向の1時間の輸送能力を比較すると単線の西風新都線は286(人)×6(10分毎の運転間隔)=1,716人/1時間、2連接バスだと130(人)×15(4分毎の運転間隔)=1,950人/1時間で、2連接バス車両にアドバンテージがある。それでも将来、対応できなくなった場合のみ、西風新都線を複線構造で建設することを考えればいいだけのことだ。そもそも論として、速達性、輸送能力で劣るものを約570億円(市負担289億円)で建設することが間違いなのだ。疑似BRT化であれば、50億円程度で済む。将来需要が落ちても城南通りは郊外バス路線が重複しており、決して過剰投資にはならない。アストラムライン導入が決定された70年代後半は、国の整備制度はフル規格地下鉄(ミニ地下鉄も含む)、モノレール、AGT(アストラムライン)だけで、消去法でAGTとなったのは仕方がなかった。その後、LRTやBRTなども加わり、種類だけは都市交通先進国の欧州と遜色がないものになっている。

 当時の
AGTの長所として、①曲線半径の小さい曲線でも走行が可能 ②占有する敷地面積が狭く、過密な都市内や幹線道路上にも高架橋などを建設することが可能 ➂ゴムタイヤを使用するため、走行による外部への騒音振動が少なく、乗り心地が良い ④ゴムタイヤの摩擦力の大きさを活かし、急勾配路線の走行が可能。空転が発生しにくく雨や風に強い ⑤普通鉄道のような架線が上部空間に無く、沿線の美観を損ねにくい などがあった。それは70年代当時の話で、LRTのLRV車両でも技術の進捗で①、➂、④は同等となり、⑤も架線レス化により克服可能となった。②とて路面軌道のLRTよりもコスト高を招き、場合によっては長所とは言い難い。説明したように長所はほぼなくなり、従来から問題視された短所 ①高架、地下線の完全立体交差となるため、LRTやBRTよりも高コスト ②ゴムタイヤの転がり抵抗が鉄車輪と比べて大きく、動力費が嵩む ➂ゴムタイヤの摩耗が鉄車輪と比べて早く、車両寿命が短い ④鉄道との相互互換性がなく、乗り入れや設備・部品等の流動性に乏しい ⑤ゴムタイヤ式なので、詰め込み輸送に限界がある ばかりが目立つようになっている。かつての新交通システム-モノレール、AGTを含むガイドウェイバスなど、従来の鉄・軌道技術とは異なる中量輸送機関の総称-は、21世紀の今日では旧交通システムに成り下がった。それでも5つの短所を補って余りある長所が、広島市の場合は速達性と輸送能力の大きさになるのだが、西風新都線はそれも担保出来ない。ここまで言えば道は一つだ。まだ工事に入った訳でもなく、引き返せると思うのだが・・・。実際には可能性として1%もないと思うが、勿体ない話だ。

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