前回記事 新広島駅ビルの詳細公表され
カテゴリー記事 広島の都市問題 都心部活性化


【考察その1】
今回明らかになった新情報とは?
 


画像1 広島駅ビル建て替え準備工事概要図(画像 JR西日本公式HPより)


画像2 広島駅周辺施設立地図(画像 JR西日本公式HPより)

 9月6日、広島駅南口広場の再整備に合わせ建て替えられる予定の新広島駅ビルに新情報が加わった。旧情報も含め、再度書き記す。

【新広島駅ビル(仮称)】
高さ約100㍍、地上20階・地下1階 用途:商業・ホテル・駐車場
建築面積:約1万4,000平方㍍ 延床面積:約11万1,000平方㍍
全体事業費:約600億円 
 着工予定:2021年春 開業予定:2025年春
基本設計・監修:ジェイアール西日本コンサルタンツ・東畑建築事務所設計共同体
実施設計・施工:広島駅南口ビル新築他工事特定建設工事共同企業体(株式会社大林組・広成
        建設株式会社) 
『広島駅ビル建替えの準備工事着手について』~(JR西日本公式HP)

 今回の新情報は、新駅ビルの事業費と基本&設計業者が決まり、範囲(?)が明らかになった点だ。本格着工に向けた予備工事に10月から入り、21年春着工、25年春の開業を目指すことになる。公的機関-行政(広島市)-が主体性を以って係る再開発・土地区画整理事業の最後と言うかトリとなり、25年春の新広島駅ビル開業も含む広島駅南口広場の再整備終了で、『広島駅表口周辺地区市街地再開発事業基本計画』が81年に立案されて以来、44年の長きにわたる事業が終わりを告げる。バブル経済崩壊(90~91年頃)、リーマンショック(08年頃)などの社会情勢の変革の荒波をまともに受け、テナント予定者の撤退や事業全体計画の仕切り直しなどを迫られ、完成が遅れに遅れた。81年のスタート時の市長は、通称『植木市長(笑)』こと伝説の荒木氏(75~91年)、その後、平岡氏(91~99年)、秋葉氏(99~11年)、松井氏(11年~)と4度代替わりしている。目に見える形で姿を現したのは、この5~6年来なので現職の松井市長のみの功績になりがちだが、任期中のアベノミクスによる景気回復で環境が整った点を見誤ってはいけない。むしろ仕上げた松井市長というよりは、前市長の秋葉氏の功績の方が大きいと考える。広島駅周辺を都市再生緊急整備地域の指定を働きかけ、国に認めさせ(03年7月)、その前にとん挫したBブロック(現ビックフロント広島)だけではなく、理由は不明だがスルーされていたCブロック(現エキシティヒロシマ)を最後の機会とばかりに、俎上に上げた功績は大きいと思う。ようやく、100万都市、政令指定都市の陸の玄関口に相応しい街並みとなった。


画像3 新広島駅ビルに乗り入れる広電駅前大橋線のイメージ図(画像 広島市HPよ
り)     


画像4 新広島駅ビル2階部に乗り入れる広電車両のイメージ図(画像 広島市HPより)

【考察その2】
ブログ主のふとした疑問・・・・
予定の交通施設が立地出来るのか?


画像5 新広島駅ビルの配置図(再掲載)

画像6 14年9月の南口広場再整備の基本方針決定時の広場内交通施設の立地

 別に苦情ではないが、気になった点があった。新広島駅ビルが思った以上に張り出し過ぎて現在の南口広場の半分くらいにまで拡大(上記画像5参照)しそうなことだ。今回の話の発端は、駅ビルの建て替えではなく、広島駅南口の結節点改善があり、広電駅前大橋線が高架乗り入れ、現状では受け入れが駅ビルの建て替え、広電路面電車のターミナルがなくなった現在の南口広場の再整備、と話を順序立てるとこうなる。駅ビル建て替えありきではない。南口広場の容量が減少するなど断じてあってはならないことで、本末転倒だ。筋道論で言えばそうなる。5年前の『広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針の決定について』(広島市HP)を見ると、バスバースは15から22へと拡大され、タクシーとマイカーエリアは現行の水準が維持される。 ~路面電車の現行ルートと駅前大橋ルートの場合の広場再整備案の比較~(広島市HP) 半分程度の敷地に、これだけの数の施設を押し込めるのは物理的に不可能だ。ただ、広島市とJR西日本が密な協議抜きでそれぞれが勝手なことをするとも思えないので、謎が深まる。3月に公表されたJR西日本の新広島駅ビル断面図(下記画像7参照)を見ると、駅ビル1階部分が南口広場になっており、吹き抜け空間になっているようにも見える。この仮説に沿うと、駅ビル2階以上が広場内に張り出した突起物のような形状になるのだろうか?これはこの断面図を駅前大橋方面から見た場合の話だ。広島市HPの完成イメージを見ると、1~2階の旧広場内に張り出している部分は公的空間として開放しているように見える。画像の右、左手の駐停車している自動車とバスがそれだ。ブログ主の推測がほぼ正解だと思われるが、そうなればなったで別の問題も生じる。問題という表現が妥当か否か難しいところだが、それは、地上の現行の南口広場が新広島駅ビルの張り出し部と広電駅前大橋線の人工地盤などで覆い尽されることだ。


画像7 駅前大橋から見た新広島駅ビルの断面図(画像 広島市HPより)

 この点を問題視することに違和感を感じるかも知れないが、交通施設の結節機能のみを重視すれば及第点以上の再整備となるが、この広島駅周辺の場合は他にも旧来からの都心の紙・八地区と共に広島市、広島都市圏、広島県及び中国地方全体を牽引する左右のエンジンの役割も担う。そこにはにぎわい性の創出機能も当然入る。ビルや人口基盤で覆い尽された閉鎖的な都市空間で、それが果たして可能かと問われると、否と言うしかないだろう。まちづくりのブログの記事のコメント欄を閲覧すると、勘違いをしている人が多いことに気づく。それは、にぎわいなどビルを建て替えたりすれば勝手に巻き起こると思っていることだ。確かに新規開業当初はそうかも知れないが、開業効果が薄れると元の木阿弥になる可能性が高い。開業はゴールではなく、第2のスタートに他ならない。そのハコモノなりインフラ施設をどう生かし、にぎわい性を創出する仕掛けをつくるのか、これが肝要なのだ。そもそも論に立ち返るが、都心3地区(紙・八地区&広島駅周辺)の現在の苦境はイオンやゆめタウンに代表されるように郊外大型商業施設の乱立によるところが大きい。オーバーストア状態を見過ごした行政の責任は一定程度あるだろう。郊外地区に勝るアドバンテージを打ち出すには、地区全体のロケーションを一つの店舗と見立てた開放的な都市空間の体現は、不可欠だ。それが歩行者中心の都市空間の再配分だったりするのだが、その観点だと及第点とは言い難い。その代替え策として、新広島駅ビルから縦横無尽に伸びるペデストリアンデッキが整備される。南北自由通路、北口の同デッキと一体化され広島駅周辺の回遊性向上が図られることとなる。代替え策としては最高のものだが、にぎわい性の創出効果は低く、単なる小奇麗な通路で終わるだろう。ただ、広島駅周辺の場合、紙・八地区とは異なり二葉山や猿猴川が目前に迫り都市空間に余裕がない。その点を考慮すれば、地下や高架空間を使った立体構造になるのは止む無しだと思ったりする。ブログ主的には都心の中心とするのではなく、あくまでも紙・八地区の補完的な役割を総合的に果たせば良いのではなかろうか?商業地区として広島駅周辺を見ると、毎年恒例の
中国新聞の『広島市広域商圏調査』によれば、18年は5.4%。南口地区再開発が終わってもその支持は殆ど伸びていない。これまで広島駅周辺の投資は、広島駅南口地下広場、エールエールA館~近々の二葉の里土地区画整理事業に至るまで1千億円以上の投資がなされてきた。直接の費用対効果の点では、微妙なところだが広島市の陸の玄関口という立地を鑑みれば、10年前までの昭和オールウェイズの原風景が消滅しただけでも、都市イメージ向上に大きく貢献しているので良しとしている。結論としては、広島駅周辺を高次都市機能が集積している紙・八地区からその座を取って代わるのではなく、商業、業務、宿泊&中小会議場などのMICEの補完機能を有し、広島市最大の結節機能を強化し保持し続けることがその役割だと考える。それ以上の過剰な期待をこの地にするのは酷だろう。


画像8 
ハーグ中央駅に高架軌道のまま乗り入れるHTM(ハーグ市営交通会社)のトラム。内部は国鉄線のホームの真下に停留所を設けている(画像 ユーチューブ画面撮影より)


画像9 ハーグ中央駅内部まで乗り入れたHTM(ハーグ市営交通会社)のトラム(画像中央)

 今更概要が決まったので言っても詮無きことだが、ブログ主が思うところの新広島駅ビル案らしきものを考える。上記画像8と9は、オランダの都市デン・ハーグのトラム(路面電車)の中央駅高架乗り入れの様子だ。参考動画を見た限りでは、同じ高架乗り入れであっても駅舎が必要以上に前面に押しだす形ではなく、高架構造でありがちな閉鎖的な空間にならない配慮がなされている。トラムのターミナルは駅舎内に収め、オランダ鉄道との良好な結節(ほぼ真上)を実現している。これを完全模写するのは不可能だが、現行新駅ビル案でも、計画の一部修正で現行案よりも開放的な空間の創出は可能になるかも知れない。その一部修正とは、新広島駅ビル2階部に取り込まれているペデストリアンデッキ及び、同階の広電の乗り入れ部の大きな屋根、3階~6階部全体を自然光(太陽光)が多く取り入れる構造に出来ないだろうか?要は外装部の大胆な習性だ。上空の光景と自然光が入れば閉鎖的な空間が解放され、全く異なる趣きになるだろう。上記画像9は
ハーグ中央駅内部まで乗り入れたHTMのトラムたーミナルを側面から映したものだ。天井は遮断されているが両脇はガラス構造で、ターミナルの閉鎖性がかなり緩和されている様子が窺える。これだけの莫大な投資をし続けている広島駅周辺地区なので、限られた条件下であっても、ある程度のにぎわい性を持たせたい。ブログ主の個人的な意見だが、閉鎖空間ではそれも覚束ないだろう、と思ったりする。素人の戯言の類と思って頂ければ幸いだ。

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